保育園で働く保育士の皆様。賃金未払いや残業代未払いなどの労働問題に巻き込まれてしまうこともあるかもしれません。そんな場合に悩んでしまうのは、
保育園が悪意を持っていたり、意図的に労働基準法などに違反しているという場合は、保育園の園長に相談しても解決はされませんよね。労働問題は一人で抱え込まずに、専門の労働基準監督署、総合労働相談コーナーに相談することも検討してみてください。
今回は、保育士の労働問題の相談窓口に関して、労働基準監督署の役割、窓口や相談方法について紹介します。
勤務している園で労働問題に遭遇した経験があります
その経験が参考になればと思います
労働基準監督署とは?
「労働基準監督署」は厚生労働省が管轄している機関で、労基署、労基、監督署などの略称で呼ばれることもあります。労働基準監督署は労働基準法に直接関係する問題に対しての相談を受け付けていたり、取締を行う機関になります。労働基準監督署は、各管轄地域ごとに置かれていて、都道府県内に複数箇所設置されています。
労働基準監督署の役割とは?
労働基準監督署の主な役割は、
労働基準法に関する、
- 申告・相談の受付
- 監督指導
- 司法警察事務
になります。
監督指導の結果、法違反の是正が行われていない場合などの場合に、会社、事業所に対して捜査を行う場合もあります。
労働基準監督署の窓口は?
労働基準監督署は、各地域に配置されていて、それぞれ管轄区域が指定されています。市区町村内に一つずつという形ではなく、市区町村をまたいで管轄が区切られていることが多いです。また、同じ市区でも複数の監督署が所在することもあります。基本的には、 働く保育園の会社や法人が所在する地域を管轄する労働基準監督署に相談を行う ことになります。保育士の場合は、勤務している保育園がある地域で、自分が住んでいる地域ではないので、注意しましょう。
※参考「厚生労働省 全国労働基準監督署の所在案内」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html
労働基準監督署と総合労働相談コーナーについて
厚生労働省は、労働基準監督署とは別に総合労働相談コーナーという相談窓口を設置しています。総合労働相談コーナーは、労働基準監督署内に設置されています。
総合労働相談コーナーは以下の内容の相談を 「無料・予約不要・秘密厳守」 で受け付けています。
解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどのあらゆる分野の労働問題を対象としています。
性的指向・性自認に関連する労働問題も対象としています。
労働者、事業主どちらからの相談でもお受けします。
学生、就活生からの相談もお受けします。
外国人労働者等からの多様な言語に対する相談もお受けします。
専門の相談員が面談もしくは電話で対応致します。
予約不要、ご利用は無料です。
相談者の方のプライバシーの保護に配慮した相談対応を行います。
「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づき、労働相談をお受けするほか、「助言・指導」や「あっせん」をご案内しています。
労働基準法等の法律に違反の疑いがある場合は、労働基準監督署等の行政指導等の権限を持つ担当部署に取り次ぐことになります。
ご希望の場合は、裁判所、地方公共団体(都道府県労働委員会など)、法テラスなどの他の紛争解決機関を情報提供致します。
※引用「厚生労働省 総合労働相談コーナーのご案内」https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
総合労働相談コーナーへの相談の結果、労働基準法等の法律に違反の疑いがある場合は、労働基準監督署の担当部署に取り次がれることになります。
つまり、労働問題っぽいけどよくわからないという場合は、まずは総合労働相談コーナーに相談をするという形になります。
相談方法は?
労働基準監督署も総合労働相談コーナーのどちらも 対面での面談や電話での相談 を受け付けています。労働基準監督署は労働基準法に直接関係する問題のみに対する相談を受け付けているので注意が必要です。もし、自分が直面している問題が、労働基準法に違反するものかどうかわからない場合は「総合労働相談コーナー」への相談がおすすめです。
相談の受付時間は?
労働基準監督署、総合労働相談コーナーの受付時間は以下のようになっています。
- 労働基準監督署の受付時間:平日8:30~17:15
- 総合労働相談コーナーの受付時間:平日9:30~17:00
が基本となっています。ただし、受付時間はそれぞれの監督署や窓口によって異なる場合があるので、必ず厚生労働省のホームページで受付時間を確認してください。
労働基準監督署への相談に料金はかかる?
労働基準監督署や総合労働相談コーナーへの相談にかかる料金は「無料」になります。労働者が労働問題に対して相談する場合は、基本的に最後まで料金や手数料のようなものがかかるということはありません。
労働基準監督署や総合労働相談コーナーへの相談は保育園にばれてしまう?
労働基準監督署や総合労働相談コーナーは、相談者のプライバシーの保護に配慮し、秘密厳守となっています。仮に、保育園に労働基準法等の法律に違反の疑いがある場合は保育園等に指導などがおこなわれますが、その際に相談者の氏名等が保育園に伝わることはありません。ただし、保育園は勤務している職員が少ない組織なので、労働問題の内容によっては相談したであろう保育士が誰なのかということを保育園が容易に想像できてしまうケースもあるので、相談する際は、その点も含めて懸念があることを労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談しましょう。
保育士が労働基準監督署に相談をしたほうが良いケース
ここからは、保育士が労働基準監督署に相談をしたほうが良いケースについて紹介します。
- 賃金不払い
- 残業代未払い
- サービス残業
- 労働時間
- 休日
- 長時間労働
- 休日労働
- 解雇
- 最低賃金
などの労働基準法に直接関係する問題になります。
具体的には、
- 賃金や労働時間などの労働条件を書面で明示していない
- 時間外労働を行わされた
- 割増賃金が支払われていな
- 年一回の健康診断を実施していない
などの違反が寄せられています。
※参考「労働基準監督署の役割」https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/131227-1.pdf
いずれにしても、 自分が直面している問題が、労働基準法に違反するものかどうかわからない場合はまずは「総合労働相談コーナー」への相談がおすすめです。 「総合労働相談コーナー」であればあらゆる分野の労働問題を対象として相談を受け付けています。
まとめ:保育士の労働問題。労働基準監督署の役割とは?窓口や相談方法について紹介!
今回は、保育士の労働問題の解決手段として、労働基準監督署の役割、窓口や相談方法について紹介しました。各地域の労働基準監督署には総合労働相談コーナーが設置されています。
自分が直面している問題が、労働基準法に違反するものかどうかわからない場合はまずは「総合労働相談コーナー」への相談がおすすめです。そこで違反だとわかれば、労働基準監督署に取り次がれます。
労働問題は一人で抱え込まずに、専門の労働基準監督署、総合労働相談コーナーに相談することも検討してみてください。