これから育児休業を取得するという保育士の方。
今回は、保育士の育休復帰日はいつにすれば良いのかということについて、延長や給付金等、事前に知っておくべきことなどをふまえて解説します。
複数回の退職、転職経験があります
育児休業を取得した経験があります
その経験が参考になればと思います
保育士が育休の期間を決める前に知っておくべきこと
まずは、保育士が育休の期間を決める前に知っておくべきことについて紹介します。育休に関連する制度などはとてもややこしいので、これらの内容を知っておかないと、適切な育児休業の期間を決めることが難しくなります。
育休の期間は子どもが1歳になるまで
育児休業を取得できる期間は、子どもが1歳になるまでと定められています。厳密には、子どもの1歳の誕生日の前日までが育児休業の期間になります。例えば、10月15日生まれの場合は、10月14日までが育児休業が取得できる最大の期間になります。
後述しますが、子どもが1歳になった以降の育児休業期間の延長は保育所に入所ができない等の特別な事情がある場合のみになります。
これは、法律で決まっている育児休業の条件になるので、勤めている会社によって条件に違いがあるということはありません。また、こちらも後述しますが、法律で決まっている育児休業とは別に、会社が独自で育児休暇の制度などを設けている場合もあり、その場合は、子どもが1歳を迎えた後も育児休暇を取得できるという場合もあります。
育休期間の1歳以降の延長は、保育所に入所ができない等の特別な事情がある場合のみ
育休の期間は子どもが1歳になるまでと記載しましたが、例外があり、保育所に入所ができない等の特別な事情がある場合に延長をすることができます。
延長は、
- 1歳の誕生日から1歳6カ月になるまでの延長
- 1歳6カ月になった次の日から2歳になるまでの延長
の計2回になります。それぞれの以下の条件が必要になります。
- 保育所への入所を希望しているが入れない
- 子どもを育てる予定だった配偶者が、死亡やけが・病気、離婚によって育児をすることが難しくなった
それぞれ、保育所へ入所を希望して入れなかったというような条件を満たしている必要があるため、最初から1年半の育休を取る、2年の育休を取るということはできません。それぞれ延長の申請が必要になります。
育児休業給付金の額は、育休取得開始からの期間で変わる
育児休業給付金の額は、育休取得開始からの期間によって変更される仕組みになっています。
- 育児休業開始から180日:[休業開始時賃金日額×支給日数(原則30日)]×67%
- 育児休業開始から181日目以降:[休業開始時賃金日額×支給日数(原則30日)]×50%
育児休暇取得の半年後以降は、支給金額が減ることになるので、その点は考慮に入れておく必要があります。
社会保険の免除期間について
育児休業中は、社会保険が免除されます。免除期間は「育休の終了予定日の翌日が属する月の前月まで」となっているため、育休の復帰日としては月の初めである1日がおすすめと言えます。
あらかじめ決めた育休期間を切り上げて復帰ができるとは限らない
これから育休を取るという保育士の方が特に注意が必要な点は、あらかじめ決めた育休期間を切り上げて復帰ができるとは限らないということです。
育児休業の期間は、育児休業を取得する本人が期間を決めて、働いている保育園の会社・法人に申請を行います。会社・法人はその申し出を拒否することはできません。
その反対で、育児休業を取得する期間を決め、育休が開始された後は、労働者である保育士の都合で、やっぱり少し早く復帰しますとはできない場合があります。もちろん、保育園側がOKしてくれれば、問題なく育休期間を繰上げて復帰することはできます。ですが、保育園側がOKしてくれない可能性もあります。
特に、保育園の場合は産休や育児休業を取得するという場合は、必要な保育士が一人不足することになるので、その期間に新たな保育士を採用する必要があります。よくあるのが、派遣会社などを利用して1年間の雇用期間で派遣保育士を雇用するという方法です。そうすることで、保育士が不足している人数をカバーすることができます。
ここで、問題になるのが、予め決まられた育児休業の期間を切り上げて復帰すると、その保育園で働く保育士が余ってしまうことになるという点です。育休を取得していた保育士が復帰した場合は、当然ですが、その人の給料は通常通り支払う必要があります。それに加えて、育休代替で雇用した、例えば、派遣保育士の給料も同時に払わなくてはいけないです。そうなると、保育園としては、余計な人件費がかかることになり、あらかじめ決めた育休期間を切り上げて復帰することを認めてくれない場合があるということです。
子どもを保育園に入れた場合は、各自治体の規定により復職しなければいけない
