目次 | 内容 |
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宗教法人とは? | ・宗教団体に与えられる法人格のこと ・株式会社などと同様に非営利団体として活動 ・特定の公益事業(保育園など)の収益は非課税となる場合がある |
宗教法人が運営する保育園って? | ・日本全体の認可保育園の約2%程度 ・多くは社会福祉法人が運営する中で少数派 ・経営にかかる収益が非課税となる点などが運営の背景 |
宗教法人の保育園で働く保育園の仕事内容とは? | ・基本的な保育士の仕事内容は他の保育園と同様 ・その宗教にちなんだ行事や習慣を保育に取り入れる場合がある ・宗教色を全く出さない園もあり、園によって内容は様々 |
宗教法人が運営する保育園にはどんな特徴がある? | ・昔から地域にある歴史ある園が多い ・寺や神社、教会などに隣接している場合が多い ・小規模園では家族経営が多く役職に就きにくい傾向 ・地域との関係や周囲の目を気にすることも ・待遇は必ずしも良いとは限らず見極めが必要 |
保育士にどんなメリットがある? | ・宗教法人であること自体に直接的な大きなメリットは少ない ・経営収益の非課税分が待遇に還元される可能性はゼロではない ・メリット・デメリットは個々の園によるところが大きい |
働く保育士は宗教の信者である必要はある? | ・必須ではない園がほとんど、信者採用は少ない傾向 ・園の宗教や行事を理解し尊重する姿勢は大切 ・自身の信仰上の理由で園の宗教行為に参加できない場合は就業を避けるのも一案 ・ごくまれに宗教への勧誘がある可能性もゼロではないため事前の調査も有効 |
保護者は宗教の信者が多い? | ・必ずしもその宗教の信者とは限らない ・保育方針に魅力を感じて選ぶ保護者が多い ・待機児童増加の状況から宗教の中身まで選ぶ余裕がない保護者もいる |
一部の学校法人は宗教法人が母体となっていることも | ・学校法人運営の保育園の中には宗教法人が母体の場合がある ・大規模な学校附属園や認定こども園にみられることがある ・その場合、宗教にちなんだ行事やお祈りが保育に取り入れられる場合も |
まとめ:宗教法人が運営する保育園の保育士求人ってどう?信者じゃないけど大丈夫? | ・信者でなくても働くことは可能 ・基本的な仕事は同じだが園独自の宗教行事がある場合がある ・信者である必要はないが宗教や行事を尊重する姿勢が必要 ・ごくまれに勧誘がある可能性や家族経営の園もある点に注意 ・個々の園の特色を見極めるための事前の情報収集が大切 |
よくある質問(FAQ) | ・社会福祉法人と異なる法人格で運営、寺社教会隣接の歴史ある園が多い ・保育内容は大きく変わらないが宗教に由来する行事を取り入れる場合がある |
宗教法人運営の保育園で働く保育士は、その宗教の信者である必要はありますか? | ・必須ではない園がほとんど、信者採用は少ない傾向 ・園の宗教や行事を理解し尊重する姿勢は大切 ・自身の信仰で参加できない場合は避けるのも一案 |
宗教法人運営の保育園で、宗教活動への参加を求められたり、勧誘されたりすることはありますか? | ・常識的な運営であれば通常ない ・ごくまれにケースがないとは言えないため事前に調べることも有効 |
宗教法人運営の保育園では、どのような宗教行事が行われますか? | ・運営法人により異なる ・キリスト教系は礼拝、賛美歌、クリスマス、イースターなど ・仏教系はお盆の行事など ・宗教色を出さない園もあり個別の確認が重要 |
宗教法人運営の保育園で働くメリットやデメリットは何ですか? | ・直接的な大きなメリットは少ない ・待遇は他の園と同様、役職に就きにくい場合も ・地域との繋がりが強く安定運営の傾向はある |
宗教法人運営の保育園に転職する際に、事前に確認しておくべき点はありますか? | ・運営法人・宗派、保育内容への宗教行事の取り入れ具合を確認 ・信者でなくても働きやすい雰囲気か具体的に把握 ・見学や関係者の話を聞き自身に合うか慎重に見極めを推奨 |
- 宗教法人が運営する保育園の保育士求人ってどう?
- 宗教の信者じゃないけど大丈夫?
- 宗教に勧誘される?
