目次 | 内容 |
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そもそも変形労働時間制とは? | ・労働時間を一定期間で平均する制度 ・特定の日や週で長く働き、別の日は短く調整 ・週の労働時間が平均40時間以内になるよう運用 ・月末や季節により忙しい仕事で導入 |
保育園はなぜ変形労働時間制を導入している? | ・主な理由は残業代の費用を抑えるため ・行事前などの忙しい時期に長く勤務し、人員に余裕がある時に勤務時間を短縮 ・月間の労働時間を調整し、残業代の支払いを削減 ・日によって子どもの人数が変動する園でメリット |
変形労働時間制の保育園はこんな働き方になる? | ・日々の勤務時間が固定されず変動する可能性あり ・例として、週6日勤務で1日6〜8時間、または週4日勤務で1日10時間など ・勤務パターンは園や時期により異なり、入職前の確認が重要 |
変形労働時間制の保育園で働く保育士のメリット・働きやすさ | ・忙しい時期に集中して働き、暇な時に早く帰れる柔軟な勤務 ・週末の3連休を有給休暇なしで取得できる場合がある ・1日あたりの勤務時間を短縮し、出勤日を増やすことも可能 ・給与は時短勤務と異なり、減額されないことが多い |
変形労働時間制の保育園で働く保育士のデメリット・働きにくさ | ・日々の勤務時間や休みが安定しにくい ・シフトの確定が遅れることで、プライベートの予定が立てにくい場合も ・1日の勤務時間が長くなることで、体調を崩す可能性 ・結果的に残業時間が調整され、残業手当が減る傾向 |
変形労働時間制の保育園の求人はどのような点に注意すれば良い? | ・祝日の取り扱いについて詳細を確認する必要がある ・面接や見学時に、なぜ変形労働時間制を導入しているのか園に直接質問 ・制度の仕組みだけでなく、園全体の法令をきちんと守る意識や人間関係も重要 ・保育方針や園長の人柄がご自身に合うかを見極めることが大切 |
【まとめ】保育園の保育士求人にある変形労働時間制とは?長所短所や働きやすさについて | ・週平均労働時間を守りつつ、日や週の労働時間を柔軟に設定する制度 ・保育園側は残業代の抑制を目的に導入することが多い ・働き方の不安定さや残業代減少の可能性があり、連休取得などのメリットもある ・制度の良し悪しより、園の法令遵守意識や人間関係など職場の質が重要 |
よくある質問(FAQ) | ・日々の勤務時間は日や週によって変動し、シフト制勤務が基本 ・期間内の総労働時間を超えた分は残業代が発生する仕組み ・連休取得のしやすさなど、プライベートとの両立にメリットをもたらすことも ・面接では具体的なシフトや希望休の考慮、繁忙期の業務内容などを確認 ・制度だけでなく、園全体の法令遵守や人間関係、保育方針など総合的に見極めが重要 ・勤務時間の長さ、業務内容、精神的・身体的負担を考慮し、ご自身にとって「きつい」働き方か判断 |
- 保育士求人でたまに見かける変形労働時間制ってなに?
- 変形労働時間制の長所短所や働きやすさ・注意点を知りたい
保育士として転職を考える際、「変形労働時間制」という言葉を目にして、その意味や働き方について疑問に思う方は少なくありません。
特に大切なのは、この制度がご自身の働き方にどう影響するかを正しく理解することです。
この記事では、保育園における変形労働時間制の基本的な仕組みから、保育士として働く上でのメリット・デメリット、そして求人を見極める際の注意点まで、知っておくべき情報を分かりやすく解説しています。

変形労働時間制って、なんだか複雑で、本当に自分に合った働き方ができるのか不安だな

この記事を読めば、その不安を解消し、ご自身にとって最適な保育園選びのヒントを見つけることができます。
複数の保育士転職サイトを利用して転職活動をした経験があります
その経験が参考になればと思います
そもそも変形労働時間制とは?
