目次 | 内容 |
---|---|
保育園で働く保育士の残業代が出ないのは当たり前? | ・保育士の残業代が出ないのは、当たり前ではなく違法行為 ・多くの保育士が残業代が正しく支払われていないと感じる実態がある ・短い残業時間や持ち帰り仕事も残業として扱われる場合がある |
保育園で働く保育士の残業時間の基準とは? | ・残業代の支給基準は1日8時間または週40時間を超える労働時間 ・この基準は法律で定められ、保育園が勝手に決められない ・パート保育士も正職員と同様に、この基準を超えた労働時間に対して残業代が支払われる対象 |
残業時間は割増賃金の支払いが必要 | ・保育園は保育士の残業時間に対して、通常の賃金に加え割増賃金を支払う義務がある ・残業の割増率は125% ・休日労働は135%、深夜労働(午後10時から午前5時の間)は125%の割増 |
残業代(割増賃金)の時給の計算方法は? | ・パート保育士の時給は契約時給をそのまま使用 ・正職員は月給から一部の手当(家族手当など)を除き、1ヶ月あたりの平均労働時間で割って1時間あたりの賃金を算出 ・支払われた残業代は毎月の給与明細で確認が可能 |
こんな場合は残業になる? | ・持ち帰り仕事や、シフト開始前の強制的な準備時間は残業として認められる可能性が高い ・業務として指示され、指揮命令下で行われたものは労働時間とみなされる ・自身の勤務実態が残業に該当するかは、労働基準監督署などへ相談するべき |
残業代が正しく支払われていない場合の対処法はある? | ・正確な出勤・退勤時間を自分で記録することが重要、これが証拠となる ・集めた証拠をもとに、労働基準監督署や労働関係の法律に詳しい弁護士へ相談 ・未払い残業代の請求が可能になる場合がある |
保育業界では残業代が出ないのは当たり前と思わずに転職をしよう! | ・残業代をきちんと支払う保育園は多数存在する ・残業代が出ない園は、業務改善が進まず非効率な傾向 ・法令遵守意識が低い場合が多く、保育の質や他の労働条件も劣悪な可能性 ・正しく残業代が支払われる園への転職を検討することが有効な選択肢 |
まとめ:保育園の保育士の残業代が出ないのは当たり前?正しく支払われているか確認しよう! | ・保育士の残業代は正しく支払われるべき当然の賃金であり、出ないのは違法 ・自身の残業代が適切に支払われているかの確認が重要 ・残業代を支払う園は業務改善が進み、人間関係や労働環境が良好になる傾向 ・未払いがあれば、証拠収集や相談を通じて改善を求めるべき |
よくある質問(FAQ) | ・残業代が支払われないのは当たり前ではなく、法定労働時間を超えた労働には割増賃金が必要 ・持ち帰り仕事やシフト前の準備も、業務指示があれば残業代の対象となる可能性 ・自分の残業代は、勤怠記録や給与明細で確認し、就業規則と比較することで把握可能 ・未払い残業代があった場合は、証拠を集めて労働基準監督署や弁護士に相談を推奨 ・残業代が支払われない園は、転職を検討する一つの理由となる |
- 保育園の保育士の残業代が出ないのは当たり前?
- 勤務している保育園で残業代は正しく支払われている?
もしかしたら、あなたも「保育園で残業代が出ないのは当たり前」と思っているかもしれませんね。
しかし、その認識は誤りです。
この記事では、保育士の残業代が正しく支払われているか確認する方法や、未払いがあった場合の具体的な対処法について、労働基準法に基づいて詳しく解説しています。

本当に残業代って、出ないのが当たり前なんですか?どうしたら確認できるでしょう?