宗教法人が運営する保育園に興味はあるけれど、実態や特徴がよくわからず、働くことに不安を感じる方もいらっしゃいます。
例えば、キリスト教系の保育園であれば、お祈りなどを普段の保育で実施していることもあるようです。また、保育士のよくある疑問に、その宗教の信者じゃなきゃだめなの?宗教に勧誘されない?という疑問を持つ方も多いようです。
特に「信者じゃなくても大丈夫なの?」という点は、多くの方が抱える疑問です。
私の経験を元に、宗教法人運営保育園の実態や特徴、仕事内容、そして信者でなくても問題ないのかについて解説します。

宗教に詳しくない私が、宗教法人の保育園で働くのは本当に大丈夫なのだろうか?

大丈夫です、ただし知っておくべき注意点があります。
宗教法人が運営する園で勤務した経験があります
その経験が参考になればと思います
宗教法人とは?
宗教法人とは、宗教団体の法人格のことになります。法人格とは、株式会社、社会福祉法人、学校法人などが該当します。日本には、神道系、仏教系、キリスト教系の宗教法人が多くなっています。
神道、仏教、キリスト教などの団体が布教活動のために、土地や建物を所有して維持運用しています。
宗教法人の特徴としては、非営利団体であること、公益事業(公益・宗教事業)の事業において「儲け」が出た場合には法人税等が課税されないという点です。
後述していますが、宗教法人が保育園や幼稚園を運営する場合は、その経営にかかる収益は非課税になるようです。
宗教法人が運営する保育園って?
日本にある認可保育園の多くが「社会福祉法人」が運営する保育園になっています。社会福祉法人は保育などの福祉分野で非営利で運営されている法人格になります。
一方、宗教法人が運営する認可保育園は全体の2%程度とそれほど数が多いわけではありません。
調べたところ、宗教法人が保育園や幼稚園を運営する場合は、その経営にかかる収益は非課税になるようです。
このような背景や、もともと土地を多く保有している事情などから、保育園を運営する宗教法人があるという事情があるのかもしれません。
宗教法人の保育園で働く保育園の仕事内容とは?
宗教法人だからといって、基本的には保育園での保育士の仕事内容は変わりません。大枠は他の保育園と同様で、保育所保育指針にしたがって運営されています。
ただ、日々の保育や年間の季節の行事などで、その宗教の独特の行事を取り入れている場合もあります。
キリスト教であれば、日々の保育の中で、礼拝や賛美歌を歌うということもあれば、季節の行事でイースターやクリスマスなどを取り入れているということがあるかもしれません。
仏教であれば、お盆の踊りや節分などがあることもあると思います。
また、一口にキリスト教・仏教などと言っても、それぞれに様々な宗派や考え方もあります。それぞれの保育園によって行う行事は様々です。
また、宗教法人でも全く宗教色を出さない保育園なども存在します。逆に、宗教と関係のない保育園でも、日々の行事の中で節分やクリスマスなどの行事を取り入れているところも多いと思います。
結局の所は、保育園の運営内容・仕事内容に関しては、宗教法人だからどういう特徴があると一概に言えることは少ないです。入職を考える際は、個々の保育園の特徴や行っている行事などをしっかりと把握することが大切です。
宗教法人が運営する保育園にはどんな特徴がある?
基本的には宗教法人が運営する保育園は昔からある程度の歴史を持って運営されている園が多いです。多くの場合は、寺や神社、教会などに隣接していることが多いです。
これは、もともと宗教法人が保有している土地を活用しているという事情があると思います。
比較的小規模な神社や寺などに付随している保育園の場合は、家族経営のような形になっているところも多く、園長や主任などの重要なポストは身内で固められているケースも多いです。
これは幼稚園の話になりますが、私が勤めていた幼稚園は宗教法人でしたが、園長が亡くなった後は、副園長だった娘が自動的に園長に昇格し、無関係だったその娘の旦那が副園長に就任するということがありました。
このように、宗教法人の運営する保育園で役職などを目指すというのは実質難しくなっている場合も多いです。
前に勤めてた園の園長が亡くなりもともと副園長だった娘が園長になったそうです。そして、副園長には無関係だった娘の旦那が急に就任したそうです。家族経営はこういうことが起こるので頑張って園に尽くしても無駄ですね。
— 保育士さえこ@ブラック脱出済 (@hoikushisaeko) December 8, 2019
また、宗教法人という属性上、長い付き合いのある近所との関係や保護者からの評判や周囲の目を気にすることも多いので、働く保育士としてもそのような素養を求められることが多いと思います。
宗教法人が表向きは非営利の団体とは言っても、実際には経営者はしっかりと利益をあげることを目的としています。なので、胴元であるお寺や神社の規模が大きく儲かっているからと言って保育士の待遇が良いとは限りません。
ボランティアとして保育園を運営しているわけでもないので、従業員の給料をケチったり、サービス残業や持ち帰り残業などの違法残業を強いられることもあるかもしれません。
もちろん、これは宗教法人ではない他の法人でも同様です。つまり、宗教法人だから良い保育園とは一概には言えません。
そのため、保育士が働く保育園を選ぶ際は、他の保育園同様にしっかりと見極める必要があります。
ちなみに、保育園を運営する法人が宗教法人の場合は、「宗教法人〇〇」という法人が運営しているということで見分けることができますが、まれに、宗教法人という文字がない場合もあります。
保育士にどんなメリットがある?
