男性保育士の皆様。これから保育園で働こうと考えている男性の方。
世の中には「男性」や「女性」でひとくくりにする風潮はまだまだ多いですよね。先に書きますが、私自身はそもそも「男性」保育士というくくりで考えること自体あまり好きではありません。
ですが、やはりまだまだ男性が少ない保育の業界です。たしかに古い考え方をもつ保育園では保育士は女性の仕事と考えている人もいるでしょう。また、保育園の利用者のなかにもそのように考える人もいるのかもしれません。
男性保育士はまだまだ人数が少ない状況ですよね。これから保育園で働きたいと思う男性保育士の方は、男性保育士の割合は特に気になる部分だと思います。
まだまだ女性の仕事というイメージが強い男性保育士ですが、全体に占める割合や就業者人数がどうなっているのかを調査しました。あわせて、人数が少ない理由や男性保育士への偏見などについても書いています。
そんな職場環境の中で、就職転職をうまくすすめるといのもなかなか難しいかと思います。今回は、男性保育士の就職転職事情について解説したいと思います。
複数回の転職経験があります
その経験が参考になればと思います
男性保育士の割合について
そもそも男性保育士はどれくらいの割合でいらっしゃるのでしょうか。
令和2年度の厚労省の「賃金構造金本統計調査」の情報を見てみると、男性保育士の人数は14,900人となっています。女性保育士の人数が251,760人です。割合としては、全体の約5.5%が男性保育士ということになります。
数としては、まだまだ少数はということがわかりますね。これはあくまでも統計上の話で、しかも少し古いデータなので、最近ではもう少し増えている印象もあります。
ちなみに、よく比較される女性が多いとされる看護師の場合は、男性看護師の割合は7.8%((出典)厚生労働省「平成 30 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」より)となっています。
看護師の場合と比較しても、男性保育士の割合はとても少なくなっているということがわかります。
保育園で働く男性保育士の人数は?
厚生労働省の「子ども家庭局保育課調べ」によると社会福祉施設等に従事している保育士が約59万人となっています。(平成30年度)
先程の保育園で働く男性保育士の割合を踏まえると、約59万人 × 4% = 約2万3千6百人で、
- 男性保育士の人数の推定は約2万3千6百人
ということになります。推定にはなりますが、全国には約2万人以上の男性保育士が保育園で働いていることになります。割合は少ないですが、人数で見ると意外と多いということがわかります。
年齢別の保育園で働く男性保育士の割合は?
年齢別の保育園で働く男性保育士の割合は、「平成30年度「保育人材」に関するアンケート調査の結果について」(2019年1月7日公表)独立行政法人福祉医療機構によると以下のようになっています。
年齢 | 構成割合(%) | うち男性 | うち女性 |
---|---|---|---|
30歳未満 | 32.9 | 1.6 | 31.4 |
30歳代 | 25.6 | 1.4 | 24.1 |
40歳代 | 20.5 | 0.4 | 20.1 |
50歳代 | 14.4 | 0.2 | 14.2 |
60歳代 | 5.7 | 0.3 | 5.4 |
70歳以上 | 0.7 | 0.1 | 0.6 |
この図からわかることは、男性保育士の割合が比較的多いのは、40歳以下の世代ということです。これは、保育士は女性の仕事という古い考え方が少しではありますが、薄れてきているという傾向が反映されているのかも知れません。
また、実は年代別で男性保育士の割合が一番多いのは70歳以上ということもわかります。最近では、定年退職後に社会の役に立とうと保育士を目指す男性も増えているので、そのことが影響していいるのかも知れません。
男性保育士がいる保育園の割合は?
「平成30年度「保育人材」に関するアンケート調査の結果について」(2019年1月7日公表)独立行政法人福祉医療機構によると、
全体の施設の54.8%が女性職員のみの施設となっている。
となっています。
逆に考えるとおおよそ半数程度の保育園には男性の職員がいるということです。実は意外に男性の職員がいる保育園は多いのですね。
先に挙げた男性保育士の割合(全体の4%)を考えるともう少し少ないと思っていたので、これは個人的には意外な結果でした。ただし、職員の割合なので、男性保育士の割合というわけではない点は留意が必要です。
男性保育士が少ない理由は?
