保育士の皆様。
これから退職をする方や、不幸にも保育園の倒産などにあってしまった場合に活用できるのが失業保険です。この失業保険の制度は、すこし複雑になっています。面倒くさいと思って申請しないと申請する場合と比べて大きな損をしていることにもなってしまいます。しかも黙って待っていれば受給できるというものでもないので、しっかりと自分で調べて、対象の機関に申し込む必要があります。
保育士の場合は、多少の空白期間があっても転職に支障はないため、退職してから失業保険を給付しながら転職活動を進めるということも可能です。
※参考「ハローワークインターネットサービス 雇用保険手続きのご案内」https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_guide.html
複数の保育士転職サイトを利用して転職活動をした経験があります
雇用保険手続きに関しては、ハローワークインターネットサービスの情報を参考にしています
その経験が参考になればと思います
失業保険ってなに?
失業保険は雇用保険の制度で、従業員が企業などを離職した場合に、再就職をするために求職している期間に給付を受けることができる保険になります。
雇用保険は基本的に、企業に雇われている場合は必ず加入している保険になります。雇用保険料も会社と折半して毎月負担しています。
詳細は後述しますが、 保育園に1年以上雇われていて退職した場合は、失業保険の給付の対象 になります。それ以外にもリストラや倒産などで失職した場合も給付の対象になります。
失業保険の受給金額の計算方法は?
失業保険の受給金額は、前職でも貰っていた給与をもとに計算されます。そして、失業保険の金額がいくらになるのかの計算式はとてもややこしいです。
- 直近6ヶ月の月給
- 交通費などの手当も含む、ボーナスは含まない
まずは上記の条件をもとに、賃金日額を計算します。賃金日額は、過去6ヶ月分の給与を一日あたりに換算した賃金になります。
賃金日額をもとに以下の条件によって、給付率(日額の何%を給付するか)が決定されます。
- 年齢
- 賃金日額の金額
基本的には、賃金日額が低い場合は給付率も高くなります。これは生活に必要な水準を考慮しているためです。低所得者ほど多い給付率で支給される仕組みです。
平均的な給与を貰っていた保育士の正職員の場合は、賃金の日額の50%〜80%程度が支給されると考えて良いと思います。
正確な金額は、改めて厚生労働省などが発表している計算式をもとに算出してください。
給付率の計算方法は、厚生労働省によって毎年改定され公表されます。これは前年度の勤労統計における平均給与額の変動比率などをもとに、その年の給与水準に修正されるためです。
失業保険の支給期間は?
失業保険は、その人の雇用保険の加入状況や退職理由によって貰える期間がことなります。これを所定給付日数と言います。
失業保険は、所定給付日数分、もしくは、次の職が決まるまでの間の日数分を受給することができます。
自己都合の場合
自己都合の退職というのは、基本的には自分から退職を申し出た場合にあたります。
この場合の所定の給付日数は被保険者期間によって以下のようになっています。
被保険者期間 | 所定給付日数 |
---|---|
1年以上10年未満 | 90日 |
10~19年 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
被保険者期間とは雇用保険に加入していた期間になります。(=会社に雇用されていた期間)
会社都合の場合
会社都合の退職というのは、会社の解雇(リストラ)・倒産などで退職した場合にあたります。
この場合は、被保険者期間と離職時の年齢によって所定給付日数が異なります。
会社都合で退職した人の所定給付日数【離職時の年齢がの場合】
被保険者期間 | 所定給付日数(29歳以下) | 所定給付日数(34歳以下) | 所定給付日数(44歳以下) | 所定給付日数(59歳以下) | 所定給付日数(64歳以下) |
---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
1~4年 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
5~9年 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
10~19年 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
20年以上 | – | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
失業保険の受給には待機期間がある
失業保険には失業保険が支給されない期間である待期期間というものが存在します。待機期間の間は失業保険の給付を受けることはできません。
自己都合での退職の場合は、待機期間の後、3ヶ月間の給付制限があります。この期間は失業保険を受け取ることはできません。
会社都合での退職の場合は、待機期間の後から最大で所定の給付日数分の給付を受けることができます。
雇用保険には通算制度がある
雇用保険の加入期間には通算制度があります。上記に上げた被保険者期間というのは一つの会社での加入期間でなければいけないというわけではありません。
前職などと通算することができるので、前職で雇用保険に加入していた年数も被保険者期間に含めることが可能です。
例えば、3年間ある会社に働いていて、転職(失業保険を受給せずに)をし、その後2年間別の会社に勤務した場合は、被保険者期間は5年間ということになります。
つまり「転職後すぐに退職した」という場合でも、失業保険の給付の対象となる場合があるので注意が必要です。
申込方法は?
