保育士の皆様。処遇改善等加算Ⅱや保育士等キャリアアップ研修について知っていますか?
処遇改善等加算Ⅱや保育士等キャリアアップ研修を知らない、働いている保育園からなにも知らされていないという方はちょっと注意が必要かもしれません。処遇改善等加算Ⅱの制度により、副主任・専門リーダー・職務分野別リーダーの新たな役職ができていて、貰えるであろう給与加算を得られていない可能性があります。
保育士等キャリアアップ研修を受講した経験があります
その経験が参考になればと思います
保育園で働く保育士の新たな役職とは?
保育士等キャリアアップ研修を紹介する前に、保育園で働く保育士の新たな役職について紹介します。
実は、保育士等キャリアアップ研修を受講することでこれらの役職につくことができ、処遇改善として給与もアップされます。
- 副主任
- 専門リーダー
- 職務分野別リーダー
実は、保育園は長年の間、園長と主任保育士を除いた場合(稀に副園長がいる保育園もある)他に役職は存在しませんでした。
つまり、主任保育士を除いた保育士は役職上はすべて同列の保育士ということになります。
もちろん保育園が独自で役職などを設ける場合はありましたが、国として保育の質を改善するために用意した一律の役職などは存在しませんでした。
例えば、介護現場の場合は、介護初任者研修、実務者研修、ケアマネジャー、介護福祉士などの研修や資格が段階的に用意されており、キャリアアップが可能です。
一方で、保育士は保育士資格を取得した後は、研修や資格を受ける機会は少なくなっていました。目指すべき役職とそれに伴う昇給などもないため、保育の質を高める適切なキャリアアップが望めませんでした。
そこで国は、副主任・専門リーダー・職務分野別リーダーという役職を用意して、その役職につくために保育士等キャリアアップ研修を設けることにしました。
これが、平成29年度から実施されている「保育士処遇改善等加算Ⅱ 」という新制度になります。
副主任・専門リーダー・職務分野別リーダーになるには?
保育園で副主任・専門リーダー・職務分野別リーダーになるには、都道府県などの自治体で実施されている「 保育士等キャリアアップ研修 」の受講が必要です。
研修は以下の8分野に分かれています。
- 乳児保育
- 幼児教育
- 障害児保育
- 食育・アレルギー
- 保健衛生・安全対策
- 保護者支援・子育て支援
- 保育実践
- マネジメント
それぞれの分野ごとに受講することができ、研修は1研修につき15時間(2~3日)となっています。
それぞれの役職ごとに必要な研修の受講内容は以下のようになっています。
- 副主任保育士
- マネジメントの研修に加えて3分野以上の研修の受講
- 専門リーダー
- 4分野以上の研修の受講
- 職務分野別リーダー
- 1~6の中で1分野以上の研修の受講
研修を受講するには、就業中の保育園経由で申し込む必要があります。日程とは就業中の保育園で確認してください。
研修後に試験等はありませんが、レポートの提出が必要な場合があるようです。研修の受講が完了したら修了証を得ることができます。
必要な経験年数は?
実は研修要件以外にも、それぞれの役職ごとに必要な経験年数が定められています。
- 副主任保育士
- 経験年数が概ね7年以上
- 専門リーダー
- 経験年数が概ね7年以上
- 職務分野別リーダー
- 経験年数が概ね3年以上
「概ね」というのはあくまでも目安であって、各園の職員の構成や状況を踏まえて、経験年数が7年未満や3年未満の職員であっても、施設・事業所の判断で柔軟に対象とすることができるようです。
給与はどう改善される?【処遇改善内容】
副主任保育士、専門リーダーとして発令されるとどちらも 月額4万円 の手当が給付されます。
職務分野別リーダーとして発令されると 月額5千円 の手当が給付されます。
どちらも市町村からの補助金に加える形で保育園経由で保育士に支給されます。
月額4万円加算されると、年収ベースでは48万円も加算されることになるので、かなり大きい処遇改善になると思います。
保育士等キャリアアップ研修・処遇改善等加算Ⅱの注意点
役職にはそれぞれ人数の上限が決まっている
職務分野別リーダーは保育園ごとに人数の制限はありません。
しかしながら、副主任保育士と専門リーダーの人数は、園長と主任保育士を除いた人数の3分の1が上限となっています。
園長と主任保育士を除いた人数が20人とすると、6人までが副主任保育士と専門リーダーとなれることになります。
当然他の保育士は、4分野以上の研修を受講していて条件を満たしていても、月額4万円の加算は得られないことになります。
処遇改善等加算Ⅱを導入していない保育園がある
ここまで、保育園の新しい役職や保育士等キャリアアップ研修について紹介しましたが、実はこの処遇改善等加算Ⅱを導入していない保育園が存在します。
理由は定かではないですが、手続きが面倒なのか、なんなのかはよくわかりません。基本的に、保育園として損する制度ではないので導入しない意味がよくわかりません。