保育園に限らないですが、労働者を雇用する場合は、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけないことになっています。なので多くの保育園は1日8時間で週5日の勤務時間を設定していると思います。
ただし、変形労働時間制を利用する場合は以下のように運用することが可能になります。
変形労働時間制は、労使協定または就業規則等において定めることにより、一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができます。「変形労働時間制」には、(1)1ヶ月単位、(2)1年単位、(3)1週間単位のものがあります。
※厚生労働省「労働時間・休日」よりhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/index.html
つまり、ある日は10時間労働し、とある日は6時間労働するというような柔軟な時間設定が可能になります。
例えば、月末が特に忙しくなるような業種、季節ごとに繁忙期があり、忙しさが月ごとに異なるような業種で多く導入されていることがあります。
保育園はなぜ変形労働時間制を導入している?
保育園でもあまり多くはないですが、変形労働時間制を導入している園があります。保育園が変形労働時間制を導入している一番の理由は 残業代の抑制(人件費の抑制) のためです。
例えば、行事前などで保育士が準備で忙しい時期があるとします。そのような時期のある日にある保育士が10時間働いた(2時間の残業をした)とします。
変形労働時間制を導入している保育園の場合は、人員に余裕がある翌週に当該保育士の6時間勤務の日を設けることができます。こうすると、月間の労働時間は変わらないので、保育園の残業代を支払う必要はありません。
一方、変形労働時間制を導入していない保育園は労働時間を変えることができないので、仮に翌週に人員に余裕があったとして当該保育士は8時間勤務する必要があります。つまり、2時間分の残業代を保育士に支払う必要があります。
細かい部分を省略して簡単に説明するとこのような形になります。変形労働時間制の場合は、繁忙状態に合わせて臨機応変に働く保育士の労働時間を設定できる可能性があり、それが残業代の抑制に繋がります。
行事前がとても忙しい場合や、一時保育などを行っている保育園は、日によって子どもの人数も異なってくると思うので、特に変形労働時間制を導入するメリットが出て来ると思います。
定額働かせ放題ではない
勘違いしては行けない点ですが、変形労働時間制を導入していても、月単位、もしくは、年単位で設定した労働時間を超えた場合はその部分に関しては残業代を支払う必要があります。変形労働時間制だからといって残業代が支払われないということはあってはならないことです。
変形労働時間制の保育園はこんな働き方になる?
先程も少し変形労働時間制で働く際の例を出しましたが、もう少し詳しく解説します。
- 例:週6日間働く場合
月曜日:6時間労働
火曜日:6時間労働
水曜日:6時間労働
木曜日:6時間労働
金曜日:8時間労働
土曜日:8時間労働
日曜日:休み
合計:週40時間労働
- 例:週4日間働く場合
月曜日:10時間労働
火曜日:10時間労働
水曜日:10時間労働
木曜日:10時間労働
金曜日:休み
土曜日:休み
日曜日:休み
合計:週40時間労働
変形労働時間制の保育園で働く場合は、このような働き方になる可能性もあります。その場合、上記はどちらの場合も同じ給与になるはずです。
これが毎週固定の場合もありますし、繁忙期などの状況によって、毎日様々な労働時間になる場合も考えられます。
どのような働き方になるのかは、保育園によっても、時期によっても異なってくると思うので、あくまでもこのような働き方になるかもという例になります。
実際に変形労働時間制の保育園に就業を希望する場合はどのような働き方が想定されるのかをしっかりと事前に確認しましょう。
変形労働時間制の保育園で働く保育士のメリット・働きやすさ
変形労働時間制の保育園で働く保育士にメリットや働きやすさはあるのでしょうか。
多様な働き方が可能になる
忙しい時にしっかりと働いて、暇な時は早く帰って休むということが可能になります。例えば、うまく変形労働時間制が活用できている保育園であれば、週末を3連休にして旅行に行くということが有給休暇を使わずに可能になります。
もしくは、一日8時間の勤務は長いなぁと思う方であれば、前項に上げた通り、一日あたりの労働時間を減らしつつ、出勤日を増やすことも可能です。
類似の時短勤務制度などがあると思いますが、それとは違い、支給される給与に差がないのがメリットになります。
保育士の給与は良いかも?
