保育士の皆様。
病児保育士という職業をご存知ですか?その名の通り病児の保育を行う保育士のことです。実は病児保育士という資格は無いので、保育士であれば病児保育士として働くことができます。
今回は、病児保育士として働く長所短所や給料、仕事内容、求人について解説します。
その経験が参考になればと思います
病児保育とは?
一般的な認可保育園は基本的には感染症などの登園停止となるような種類の病気の子どもの受け入れは行っていません。それでも、保護者の方は仕事に行かなくてはいけないこともあります。子どもが病気になってしまった場合でも保護者が仕事を休めないという場合に、保護者に変わって子どもを保育することを病児保育といいます。
子どもが病気になった場合、保育園に登園できるかどうかは基準が定められています。例えばインフルエンザなどは、「発症後(症状が出て)5日、かつ解熱後3日を経過するまで」などと保育園などへの出席停止期間があったりします。
このような場合は、一般的には医師による登園許可が無い限り、保護者は子どもを保育園へ登園させることができません。もちろん、他の子どもへの感染などのリスクがあるためです。
しかしながら保護者がどうしても仕事などで子どもを看護することができない場合に病児保育を利用することになります。
病児保育と病後児保育
病児保育には、病児保育と病後児保育という種類があります。
病児保育は病気の急性期~回復期までの病児を預かる保育になります。つまり病気の一番重い症状のときから回復してきている状態の時になります。これは、病院などに併設されている場合が多いです。より医療的な知識を求められることが多いです。なので、医師はもちろん、看護師などが常駐して保育を行うことも多いです。
病後児保育は、病気の回復期の子どもを預かる保育になります。病気が回復傾向にある状態になります。保育所に併設されている場合が多いです。
回復期とは、先程のインフルエンザの例では解熱後の3日などにあたります。子どもの病気の症状としては落ち着いていることが多く、体や気持ち的にも元気になっている場合が多いです。回復期なので病児保育と比べると医療的な知識が求めらることは少ないです。
このように病児保育は、厳密に言うと病児保育と病後児保育に別れます。
病児保育にはどんな施設がある?
病児保育について説明しましたが、病児保育にはどんな施設があるのでしょうか。
施設型
施設型の病児保育・病後児保育は病院などの施設に併設されている病児保育施設です。
施設内に医師や看護師もいるので、症状が重い子どもであっても保護者は安心して預けることが可能です。なにかあればすぐに看護師や医師が対応できるというメリットがあります。
また、施設型の病児保育・病後児保育には保育所に併設されているものもあります。こちらは病院に併設されている場合と比べて症状が軽いかったり、回復期の子どもを対象としています。こちらは医師が常駐していないことが多いです。
働く保育士としては病児保育専門の保育士の場合もありますが、普段は併設されている保育園などで働いている場合もあります。
訪問型
訪問型の病児保育・病後児保育は看護師や保育士が自宅に訪問して病児や病後児の保育サービスを提供します。子どもひとりにつき保育士などが1名以上が必要になります。
有名なサービス提供者に「フローレンスの病児保育」などがあります。フローレンスの病児保育では、一都三県で病児保育のサービスを提供しています。
それ以外にもベビーシッターのキッズラインなどで病児保育・病後児保育のシッティングサービスを実施しているシッターもいます。
子どもを自宅で看てもらうことができるので、預ける保護者としてはメリットも多いです。
もちろん誰でもができるわけではなく、病児保育の経験者や看護師などの資格者がサービスを提供しています。もちろん設定されている時給も高時給の場合が多いです。
働く保育士としては、基本的に一人で病気の子どもを観ることになるので、責任はとても重大です。緊急時などは、会社などと連絡をとりながら病児保育を行います。
病児保育士の仕事内容
病児保育士は医師ではないので医療行為は行いません。病児保育士が行なうのは、あくまでも子どもの保育になります。
施設型であれば、保護者が子どもを預けに来るので施設内で保育を行います。訪問型であれば、保護者の家庭に出向いて保育を行なうことになります。
普通の保育園での保育とは異なり、本を読んだり、簡単な手遊びをしたりがメインの保育になります。病気を治すということに反するようなことは行いません。
そのため、活動としては動の活動というよりは、静の活動が多くなります。
必要があれば、医師や看護師と連携をとりながら、安静に楽しく過ごすというのが病児保育士の仕事内容になります。
病児保育士になるためには?必要な資格は?
