保育園で働く保育士の皆様。
というような不満がある方もいらっしゃると思います。そもそも働き方改革は保育士に関係あるものなのでしょうか。
今回は、保育園で働く保育士が関係する働き方改革の内容や影響について紹介します。
その経験が参考になればと思います
働き方改革とは?
働き方改革は、政府が、一億総活躍社会の実現に向けて打ち出した方針です。
働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な遇の確保等のための措置を講じます。
主な内容は以下になります。
- 長時間労働の是正
- 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
- 柔軟な働き方がしやすい環境整備
- ダイバーシティの推進
- 賃金引き上げ、労働生産性向上
- 再就職支援、人材育成
- ハラスメント防止対策
※参考「厚生労働省:「働き方改革」の実現に向けて」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
働き方改革の背景
政府が働き方改革を推進している背景に、日本の「労働人口の減少」にあります。日本は少子高齢化による人口減少で、労働人口が減少傾向にあります。その状況を打開するために、従来の労働基準法などの改正が順次行われています。
保育園の保育士の働き方改革の難しさ
ここまでは、国が目指す「働き方改革」の概要などを紹介しましたが、保育園で働く保育士に対する働き方改革には、難しい点もあります。働き方改革以前の問題として、まだまだブラックな保育園もあり、既存の労働関連の法律も守れていない場合が多いためです。
- 休憩がまともに取れない
- サービス残業や持ち帰りの仕事が発生している
などが挙げられます。また、保育士特有の問題として、人手不足により子どもの人数に対する配置基準を下回って運営されてしまっているというような問題もあります。保育園で働く保育士の本音としては、働き方改革の前にまずは、このようなそれ以前の問題を解決してほしいという思いがあるでしょう。
また、就労している保護者の子どもを預かるという性質上、どちらかというと保育士の仕事は働き方改革の一翼を担っている存在でもあります。保護者が子どもを保育園に預けられないと、保護者は働くことができないので、そういった点でもジレンマがあると思います。
保育士に関係ある働き方改革関連事項
現時点で既に施行されていたり、施行が決定されている働き方改革に関連する法規制の中から保育士に関係しそうなものを紹介します。
時間外労働の上限規制
保育士でここまで長時間労働している人は少ないと思いますが、時間外労働、いわゆる残業の上限時間が規制されています。
時間外労働(休日労働は含まず)の上限は、原則として、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできなくなります。
※参考「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf
年次有給休暇の確実な取得(2019年4月から)
年休が10日以上付与される労働者に対して、年5日の年休を労働者に取得させることが使用者の義務となっています。保育園でフルタイムの保育士として働く場合は、入社半年後に10日間の有給休暇が付与されます。全労働日の8割以上を出勤すれば対象となります。
※参考「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf
正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差が禁止
正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差が禁止されています。
- 不合理な待遇差の禁止
同一企業内において、正社員と非正規社員の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されます。- 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
非正規社員は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に対してい説明を求めることができるようになります。
例えば、非正規の保育士として働いて、正規と全く同じ仕事内容をしているければ、給与額に違いがあるなんてい言う場合は、もしかしたら不合理な待遇差に該当するかもしれません。
※参考「パートタイム・有期雇用労働法が施行されます」https://www.mhlw.go.jp/content/000473038.pdf
時間外労働に対する割増賃金率の引き上げ(2023年4月より)
時間外労働に対する割増賃金率の引き上げも実施されます。
中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%になります
これにより大企業、中小企業問わず、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%となります。ただ、こちらについても保育士の方でここまで長時間労働している人は少ないかもしれません。
※参考「2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf
保育園で働く保育士はテレワーク・リモートワークが可能になる?
結論としては、保育士がリモートワークができるという保育園は皆無に近いでしょう。当然ですが、保育園に子どもが登園している時間は、保育士も保育園で勤務している必要があるため、今後もテレワーク・リモートワークが推進されていくということは無いでしょう。
例外として、新型コロナウィルスの緊急事態宣言中にリモートワークが実施された例も
例外として、保育園でも新型コロナウィルスの緊急事態宣言中にリモートワークが実施された例もあります。ただし、新型コロナウィルスの影響で保育園自体の休園やクラス単位での休園、登園自粛などが行われていて、出勤すべき保育士の人数も限定されているという状況下での話になります。今後も、このような例外的な出来事がない場合は、保育士がリモートワークができるようになるということは無いでしょう。
保育園で働く保育士はフレックスタイム勤務は可能になる?
フレックスタイム勤務は、労働者が労働の始業・就業時間などを決められた範囲で自ら決められるという制度になります。例えば、ある日は10時から19時で、ある日は8時から17時というような形です。保育園で多いシフト制とは、労働者自身が自分の出勤時間を決められるという点で違いがあります。政府の働き方改革の「柔軟な働き方ができる環境の整備」に該当するでしょう。
フレックスタイム勤務についても、保育園で働く保育士に導入されていくという可能性は無いと言えるでしょう。各保育士が自由に出勤してしまうと、必要な保育士の人数が確保できない場合があるので、今後も保育園で働く保育士がフレックスタイムでの勤務が可能になるということは無いでしょう。
まとめ:保育園で働く保育士に影響がある働き方改革の内容とは?テレワーク、フレックスタイム等。
今回は、保育園で働く保育士が関係する働き方改革の内容や影響について紹介しました。
保育園で働く保育士にとって大きな影響がある、働き方改革による新たな法制度は少ないでしょう。
また、働き方以前の問題として、
- 休憩がまともに取れない
- サービス残業や持ち帰りの仕事が発生している
というような問題や、保育士不足による一人あたりの負担増加などの別の問題も多いです。働き方改革以前の問題を解決することが先決なのかもしれません。