もし本当に良い保育園であれば、残業代の支払いが抑制できる分、保育士の給与に反映されている可能性もあります。
だらだらと残業している人が残業代を稼いで得をするということが発生しにくくなるので、ある意味公平に保育園の人件費を行き渡らせることができるでしょう。
あくまでも可能性の話なので、変形労働時間制の保育園がすべて保育士の給料が高いというわけではないので気をつけてください。
変形労働時間制の保育園で働く保育士のデメリット・働きにくさ
逆に、変形労働時間制の保育園で働く保育士のデメリット・働きにくさについて紹介します。
働き方が不安定になる
月単位や年単位での労働時間の設定になるので、一日8時間週5日という安定した働き方にならないこともあります。
シフトが出ないとプライベートの予定が立てにくかったり、一日あたりの労働時間が長くなり、体調に支障をきたす可能性もあるかもしれません。
支給される残業代が減る
先に説明したように結果的に労働時間を調整できるため、残業時間が減ることに繋がります。厳密には、働いた時間分の給与はしっかり貰えるので、働いた時間に対して損をするというわけではないです。
ただし、もし仮に「変形労働時間制の保育園 + サービス残業をさせる」となってしまったら最悪の形になってしまうので注意しましょう。
変形労働時間制の保育園の求人はどのような点に注意すれば良い?
変形労働時間制の保育園の求人はどのような点に注意すれば良いのかを紹介します。
祝日の取り扱いに注意
変形労働時間制の保育園では、おそらく、月単位で法定労働時間以内の労働時間が設定されていると思います。月によって日付の日数が異なるので、例として以下のように就業規則に設定になると思います。
- 28日: 160時間
- 29日: 165.7時間
- 30日: 171.4時間
- 31日: 177時間
注意が必要な点は、日本には土日だけではなく、祝日があるという点です。例えば、2020年の5月を例に考えると、5月は31日まであるので、上記の設定だと177.1時間が労働時間になります。
2020年は5月に3日間の祝日があり、平日の日数は18日になります。平日毎日働いたとすると、
- 18日 × 8時間 = 144時間
合計144時間の労働になります。変形労働時間制で上記の労働時間を規定している保育園の場合は、月の労働時間が足りないという状況になってしまいます。
なので保育園は、保育士を毎週土曜日にも出勤させるということが可能になります。その場合の労働時間は合計184時間になります。内訳は177時間通常勤務の7時間残業という形です。毎週土日に出勤しているのにほとんど残業代もつかないので、通常と比べてかなり損した形になってしまいますよね。
その保育園の就業規則において、日曜日・祝日・年末年始などを休日と定めていない場合は、このような働かせ方も可能になってしまいます。
実際に変形労働時間制の保育園に就業を希望する場合はどのような運用になっているのかをしっかりと事前に確認しましょう。
なぜその保育園が「変形労働時間制」を導入しているのかを理解する
面接や見学の際に、なぜ「変形労働時間制」を導入しているのか、保育園や働く保育士にはどのようなメリットがあるのかをストレートに聞いてみましょう。
その返答によって、保育士の働き方のことを考えているのか、人件費のことだけを考えている園なのかわかると思います。
制度の良し悪しよりも保育園自体の良し悪しが重要
保育士が働く保育園を選ぶ上で大切なのは、結局のところ、通常の労働時間制なのか変形労働時間制なのかということよりも、その保育園自体の良し悪し、そして、その保育士に合う合わないが大切です。
あまり制度自体にとらわれずに、保育園自体の法令遵守意識や人間関係、園の保育方針や園長の人柄など、個人が働く上で大切にしている部分をしっかりと見極めましょう。
【まとめ】保育園の保育士求人にある変形労働時間制とは?長所短所や働きやすさについて
この記事では、保育士求人における変形労働時間制の仕組みと、実際に働く上でのメリットやデメリット、注意すべき点を詳しく解説しました。
