目次 | 内容 |
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賞与(ボーナス)とは? | ・給料とは別に会社から支給される金銭 ・保育園が支給の有無や金額を自由に設定 ・勤務する保育園や職員ごとに金額が様々 |
保育士の賞与(ボーナス)の業績による変動とは? | ・保育園の経営状況や収益など、園全体の成績に連動して賞与額が変わる仕組み ・園児数の減少などで経営が悪化すると、賞与額が減る可能性あり |
保育士の賞与(ボーナス)の業績連動制のメリット | ・保育園(会社)には経営の安定化というメリットあり ・保育士には増額が期待しにくく、減額リスクがあるため、あまりメリットがない |
保育士の賞与(ボーナス)の評価による変動とは? | ・保育士個人の期間中の仕事ぶりや貢献度への評価によって賞与額が変わる仕組み ・働く意欲やモチベーション向上につながる良い点あり ・ただし、公正な評価制度が存在することが必須条件 |
変動の幅はどれくらい?賞与(ボーナス)0円もあり得る? | ・業績連動、評価連動ともに、賞与がゼロになる可能性あり ・会社の給与規則で定められた基準に従えば、不支給となるケースも |
賞与無しの保育園は退職した方が良い? | ・賞与なしの理由が不明確、または園の業績悪化が原因なら、転職検討を推奨 ・個人の正当な評価が原因であれば自己の勤務態度を見直し ・不当な評価が原因であれば転職を検討 |
賞与は変動と固定額のどちらがおすすめ? | ・保育園の業績連動型賞与は、増額が少なく減額リスクがあるため、あまり推奨できない ・公正な評価制度がある評価連動型は、モチベーション向上に繋がり良い仕組み |
より良いのは賞与が少なくて基本給が高い保育園 | ・保育園は基本給を簡単に下げられない一方、賞与は業績により減額可能 ・実質の年収が同じであれば、賞与割合が低く基本給が高い方が安定 ・賞与実績だけでなく、支給基準や実質の年収で比較検討が重要 |
まとめ | ・保育士の賞与には、園の業績に連動する仕組みと個人の評価に連動する仕組みがある ・これらによりボーナスがゼロとなる可能性も存在 ・求人比較時には、賞与実績だけでなく支給基準や実質の年収で総合的に判断が大切 |
よくある質問(FAQ) | ・「業績連動」は園全体の経営状況、「評価連動」は個人の働きぶりを見る仕組み ・ボーナス0円は理論上あり、内定時に就業規則での確認が不可欠 ・「実績による」求人記載は変動型を示唆、具体的な基準の確認が必要 ・賞与の大幅減額時は理由を把握し、業績悪化なら転職、不当評価なら転職を検討 ・安定した賞与を得るため、求人では「支給基準」や「実質年収」に注目 ・賞与の変動リスクを考慮すると、基本給が高い保育園が有利 |
- 業績連動とはどういう意味?
- ボーナスが0円になってしまうこともあるの?
保育士として長く安心して働く上で、賞与の安定性は非常に大切です。
保育士求人では「業績連動」や「評価連動」と記載された賞与の仕組みを見かけることがありますが、これが実際にどのようなものか、そしてボーナスが0円になることはあり得るのかについて、具体的に解説します。

「賞与の変動」って具体的にどういうこと?ボーナスが0円になることって本当にありますか?

保育園の賞与の仕組みを理解し、不安を解消しましょう。
賞与を受け取った経験があります
その経験が参考になればと思います
賞与(ボーナス)とは?
賞与は、会社などで給料とは別に支給される金銭です。保育園でも従業員である保育士に支給していることが多いです。ボーナスの支給有無や金額は保育園を運営している事業者が自由に設定することができます。つまり支給しなくても良いですし、支給する金額も勤務する保育園によって、さらには、各職員ごとによって様々です。
保育園で働く保育士の賞与については以下の記事も書いているので参考にしてみてください。
保育士の賞与(ボーナス)の業績による変動とは?