失業保険の受給の申込方法を解説しています。
どこに申し込めば良い?
失業保険の受給の申請は、住んでいる地域を管轄するハローワークに行く必要があります。ハローワークの事業所ごとに管轄している市区町村があります。
受付時間は月曜日~金曜日の平日の日中のみになっているので注意が必要です。
必要な書類など
申請に必要な書類などは以下のようになっています。
- 雇用保険被保険者離職票
- 個人番号確認書類(いずれか1種類)
- マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)
- 身元(実在)確認書類
- 運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
- 写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚
- 印鑑
- 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード
これらを持参して最寄りのハローワークに出向く必要があります。
このうち、雇用保険被保険者離職票に関しては、保育園から貰う必要があります。退職の際に伝えておかないと用意してくれないこともあるので注意しましょう。
失業保険はいつから貰える?いつ申し込めば良い?
前項では失業保険の給付には、7日間の待機期間と、自己都合の場合は3ヶ月間の給付制限があるということを紹介しました。
それではその待機期間というのはいつから発生するのでしょうか。それは、離職票を提出し、申請をしてから7日間ということになります。ちなみに申請は基本的にはハローワークで平日のみ受け付けています。
つまり、 退職をしたらできるだけ早く申し込みを行うことが素早い給付に繋がります。
保育園側の離職票などの書類送付に関しても、退職後すぐに届くとは限らなないので注意が必要です。
申込みが遅れれば遅れるほど、給付の期間も後ろ倒しになります。その期間に就職先が決まれば、給付は打ち切りになってしまいます。
失業保険を受給できる基準は?
申込みをしてしまえばあとは自動的に受給対象となるというわけではありません。
あくまでも失業保険は、求職している期間中の保証という扱いになるので、求職活動をしているという実績が必要です。
失業保険の受給期間中は、ハローワークに対して月に2回以上の求職活動を行っている実績を示すことが求められます。
求職活動を行っている実績というのは、簡単にいうと「保育園の面接を受ける」ということになります。
ハローワークで求人を紹介してもらって面接を受けるのも良いですが、保育士の転職サイトに登録して面接を受けるのもおすすめです。
保育士の転職サイトであれば、保育園側とのやり取りも代行してくれ、内定の辞退なども代わりの保育園側に伝えてくれます。これならじっくり転職活動を進めることができます。
これなら失業保険を貰いながらじっくり働く保育園を見極めることができると思います。
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自己都合か会社都合かは異議申し立てができる
離職票は会社が発行するため、会社側が「自己都合」か「会社都合」かを記載しています。
実質的に解雇に等しいのに、自分から辞めるという形になった等、退職の内容によっては異議申し立てをすることによって訂正してもらうことが可能です。
異議申し立てはハローワークにすることで、会社に対して調査が行われます。客観的な情報などが必要なので、実質的な解雇に相当する場合などは、あらかじめ書類などの情報を残しておくと良いです。
まとめ:退職した保育士の失業保険の受給方法、支給条件を解説。
失業保険についてまとめると以下のようになります。
- 失業保険は、失業している間、規定の期間、給付を受けられる
- 保育園に1年以上雇われていて自己都合で退職した場合は、失業保険の給付の対象
- リストラや倒産など会社都合で失職した場合も給付の対象
- 失業保険は申請から7日間の待期期間後に支給される
- 自己都合での退職の場合は、待機期間の後、3ヶ月間の給付制限がある
- 離職票は退職の際に伝えておかないと用意してくれないこともあるので注意
- 退職をしたらできるだけ早く申し込みを行うことが素早い給付に繋がる
保育士は、多少の空白期間があっても転職に支障はないため、退職してから失業保険を給付しながら転職活動を進めるということも可能です。
保育士がブラック保育園に就職しないためには、焦らず、金銭的にも精神的にも余裕を持つことが大切なので、該当する場合は失業保険の給付を検討すると良いと思います。