保育士の残業代が出ないのは当たり前ではありません。正しい知識を持って、適切に確認しましょう。
ブラック保育園の園長は「保育園はどこも残業代なんて出ないのが当たり前」というかもしれませんが決してそうではありません。現に、私が勤務している保育園や過去に勤務していた保育園では残業代はきちんと支払われていました。
結論から先に書きますが、保育園で働く保育士の残業代が出ないのは当たり前ではありません。残業代が正しく支払われていない場合は、きちんと証拠を残して、労働基準監督署や労働関係の法律に詳しい弁護士事務所などに相談することで、残業代を請求することができる場合があります。ただ、それもそれなりの労力がかかるので、とりあえずすぐできる対処として転職を検討すべきです。
正しく支払われているかしっかり確認し、もし残業代が正しく支払われていない場合は、残業代が出ないのが当たり前と思わずに、残業代が出る保育園に転職することを検討することをおすすめします。
その経験が参考になればと思います
保育園で働く保育士の残業代が出ないのは当たり前?
長く保育士をしていて、たくさんの保育園で勤務経験がある方は、残業代が正しく支払われていないと感じたことがある方は多いと思います。
実際に残業代が正しく支給していない保育園も少なくは無いと思います。もちろん、客観的な正しい統計データはありませんので、どれくらいの保育園で残業代が正しく支払われていないのかどうかということは計り知ることができません。
完全に私の個人的な感覚ですが、周囲の話などを聞く限り、残業に関して適切に支払われていないなと感じている保育士は結構多い印象です。
まったくの残業代がゼロということではなくても、例えば、
- 15分程度の残業であればなかったことせざるを得ない
- 残業にしたくないため、一部持ち帰りの仕事にさせる
- シフトの始業時間より30分前に来なければいけない
などです。
私の場合は、ブラック幼稚園での経験でしたが、勤務時間に限らず残業時間が支払われたことは一度もありませんでした。当時は新卒でその幼稚園に就職したので、それが当たり前だと思っていました。
私と同じように、残業代が支払われないのが保育業界では、当たり前と思ってしまっている人もいるかも知れません。ただ、言うまでもないですが、保育園で働く保育士の残業代が出ていないのは当たり前ではなく、違法になります。
ブラック保育園の園長は「保育園はどこも残業代なんて出ないのが当たり前」というかもしれませんが決してそうではありません。
保育園で働く保育士の残業時間の基準
保育園で働く保育士に限った話ではないですが、残業代の支給にはきちんとした法律上の基準があります。保育園が勝手に決めて良いわけではありません。
基本的に残業時間として、割増賃金が支払われるのは 1日8時間・週40時間を超えた部分の労働時間 になります。
例えば下記の例ではそれぞれ残業時間が発生します。(今回の例では休憩時間を除いています。)
- 1日9時間労働して、週5日(合計45時間)労働した場合 -> 5時間の残業
- 1日8時間労働して、週6日(合計48時間)労働した場合 -> 8時間の残業
- 1日9時間労働して、週2日(合計18時間)労働した場合 -> 2時間の残業
このように1日8時間を超えた時間に関しては、週40時間を超えていなくても残業時間として、割増賃金が発生します。
ただし、「変形労働時間制」と言われる勤務形態で雇用されている場合は、残業時間の基準が少し異なります。変形労働時間制については、以下の記事で解説しています。
パート保育士でももちろん残業代は支払われるべき
一日8時間・週40時間を超えた部分の労働時間に関しては、パート保育士であっても、もちろん、残業代の支給の対象になります。
例えば、8時間勤務の予定の保育士が残業を行って9時間の勤務をした場合は、1時間分の残業が発生したことになります。なので、最後の1時間分は割増賃金として、通常、時給の1.25倍の残業代になります。
一方、7時間勤務の予定の保育士が残業を行って8時間の勤務をした場合は、一日8時間を超えないので、割増賃金は発生しません。なので、単純に時給の8時間分の時給を受け取ることになります。
このように、パート、正職員、派遣、契約社員などの雇用形態に限らず、残業代はきちんと支払われるべきものになります。
残業時間は割増賃金の支払いが必要
保育園で働く保育士の残業代が出ないのは当たり前ではなく、保育園は保育士の残業時間に対して、その分の賃金はもちろん、それに加えた割増賃金を支払う義務があります。
割増賃金は以下のような基準で支払われます。
割増賃金の種類 | 割増率 |
---|---|
残業時間 | 125% |
休日労働 | 135% |
深夜労働(午後10時から午前5時の間) | 125% |
休日労働というのは保育園が休日と定める日に対する出勤のことで、多くの認可保育園の場合は、日曜日と祝日が休日に設定されていることが多いと思います。
残業代(割増賃金)の時給の計算方法は?