保育士、もしくは、看護師の資格があれば病児保育士として働く最低要件は満たされます。必ずしも別の資格の取得が必要というわけでは有りません。
病児保育士として働くには以下の施設の求人を探す必要があります。
- 病院に併設された病児保育
- 保育所に併設された病児保育
- 訪問型の病児保育サービス提供会社
訪問型の病児保育サービス提供会社は、先程も説明した「フローレンスの病児保育」などがその代表になります。また、キッズラインなどのベビーシッターでも病児保育士として働くことができますが、こちらはキッズラインが提示する条件を満たす必要があります。そのかわり、やや時給を上げてベビーシッターの仕事を受けることが可能になります。
保育士としての経験があれば、病児保育士としても採用してもらえる可能性はありますが、施設によっては即戦力となる人材を求めている場合もあるので、病児保育の経験が求められることもあります。
そのような場合には以下のような民間の病児保育専門の資格を保有していると採用されやすいです。あくまでも民間の資格になるので、この資格があれば何かができるということではありませんが、自分の能力を証明することができます。
- 認定病児保育スペシャリスト – 日本病児保育協会
- 医療保育専門士 – 全国病児保育協議会
- 認定病児保育専門士 – 日本医療保育学会
認定病児保育スペシャリストは、
- 高校を卒業している18歳以上
- 費用は65,000円(税別)
が受験要件になります。
以下の施設で資格を活かすことができます。
- 病児保育施設
- 訪問型病児保育
- 保育所
- ファミリーサポート
医療保育専門士は、
- 日本国の保育士資格を有していること
- 病院、診療所、病(後)児保育室、障害児入所施設、肢体不自由児通所施設、および重症心身障害児通所施設等で、常勤1年以上、非常勤は年間150日以上かつ2年以上の保育経験を有していること
- 日本医療保育学会会員であり、1 年以上の会員歴があること
が受験要件になります。費用は、
- 研修費用:30,000円
- 認定料:20,000円
になります。以下の施設で資格を活かすことができます。
- 小児病棟
- 小児病院
認定病児保育専門士は、
1.(一社)全国病児保育協議会加盟施設に常勤として 2 年以上勤務している。または、非常勤として 2 年以上施設に勤務し、週 20時間以上の実働を有する。
2.施設長から(一社)全国病児保育協議会所定の「施設長推薦状」において、推薦を受けることのできる者。
3.(一社)全国病児保育病児保育協議会が開催する「病児保育専門士認定講座」をすべて受講した者。
4.その他、施設長が以上の条件と同等に値すると思われるものを推薦し、なおかつ受験資格認定委員会で承認されたもの。
が受験要件になります。費用は、
- 資格研修認定会費用:25,000円
- 認定料:10,000円
になります。以下の施設で資格を活かすことができます。
- 病児保育施設
なので、病児保育の経験のない保育士は、まずは病児保育関連の施設に採用されるか、認定病児保育スペシャリストの資格を取得すると良いかもしれません。
病児保育士の給与・待遇について
病院に採用される場合は、高待遇な場合が多いです。ですが、求められる経験や能力も高いものになると思います。
また、看護師の資格があれば病児保育士として働く要件を満たすこともできるので、そもそも保育士資格保有者の採用をしていない場合もあります。看護師は医療的な知識を持ち合わせているの保育士より有利です。そして、そもそも病院に併設されている病児保育室の数自体はあまり多くないので狭き門になっています。
保育所に採用される場合は、保育園で働く保育士と同等の待遇である場合が多いです。場合によっては、資格や経験などによってプラスで手当などが支給されることもあります。
訪問型の病児保育の会社の待遇は会社によって様々です。
「フローレンスの病児保育」の場合、正社員では、
- 週5日: 25万円〜
- 週4日: 20万円〜
となっています。(2019年12月3日時点の情報です。最新の情報は必ず確認してください。)
週4日からの働き方があるのが特徴的で、良い点かもしれません。「フローレンスの病児保育」は毎日、様々な家庭の病児保育に出向くという形になると思います。病児保育中も緊急事態があれば会社のサポートを受けることができるというのが安心できる点だと思います。
また、会社が実施している病児保育に関する研修などにも参加することができるので、知識やスキルも身につきやすい環境になるとお思います。
