保育園で働く保育士の皆様。
後輩や新人が新しく保育園に入職してきたという方もいらっしゃると思います。園長から、後輩指導を任命されたり、自然と後輩の教育を任される立場になったという方いらっしゃるかもしれません。
今回は、そのような方向けに、保育士の新人や後輩の教育係・メンターの役割と心構えや、何を指導すれば良いのかという点を紹介します。
新人や後輩の教育係・メンターのような立場を経験したことがあります
その経験が参考になればと思います
後輩の新人保育士が学生気分が抜けずに働いている?
一方で、保育園で働いている保育士の方で、後輩に新しく新人保育士が入職した場合に、学生気分が抜けずに働いているなと感じているという方もいらっしゃると思います。やはり、物事に取り組む姿勢というのは、学生と社会人では根本的に異なるためです。
特に保育園で働く保育士の場合は、就職するにあたって 社会人向けの研修などがないという場合も多いと思います。そんな中で、いきなり仕事に入って、しかも保育をするということもあると思うので、適応もなかなか難しい場合があると思います。
ただ、一緒に働いている身としては、責任ある行動を取ってもらいたいという思いは出てくると思います。
教育係・メンターとは?
そもそも保育園に限らず、組織において教育係・メンターとはどのような役割なのでしょうか。
教育係の役割
教育係は、新人や後輩がその組織・会社の仕事を覚えるための手助けをするという役割がメインになります。入社したての場合は、右も左もわからず、わからないことすらわからないということもよくあります。そういった新人に対してその組織で一人前に働けるように導いていくというのが、どの組織でも言える共通の教育係の役割になります。
メンターの役割
保育園の場合は、小さい組織が多いので、教育係とメンターがそれぞれ存在するというケースは少ないかもしれません。メンターは日本語に翻訳すると「相談者」や「助言者」という意味になります。教育係とメンターを分けて考えた場合、メンターはどちらかというと、業務そのものを指導するというよりは、精神面のサポートをする存在になります。
保育園の場合は、園内の人間関係の悩み相談や園の暗黙のルールなどを教えてサポートするというような役割になります。
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保育園における教育係・メンター
保育園においては、「教育係」や「メンター」という役割の人が明示的に存在する場合とそうでない場合があります。保育園において、教育係やメンターなどを明示的に任命することもあれば、特に、明示的に誰が教育係ということは指示されずに、一緒のクラスになってペアの保育士が指導を教育する、年が近い保育士が指導するというような場合があります。
その点は、保育園によって様々ですが、明示的に任命はされていない場合でも、誰かが後輩を教育指導しなければいけないということには変わりないので、先輩である保育士が教育係・メンターとしての心構えを持つということは大切です。
保育士の教育係・メンター自身の心構え
ここからは、教育係・メンターに任命された保育士の自身に必要な心構えについて紹介します。厳密には、教育係・メンターはそれぞれ異なる立場ではありますが、ここでは、新人や後輩を指導する先輩としての心構えを紹介します。
ほうれんそうに対して「おひたし」で対応する
社会人にとっての基本でもある報告・連絡・相談の「ほうれんそう」は保育士の新人にももちろん意識してもらいたいものだと思います。
ただ、円滑な「ほうれんそう」阻害してしまっているケースで多いのが、先輩や上司の対応に原因があることも多いです。
後輩が質問をしたいのに、先輩が怖かったら質問もできないですよね。怒られたくないから、わからないまま進めてしまって大きなトラブルになるということもよくあります。特に保育園の場合は、保護者対応など、特に新人の頃は先輩などに逐一確認しないとわからないことも少なくないと思います。
一時期SNSで話題になったのは、「ほうれんそう」対して上司や先輩が「おひたし」で返すということです。
おひたしとは、
- お・・・怒らない
- ひ・・・否定しない
- た・・・助ける
- し・・・指示する
同じ質問を何度もされても怒らない、後輩の行動を何でもかんでも否定しない、困っている様子が見れたら助ける、何をして良いかわからなそうであれば指示をするというようなことです。
この繰り返しで保育園の業務の効率も上がり、よりよい人間関係になっていくはずです。
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後輩自身にやらせる
自分でやってしまったほうが早い、とても簡単に見えるような仕事でもなるべく後輩の手を動かせて後輩自身にやらせることが大切です。人がやっているのを見て覚えるのと、実際に自分でやって覚えるのとでは、後者のほうが圧倒的に効率が良くなるためです。