男性保育士が少ない理由はとても簡単で 「保育士を目指す男性が少ないため」 です。女子小学生や中学生が選ぶ将来なりたい職業で保育士は常連となっていますが、男子側のランキングでは見かけないですよね。
特に昨今は保育士不足でもあるため、男性だからという理由で不採用とする保育園は少ないです。なのでシンプルに保育士を目指す男性が少ないためでしょう。
なぜ保育士を目指す男性が少ないのか
とはいっても大切なことは、なぜ保育士を目指す男性が少ないのかということですよね。それについて個人的な考えをいくつかまとめました。
- 女性の仕事というイメージがある
- 給料が安い
- 仕事が大変
大きくはこのような考え方が影響していると思います。
一番はやはり、保育士は女性の仕事というイメージが強いためだと思います。事実としては保育士の仕事に性別は関係ありませんが、実際に保育園で働いている保育士は女性が多いですし、そのような現場を実際に男性は自分自身の目でも見ていると思います。そういう環境下で保育士を目指すという割合が少なくなるはずでしょう。
後半の給料が安いや仕事が大変という理由は、性別に関係していることではありません。ただ、給与待遇の面でも保育士は他の職業と比べても優位性があるわけではないので、やりがいという側面を除いたらわざわざ保育士を目指すという理由がかなり少なくなってしまうと思います。特に全産業の男性の平均賃金は女性の平均賃金より高いという現状になっているので、相対的に保育士の給料は男性にとって安くなるという側面もあると思います。
男性保育士に偏見はある?
最後に、男性で保育士を目指している方が気になることは実際に男性保育士の割合は少ないということなどによる、「偏見」があるかということだと思います。
私の個人の考えでは、働いている保育士や園長、子ども預ける保護者など、保育園に関わる人すべての方が男性保育士への偏見がないということは言えないと思います。事実、保育園で何か事件が起きた際に「男性保育士」という性別で区切った報道もされてしまうことがそのような男性保育士への偏見を助長させているケースもあると思います。
また、これは幼稚園の話ですが、私が昔働いていた幼稚園は内部的には「男性は採用しない」という園長の方針がありました。内部的にというのは、性別で採用の可否を決めるのは男女雇用機会均等法に違反するためです。理由ははっきりとはわかりませんが、古いイメージによるものだと思います。
このようにまだまだ古い体質が残っている保育園では、実際にはやってはいけないことですが、男性という理由で採用をしない保育園もないとは言えないです。ですが、これは男性保育士にとって悪いことではないと私は思います。このような古い考え方が残っている保育園は、給与待遇面や働き方においても古い考え方が残っている傾向が強いです。事実私が働いていた幼稚園は紛れもないブラックで、激務薄給の持ち帰り残業のオンパレードでした。そのような保育園が向こうから不採用にしてくれるというのはメリットとも捉えることができると思います。
また、女性が多い職場で、男性保育士だからこそ活躍できるという場面も多くあります。偏見などが気になるという方は、既に男性保育士が働いている保育園で働くというのも選択肢の一つかもしれません。
男性保育士を目指すのは辞めたほうが良い?
男性は保育士を目指すのは辞めたほうが良いのかというような疑問についても考えてみます。
私個人の考えですが、男性ということに限定して保育士を目指したほうが良い、辞めたほうがよいという考えはありません。男性も女性もこれまでに書いた内容と同様で、決してなんとなくという理由ではなく「現実的に保育士を目指すことができる環境であるか」「他に自分が目指すことができる職業のなかで保育士の仕事がより自分に向いているか」「他に自分が目指すことができる職業のなかで保育士の仕事がより待遇面が良いか」ということをしっかりと考慮して、保育士を目指したほうが良いと私は思います。
男性保育士は保育園に採用されにくい?
以前働いていた幼稚園(ブラック幼稚園)では、園長が内部では、男性は採用しないと名言していました。「男性がいると〜」とよくわからない根拠のない理由を言っていました。古い考え方を持つブラック幼稚園でした。
ちなみに、その後の数園の保育園で働いていますが、「男性」というだけで採用しないという趣旨で受け取れるような話を園長などから聞いたことは私自身はありません。
むしろ、実際に現場で働く保育士の意見で多いのが、男性がいてくれるとありがたいというものです。これもある種のステレオタイプから生まれる考え方なのものかもしれませんが、やはり、違った視点で物事をみることができる人がいると頼もしいです。また、力・体力という面でも平均的な値を考えれば、男性のほうが良いというのは事実だと思います。保育士は力仕事も多いですからね。
ですが、たしかに古い考え方をもつ保育園では保育士は女性の仕事と考えていて、採用をしない保育園もないとは言えないです。これは、保育業界に限らず、どこの業界でも言えることだと思います。逆に職種によっては女性が採用されにくいということも『あると思います。
男性という理由だけで不採用とする保育園で働かなくてラッキー?