キッズラインのベビーシッターであれば、経験のある病児保育士は時給2000円以上をつけている例もあります。もちろん、自分ひとりで子ども対応が必要なので責任は重大です。
総合的に考えても、病児保育士は普通の保育士として働くよりかは高待遇である場合が多いです。
病児保育士として働くメリット・デメリット
病児保育士として働くメリット・デメリットを紹介します。
小規模で一人ひとりに寄り添える
ずーっと同じ子どもに対して保育するわけではないので、毎日新しい気持ちで子どもひとりひとりと接することができます。
人数も保育園で働く保育士と比べてもかなり少ないので、よりひとりひとりに寄り添った保育を行なうことができます。
逆に病気が治れば、保育室には来なくなるので、一期一会の出会いとなる場合がほとんどです。長期的なスパンで子どもの成長などを見るというのは難しくなります。
体力面で負担が少ない
保育園での集団に対する保育は、散歩や外遊びなどに加えて、書類仕事などもたくさん発生します。
それに加えて定期的に季節の行事・イベントの準備があるので、業務量が多く残業なども発生します。
病児保育士は毎日来る子どもが少ない人数で、イベントはないので、そのような負担は少ないです。
病気の子どもが来るところなので散歩や外遊びなどもないため体力面での負担は少ないです。
ただ、病気の子どもが来るため感染症などになるリスクは、通常の保育園と比べても高いかもしれません。
給与が高い
保育に加えて病児の知識がも必要になるので、一般的な保育士と比べても待遇は良い場合が多いです。
保育園で働く保育士のステップアップという意味でも良い選択になると思います。
経験が積める
病児保育で学んだ経験は、通常の保育園でも大いに活かすことができます。
体調の悪い子どもへの対応力がつくため今後、保育士として働く上でプラスアファの能力を身につけることができ、保育園では働く場合も活躍することができます。
将来的に副業でベビーシッターなどをしようと考えいている保育士の方も、高時給で仕事を受けることができるようになります。
病児保育士の求人の探し方
最後に病児保育士の求人の探し方を紹介します。
病児保育士の求人を探すのは保育士向けの転職サイトに登録がおすすめです。
特に病院や保育所に併設されている病児保育室はそもそもの数が多くないため、求人も少ないです。
地域の求人情報やハローワークなどでも募集がかかることはありますが、常に求人をチェックしなければいけません。
保育士向けの転職サイトに登録しておけば、仮に現時点で求人が見つからなくても、見つかった場合に連絡をしてくれます。
- マイナビ保育士|全国の正社員・パート保育士の求人に対応しています。登録するとネット上での検索などでは見つからない非公開の人気のある高待遇の求人情報も得られます。 まずは求人情報を知りたいだけという方でもOKです!
- ジョブメドレー保育士
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- ヒトシア保育| ※全国の正社員・派遣・パート保育士の求人に対応しています。登録しないと得ることができない非公開の求人もたくさんあります。 求人数も多いのでとにかくたくさんの情報を得たいという人にもおすすめです。
※ 紹介できる求人などに差があるため転職サイトは複数社に同時登録して併用がおすすめです。就職転職活動が不安な方はまずは簡単な相談目的での登録でも大丈夫です。
※ 保育士の転職サイトは新卒の方や未経験の保育士の方、資格取得見込みの方でも利用可能です。
まとめ:病児保育士として働く長所短所や給料、仕事内容、求人を解説!【病児・病後児保育】
病児保育士には病児保育と病後児保育があり、保育士資格があれば働く最低の要件は満たされます。ただし、働く保育士としての責任はとても大きい仕事になります。
給料面では、普通の保育園で働く保育士と比較して高く設定されていることが多いです。
- 小規模で一人ひとりに寄り添える
- 体力面で負担が少ない
- 給与が高い
- 経験が積める
というメリットはありますが、あくまでも一時的な保育になるため、長いスパンで子ども達の成長をサポートするということは出来ないです。
病児保育士の求人を探すのは保育士向けの転職サイトに登録がおすすめです。保育士向けの転職サイトに登録しておけば、仮に現時点で求人が見つからなくても、見つかった場合に連絡をしてくれます。