前項で残業時間に関しては割増賃金を支払う必要があると書きましたが、自分の残業代を知るには、実際にそのベースとなる1時間あたりの賃金を知る必要があります。
一時間あたりの賃金は、パート保育士として働いている場合は、契約している時給がそのベースとなる金額になるのでわかりやすいと思います。
正職員の保育士の場合は、月給を1ヶ月あたりの平均所定労働時間で割ることで求めることができます。正職員の場合は、基本的に様々な手当が基本給にプラスされて月給という扱いになっているのでやや計算が難しいです。
- 家族手当
- 通勤手当
- 住宅手当
などを月給から引いた金額を一月あたりの平均の所定労働時間で割った金額が、その人の1時間あたりの賃金になります。
おおよそ、所定労働時間は160~190時間程度に設定されていることが多いと思います。保育園の就業規則などを確認してみましょう。
残業代が正しく支払われているかどうか確認してみよう
保育士の方は、前述の計算をもとに、自分の残業代が正しく支払われているかどうか確認してみましょう。
残業代(割増賃金)は給与明細で確認できる
保育士が支払われている残業代は、毎月の給与明細で確認することができます。超過勤務の時間と残業の金額が記載されているはずです。当月の残業分は翌月の支払いになっている場合が多いと思います。
その月の自分の勤務実態と照らし合わせて、残業時間が適切かどうか、そして、自分の一時間あたりの賃金が正しいこと、そしてきちんと割増分の賃金が支払われているかどうかがポイントになります。
こんな場合は残業になる?
残業代は正しく支払われるべきだというのはもちろんわかっていても、実際どこからが残業になるのかよくわからないという方も多いと思います。
- 持ち帰りの仕事をしている場合
- シフト時間の前に出勤を強制させられている場合
このようなケースも残業として認められる可能性が高いです。
個別のケースによって状況や事情が異なると思うので、自分の勤務の実態が残業に該当するかどうかを確認したい方は、労働基準監督署や労働関係の法律に詳しい弁護士事務所などに相談することをおすすめします。
残業代が正しく支払われていない場合の対処法はある?
正確な出勤時間や退勤時間を自分で記録しておくことでそれが証拠になる場合もあるようです。きちんと証拠を残して、労働基準監督署や労働関係の法律に詳しい弁護士事務所などに相談するこことで、残業代を請求することができる場合があります。
保育業界では残業代が出ないのは当たり前と思わずに転職をしよう!
保育業界では残業代が出ないのが当たり前と思ってしまっている人も少なくないと思います。でも実際は、残業代がきちんと出る保育園もたくさんあります。そして、残業代をきちんと支払う保育園ほど、残業時間が少なくなります。保育園が残業を抑制するために効率化をしようとするためです。
正しく残業代が支払われていない保育園のデメリットは残業代だけではない
もちろん、働いた分の残業代が貰えないというのは、保育士にとっては当たり前のデメリットになりますが、それ以外にも正しく残業代が支払われていない保育園には大きなデメリットがあります。
それは、 保育園の保育士の業務や働きやすさなどが改善されにくい ということです。
保育園に限らず一般の企業では、残業代を支払うことで人件費が高くなり会社の利益を圧迫するため、残業を減らそうという考えになります。そのために業務を効率化しよう、もっと働きやすくしようという改善が生まれます。
ですが、残業代が正しく支払われていない会社の場合は、何もしなくても会社の利益が減るわけではないため、効率が悪くなっても、サービス残業をさせれば良いという考えになってしまいます。
正しく残業代が支払われている保育園は、業務の効率化も進んでいきますが、そうでない保育園は非効率な部分はすべて保育士のサービス残業でカバーすることになりので、保育園自体に改善意識が生まれにくいです。
いつまで経っても古いやり方に固執している保育園はこのような背景があって生まれているのかもしれません。
保育業界では残業代が出ないのは当たり前と思わずに転職をしよう!
