これから就職・転職を考える保育士の皆様。保育園の設定する試用期間について理解しています。
今回は、保育士の就職時の試用期間とは一体どのようなものなのか、試用期間の途中で退職することはできるのかというような点を紹介します。
保育士の就職時の試用期間とは?
「試用期間」とは、企業が従業員を雇用する際に、職員としての適性を評価や判断をする期間になります。試用期間を終えたあとのことを一般的には、「本採用」と呼称します。試用期間がある保育園に保育士が雇用された場合は、試用期間後に本採用されることになります。
試用期間の長さは?
試用期間の長さは、会社の就業規則によって定められているため、期間の長さに統一されたルールはありません。そのため、勤務する保育園によって長さが違うということになります。多くの場合は、3ヶ月や6ヶ月になるでしょう。これから就職・転職を考える保育士の方は、事前に使用期間が何ヶ月になるのかを把握するようにしましょう。
研修期間との違い
研修期間は保育園が、保育士に対して教育指導をする期間を指しています。そのため、試用期間 = 研修期間というわけではありません。つまり、試用期間中に研修を受けるという保育園もあれば、本採用として研修を受けるという保育園もあります。もちろん、試用期間中に保育園の保育業務をするということもあります。
ただし、企業によっては、ここで言う試用期間のことを「研修期間」「見習い期間」「仮採用期間」などと呼称する場合もあるので注意しましょう。
保育士は試用期間中に退職できる?
保育士に限った話ではないですが、企業に雇用される従業員は、試用期間中であっても退職をすることが可能です。試用期間中かどうかに限らないですが、退職する日の2週間以上前に退職を申し出るようにしましょう。保育士の基本的な退職手順に関しては、試用期間かどうかに限らず同様になるので、以下の記事を参考にしてみてください。
保育士が試用期間後に解雇されることはある?
試用期間がある保育園でこれから働く方や、既に試用期間中で働いている方が気になるのは試用期間後に解雇されることがあるのかということだと思います。
結論としては、保育園が保育士を試用期間中や期間後に解雇できる場合もあります。
- 担当業務を遂行する能力を著しく有していない
- 応募書類の経歴や面接で聞いていたスキルに相違があり、業務に支障が出る
- 欠勤・遅刻・早退などが多く勤怠実績が芳しくない
上記のようなケースが挙げられます。また、上記に該当する場合でも、保育園には指導や注意などの企業努力を行っている必要もあります。
つまり、保育園が毎回注意・指導したのにも関わらず遅刻が治らなかったという場合は解雇が認められる可能性がありますが、一度や二度、遅刻してしまっただけという場合は、解雇が認められる可能性は低いでしょう。
つまり、保育士の場合は、保育士資格を保有していてきちんとシフト通りに無断で欠勤や遅刻をせずに勤務をしていれば、試用期間後に解雇される可能性はほとんどないでしょう。
逆に保育園側の一方的な理由で解雇はできません。一方的な理由とは、保育園の場合、
- 保育士の人数が足りたので不必要になった
- 保育園の運営費が足りなくなった
というような内容になるでしょう。もし、このような客観的に見ても合理的でない理由で試用期間後に解雇された場合は、解雇が無効となる可能性が高いので、労働関係の問題を取り扱う適切な機関に相談をしてみましょう。
試用期間中の待遇について
試用期間中の待遇に関しては、企業が独自に定めることができます。そのため、試用期間中は本採用とは異なり、給料を低く設定するということも可能です。ただし、最低賃金を下回ることはできませんし、試用期間中は残業代を支給しない、社会保険に加入させないということはしてはいけません。
これから就職・転職を考える保育士の方は、試用期間中の待遇について必ず確認するようにしましょう。
試用期間中の給料・賞与の扱い、担任などの扱いに注意
前項でも少し書きましたが、試用期間中の待遇に関しては、企業が独自に定めることができます。そのため、試用期間中は本採用期間と比べて給与が低く設定されている可能性があります。また、特に注意が必要なのは、賞与に関してはです。一部の保育園では、試用期間中は賞与の査定期間に含めないという場合があります。例えば、試用期間が3ヶ月の場合で、4月に入職した場合は、6月のボーナスは1円ももらうことができないということになります。 この場合は初年度の年収を大きく左右することになので、注意しましょう。
また、保育園で働く保育士の場合は、試用期間中は担任クラスなどを持たせないというポリシーがある場合もあります。これから就職・転職を考える保育士の方で、採用後は担任クラスをもってバリバリ働きたいという場合は、事前に試用期間中の業務内容についても確認しましょう。
試用期間がある場合には、求人票や募集要項において、試用期間があることや、試用期間中の労働条件を明示しなければならないことになっているため、求人を探す際はよく確認しましょう。
保育士は、試用期間がある保育園への就職は避けたほうが良い?
ここまで保育園で働く保育士の試用期間について紹介しましたが、これから保育園に就職や転職するという方が気になるのは、試用期間のある保育園への就業は避けたほうが良いのかという点だと思います。
ここまでの説明の通り、試用期間がある保育園で保育士が働くということにメリットは基本的に存在しません。雇用される保育士側から見れば、試用期間かどうかに限らず、二週間以上前に退職を申し出れば退職はできるためです。
唯一、試用期間がある保育園で保育士が働くということにメリットがあるとすれば、同僚となる保育士の質という観点になります。
これから同僚になるその保育園で働く保育士も、同様に試用期間を経て採用されているということになります。先程も書いたように、勤怠実績が芳しくないというような保育士がいた場合に試用期間終了後に解雇することができる場合があるので、きちんと試用期間という制度を活用できている保育園であれば、そのような人が同僚として本採用されていないということになります。このことは、これからその保育園で働く上で、自分自身にもメリットになるでしょう。その点を除けば、試用期間がある保育園で保育士が働くということにメリットは無いでしょう。
ただ、採用時に試用期間を設定している保育園は少なくないので、そのような保育園をあえて選択肢から外すというのは、自分にとってより良いホワイトな保育園を探すという観点では、少しもったいないです。
結論として、保育士は、試用期間がある保育園への就職は避けるほどのものではないということになります。ただし、前述したとおり、試用期間中の給料や賞与の扱いが、本採用の場合と比べて不利に設定されている可能性もあるので、その点は注意しましょう。
まとめ:保育士の就職時の試用期間とは?途中で退職できる?
今回は、保育士の就職時の試用期間とは一体どのようなものなのか、試用期間の途中で退職することはできるのかというような点を紹介しました。
試用期間は、保育園を運営する企業等が職員としての適性を評価する期間のことを指します。期間は3〜6ヶ月が多いですが、企業が独自に定めることができます。また、試用期間中は企業が独自に給与待遇を本採用と比較して低く設定することもできるので注意が必要です。
また、試用期間中であっても本採用の期間中と同様に、自らの意思で退職をすることができます。一方で、保育園が保育士を試用期間中や期間後に解雇できる場合もあります。ただし、保育園の一方的な理由や客観的に見ても合理的でない理由で解雇はできません。
これから就職・転職をする保育士の方は、試用期間に関しては、事前に試用期間中の待遇について確認しておけば、特段心配する必要はないでしょう。