保育園で働く保育士の方ですでにご存知だとは思いますが、仕事に復帰するということは、自分の子を保育園に預けるという方が多いと思います。
各自治体によって規定は異なりますが、子どもが保育園に入園をした場合、期限までに復職をする必要があります。
以下は三鷹市での例になります。
期限までに復職できない場合は、内定が取り消されるか、入園したとしても入園月の末日で退園となります。
また、入園した月の翌月1日以降が育児休業期間に入っている場合は、育児休業期間の終了日を入園後1カ月以内に繰り上げて職場に復帰していただく必要があります。
※引用「育児休業中に保育園に申し込むかた・在園中に育児休業を取得するかた」https://www.city.mitaka.lg.jp/c_service/014/014721.html
自治体によって詳細の条件は異なるので、住んでいる自治体の条件の確認が必要です。
育児休業の期間はとりあえず、最大の期間にしておけば良いと思って、期間は子どもが1歳になるまでとすると、保育園の入園のタイミングと合わなくなってしまう可能性があるということです。 このことは、前述の「あらかじめ決めた育休期間を切り上げて復帰ができるとは限らない」ということと合わせて、会社側と揉めてしまうケースに繋がります。
保育園には慣らし保育の期間がある
こちらも、保育園で働く保育士の方ですでにご存知だとは思いますが、子ども保育園に預けた後は、慣らし保育の期間があります。慣らし保育の期間は、保育園に預ける時間は数時間程度となるので、実質的に、その期間に勤務をするというのは難しいです。少なくとも夫婦のうちどちらからは、送り迎えに行けるような状態である必要があります。
慣らし保育の期間や時間については、各自治体で統一して決められていることもあれば、自治体内の保育園によっても異なる場合もあるので注意しましょう。
保育園に比較的入りやすいのは4月の一斉入所のタイミング
保育園に比較的入りやすいのは、4月の一斉入所のタイミングになります。むしろ、これ以外の期間については、地域にもよりますが、基本的に引っ越しなどをする人が出ない限りは空きが出ないので、希望の時期に入園するというのはかなり難しいです。
必然的に、4月に子どもを保育園に入れて、そのまま自分も4月に仕事に復帰するというパターンが多くなります。
4月の保育所一斉入所は、出生前申し込みができる
保育園に比較的入りやすいのは、4月の一斉入所のタイミングになりますが、お子さんが生まれるタイミングによって、生まれる前に4月の保育所一斉入所の申し込みの受付が終了してしまっている場合もあります。そんな方のために、多くの自治体では、4月の保育所一斉入所は、出生前申し込みができる場合が多いです。
保育士には自治体によって保育所入所の加点がある場合がある
そもそも保育園に入れるかどうか不安という方もいらっしゃると思いますが、自治体内の保育園で働く保育士の方の場合は、保育所入所調整の際に加点を受けられる場合があります。その場合に、加点を受け、優先的に保育園に入所できるということになります。多くの自治体では、あくまでも加点という扱いなので、必ず保育所に入れることを保証しているわけではありません。
法的な育児休業と会社の育児休暇は異なる制度がある場合がある
先程も少し書きましたが、法律で決まっている育児休業とは別に、会社が独自で育児休暇の制度などを設けている場合があります。その場合は、子どもが1歳を迎えた後も育児休暇を取得できる可能性があります。基本的には、無給での休暇となることが多いですが、子育ての状況によって復帰が難しいという場合は、このような会社独自の制度がないかを確認してみると良いです。
育児休業終了後に休職等ができる場合もある
実は、育児休業が終了してしまったら、絶対にすぐに働かなければいけないとは限りません。働いている保育園が認めてくれさえいれば、例えば、育休終了後1ヶ月は休職という形にして、その後に復帰するというような配慮をしてくれる場合もあります。
育休復帰のタイミングによって、慣らし保育があって復職が難しいというような場合に、一定期間、休職する期間を設けてもらうというような交渉ができます。もちろん、この期間は、給料は貰えないことにはなりますが、万全の状態で復帰することができます。また、復帰後に有給休暇を利用するという選択肢もあります。
あくまでも、働いている保育園が認めてくれさえすればということにはなりますが、状況によって交渉は可能だと思います。
認可外保育施設の利用という選択肢もある
復帰のタイミングと保育園の入所のタイミングによって、保育園に預けることができないという場合があると思います。もちろん、保育所に入所希望をして入れないという場合は、育児休業の延長が可能です。