保育業界では残業代が支払われないということは当たり前ではありません。保育園はたくさんありますし、残業代がきちんと支払われる保育園もたくさんあります。
残業代がきちんと支払われていないという保育園は、法令遵守意識がかなり低いので、それ以外の側面でも、働く保育士にとって良くない部分が多いとも思います。
例えば、保育の質が低い、処遇改善が保育士に正しく支払われない、パワハラ・モラハラが発生するなどです。ブラックだとわかりきっている保育園にわざわざしがみつく必要はないので、もし残業代が正しく支払われていない場合は、残業代が出ないのが当たり前と思わずに、残業代を出る保育園に転職することを検討することをおすすめします。
まとめ:保育園の保育士の残業代が出ないのは当たり前?正しく支払われているか確認しよう!
この記事では、保育園の保育士にとって、残業代が正しく支払われるべき当然の賃金であることをお伝えしてきました。
あなたの労働は正当に評価されるべきです。
保育園の保育士の残業代が出ないのは当たり前ではありません。きちんと残業代を支払う保育園は多いです。そして、残業代をきっちり支払う保育園ほど人間関係も労働環境もより良くなる傾向があります。
それは、保育園にとっても残業代は痛い出費になるので、保育士の業務を改善して残業時間を少なくしようという力が働くためです。
このことによって保育士一人ひとりが効率よく働くことができ、仕事の押し付け合いも少なくなり、人間関係も改善されていく傾向があります。人間関係が良いと離職する人も少なくなり、さらに効率的に働くことができるようになります。
このように残業代が出ないということは、その事自体だけではなく、保育士の労働環境をさらに悪くする原因にもなります。もし残業代が正しく支払われていない場合は、残業代が出ないのが当たり前と思わずに、残業代を出る保育園に転職することを検討することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
- Q保育園で残業代が出ないのは、本当に当たり前なのでしょうか?
- A
保育園の残業代が支払われないのは、決して当たり前ではありません。
労働基準法では、法定労働時間を超えて働いた場合には、割増賃金を含む残業代が支払われるべきであると明確に定められています。
もし残業代が正しく支払われていない場合は、それは違法な状態です。
- Qどのような状況だと、残業代が支払われる対象になるのでしょうか?
- A
残業代は、1日8時間または週40時間の法定労働時間を超えて労働した場合に支払われる対象となります。
例えば、8時間勤務の予定で9時間働いた場合、1時間分の残業が発生します。
パート保育士の方であっても、正職員と同様に、この基準を超えた労働には残業代が支払われます。
- Q持ち帰り仕事や、シフト開始前の準備時間も残業代の対象になりますか?
- A
はい、持ち帰り仕事や、シフト開始前や終了後に行う準備時間、研修なども、業務として指示され、指揮命令下で行われたものであれば、労働時間とみなされ、残業代の対象となる可能性があります。
ご自身の労働時間として、しっかりと記録に残しておくことが重要です。
- Q自分の残業代が正しく支払われているか、どうすれば確認できますか?
- A
ご自身の残業代が正しく支払われているか確認するには、まずタイムカードや勤怠記録、業務日報などで労働時間を正確に把握してください。
次に、給与明細を確認し、基本給、各種手当、残業手当の記載をチェックします。
雇用契約書や就業規則に記載されている残業代の計算方法と比較して、実際の残業時間に見合った金額が支払われているかを確認しましょう。
- Qもし未払いの残業代があった場合、どこに相談すれば良いでしょうか?
- A
未払いの残業代があると感じた場合、まずはご自身で証拠となる勤務記録や給与明細を集めてください。
その後、園の人事担当者や上司に相談することが最初のステップです。
それでも解決しない場合や、相談が難しいと感じる場合は、労働基準監督署や、労働問題に詳しい弁護士、労働組合に相談することをおすすめします。
- Q残業代が支払われない保育園で働き続けるべきか悩んでいます。どうすれば良いでしょうか?
- A
残業代が正しく支払われない保育園は、法令遵守意識が低い場合が多く、サービス残業の常態化だけでなく、業務改善への意識が低いなど、働きにくさに繋がる他のデメリットも抱えている可能性があります。
残業代がきちんと支払われ、より良い労働環境が整っている保育園はたくさんありますので、転職を検討することも大切な選択肢の一つです。