保育士の賞与の業績による変動とは、
保育園の業績、つまり、保育園が黒字なのか赤字なのかというような数値等に連動して、保育士に支給する賞与の金額が変動するという仕組み なります。
例えば、保育園の本来の定員数に対して、入園する園児が少なくなってしまったとします。この場合は、保育園が得られる補助金の額が少なくなります。結果として最終的に保育園の経営が赤字などになると、保育園で働く保育士の賞与が削られることになります。これが、業績連動型の賞与の変動という形の一例です。
保育士の賞与(ボーナス)の業績連動制のメリット
保育園(会社)としては、賞与の支給額を業績に連動させて変化させることは、経営の安定につながるためメリットがあります。保育園で働く保育士にはメリットがあるかと言われると、個人的にはあまりメリットがあるとは考えにくいです。
保育園の経営はそもそもが比較的不況などにも左右されずに安定していますし、減額はあっても増額されることはあまりないため です。業績による賞与の増額がないのは、認可保育園が人気があるからと言って利用料金を上げたり、急に受入人数を増やすということは出来ないためです。結果的に、保育園の業績が想定より上振れするということはほとんどありません。
最近では、待機児童の増加の観点から、保育園の人気の増加が必ずしも保育園が提供する保育の質が高いためとは限らないという背景もあります。エリアなどの要因がメインで定員が埋まることもしばしばだと思います。
長期的なスパンで考えると、保育士として保護者や子どもに良い価値を提供する仕事をすることで保育園の人気が高まり、安定的に定員が埋まることはありますが、それによって保育園の収入が倍増することはありません。
賞与の減額という点では、先に挙げた入園する園児が予定より少なくなってしまった場合で、保育園の収入が傾いた場合などがあります。また、会社がやっている他の事業(例えば介護施設)などで損失があった場合や別の保育園を開園するために費用がかかったという場合などでも賞与の支給額に減額が発生する可能性もあります。
そういった点でも、保育園で働く保育士にとっては業績における変動というのはあまりメリットがないと言えます。
保育士の賞与(ボーナス)の評価による変動とは?
各保育園の賞与の制度によくある仕組みのもう一つが賞与(ボーナス)の評価による変動です。
保育士の賞与(ボーナス)の評価による変動とは、
従業員である保育士のその期間の仕事ぶりの評価によって賞与の支給額が変動するという仕組み です。年間の昇給額などについても評価で定めている会社もありますね。
保育士の賞与(ボーナス)の評価連動制のメリット
保育園(会社)としては、従業員である保育士の就業意欲、モチベーションの向上を促すという点でもメリットがあります。働く保育士にとっても頑張って評価されれば、金銭的な見返りがあるという点が良い点です。
基本的には、賞与支給前に行動目標に対して、達成ができたかどうか、そして、保育園に貢献できたかどうか という点で、評価されることが多いです。ですが、基準については各保育園によって異なるところとなります。
評価を行うのは、 保育園では園長であることが一般的には多い です。主任保育士なども交えて多角的に評価する場合もあります。
どんな仕事内容でも、昇給額が横一列、賞与額も同じ、ということになれば、頑張って仕事をしようという意識が薄れると思います。適当に働いていても同じ評価になれば、できるだけ楽しようというのが普通の考えだと思います。
賞与や昇給が評価連動ではない場合、良くないケースだと、同僚の保育士も皆このような考え方になるので、仕事の押し付け合いなどに繋がります。頑張っても賞与も昇給も他の人と一緒なら頑張りたくなくなってしまいますよね。
逆に賞与(ボーナス)が評価によって変動する場合は、各保育士にきちんと保育園に貢献しようという意識が生まれやすいです。そうすることによって賞与で見返りがあるためです。
保育士の賞与(ボーナス)の評価による変動のデメリット
保育士の賞与(ボーナス)が評価によって変動することはメリットばかりではありません。
こちらの仕組みの良くないパターンでは、評価を行う園長(施設長)のお気に入り人の賞与ばかりが高くなってしまうというリスクもあります。こちらも結局がんばっても賞与も上がらない、昇給も少ないということになってしまいます。
それどころか、園長のお気に入りばかりが評価されてしまって、不公平感を感じることになってしまいます。
賞与が評価連動になっているなら、きちんとした評価制度が存在することが必須の条件 になります。
変動の幅はどれくらい?賞与(ボーナス)0円もあり得る?
業績連動においても、評価連動においても、賞与(ボーナス)が0円になるということもありえます。
賞与の支給条件は会社の給与規則で定められているので、その基準通りでありれば、0円ということも十分ありえます。あくまでも、むやみに支給なしと勝手に決められるというわけではなく、規則にしたがって支給なしとするという必要があります。
業績連動で言えば、最近の例では、新型コロナウィルスの影響で需要が減ったANA(日本航空)が冬のボーナスを月給の0.5ヶ月分の一時金として支給しています。大企業でもこのようなことがあります。
ただし、先程も言ったように、認可保育園の経営は不況などにも左右されにくく安定しているはずなので、業績連動で保育園の賞与がゼロになるということはよっぽどのことだと思います。例えば、保育士が一斉に退職してほとんど運営ができなくなった、保育園以外の別の事業で大赤字を出してしまったなどです。理由によっては、賞与以外にも良くないことが発生してくる可能性もあるので、すぐに転職などを検討したほうが良いかもしれません。
評価連動に関しても、適切な評価内容と基準設定をしていれば、賞与(ボーナス)をゼロにすることも可能です。こちらについても、きちんとした基準がなく、客観的に正しい評価がされていない状態で、大幅な減額をされてしまっているような場合は、転職などを検討したほうが良いかもしれません。
賞与無しの保育園は退職した方が良い?