認可外保育施設の場合は、認可保育園と異なり、自治体が一括で入所調整をするということは無いので、定員に空きさえあれば、直接申し込んでこどもを預けることが可能です。そのような選択肢もあるということを視野に入れておくと良いです。
育休期間を決める前に職場の保育園に確認すべきこと
育休期間を決める前に職場の保育園に確認すべきことは、
申請した育休期間を切り上げて早期復帰ができるかどうか
ということです。先程も書きましたが、あらかじめ決めた育休期間を切り上げて復帰ができるとは限りません。
もし、申請した育休期間を切り上げて早期復帰ができないとなると、子どもの保育園の入所のタイミングをきちんと検討する必要があります。
例えば、保育園は4月入所が入園しやすいですが、育休の期間が7月1日までだとすると、4月入園した場合は、自治体の規定によって、一定期間内に復職ができないと、退園となってしまう場合があります。結果的に、保育園に入りやすい4月入所の申し込みができないということになってしまいます。
育休期間を決める前に事前に自分で調べておくべきこと
育休期間を決める前に事前に自分で調べておくべきことは以下のような内容です。
- 自治体の保育園の空き状況・待機児童状況
- 通勤等をふまえた自分の子を預ける保育園の候補
- 出生前申し込みの必要可否
育休期間が決定が難しくなるのは、保育所の入所のタイミングの問題があるためというのがほとんとなので、自治体内に保育園の空き状況に余裕がある場合は、あまり復帰のタイミングを深く悩む必要はなくなります。そのため、自治体の保育園の空き状況や預け先の保育園などの候補を絞っておくと、育休を取得する期間を決めやすくなります。
保育士の育休復帰日はいつにすれば良い?
最後に、ここまでの情報をふまえ、保育士の育休復帰日はいつにすれば良いのかということ、条件別にをまとめます。
育休期間を切り上げて早期復帰が確実にできる方の場合
育休期間を切り上げて早期復帰が確実にできる方の場合は、
とりあえず、子どもの1歳の誕生日の前日までの最大の期間を育休の期間として申請をしておくのが良いです。
この場合、保育園に4月入所をする場合は、5月までに復帰をすれば良いです。それ以外の入所のタイミングの場合であっても同様で、保育園に入れたらその月に復帰をすれば良いので、とてもシンプルな考え方で問題ありません。
育休期間を切り上げて早期復帰ができない方の場合
職場の保育園に確認し、育休期間を切り上げて早期復帰はできないと言われてしまった方の場合は、
保育園に4月入所する想定で育休期間を申請をしておくのが良いです。
自治体の規定にもよりますが、慣らし保育も考慮に入れて4月中旬以降から5月1日復帰とするのが良いかもしれません。
もしくは、できるだけ育休は長く取りたいという方は、保育園に入れなかった場合を想定して、育児休業の延長や認可外保育施設の利用なども視野に入れておく必要があります。
1歳以降の育休延長になっても問題ないという方
1歳以降の育休延長になっても問題ないという方は、
とりあえず、子どもの1歳の誕生日の前日までの最大の期間を育休の期間として申請をしておくのが良いです。
育休の流れとしては、1歳時点で保育所に入ることができたら復帰する、保育所に入ることができずに延長になった場合は、保育所に入ることができたタイミングで復帰するという流れになります。
希望の保育園が概ねどの時期でも0歳児の定員に空きがあるという方の場合
自分の子を預ける希望の保育園が概ねどの時期でも0歳児の定員に空きがあるという方の場合は、
とりあえず子どもの1歳の誕生日の前日までの最大の期間を育休の期間として申請をしておいても良いかもしれません。
もちろん、状況によって希望の保育園に空きがなくなってしまったということも考えられるので、入園できるまでのつなぎとして、育児休業の延長や認可外保育施設の利用なども視野に入れておく必要があります。
育児休業給付金では生活が成り立たないという方
育児休業給付金だけでは生活が成り立たないという方もいらっしゃると思います。先程も書きましたが、育児休業給付金の支給額は育児休業開始から181日目以降から減額されます。
このような方の場合は、
保育園に4月入所する想定で育休期間を申請をしておくのが良いです。
お子さんが生まれて、最初の4月で保育園に入園し、復帰ができれば、それ以降はこれまでの給与を満額貰うことができるようになります。もちろん、子どもを保育園にあずけるということは保育料も支払うことになるので、生活費としてはその点も考慮に入れる必要があります。
職場の保育園と相談して柔軟に決めることも大切
ここまで、保育士の育休復帰日はいつにすれば良いのかということについて解説をしました。育休の期間については、とてもややこしいので、働いている職場の慣習などもふまえて、柔軟に決めるということも重要です。
どうすれば良い変わらないという方は、園長や人事の方とまずは、よく相談をしてみましょう。