これから就職や転職を考える保育士の皆様。保育園の保育士求人などをみていて「くるみん」マークを見たことがある方もいらっしゃると思います。
今回は、保育園の保育士求人の「くるみん」マークとは何なのか、働く保育士にメリットはあるのかということを解説します。
くるみんマークについては厚生労働省の「くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて」の情報を参考にしています
その経験が参考になればと思います
くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークとは?
くるみんは「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証になります。認定をうけた企業が商品にくるみんマークを付したり、求人募集の際にくるみん取得企業であるということをアピールすることができます。
保育園を運営している保育業界の企業でも、いくつかの企業が「くるみん」を取得している例が出てきています。そのような企業は「くるみん」取得を求人募集の際の宣伝材料として使うことができます。
※引用・参照:「厚生労働省 くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html
くるみんの基準は?
くるみんマークを取得する基準は以下のようになっています。
- 雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を策定したこと。
- 行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること。
- 策定した行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと。
- 平成21年4月1日以降に策定・変更した行動計画について、公表および従業員への周知を適切に行っていること。
- 計画期間において、男性従業員のうち育児休業等を取得した者が1人以上いること。
- 計画期間において、女性従業員の育児休業等取得率が、70%以上であること。
- 3歳から小学校就学前の子どもを育てる従業員について、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること。
- 次の①~③のいずれかを実施していること。
①所定外労働の削減のための措置
②年次有給休暇の取得の促進のための措置
③その他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置 - 法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。
※引用・参照:「厚生労働省 くるみんマークの認定とは」https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/26a_004.pdf
「1. 雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を策定したこと。」「2. 行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること。」「3. 策定した行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと。」「4. 平成21年4月1日以降に策定・変更した行動計画について、公表および従業員への周知を適切に行っていること。」
「子育てサポート企業」としての行動計画を策定し、その目標を達成したということです。 行動計画はそれぞれの企業によって異なります。 つまり、くるみんマークを取得しているからといって必ず、共通する目標を達成しているとは限りません。そして、行動計画が従業員に対して周知されているということです。
「7. 3歳から小学校就学前の子どもを育てる従業員について、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること。」
例えば、子育てをしている従業員に対して、フレックスタイム制度、時差出勤の制度、保育施設の運営やベビーシッターの手配や費用補助などを講じるなどの措置になります。具体的な内容については各企業の最良次第になります。
「9. 法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。」
次世代法や労働基準法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などの関係法令に違反する重大な事実がないという条件になります。働く保育士にとってはこれは結構重要なことで、例えば、サービス残業や有給休暇の取得義務を怠っているというようなことで、違反しそれが発覚した事実がないということになります。もちろん、違反が発覚していないだけという可能性はあります。
「子育てサポート企業」って結局どういうこと?
ここまでくるみんマークの取得の基準について紹介しました。ですが、行動計画はそれぞれの企業によって異なりますし、各基準の項目のなかにも企業が選ぶことができる選択肢が複数あったり、特例などもあります。そのため、 結局、くるみんマークをとっている企業で働くと何が良いのということはわかりにく状況 だと思います。
そんな方向けに、くるみんマークを取得している「子育てサポート企業」に関して結局どういうことという共通している内容を簡単にまとめてしました。
くるみんマークを取得している会社に共通して言えることは、
- 男女ともに育児休業が取りやすい
- 残業時間を削減するための施策をしている
- 年次有給休暇が取りやすくなるための施策をしている
- 3歳から小学校就学前の子どもを育てる従業員が子育てと仕事を両立しやすくなる施策が講じられている
ということです。
それ以外の施策や行動計画はそれぞれの企業によって異なるので、詳細は企業ごとに確認する必要があります。
保育士が就職転職で「くるみん」の企業の保育園を選ぶメリットはある?