転職を検討する際は「処遇改善等加算Ⅱ」はどのように運用されているかをしっかり確認したほうがよさそうです。
保育士等キャリアアップ研修は全国で通用する
都道府県及び研修実施機関は、研修修了者に対して修了証を交付しています。
そして、この修了証は研修を修了した都道府県以外でも効力を持ちます。そのため、転職して別の保育園に移動した後も再度研修を受講する必要はありません。
もちろん、一度保育士を辞めて別の職業についたあと復帰した場合などでも有効のため修了証はなくさず持っておくことにしましょう。
実は研修の要件は現時点では課されていない
2019年時点の情報によると、実は研修の要件は内閣府によると「2022年度を目途に研修受講の必須化を目指す」とされています。
都道府県によって異なるかもしれませんが、2021年度までの受講状況などを踏まえて、2022年度以降から研修の要件を満たさないと副主任・専門リーダー・職務分野別リーダーになることができなくなります。
つまり、2019年時点では、研修を受講していなくても副主任・専門リーダー・職務分野別リーダーの役職につくことが可能です。
法人内の他の施設の職員の賃金改善に充当可
2022年度までの時限措置として、処遇改善等加算Ⅱによる加算額の総額の20%については同一事業者内で施設・事業所をまたぐ配分を可能とすること。
とされています。例えば、同一の法人で複数の保育園を運営している場合、他の事業所へ20%までを配分することができるようです。
処遇改善費の一部は保育園の裁量で分配できる
副主任保育士、専門リーダーの月額4万円の加算額は人数の半数以下はそれを他の保育士等に分配することが可能です。
つまり、4人の副主任保育士、専門リーダーがいる場合は、加算額の合計は月額16万円になりますが、そのうち二人は4万円を加算する必要がありますが、残りの二人分の8万円は他の職務分野別リーダーなどの保育士に配分することができます。
これは保育園の裁量で行なうことが可能です。頑張って研修を受けたけど、一部は若手保育士に分配されてしまうということもあります。
処遇改善の支給方法も園によって異なる
処遇改善費の支給方法は保育園によって異なります。例えば毎月給料と一緒に振り込む場合や、ボーナスなどのように年数回を支給するなどです。
支給方法は園の裁量で決めることができるので、思った以上に月の手取りが少なくなってしまう場合もあります。
また、就職・転職の際に注意が必要なのは、処遇改善費を含めた月給やボーナスの金額などを求人に載せている場合もあります。
このこと自体は問題とは言えませんが、処遇改善費を含めない月給などを求人に載せている保育園もあります。
この両者を比較検討した場合に、実際のもらえる給料は後者の方が多いので、注意してください。求人を探す際はしっかりと給料の内訳(処遇改善費はいくらでいつ支払われるのか)ということを明確に聞いてみましょう。
まとめ:【処遇改善等加算Ⅱ】保育士等キャリアアップ研修を解説!副主任・専門リーダー・職務分野別リーダー!
保育士処遇改善等加算Ⅱで保育園に新たな役職が作られました。
- 副主任
- 専門リーダー
- 職務分野別リーダー
役職につくと以下の給与の加算が見込めます。
- 副主任保育士、専門リーダーの月額4万円加算
- 職務分野別リーダーは月額5千円の加算
それぞれの役職の条件は以下のようになっています。
- 副主任保育士
- 経験年数が概ね7年以上
- マネジメントの研修に加えて3分野以上の研修の受講
- 専門リーダー
- 経験年数が概ね7年以上
- 4分野以上の研修の受講
- 職務分野別リーダー
- 経験年数が概ね3年以上
- 1分野以上の研修の受講
保育士等キャリアアップ研修・処遇改善等加算Ⅱには注意点があります。
- 役職にはそれぞれ人数の上限が決まっている
- 処遇改善等加算Ⅱを導入していない保育園がある
- 処遇改善費の一部は保育園の裁量で分配できる
- 処遇改善の支給方法も園によって異なる
【補足】面接では「処遇改善等加算Ⅱ」についてしっかり聞こう
先に示したとおり、そもそも「処遇改善等加算Ⅱ」の加算を行っていない保育園もあるようです。理由は定かではないですが、このような保育園は保育士の待遇を改善する気が薄いので、転職する価値は低いと言えます。
また、処遇改善費の一部は保育園の裁量で分配することができます。職員間での不公平感をうまないために分配が可能ですが、しっかりとした説明がないと逆に不満がでることになります。職員間での軋轢をうむ原因にもなってしまいます。
保育士が転職する際の面接では、「処遇改善等加算Ⅱ」についてしっかり聞くことが大切です。これにしっかり答えられないということは、保育士の待遇に関する意識がとても低い保育園ということになります。
自分からはなかなか具体的な給料の話などを聞きづらいという方は、保育士の転職サイトを活用するのも一つの手です。保育士の転職サイトは専任のコンサルタントが保育園に様々な聞きづらい質問を代わりに行ってくれます。
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