すでに保育園で働いていて、賞与無しや大きな賞与の減額をされてしまったという方が悩むのが転職するべきかどうかだと思います。年2回程度の賞与といっても、ばかにできるものではなく、保育士の年収の2〜3割を占めることも多いと思います。
このような方は、まず、賞与無しとなっている理由を知るということが大切です。
理由もわからずに賞与無しとなっているのであれば、その時点で、これから長く働き続けるということに関しては、おすすめできない可能性が高いです。保育士が働く場所は他にもたくさんあるので、そのような姿勢の保育園で長く働くことにメリットはあまり無いでしょう。
もし、賞与無しの理由が会社の業績の悪化である場合も、早めに転職を検討したほうが良いです。先ほどから書いている通り、保育園の運営において、業績が悪化しているというのは、よほどのことで、ここからの改善はなかなか難しいです。
会社の業績が悪化している理由にもよりますが、例えば、園が定員割れを起こしてしまっているというような場合は要注意です。保育園の運営は園のある立地による影響をかなり受けやすく、例えば、保育園の周辺に子育て世代が少ないとなると、来年度からいきなり業績を改善できるという見込みは少ないです。
一方で、自分自身の評価が原因で賞与無しとなっている場合はどう考えるべきでしょうか。
客観的に見ても、正当な評価を受けているということであれば、それは致し方ないことで、自分の勤務態度などを見直す必要があるでしょう。そうでないと、転職をしたところで、また、同じことが起きてしまいますし、仮に、評価制度のようなものがない保育園に転職したら、今後は他の職員からも白い目で見られてしまう場合もあります。
逆に、正当な評価がなされていないという場合は、その理由にもよりますが、例えば園長から嫌われている、お気に入りばかりが評価されているというような、自分自身の行動だけではどうにもできないような理由であれば、転職を検討した方が良いと言えるかもしれません。
賞与は変動と固定額のどちらがおすすめ?
先にも書いているように、個人的には 保育園で働く保育士の賞与の業績連動についてはあまりおすすめできない です。保育園の経営はそもそもが比較的不況などにも左右されずに安定していますし、減額はあっても増額されることはあまりないためです。
評価連動については個人の仕事への取り組み方によって変わるので判断が難しいですが、きちんとした評価がされているという前提であれば、評価連動型の賞与の支給の仕組みはとても良い仕組み だと思います。
こちらも先に書いているように、就業意欲の向上に繋がり、働くモチベーションが上がるためです。ですが、先程も書いたようにきちんとした評価制度が存在することが必須です。
変動か固定額かということよりも、きちんとした評価制度や基準が設けられて、保育園として運営がうまくいっているということがより大切です。
より良いのは賞与が少なくて基本給が高い保育園
保育園(会社)は従業員である保育の基本給を簡単には下げることが出来ないですが、賞与については業績に連動させて減額することが可能です。
これは働く保育士にとってリスクとなります。保育園の業績連動型賞与は増額されるケースが稀であり、基本的に減額される可能性を考慮する必要があります。
このリスクを減らすという観点では、賞与が少なくて基本給が高い保育園の求人 というのが実はおすすめです。実質の年収が同じであれば、賞与が少ない方がこのリスクが少なくなります。
また、基本給が高いと、その基本給に掛かる賞与の金額も高くなります。同じ賞与○ヶ月分でも、基本給の金額で支給額は大きく異なります。
これから就職や転職をする際は、賞与の支給実績の数値だけに左右されずに、賞与の支給基準、それに伴う実質の年収できちんと求人を比較検討するのがおすすめです。
まとめ
保育士の賞与は、園の業績や個人の働きによって金額が変動することがあります。業績連動型の賞与の仕組みは、 保育園の業績、つまり、保育園が黒字なのか赤字なのかという値に連動して、保育士に支給する賞与の金額が変動するという仕組み です。
評価連動型の賞与の仕組みは、従業員である保育士のその期間の仕事ぶりの評価によって賞与の支給額が変動するという仕組み です。
これらの賞与の支給の仕組みでは、場合によっては従業員である保育士のボーナス0円もあり得るケースになります。
賞与については、保育士の年収に占める割合いも少なくはなく、求人の基本給だけに囚われてしまうと、入職後に後悔してしまうケースもあります。
賞与の支給実績の数値だけに左右されずに、賞与の支給基準、それに伴う実質の年収できちんと求人を比較検討するのがおすすめです。そうすることで、安心して長く働ける職場を見つけることができます。
よくある質問(FAQ)
- Q保育士の賞与にある「業績連動」と「評価連動」は、具体的に何が違うのでしょうか?
