保育士を採用したいと思っている保育園の園長などの採用担当の方。
長く働いてくれる保育士をお金をかけずに採用する方法を考えてみました。結論から言うと、保育士に対して「嘘をつかない」「隠さない」ということです。誠実な保育園と認識されれば、高い給料でなくても長く働いてくれる保育士を採用することができます。
採用担当者に言いたいですが、保育士に対して面接時に嘘をつくのはやめた方が良いです。ささいなことでも嘘をつかれたという不信感はずっと引きずることになります。ここでは長く働けないという意識でスタートするので長く続かないです。まぁそもそも嘘をつかざるを得ない保育園もあるとは思いますが。
— 保育士さえこ@ブラック脱出済 (@hoikushisaeko) October 10, 2019
複数回の転職経験があります
その経験が参考になればと思います
ポイント①面接時に嘘をつかない
保育園に限ったことではないですが、ちょっと自分の保育園を良く言いたくなってしまうのはわからなくもないですが、採用面接時に嘘をつくのは懸命ではないです。
前に面接で「うちの保育園は連絡帳などの書類業務は休憩時間中にやってます」ってさらっと言われた時は、もはや逆に好感が持てました。#保育士 #保育園 #保育士の待遇改善
— 保育士さえこ@ブラック脱出済 (@hoikushisaeko) June 8, 2019
入職後に嘘が発覚すると保育士が不信感をいだきます。一度その保育園に不信感を持ってしまうとなかなか拭うのは難しいです。ここでは長く働けないと思うきっかけになります。
ささいなことであっても保育士は面接時に嘘をつかれたことは引きずります。さらにその後のささいなことで不信感が増大していきます。
本来正直に話しをしていれば、転職するほどでなかった事案であっても、嘘をつかれたという意識があると、その後に転職を決意するということがあります。
当然普段の仕事の士気にも関わってきます。保育士の仕事の質も低下すると思います。
面接時に嘘をついても、結局は保育士はすぐに辞めてしまうので、また新しく採用コストがかかることになります。
採用コストはなるべく減らして、保育士の待遇改善や負担軽減に当てたほうが良いです。そうすることでまた次の採用コストを減らすことができます。
サービス残業などの法律違反しているような保育園は、基本的に嘘をつかざるを得ないので、必然的に保育士の定着率は悪くなります。
定着率が悪いと採用コストも教育コストも追加でかかってくるので、それだったら残業代をしっかり払ったほうが良いと思うのですが。。
ポイント②出せる情報はすべて公開する
保育士が気になるのは特に待遇面の情報です。
- 有給消化率
- 夏季休暇や年末年始の休暇について
- 土曜・祝日出勤とその扱いについて
- 処遇改善費とその割合
- 月の残業時間平均
- 昇給額とその基準
- 賞与額とその基準
- 年間行事とその負担
- シフトの運用の仕方
このような見学ではわからない保育士が気になる待遇面の情報で、出せる情報はすべて出したほうが良いです。
例えば、求人票に「賞与あり」とだけ書かれている求人がたまにありますが、書けるのであれば昨年度の実績などを正確に書いたほうが良いです。
実際に面接に行って、聞かされた賞与の金額が想像よりも少なかったらがっかりしますし、場合によっては騙されたように感じます。
賞与の評価基準や昇給の基準なども、あまり詳しく説明しない保育園も多いです。そういう保育園に限って、なんの仕組みもないことが多い印象があります。
これ以外にも保育士の借上げ社宅制度の詳細条件なども載せられるなら、極力詳細の情報を載せたほうが良いです。
実際に面接に行ってから知ってそもそも条件が合わないということになると、お互いに面接の時間の無駄にもなってしまいます。
実際の保育の進め方などは、見学を通して知ってもらうという形が良いです。
求人情報上で出せる情報・出せない情報などあると思いますが。できることなら出せるものは全部出したほうが良いです。
待遇面に自信がなくても、情報をしっかり出していること自体を売りにするのも有りだと思います。
保育士は保育園が都合の悪いことを隠しているのではないかという不安感を常に懐きながら求人を探しているので、情報を公開している事自体が信頼感に繋がります。
ポイント③給料を下げてでも労働環境を改善すべき
ポイントの3つ目は、給料を下げてでも労働環境を改善すべきということです。最低限の法令を遵守して、人間関係を良好にたもてれば保育士不足に悩むことはないはずです。今回は人間関係については置いておいて、少なくとも労働環境は改善すべきです。
もちろん、すでに決まっている給与体系を変えるということは、簡単なことではありませんが、そういう方向にシフトしていくということは不可能では無いと思います。
仕事量と人間関係さえ良ければ保育士はなかなか転職しない
仕事量と人間関係さえ良ければ保育士はなかなか転職しないです。他の保育園に転職した場合に、給与が上がったとしても、仕事量と人間関係が満足できる保証はないです。
