これから就職転職を考えている保育士の皆様。
今回は、保育士が系列園のある保育園で働くメリット・デメリット、求人の注意点を紹介します。
複数の系列園を運営する保育園企業で勤務した経験があります
その経験が参考になればと思います
系列園がある保育園とは?
もちろん皆さんもご存知だと思いますが、系列園とは、一つの企業や法人などが運営している複数の保育園のことです。同じ保育園名がつけられていることもあれば、別の名前がつけれらていることもあります。そして、同じ自治体内に複数の系列園があったり、市区町村や都道府県をまたいで、複数の系列園を運営している企業や法人などがあります。
保育士が系列園のある保育園で働くメリット
それでは、保育士が系列園のある保育園で働くことのメリットを紹介します。
保育園に運営ノウハウがあることが多い
系列園がある保育園の運営企業や法人は、保育園の運営ノウハウを多く持っている可能性が高いです。複数の園を展開しているということは、それだけ、保育園をうまく運営するためのノウハウが溜まっているということになります。だからこそ、複数の保育園を系列園として展開しているということになります。
また、園内で使う備品やIT関連の機器やアプリなどは、たくさんの数を一括で導入することで、安く調達できることも多く、保育士の仕事環境なども充実している傾向があります。
このことは、保育士が働く上でも、給与待遇などの面においても、良いメリットがあることが多いです。
保育士が働きやすい可能性が高くなる
保育園の運営ノウハウと同様で、系列園のある保育園では、系列園を含めて、過去に様々な働く保育士や退職した保育士の不満などが溜まっていると思います。全体として、働く職員が多ければ多いほど、不満の種類なども多くなります。当然、園として、それらの不満について解消してきた数というのも多いはずです。結果的に、保育士の働きやすさという面でも、企業や法人としてノウハウが溜まっていて、保育士が働きやすい可能性が高くなります。
異動希望が出せる
系列園がある保育園で働いている場合は、異動の希望を出すことができます。
もし、職場にうまく馴染めない、人間関係で悩んでしまったという場合は、異動を希望を出すことで退職せずに、新しい園で働くことができる場合があります。また、引っ越しなどが必要になったときに、系列園がなく通勤ができない距離になってしまった場合に、退職せずに系列園で働き続けることができます。
もちろん、異動の希望はあくまでも「希望」なので、保育園の状況によっては異動が認められないこともありますが、昨今は、保育士不足なので、異動を拒否するということは退職をしてしまうということになると、異動を認めてもらえるケースも多いです。
保育士が一つの企業や法人で長く勤務することには様々なメリットがあるので、異動して働き続けることができれば、そのメリットを享受することができます。
職員の入れ替わりが多くなる
系列園がある保育園では、職員の入れ替わりが多くなるという傾向があります。単純な誰かが退職して新しい人を採用するということ以外に、A保育園で働いていた人がB保育園に、B保育園で働いていた人がA保育園にそれぞれ異動するということが起きるためです。
保育園としては、経験やスキルなどを踏まえて、適材適所に職員を配置するという意図があります。働く保育士としては、様々な上司、先輩、後輩と接することでより多様な経験を積むことができるというメリットが生まれます。同じ様なメンバーで仕事をしていると、どうしても同じ様な思考に固まってしまうので、それを防ぐことができます。
役職につきやすい
系列園がある保育園では、役職につきやすいというメリットもあります。それは、前項で書いた 職員の入れ替わりが多くなる ということと関係があります。先程書いたように、保育園としては、経験やスキルなどを踏まえて、適材適所に職員を配置することができます。つまり、
一方、系列園がない保育園だと、例えば、ベテランの主任保育士が園内に一人いると仮定すると、その人が退職をしない限りは、その席はずっと空かないということになります。系列園があれば、どちらかが別の系列園に異動して、主任保育士の役職につき、もう一方が、異動せずに、現在の園で主任保育士につくというような、配置転換が可能です。
園内より権力のある人に相談ができる
系列園が多い保育園で保育士が働いた場合は、園内より権力のある人や事情に詳しい人に相談ができるというメリットがあります。系列園が多い企業や法人では、エリアマネージャーのような、それぞれのエリアを管轄するマネージャーがいたり、それとは別に総務部や人事部のような部署が企業や法人内に設置されていることも多いです。そのような人がいると、働いている園内の人間以外の人に園内で起きたトラブルや問題などの相談をすることができます。
もし、系列園がなく、一つの保育園しか運営していない場合は、園長が実質的なその企業や法人のトップであったり、その上に経営者がいるというような形であることが多いです。つまり、園内でなにかトラブルが起きてしまった場合に、相談できる人がほとんど園内の人しかいないということになります。例えば、園長になにか問題行動が会ったという場合に、相談できる人がいないということが起きてしまします。
保育士が系列園のある保育園で働くデメリット
逆に、保育士が系列園のある保育園で働くデメリットについて紹介します。
保育士が足りない園に日常的に駆り出されてしまう場合がある
系列園が多い保育園、特に、近隣に系列園がある場合などは、もし、どちらかの保育園が人手不足の状態になってしまっていると、日常的にヘルプのような形で系列の保育園に駆り出されることもあります。通勤が楽で今の保育園で働くことを選んだのに、日常的に通勤に不利な系列の園に行かなくてはいけないというリスクがあるということです。
意図せず異動や転勤を命じられる可能性がある
系列園のある保育園の企業や法人で働いた場合、雇用条件によって、自分の希望とは裏腹に、異動や転勤を命じられる場合があります。近隣はもちろん、全国に系列があれば、引っ越しを伴う異動を命じられるという可能性もあります。異動を拒否するということは難しいので、企業や法人との折り合いがつかなければ、退職をするということになる可能性があります。
ちなみに異動や転勤は絶対に嫌だと思って、系列園がない保育園で働いたとしても、自分が働き出した後に、系列園ができるということもあるので注意しましょう。
職員の入れ替わりが多くなる
系列園が多い園では、意図的に園ごとの職員を入れ替える場合があります。メリットの方でも書きましたが、これには、デメリットもあります。それは、同じ職場で慣れてきた人間関係などがリセットされてしまうということです。
結局、系列園が多い保育園で保育士が働くのはどう?