この制度は、多様な働き方を可能にする一方で、運用次第では働き方が不安定になる可能性も考慮する必要があると理解することが重要です。
保育士の変形労働時間制を理解するポイントは以下の通りです。
私の個人的な意見になりますが、その保育園の内部に知り合いなどがいて、労働環境や人間環境が良いということがある程度わかっている場合などを除いて、
数多くある保育園の中からあえて「変形労働時間制」を採用している保育園を選ぶ必要はないと考えます。注意点で説明したとおり、「変形労働時間制」にはかなりややこしい部分も多く、制度をしっかり理解する必要があるためです。そして、その割にあまり働く保育士に対してメリットがある制度になっているとは思えないです。
面接や見学の際に、なぜ「変形労働時間制」を導入しているのか、保育園や働く保育士にはどのようなメリットがあるのかをストレートに聞いてみて、内容をしっかりと理解しましよう。
そして、何よりもご自身の働き方や価値観に合う保育園を見つけるため、法令遵守意識、人間関係、保育方針、園長先生の人柄といった、制度以外の園の状況を総合的に見極めて、後悔のない職場選びを行いましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q変形労働時間制の保育士求人、日々の勤務は不規則になるのでしょうか?
- A
変形労働時間制の求人では、勤務時間が日や週によって変動する可能性があります。
この制度は、一定期間内の総労働時間を平均して法定労働時間内に収めるため、業務の状況に応じて柔軟にシフトが組まれるためです。
シフト制での勤務が基本となる園が多いでしょう。
- Q変形労働時間制の保育園だと、残業代は発生しないと聞きましたが本当ですか?
- A
変形労働時間制が導入されていても、残業代は発生します。
ただし、定められた期間内での総労働時間を超えた場合に残業代が支払われる仕組みなので、日々の勤務で法定労働時間を超えても、期間内で調整されれば残業代が発生しない場合があるということです。
正確な支払いのためにも、月の総労働時間や給与明細をきちんと確認することが大切です。
- Q変形労働時間制の求人は、プライベートとの両立がしやすいのでしょうか?
- A
変形労働時間制は、プライベートとの両立にメリットをもたらすことがあります。
例えば、特定の日に勤務時間を長く設定することで、連休や週休3日制を実現しやすくなります。
これにより、旅行や趣味など、ご自身のライフスタイルに合わせて時間を有効活用できるようになるでしょう。
- Q変形労働時間制の保育園の求人に応募する際、特に面接で確認すべき点は何ですか?
- A
変形労働時間制の保育士求人に応募する際は、面接時に具体的なシフトパターンやモデルケースを尋ね、希望休がどの程度考慮されるのかを確認しましょう。
また、繁忙期の業務内容や残業の実態、休憩時間の取得状況なども具体的に質問することが大切です。
内定が出たら、労働条件通知書の内容を細部まで確認するようにしてください。
- Q変形労働時間制の有無にかかわらず、働きやすい保育園を見つけるにはどうすれば良いですか?
- A
働きやすい保育園を見つけるためには、制度の有無だけにとらわれず、園全体の質を見極めることが重要です。
その保育園が法令を遵守しているか、職員間の人間関係はどうか、保育方針や園長の人柄はご自身に合っているかなど、個人が働く上で大切にしたい点をしっかりと確認してください。
- Q変形労働時間制のシフトが、自分にとって「きつい」働き方かどうかを見分けるポイントはありますか?
- A
ご自身にとって「きつい」働き方かどうかを見分けるには、勤務時間の長さだけでなく、その日の業務内容や精神的・身体的な負担を考慮することが必要です。
面接や園見学の際に、繁忙期にどのような業務があるか、休憩時間はきちんと取れるのかなど、具体的な実態について質問してみてください。
実際に働く保育士さんの表情や園の雰囲気からも、働きやすさのヒントを見つけられるでしょう。