- A
保育士の賞与における「業績連動」とは、勤務する保育園の経営状況や収益など、園全体の成績に賞与の金額が連動して変動する仕組みです。
一方、「評価連動」は、個々の保育士の勤務態度や業務への貢献度、目標達成度といった個人の働きぶりの評価によって賞与の金額が変動する仕組みになります。
業績連動は園全体を見るもの、評価連動は個人の頑張りを見るものと考えると分かりやすいです。
- Q保育士のボーナスが、本当に0円になることはあるのですか?また、それを事前に確認する方法はありますか?
- A
保育士のボーナスが0円になる可能性は、理論上ありえます。
これは、運営法人の経営が極度に悪化した場合や、就業規則に「業績が極めて悪化した場合は賞与を支給しないことがある」といった条件が明確に記載されており、その条件が満たされた場合などです。
また、個人の著しい問題(重大な過失や就業規則違反など)があった場合も、極めて稀ではありますが不支給となるケースがあります。
事前に確認するには、内定が出た際に就業規則や雇用契約書で賞与の支給条件、計算方法、最低保証の有無などを必ず確認してください。
不明な点は採用担当者に直接質問することが重要ですし、それが皆さんの不安を解消する方法です。
- Q保育士求人票に「実績による」や「当社規定による」と記載がある場合、どのように賞与を理解すれば良いでしょうか?
- A
求人票に「実績による」や「当社規定による」と記載がある場合、賞与の金額が固定ではない変動型である可能性が高いです。
特に「実績による」は前年度の支給実績を示しているに過ぎず、将来の支給を保証するものではありません。
私自身の経験からも、このような記載がある場合は、具体的な支給額や最低保証額、変動の基準について、面接時や内定時に積極的に質問し、明確な情報を得ることが大切です。
曖昧な記載は、思ったよりも賞与が少ない、あるいは減額されるリスクがあることを示している場合があります。
- Qもし賞与が大幅に減額されたり、不支給になったりした場合、保育士としてどう判断すれば良いですか?
- A
もし賞与が大幅に減額されたり、不支給になったりした場合は、まずその理由を把握することが非常に大切です。
会社の業績悪化が原因であれば、特に認可保育園でそのような状況はよほどのことであり、改善が見込みにくい場合も多いです。
早めに転職を検討する良い機会となるかもしれません。
一方、自分自身の評価が原因で減額されている場合は、その評価が客観的で正当なものかを冷静に判断してください。
正当な評価であれば、自身の勤務態度を見直すきっかけになります。
もし不当な評価や不公平感が原因であれば、皆さんのキャリアを考えて転職を検討する時期が来ている可能性が高いです。
- Q安定した賞与を得るために、保育士の求人を比較検討する際、特にどこに注目すべきですか?
- A
安定した賞与を得るためには、求人票に記載されている「賞与:年2回(前年度実績)」といった実績の数値だけに注目するのではなく、その「支給基準」や「算定方法」に注目することが大切です。
変動型の賞与制度の場合でも、公正な評価制度が設けられているか、園の経営が安定しているかなどを確認するようにしてください。
また、賞与を含めた「実質の年収」で比較検討することが最も重要です。
私自身の経験から言いますと、基本給が高い職場のほうが、賞与の変動リスクが少ない場合があるため、年収全体で判断することをおすすめします。
- Q賞与の金額が変動する可能性があるなら、保育士の求人では基本給が高い方が有利なのでしょうか?
- A
はい、私は保育士の皆さんが求人を探す際、賞与の変動リスクを考えると、基本給が高い保育園の方が有利だと考えます。
保育園(会社)は従業員の基本給を簡単には下げることができませんが、賞与は業績に連動させて減額することが可能です。
業績が良くて賞与が増額されるケースは非常に少ない傾向にありますから、基本的には賞与が減額されるリスクを考慮に入れる必要があります。
実質の年収が同じであれば、賞与の割合が低く基本給が高い方が、リスクを抑え、より安定した収入を得られると言えます。