ここからは、結局のところ、系列園が多い保育園で保育士が働くのはどうなのかという点について紹介します。
ここまで挙げたメリットとデメリットを踏まえた場合、系列園が多い保育園で働くということは、メリットが多くおすすめできると言えます。 ただし、それ以上に保育士の働く保育園選びで大切なことは、保育士の働きやすさや給与待遇、人間関係などです。系列園が多いということ自体がそれらの要素よりも重要になるということは無いので、まずは、自分が働く上で大切にしている条件などをきちんと比較するようにしましょう。
保育士が系列園のある保育園の求人を探す上での注意点
最後に、保育士が系列園のある保育園の求人を探す上での注意点について紹介します。
系列園の場所と数に注意
メリット・デメリットでも書いたように、系列園があるということは異動や転勤の可能性があるということになります。保育園は同じ市区町村や県内にのみ系列園がある場合もあれば、全国的に系列園を展開している場合などもあります。可能性として、自分があまり引っ越しする可能性がない都道府県やエリアなどに、系列を多数構えていると、そこに異動を命じられてしまったら、退職せざるを得なくなってしまう場合もあります。また、自分から異動の希望を出す場合も同様で、自分の希望のエリアに保育園がなければ、異動希望を出すこともできなくなってしまいます。
雇用条件(異動、転勤)に注意
系列園のある保育園の求人を探す上では、特に異動・転勤の雇用条件に注意しましょう。先程から系列園のある保育園の異動や転勤に関して、様々書いていますが、その企業や法人の雇用条件によっては、異動・転勤なしというような条件で雇用される場合もあります。また、「異動・転勤あり」の場合と「異動・転勤なし」の場合で、給与体系なども異なる条件になっているという求人もあります。
エリアの違いによる給与体系の違いに注意
系列園のある保育園の求人においては、給与体系の違いにも注意が必要です。例えば、東京都勤務の場合は、給与水準が高く、それ以外の県の場合は、給与水準が安いということよくがあります。それは、保育園は各自治体によって、運営費として交付される補助金の金額に違いがあるためです。それ以外にも、認可保育園と認可外保育園の違いによって、手当や基本給の金額なども異なる場合もあります。
働いている、退職した保育士の口コミや評判に注意
系列園がたくさんある保育園は、働いている、もしくは、退職した保育士の口コミや評判などが出回っているケースも多いです。しかしながら、企業名や法人名全体に対して口コミや評判が多く、特定の系列園一つの評判がかかれているケースは少ないです。系列園が多い保育園であっても、それぞれの保育園ごとに、先程も挙げたような、給与の違いもあれば、人間関係の違いもあります。そのため、働いている、退職した保育士の口コミや評判は、良くも悪くもあまり鵜呑みにし過ぎないようにしましょう。
各園の求人情報や説明・写真等に注意
系列園のある企業や法人の求人情報については、その内容に注意が必要です。例えば、法人としてすべての系列園の求人を一括で掲載しているというような場合は、写真や説明などが、系列園のなかの代表の一つとして紹介されている場合があるということです。例えば、園庭が広くて新しくてきれいな園舎が写っている写真などが載っていたとしても、それが、系列のどの保育園のものかをきちんとチェックしなければいけないということです。
まとめ:保育士が系列園のある保育園で働く長所・短所、求人の注意点を紹介しました。
今回は、保育士が系列園のある保育園で働くメリット・デメリット、求人の注意点を紹介します。
メリットとデメリットを踏まえた場合、系列園が多い保育園で働くということは、メリットが多くおすすめできると言えます。ただ、もちろん、そのこと以上に、まずは、自分が働く上で大切にしている条件などをきちんと比較することが大切です。