基本的には、宗教法人だからという理由でなにか保育士にメリットがあるわけではないと思います。
前述したとおり、宗教法人は保育園の経営にかかる収益が非課税になっているので、その部分が保育士の待遇に還元される可能性はあります。
ただし、これは社会福祉法人が運営する保育園も同様です。もちろん、保育士には還元されず、経営者やその身内が単に儲かるだけという可能性もあります。
基本的には宗教法人ということだけで、就業する保育士本人になにかメリットやデメリットがあるということはあまりないです。
働く保育士は宗教の信者である必要はある?
結論から言うと、必ずしもその宗教法人の宗教の信者である必要はないと思います。従業員をそこまで限定してしまうと、今の時代では働く保育士を集めることが実質的に不可能になってしまうからです。
そもそも保育士不足なので、保育園側も信者に限定して保育士を採用しているケースはあまりないです。ただし、最低限としてその宗教を尊重する精神は必要になってくると思います。
保育園ではその宗教にちなんだ行事、例えばキリスト教だったらクリスマスやイースター、仏教であればお盆の行事なども行われますし、園長や他の従業員、保護者などはその宗教の熱心な信者の可能性もあります。
神社や寺、教会などと隣接していたり敷地を共有していることも多いので、それぞれの宗教での礼儀などは把握しておく必要もあります。宗教にちなんだ行事などもその保育園で取り入れられていることもあるので、宗教に関する理解も少しは必要です。
そういう点を考えると、保育士本人が信仰する宗教の都合上、その保育園を運営する宗教法人の宗教行為を行うことができないなどという場合は、その保育園への就業は避けたほうが良いかもしれません。
宗教に勧誘される?
通常(常識的な保育園)であれば、勤務している保育士が宗教に勧誘されるということはないと思います。ただ、100%ないとは言い切れないと思います。
特に、宗教の種類によって、現在信者数を拡大しようとしている宗教の場合などは、職員も勧誘などに会う可能性は否定できません。従業員に熱心な信者がいれば、勧誘されても不思議ではないです。
多くの場合は気にする必要はないと思いますが、その保育園を運営する法人の宗教の種類や現在の状況などはある程度事前に把握しておくと良いかもしれません。
勧誘がしつこかったり、あまり良い評判がない宗教は調べればある程度は把握できると思います。
保護者は宗教の信者が多い?
働いている職員同様に、子どもを通園させている保護者が必ずしも、その宗教の信者とは限りません。もちろん、その宗教にポジティブな印象を持っているということは言えると思います。
それよりもその保育園の保育方針などにも魅力を感じて選んでいる保護者が多いので、保育士としては宗教のことを気にするより、保育の中身を重視したほうが良いかもしれません。
保護者としても、待機児童増加の時代なので、とにかく入園できれば良いという人も多いので、宗教の中身までを考えて入園する保育園を選ぶ余裕はないかもしれません。
一部の学校法人は宗教法人が母体となっていることも
保育園には学校法人が運営するものも少なからず存在します。その学校法人の一部には、宗教法人が母体になっていることもあります。
大規模な学校施設を運営している法人の附属の保育園や認定こども園などが多いです。
その場合は、学校法人であっても、その宗教にちなんだ行事やお祈りなどが普段の保育の中に取り入れられているケースもあります。
このように実態は宗教法人でなくても、保育園の経営に関与している場合もあるので注意が必要です。
まとめ:宗教法人が運営する保育園の保育士求人ってどう?信者じゃないけど大丈夫?