むしろ、男性だからという理由だけで、不採用とする保育園には就職しなくて良かったと考えるべきです。私の経験でも、幼稚園の話ですが、男性を採用しないと明言していたのはブラック幼稚園でした。
古い考えに固執しているブラック保育園のほうから不採用としてくれるので、むしろありがたいと思うのが良いかもしれません。
保育士不足も後押し
特に今の時代は保育士不足の時代です。待機児童が発生していて、都市部では新規に開園する保育園も増えています。保育園を新規に開園するということは、一度のたくさんの保育士を雇用する必要があります。
そのような時代のなか、保育士がなかなか応募に来ないと喚いておきながら、男性だからという理由で採用しないのは愚の骨頂だと思いませんか。
そもそも性別での採用不採用はナンセンスですが、保育士が不足しているのであれば尚更です。
保育士不足の時代で、多様性という点も考えれば、むしろ男性保育士を積極的に採用する保育園は、ホワイト保育園ではないかとも考えられます。
男性保育士が就職するには大手の保育園会社がおすすめ
男性保育士が就業するには大手の保育園会社がおすすめです。大手の保育園会社は多数の保育園を運営している会社のことです。最近では1都3県などを中心に保育園を多く運営する株式会社が増えています。
理由は、会社として多くの保育士を採用していて、当然、男性保育士の人数も多いためです。小さな保育園だと、あまり男性の保育士を雇用した経験がないということもあります。経験がなければ、どのように仕事を任せればよいのかということが保育園として、まだ定まっていない可能性もあります。
もちろん大きな会社であれば、差別なども起きにくいです。もし同僚に男性の保育士がいるとすれば、仕事の相談などもしやすいと思います。
そういった点で、男性保育士が就職するには大手の保育園会社がおすすめになっています。
男性保育士が就職転職をするには転職サイトの活用がおすすめ
男性保育士が保育園に就職・転職をする際には保育士転職サイトの活用がおすすめです。
なぜ、保育士転職サイトの活用がおすすめなのかというと、先程も少し書いたように、保育業界はまだまだ後進的な部分も多く、保育士は女性の仕事だと思っている保育園もあります。そしてそのような保育園は男性保育士を採用しない可能性もあります。
そのような保育園であっても、求人募集をする際に「女性限定」と求人情報に記載することはまずありえません。なぜかというと、日本には男女雇用機会均等法などがあり、 募集・採用時に「性別」に制限を設けることは基本的に禁止 されています。
ですが、実際にそのような考え方の保育園に面接に行くと、男性保育士は不採用になってしまいます。もちろん、募集・採用時に「性別」に制限を設けることは基本的に禁止なので、表向きの不採用の理由はその他の理由ということになります。実際このような採用は良くないことだと思いますが。保育業界に限らず、少なからず起きていることだと思います。
先程も書いたように、男性という理由だけで不採用とする保育園で働かなくて済むということは、むしろありがたいこととは考えられると思います。
ですが、面接に行く時間・履歴書の用意などの時間は無駄になってしまいます。
このような無駄な時間を防ぐために、保育士転職サイトの活用が有効になります。保育士転職サイトに登録すると、担当のアドバイザーが一人つきます。その人が様々な保育園の求人を紹介してくれて、保育園に連絡を取ってくれたりします。
もし男性というだけで採用しない保育園があるとすれば、その保育園の求人はそもそも紹介されないことになります。
つまり就職・転職活動における 無駄な時間を減らすこ とが出来ます。再三言っていますが、今の時代に、男性という理由だけで不採用とする保育園は時代遅れで、関わるだけ時間の無駄だと思います。
保育士転職サイトを活用して効率の良い就職・転職活動にしましょう。
- マイナビ保育士|全国の正社員・パート保育士の求人に対応しています。登録するとネット上での検索などでは見つからない非公開の人気のある高待遇の求人情報も得られます。 まずは求人情報を知りたいだけという方でもOKです!
- ジョブメドレー保育士
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※ 紹介できる求人などに差があるため転職サイトは複数社に同時登録して併用がおすすめです。就職転職活動が不安な方はまずは簡単な相談目的での登録でも大丈夫です。
※ 保育士の転職サイトは新卒の方や未経験の保育士の方、資格取得見込みの方でも利用可能です。
まとめ:男性保育士の就職転職事情!少ない理由や偏見は?採用されにくい?
今回は、男性保育士の就職転職事情について解説しました。
正直なところ、男性という理由で採用をためらう保育園もあるかもしれません。ただ、それとは逆に、男性保育士を採用したいという保育園も多いと思います。
それでもまだまだ、男性保育士の人数が少ないのは、やはりシンプルに保育士を目指す男性が少ないためだと思います。保育士は女性の仕事というイメージが根強いためでしょう。また、まだまだ男性という理由で様々な偏見がないとは言えないのが現状ですが、男性保育士だからこそ活躍できるという場面も多いです。
そういった環境なので、男性保育士が就職転職をするには転職サイトの活用がおすすめです。それは、そもそも男性という理由だけで不採用とする保育園と関わらなくて済むためです。
保育士の転職サイトが事前に保育園との間を取り持って、保育園側に応募を考えている人がいるということとある程度のプロフィールなどを保育園に伝えることになります。その段階で、男性という理由で不採用とする場合は、その保育園の求人は紹介されないことになります。つまり、時間の無駄を減らすことができるということです。しかも、そういった保育園は古い考え方の保育園なので、保育士にとって働きやすいとは限りません。なので、関わらなくて済むというのは良いことでもあります。
これから就職転職を考える方は参考にしていただけると幸いです。