妊娠をした保育士の皆様。同僚などに妊娠している保育士がいるという方。
今回は以下の資料を参考に、妊娠した保育士にしてはいけない不利益取扱いやハラスメントについての説明と、万が一、不利益取扱いやハラスメントをされてしまった場合の対処法について紹介します。
※参考・引用「厚生労働省 職場のセクシュアルハラスメント 妊娠・出産等ハラスメント 防止のためのハンドブック」https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000474782.pdf
※参考・引用「厚生労働省 職場でつらい思いしていませんか?」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000135906.pdf
妊娠をした保育士の皆様や同僚などに妊娠している保育士がいるという方は、参考にしてみてください。
園で勤務を続け、妊娠・出産をした経験があります
妊娠した保育士にしてはいけない不利益取扱いやハラスメントについては厚生労働省のページを参考にしています
その経験が参考になればと思います
妊娠や出産を理由とする不利益取り扱いとハラスメント
妊娠や出産を理由とする労働問題には、大きく「不利益取り扱い」と「ハラスメント」という二種類があります。
例として以下のような内容を理由とする、不利益取り扱いとハラスメントが挙げられます。
- 妊娠した、出産した
- 妊婦健診のため、仕事を休んだ
- つわりや切迫流産で仕事を休んだ
- 産前・産後休業をとった
- 育児休業・介護休業をとった
「不利益取り扱い」とは、事業主である保育園が従業員である保育士に対して不利益な取り扱いをすることです。
妊娠・出産・育児休業・介護休業などを理由とする解雇などの不利益な取扱いは「男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法」で禁止されています。
「ハラスメント」とは保育園においては、妊娠や出産を理由として上司・同僚から保育士が受ける「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為になります。
事業主は、「男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法」に基づき妊娠・出産、育児休業、介護休業等に関する上司・同僚からの職場でのハラスメント の防止措置を講じなければなりません。
妊娠や出産を理由とする保育園からの不利益取扱い
ここからは、妊娠や出産を理由とする保育園からの不利益取扱いの例について説明します。「不利益取り扱い」とは、事業主である保育園が従業員である保育士に対して不利益な取り扱いをすることです。
産休・育休を認めない
正社員の保育士に関してはもちろん、パート、派遣、契約社員など雇用期間の定めがある方でも産休が取得できます。また、条件を満たしている場合は、育児休業の取得も可能です。そのため、保育園の都合等で取得を認めないということはできません。
(例)
「産休・育休は認めない」と言われた。
『男が育児休業なんてとるのか。人事考課で減点する。』などと言われ、制度を利用させてもらえなかった。
解雇された、退職を強制された
妊娠や出産を理由として、解雇をされたり、退職を強制されるということ認められません。
(例)
産休の取得について上司に相談したところ、「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた。
妊娠を報告したら「退職してもらう」と言われた。
切迫流産で入院したら「もうこなくていいから退職届を書け」と言われた。
契約が更新されなかった
正職員の保育士はもちろん、パートや契約社員、派遣保育士の場合でも、妊娠・出産などを理由に契約を更新しないということは認められません。
(例)
上司に妊娠を報告したところ、「次回の契約更新はないと思え」と言われた。
妊娠を伝えたら「次の契約更新はしない」と言われた。
パートになれと強要された
正社員として働いている保育士にパートになれと強要するということは認められません。
(例)
正社員なのに、妊娠したら「パートになれ」と言われた。
減給された
妊娠や出産などを理由に、減給をおこなうということは認められません。
普通ありえないような配置転換をされた
妊娠や出産などを理由に、普通ありえないような配置転換するということも認められません。
妊娠や出産を理由とする保育園の同僚や上司からのハラスメント
ここからは、妊娠や出産を理由とする保育園の同僚や上司からのハラスメントについて説明します。「ハラスメント」とは保育園においては、妊娠や出産を理由として上司・同僚から保育士が受ける「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為になります。
同僚や上司からの以下の内容がハラスメントに該当します。
- 制度等の利用を理由に解雇や不利益取扱いを示唆する言動
- 制度等の利用を阻害する言動
- 制度等の利用を理由に嫌がらせ等をする言動
(例)
● 上司に妊娠を報告したところ、「次回の契約更新はないと思え」と言われた。
● 産休の取得について上司に相談したところ、「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた。
●育児休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに育児休業をとるなんてあり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている。
● 妊婦健診のために休暇を取得したいと上司に相談したら、「病院は休みの日に行くものだ」と相手にしてもらえなかった。
● 上司から「妊婦はいつ休むか分からないから、仕事は任せられない」と雑用ばかりさせられている。
● 同僚から「こんな忙しい時期に妊娠するなんて信じられない」と繰り返し言われ、精神的に落ち込み業務に支障が出ている。
不利益取り扱いとハラスメントに当たらない「OKなこと」
ここからは、妊娠や出産を理由とする不利益取り扱いとハラスメントに当たらない例について紹介します。
不利益取り扱いとハラスメントに当たらないのは「業務上必要な言動」になります。
- 日程の調整の依頼
- 労働者の意をくんだ配慮
などがこれに該当します。
例として以下の内容はハラスメントに該当しないということになります。
この日の会議には参加してほしいのだけど、妊婦検診の日程を調整できるかしら?
具合が悪そうだけど、大丈夫?お医者さんから休むようにとか言われてない?
「業務上必要な言動」の例
● 制度等の利用を希望する労 働 者に対して、業務上の必要性により変更の依頼や相談をすることは、強要しない場合に限りハラスメントに該当しません。
● 妊婦本人はこれまでどおり勤務を続けたいという意欲がある場合であっても、客観的に見て妊婦の体調が悪い場合に、業務量の削減や業務内容の変更等を打診することは、業務上の必要性に基づく言動となり、ハラスメントには該当しません。
もし自分が妊娠に関するハラスメントをされてしまったら?
上司・同僚からのハラスメントなどを受けているという場合は、まずは、勤務している法人の相談窓口に相談しましょう。保育園を運営している大きな会社であれば、社内または社外に以下のような相談窓口が用意されているはずです。
(社内)
- 管理職による相談対応
- 人事部門による相談対応
- 産業医による相談対応等
(社外)
- 産業医・産業カウンセラー
- メンタルヘルス専門家
- 弁護士などの専門家によるもの
もし、保育園において、きちんとした窓口が設置されていなかったり相談相手がいない場合は、 都道府県労働局 などの外部の期間に相談をしましょう。
詳細は、厚生労働省が発出している情報や以下のパンフレットなどを参考にしてみてください。
- 「厚生労働省 職場でつらい思いしていませんか?」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000135906.pdf
まとめ:妊娠した保育士にしてはいけない不利益取扱いやハラスメント。対処法は?
今回は以下の資料を参考に、妊娠した保育士にしてはいけない不利益取扱いやハラスメントについての説明と、万が一、不利益取扱いやハラスメントをされてしまった場合の対処法について紹介しました。
※参考・引用「厚生労働省 職場のセクシュアルハラスメント 妊娠・出産等ハラスメント 防止のためのハンドブック」https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000474782.pdf
※参考・引用「厚生労働省 職場でつらい思いしていませんか?」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000135906.pdf
保育園は、妊娠や出産を理由とする不利益取り扱いは禁止されていますし、ハラスメントの防止措置も取らなくてはいけません。
もし自分が妊娠に関するハラスメントをされてしまったら、勤務している法人内の相談窓口や社外の相談窓口に相談してみましょう。
妊娠をした保育士の皆様や同僚などに妊娠している保育士がいるという方は、参考にしてみてください。