保育園での業務が忙しいと、ついつい自分自身でやってしまって「覚えておいて」という対応になってしまいがちですが、特に最初の頃は、なるべく後輩自身にやらせたほうが覚える効率も良くなります。早く後輩がその仕事を覚えてくれれば、あとあと自分も楽になります。
後輩が成長すると自分が楽になる
保育園で働く保育士の方の中には、忙しくて他人のことなんてかまってられないという人もいるかもしれません。
なかには、後輩のことなんて知らない、自分のことで精一杯という人もいたり、自分自身が若手の頃はまともな指導なんて受けられず、一人で頑張ってきたという方もいるかもしれません。また、後輩の保育士も、全員が素直で真面目とも限らず、自分はあまり良く思っていないということもあると思います。
そういう場合は、後輩の指導にあまり積極的になれないかもしれませんが、 その人のためではなく自分のために後輩を指導する という考えを持つことが大切です。後輩が保育園での仕事をきちんと覚えて成長すると、自分自身の仕事の負担も減らすことができるためです。
後輩の指導教育は、サービスやボランティアのお人好しでやることではなく、園全体や自分自身のためにやるべき仕事になります。
上司に手間をかけさせない
保育士の教育係・メンター自身の心構えとして大切なことの一つに、上司に手間をかけさせないということがあります。
保育園の園長等の責任者は、そうならないために教育係を指名して任命しています。特に教育係という役割の人がいないと、自然に主任保育士などのリーダー的な存在の人に、新人・後輩指導の仕事が集中してしまうためです。(もちろん園によっては主任保育士が教育係になることもありますが)主任保育士は別の仕事も抱えているので、それで手一杯になってしまうと園の業務に滞りが発生してしまいます。
後輩が、なんでもかんでも主任や園長に聞いてしまうと、その分、その人達の時間を取ってしまうことになります。 自分の上司である主任や園長の目線だと「後輩の指導ができていない」と感じる原因になります。
もし、後輩が自分の上司にばかり質問をしているのであれば、 自分が後輩に対して質問しにくい、聞きにくい雰囲気を出していないか 先程紹介した「おひたし」の対応を見直してみましょう。
長い目で見守る
まず1つ目は、長い目で見守るということです。先程も書いたように、昨日までは学生だったような人なので、次の日から簡単に学生気分が抜けるというのは、なかなか難しいことです。保育園で保育士として長く働いていけば、自然と学生気分は抜けていくという面もあります。
すぐに、怒ったり、叱ったりせずに、長い目で見守るということも重要です。
教育、研修などを見直す
新卒保育士の学生気分が抜けていないというのは、何も本人だけの問題ではありません。例えば、一般的な大手企業は新卒で入社した4月から、現場に配属されるまでに数週間から数カ月間の間、社会人やマナーなどの研修をみっちり受けます。もちろん、給料を貰いながら研修を受講します。
そのなかで、学生気分をなくすというのはもちろん、配属されてから困った人物にならないように指導を受けることになります。大手企業の面接に合格できる新卒の社会人でさえ、このような研修をしっかりと受けた上で配属されます。
学生気分が抜けていないのは、本人の問題だと決めつけずに、保育園として先輩として、きちんとして教育が出来ているのかという点を見直しましょう。メンターのような形で、精神面をサポートする先輩保育士を一人つけるというのも有効な方法になります。
保育士の教育係は何を指導すれば良い?
保育園によっては新人・後輩指導の項目などがマニュアル化されているところもあれば、単に教育係に丸投げという場合もあるかもしれません。
後者の場合は、何を指導すれば良いのかよくわからないですよね。
どの保育園でも基本的には「新人や後輩がその保育園で一人前に働けるようになる」というようなことが新人・後輩指導の共通的なゴールになると思います。
そのためには、まずは保育園内で決まっているルールや、一日を通してやらなければいけない仕事などを教えて行くのが良いでしょう。
保育士の場合は、基本的には入職後にすぐに現場で保育をはじめることが多いと思うので、あとは随時質問されたことに答えたり、困っていそうなら助けるということを繰り返して一緒に成長をしていくのが良いでしょう。
保育士の新人や後輩の教育係・メンターの役割と心構え。何を指導すれば良い?
今回は、保育士の新人や後輩の教育係・メンターの役割と心構えについて紹介しました。
保育園によっては新人・後輩指導の項目などがマニュアル化されているところもあれば、単に教育係に丸投げという場合もあるかもしれません。
後輩のことなんて知らない、自分のことで精一杯という方でも、その人のためではなく自分のために後輩を指導する という考えを持つことが大切です。後輩が成長すると自分が楽になるためです。
後輩が質問をしたいのに、先輩が怖かったら質問もできないので、ほうれんそうに対して「おひたし」で対応することを意識してみましょう。