給料は転職する前に明確な数値としてわかりますが、仕事量や人間関係は、正直、働き始めてみないとわからないです。そのため、給料が下がる保育園に転職をしないということはできますが、仕事量と人間関係が今より悪くなるということを、転職時に事前防ぐのはかなり難しいです。
そもそも保育園の他の求人も給料面ではほとんど変わらないので、給与が低いくらいでは転職を考えることは少ないです。
もちろん、他の職種に転職するのもの保育士からは簡単では有りません。なので、保育士は仕事量と人間関係が良ければそう簡単には転職へとは至らないことが多いです。
国や自治体の制度は必ず最大限に利用する
保育士の待遇面で他の保育園と差がつけるのはなかなか難しいと思います。大前提として、処遇改善などの国から貰えるものはすべて園として貰えるように制度を利用してほしいです。
保育園間で差が付く部分は、自治体などが実施している処遇改善の制度をしっかり導入しているということ、それを情報としてきちんと公開しているかどうかということです。
保育士なら処遇改善費の上乗せが国や自治体から出ていることを知っている人は多いですが、それが実際にいくらで、どのような形で支払われているのかは多くの保育園で曖昧になっています。
特に求人を見た段階ではわからないことが多く、処遇改善費が含まれているのか、いないのかというのがわからない求人も多いです。
それらの制度をしっかり導入しているということ、それがどのような形で支払われるのかということをしっかり伝えることで、良い保育園かもしれないと保育士にアピールすることができます。
保育士の宿舎借り上げ制度についても、利用できるのか、どのような条件があるのか、などをしっかり伝えることが保育士の安心に繋がります。
給料を下げれば労働環境は改善できるはず
保育士の給料を下げれば、労働環境の改善に回すことができるはずです。もちろん、すでに雇用している保育士の給料を下げることが難しいというのはわかります。
例えば、保育士がサービス残業をせざるを得なくなっているのであれば、保育士の給料を下げて、その分で不足している保育士を雇えば良いです。
基本給を下げれば、自動的に残業の時給も下がります。そもそも保育士が足りていれば、残業の必要性もなくなります。持ち帰りの残業も同様の方法でなくすことができます。
休暇などについても同様です。正社員であれば最低年5日は有給休暇の取得義務がありますが、それもとれないような環境であれば、保育士の給料を下げて、その分で不足している保育士を雇えば良いです。
保育士が一人増えるので、順番に休暇を取得してもらえば必要な保育士の人数も満たすことができます。給与を下げるというのは、既に保育園として保育士を雇用している以上難しい側面もあることはわかりますが、サビ残などの違法状態を続けるより良いと思います。
それで最低賃金を守れないくらいない閉園したほうが良い
サービス残業や有給休暇の最低限の取得の法律を守るために、保育士の給与が最低賃金を割る場合もあると思います。
労働環境を改善した結果、法律における最低賃金も守れないようであれば、それは経営に向いていないということなので閉園にしたほうがみんなのためです。
そんな環境で保育される子どもたちもかわいそうです。とっとと閉園するなり腕の良い経営者と交代するなりしてください。
【まとめ】保育士は高望みはしていない
個人的な見解かもしれませんが、保育士も今の情勢ではすべてが完璧な保育園を探しているということはほとんどないです。保育士は高望みをしているわけではなくて、ごく普通の保育園を求めています。
普通の保育園というのは、最低限の法律が守られていて仕事量と人間関係が良い長く働ける保育園のことです。ですが、そういう保育園がなかなか見つからないです。
それは、保育園が採用の際などに悪い情報を隠しているという印象があまりにも多いため、疑ってしまっているという側面も大いにあると思います。
なので、採用の際はとにかく情報をオープンにすることで、その不安を払拭することができます。
そして、保育園は給料を下げてでも労働環境を改善して仕事量と人間関係を良くすると保育士の満足度も上がります。
最低限求めているのは、法律の遵守(サービス残業無し・年5日の有給休暇ぐらい)とパワハラ・モラハラのない人間関係くらいです。
それ以外はどこか足りないところがあっても諦めているというのが現状です。
たとえば「それなりに休みが貰えれば、日々の休憩はちゃんとしてなくても良いか」みたいな思考です。
労働環境は保育士一人一人の給料を下げて、その分で不足している保育士を雇えば改善することができます。
人間関係は、お金をかけずに改善できることの一つなので、園のトップ(園長)がどうにかするしかないです。
そして、きっちりと「嘘をつかない」「隠さない」誠実な保育園であれば、改善も見込めるし多少給料が安くても長く働こうと思うことが多いです。
- ①面接時に嘘をつかない
- ②出せる情報はすべて公開する
このような保育園は、保育士からしたら信頼できるし今後改善していく見込みが高いとも思えるので、長く働いてくれる保育士をお金をかけずに採用することができると思います。
少なくとも最低限の法令を遵守して、人間関係を良好にたもてれば保育士不足に悩むことはないはずです。