今回は、宗教法人が運営する保育園について紹介しました。宗教法人の保育園で働くには必ずしもその宗教法人の宗教の信者である必要はないと思います。通常(常識的な保育園)であれば、勤務している保育士が宗教に勧誘されるということはないと思います。ただ、100%ないとは言い切れません。
宗教法人が運営する保育園で保育士として働くことについて、実態や特徴、そして「信者ではないけれど大丈夫?」という多くの保育士さんが気になる疑問についてお伝えしました。
結論として、宗教法人運営の保育園でもあなたが信者でなくても働くことは可能です。
しかし、働く上で知っておくべき注意点があります。
宗教法人運営の保育園は、個々の園によって特色が異なります。
ただ、勧誘がしつこかったり、あまり良い評判が良くない宗教は調べればある程度は把握できるので、就職を考える際には事前に少しは評判などを把握しておきましょう。
これから就職や転職をお考えでしたら、この記事でお伝えした点を参考に、気になる園について具体的に情報収集し、ご自身に合うかどうか慎重に見極めてください。
よくある質問(FAQ)
- Q宗教法人が運営する保育園は、他の保育園とどう違いますか?
- A
宗教法人の保育園は、社会福祉法人などが運営する保育園とは異なる法人格で運営されています。
多くは寺や神社、教会などに隣接しており、古くから地域にある園が多いという特徴があります。
保育内容自体は、他の保育園と大きく変わることはありませんが、その宗教に由来する行事などが保育に取り入れられている場合があります。
- Q宗教法人運営の保育園で働く保育士は、その宗教の信者である必要はありますか?
- A
必ずしもその宗教の信者である必要はありません。
保育士不足の現状もあり、信者であることを採用条件としている園は少ないです。
ただし、園で日常的に行われる宗教行事や考え方に対し、理解を持ち、尊重する姿勢は大切です。
ご自身の信仰上の理由で、園の宗教行為に参加できない場合は、入職を避けた方が良い場合もあります。
- Q宗教法人運営の保育園で、宗教活動への参加を求められたり、勧誘されたりすることはありますか?
- A
常識的な範囲の運営がされている保育園であれば、勤務している保育士が積極的に宗教活動への参加を求められたり、勧誘されたりすることは通常ありません。
しかし、園によっては熱心な信者の職員がいる場合や、法人の方針として勧誘を行う場合など、ごくまれにそうしたケースがないとは言い切れません。
気になる場合は、事前に園の評判や宗派の特徴などを調べておくと安心できます。
- Q宗教法人運営の保育園では、どのような宗教行事が行われますか?
- A
行われる宗教行事は、運営している宗教法人によって異なります。
キリスト教系の園では日々の保育で礼拝や賛美歌を取り入れたり、クリスマスやイースターといった行事を行ったりします。
仏教系の園ではお盆の行事などを行う場合があります。
ただし、宗教法人であっても全く宗教色を出さない園も存在します。
入職を検討する際は、その園で具体的にどのような行事を行っているか確認することが大切です。
- Q宗教法人運営の保育園で働くメリットやデメリットは何ですか?
- A
宗教法人だからといって、他の法人運営の保育園と比べて保育士に直接的な大きなメリットがあるとは言えません。
宗教法人も経営を目的としていますので、非営利であるからといって必ずしも待遇が良いとは限りませんし、他の保育園と同様にサービス残業などがある可能性もあります。
小規模な園の場合、家族経営になっていることもあり、役職を目指しにくいというデメリットを感じることもあるかもしれません。
一方、地域との繋がりが強く、安定した運営がされている園が多い傾向はあります。
- Q宗教法人運営の保育園に転職する際に、事前に確認しておくべき点はありますか?
- A
転職を検討する際は、まずその保育園がどのような宗教法人によって運営されているのか、どのような宗派なのかを把握することが重要です。
また、園独自の宗教行事や活動が保育内容にどれくらい取り入れられているのか、信者でなくても働きやすい雰囲気なのかを具体的に確認しましょう。
可能であれば、実際に園を見学したり、働いている方の話を聞いたりして、ご自身の価値観や働き方に合うか慎重に見極めることをお勧めします。