ここまで「くるみん」の概要や「くるみん」の取得基準などを紹介しましたが、保育士が就職転職で「くるみん」の企業の保育園を選ぶメリットはあるのでしょうか。結論としては、子育て中の方や、これから子育てを考えている保育士にとっては、就業先に「くるみん」の企業の保育園を選ぶメリットは大きいです。
この時代でも、保育園で働く保育士の出産の順番待ちや産休育休を取得する保育士に対しての園長のモラハラ発言などが話題になることが多いです。そこまでいかないにしても、子どもを作りにくい雰囲気であったり、子育てをしながら仕事を続けることに対しての周囲の理解の無さなどを感じる場面は少なくないと思います。特に保育園は女性が多い職場であるが故に、むしろ、 「私の時代はそうだった」「自分もそれで我慢していた」というような先輩や上の世代からの圧力を感じる ことも多いと思います。
「くるみん」を取得している企業で言えば、このような空気感を感じるリスクは、取得していない企業と比較しても少ないでしょう。いわば、会社として子育てサポートを推進していると公言しているようなものなので、従業員一人ひとりに考え方も昔の考え方から変わっている人が多いはずです。
そういった点でも、特に子育て中の方や、これから子育てを考えている保育士が就職や転職において「くるみん」取得の企業の保育園を選ぶメリットは大きいと言えます。
くるみんを取得している保育園の選考などを受ける機会があれば、具体的にどのような行動計画を策定して達成したのかを聞いてみると良いと思います。自分にとってどのようなメリットがあるかを具体的に理解することができると思います。
「くるみん」取得は企業としての対応力も高い証拠でもある
「くるみん」を取得するには、行動計画を策定し、その行動計画に定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たし、必要書類を添えて申請を行うことが必要になります。どんな企業にでもできることではありません。保育園に関する制度は様々なものがありますし、随時変更などもあります。このような新しい制度や制度変更などに、保育園を運営する企業は随時、速やかに対応する必要があります。
そういった点でも、働く保育士にとっても「くるみん」が取得できるような対応力の高い会社で働くことはメリットになります。
特に、これからは少子高齢化で保育需要が減っていくことが予想されます。何事にも対応力が無い企業は、将来、閉園したり・倒産したりということも起きてくると思います。「くるみん」を取っているから将来倒産しないとは言えないですが、対応力が高い企業は色々な方法でこれからの時代に順応していける可能性も高いでしょう。
「くるみん」を取得した企業には税制優遇措置がある
「くるみん」を取得した企業には税制優遇措置もあります。
○認定を受けた企業は、認定を受ける対象となった行動計画の計画期間開始の日から認定を受けた日を含む事業年度終了の日までの期間内に取得・新築・増改築をした建物およびその附属設備(以下「建物等」)について、認定を受けた日を含む事業年度において、普通償却限度額の32%の割増償却ができます。
※引用・参照:「厚生労働省 くるみんマークの認定とは」https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/26a_004.pdf
この税制優遇措置自体は、直接、現場の保育士の給料などに影響が出るというわけではないです。ですが、会社としての資金に余裕ができるということになるので、回り回って保育施設や備品の充実、保育士の待遇などにも良い影響が起きるということもあるでしょう。
「くるみん」取得の企業の保育園は多くはないのがデメリット
「くるみん」マークを取得していること自体のデメリットではないですが、ただでさえ保育園は小規模な企業が多いので、条件は満たせていてもくるみんを申請して取得するの体力がない保育園も多いと思います。
実際に「くるみん」マークを取得している保育園企業はほとんどがたくさんの保育園を運営している大きい企業であることが多いです。そのため「くるみん」を取得している企業の保育園という形で就職転職する範囲を絞ってしまうと、かなり選択肢が限られてしまうというデメリットがあります。
そして、もちろん会社として「くるみん」を取得している場合でも、実際に働くのは各地のそれぞれの保育園になるので、そこにはそれぞれの人間関係や仕事内容、職場の雰囲気などもあります。
「くるみん」をとっている会社の保育園で働けば、人間関係も良好でストレスなく仕事ができるかというとそうとは限りません。その部分はやはり、見学や面接などを通して園長や働いている保育士の様子などから見極めていく必要があります。就職や転職の初期段階で選択肢を絞りすぎてしまうと、自分にあった保育園の求人を見逃してしまう可能性も多くなります。
そのため、「くるみん」はあくまでたくさんある比較要素の一つとして保育士が就職転職先を決める際の一つの要素として比較することがおすすめです。
「くるみん」認定の企業の保育園の求人を探すには?
最新の「くるみん」認定の企業の一覧は厚生労働省のホームページから閲覧することが可能です。
ただし、この一覧では、企業名、認定年、認定回数が都道府県ごとに見れるだけなので、求人はもちろん保育園を運営しているかどうかはわからないです。
そのため、手っ取り早く「くるみん」認定の企業が運営する保育園の求人を探すのにおすすめの方法は、保育士転職サイトを活用することです。
いくつかの保育士転職サイトに登録して通勤可能範囲に「くるみん」認定をの企業の保育園の求人がないかを確認してみてください。また、保育園への質問事項の問いかけなどの、それ以外の転職のサポートも受けることができます。
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