保育園で働く保育士の皆様。これから保育士として働き始めるという方。
今回は、一般的な1年目から定年まで保育士のキャリア形成、役職のステップについて紹介します。
その経験が参考になればと思います
※参考、引用「技能・経験に応じた処遇改善等加算Ⅱの仕組み」https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/c47709ef-8880-42e6-bb7e-9818b6b728c5/b10e852c/20230929_policies_kokoseido_jigyousha_11.pdf
1年目から定年まで保育士のキャリア形成、役職のステップ
- 1年目〜 副担任、担任を経験
- 経験年数3年〜 職務分野別リーダー
- 経験年数7年〜 副主任保育士 または 専門リーダー
- 勤続21年前後〜 主任保育士
- 副園長
- 勤続24年前後〜 園長
- 60歳〜 定年、再雇用
これらの保育士のキャリアについて詳細を解説していきます。
技能・経験に応じた保育士等の処遇改善(処遇改善等加算II)、いわゆる保育士等キャリアップ研修については以下の記事でも紹介しているので参考にしてください。
1年目〜 副担任、担任を経験
新卒や未経験から保育園に採用されてからは、まずは、副担任などから経験を積んでいくことが多いです。園によってはいきなり担任を任されるということもあるかもしれません。
経験年数3年〜 職務分野別リーダー
職務分野別リーダーは、概ね経験3年以上が目安とされ、保育園から発令された専門領域のリーダーとなります。技能・経験に応じた保育士等の処遇改善(処遇改善等加算II)、いわゆる保育士等キャリアップ研修によって新設された新たな保育園の役職になります。
研修自体は1年目からでも受講することができますし、経験年数の目安も “概ね” であるため、保育園の状況によっては、経験年数3年より早い段階で研修を修了し、職務分野別リーダーの発令を受けることができる場合もあります。
職務分野別リーダーになるためには、担当する以下の専門研修のいずれか一つを修了する必要があります。研修を修了し、修了した研修分野に係る職務分野別リーダーとしての発令を保育園から受けます。制度としては、保育園は同一分野について複数の職員に発令することも可能となっています。
- ①乳児保育
- ②幼児教育
- ③障害児保育
- ④食育・アレルギー
- ⑤保健衛生・安全対策
- ⑥保護者支援・子育て支援
一人当たりの処遇改善額及び対象者数については、各保育所等での人員配置や賃金体系の実情を踏まえ、一定の要件の下で柔軟な運用を認められています。そのため、勤務する保育園によっては、職務分野別リーダーの発令を受けたからといって、必ずしも月額5千円の処遇改善を受けられるとは限りません。
※ 人数は標準規模の園で3人(園長・主任保育士を除く保育士等全体の概ね1/5)
※ <標準規模の保育園(定員90人)の職員数> ※公定価格上の職員数 園長1人、主任保育士1人、保育士12人、調理員等3人 合計17人
経験年数7年〜 副主任保育士 または 専門リーダー
副主任保育士 または 専門リーダーは、経験年数概ね7年以上が目安とされます。技能・経験に応じた保育士等の処遇改善(処遇改善等加算II)、いわゆる保育士等キャリアップ研修によって新設された新たな保育園の役職になります。
副主任保育士は、3つの専門研修に加えて、マネジメント研修を修了する必要があります。専門リーダーは4つ以上の分野の専門研修を修了する必要があります。
研修自体は1年目からでも受講することができますし、経験年数の目安も “概ね” であるため、保育園の状況によっては、経験年数7年より早い段階で研修を修了し、副主任保育士 または 専門リーダーの発令を受けることができる場合もあります。
一人当たりの処遇改善額及び対象者数については、各保育所等での人員配置や賃金体系の実情を踏まえ、一定の要件の下で柔軟な運用を認められています。そのため、勤務する保育園によっては、副主任保育士 または 専門リーダーの発令を受けたからといって、必ずしも月額4万円の処遇改善を受けられるとは限りません。
※ 人数は標準規模の園で5人 (園長・主任保育士を除く保育士等全体の概ね1/3)
※ <標準規模の保育園(定員90人)の職員数> ※公定価格上の職員数 園長1人、主任保育士1人、保育士12人、調理員等3人 合計17人
勤続21年前後〜 主任保育士
主任保育士は、昔からある保育園の役職で、ここまで説明した「技能・経験に応じた保育士等の処遇改善(処遇改善等加算II)」とは直接関係はありません。
そのため、特定の分野の保育士等キャリアアップ研修の修了や経験年数の要件などはありません。「勤続21年前後〜」は、保育園における主任保育士の平均的な勤続年数で、あくまでも目安になります。つまり、保育園によっては経験年数が少なくても主任保育士になることができる可能性があります。
主任保育士になることによって貰うことができる手当の金額や給与体系などは、保育園によって様々になります。
主任保育士の仕事内容やなり方などについていは以下の記事でも紹介しているので参考にしてください。
※人数は標準規模の園で1人
※<標準規模の保育園(定員90人)の職員数> ※公定価格上の職員数 園長1人、主任保育士1人、保育士12人、調理員等3人 合計17人
副園長
保育園によっては、副園長という役職がある場合もあります。その名の通り、園長の補佐的な立場になります。主任保育士になることによって貰うことができる手当の金額や給与体系などは、保育園によって様々になります。
勤続24年前後〜 園長
保育園のトップは園長、施設長になります。
園長の仕事内容やなり方などについていは以下の記事でも紹介しているので参考にしてください。
※人数は標準規模の園で1人
※<標準規模の保育園(定員90人)の職員数> ※公定価格上の職員数 園長1人、主任保育士1人、保育士12人、調理員等3人 合計17人
60歳〜 定年、再雇用
日本では2013年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」という法律ができ、65歳未満に定年を設定している場合は「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「定年制の廃止」のいずれかを実施することが義務付けられています。
つまり、 正職員として働いていれば65歳まではなんらかの形で保育士として継続して勤務できる ことになります。保育園によっては、65歳以降も就業を継続できる場合もあります。
保育士のキャリア形成、役職におけるよくある疑問
最後に、保育士のキャリア形成、役職におけるよくある疑問について紹介します。
園に職務分野別リーダー、副主任保育士、専門リーダーなんていう役職がない
保育園の職務分野別リーダー、副主任保育士、専門リーダーの役職に関係する 技能・経験に応じた保育士等の処遇改善(処遇改善等加算II)は、勤務している保育園が制度を導入し、保育士に研修等を受けさせる必要があります。
職務分野別リーダー、副主任保育士、専門リーダーの役職がないということは、処遇改善等加算IIを受けることができないということになります。多くの保育園で導入されてきているので、転職を検討したほうが良いかもしれません。
転職しても役職は引き続き有効?
働く保育園を変えたとしても、保育士等キャリアップ研修の以前の研修修了の効力は引き続き有効となります。
ですが、役職の任命は保育園ごとの裁量になります。そのため、例えば、以前働いていた保育園で副主任保育士をしていたからと言って、転職先の保育園での副主任保育士の役職が保証されるというわけではありません。
転職する際はその点に注意が必要です。
保育園が研修を受けさせてくれない
研修を修了しないと職務分野別リーダー、副主任保育士、専門リーダーにつくことができません。人手不足などで研修を受けさせてもらえない場合は、今後の保育士としてのキャリア形成に影響が出てしまうので、転職を検討したほうが良いかもしれません。
長く働けば必ず役職に就ける?
長く働けば必ずしも役職につけるとは限りません
まず、一般論として、経験年数が長い順に役職に就くことができるというわけではありません。誰が役職につくのかは、保育園への貢献度やその人のスキル、人柄などを元に園長や会社の人によって決められます。
また、役職者の人数には制限があるので、例えば、現在40歳の主任保育士がいるという園の場合、その人が仮に60歳まで勤続した場合は、その席は空かないということになります。仮に、その人が退職した場合でも、中途採用などで、新たな主任保育士候補が採用される可能性もあります。
また、家族経営の保育園などでは、いきなり身内が現れて役職に就任するというケースもあります。
まとめ:1年目から定年まで保育士のキャリア形成、役職のステップを解説
今回は、一般的な1年目から定年まで保育士のキャリア形成、役職のステップについて紹介しました。
- 1年目〜 副担任、担任を経験
- 経験年数3年〜 職務分野別リーダー
- 経験年数7年〜 副主任保育士 または 専門リーダー
- 勤続21年前後〜 主任保育士
- 副園長
- 勤続24年前後〜 園長
- 60歳〜 定年、再雇用
経験年数はあくまでも目安なので、これより早く役職について働くということも可能です。一方で、保育園の各役職の人数には上限があるので、勤務している保育園の状況によっては、いつまでたっても役職に就くことができないということもあります。