新人保育士がすぐに辞めてしまう、なかなか定着しないという保育園に勤めている方。
新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまうということには共通する原因などがあることも少なくないです。また、新人保育士が定着しない保育園には様々なデメリットもあります。
今回は、保育園の新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまう原因と対処法について紹介します。
新人や新しい人がすぐに辞めてしまう園で勤務した経験があります
その経験が参考になればと思います
新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまう原因や特徴
まずは、新人保育士が定着せずにすぐに辞めてしまう原因について紹介します。
人間関係が悪い
新人保育士が定着せずにすぐに辞めてしまう一番多い原因が人間関係に起因するものです。これはもしかしたたら新人でも経験者でも一緒かもしれません。
保育園で働く保育士に限らず、人間関係の不満というのは、会社や組織を辞めるもっとも大きな原因となっていると言えると思います。特に、保育園で働く保育士の場合は、今の職場を退職したとしても別に働くことができる保育園は世の中にたくさんあるので、わざわざ人間関係の悪い職場で我慢して働こうという新人保育士の方は多くはありません。
また、新人本人に直接的に害がある人間関係の悪さはもちろん、派閥や意地の悪いお局さんの存在など、現時点では直接害がないという場合でも長く働くことを見据えた場合に、退職するきっかけになりえます。
教育ができていない
新人保育士に対する教育ができていないというものです。新人保育士が往々にして困ってしまうのは、
- 何をしてよいかわからない
- 誰に聞いたらよいかわからない
- 誰も教えてくれない、放置される
というような内容です。もちろん、新人を教育している保育士からしたら、自分で考えて動いてほしい、わからないことは聞いてほしいと思うかもしれません。ただ、新人保育士が聞きにくい雰囲気になってしまっていることも少なくないです。
新人保育士は、このような状況に置かれてしまうと、自分は必要とされていない・自分はなにもできないと疲弊してしまうことが多いです。
保育士養成学校の学生の頃や、保育士試験の対策などで、保育士資格に対する勉強などはしてきていますが、実践の経験があるわけではありません。また、保育園ごとに異なる文化やルールなどもあるので、最初は誰かがきちんと教育や指導をしてサポートをしないと、一人前として働くというのは難しいと思います。
ただでさえ、新しい場所で新たな人間関係のなかで、仕事をしていかなければいけないのに、適切なサポートを受けられないと退職してしまう大きな理由になります。
また、学生時代からの知り合いで、同じように保育園に就職した知り合いもいると思うので、そのような人から充実した教育指導を受けている話を聞くと、余計に「私は何もされていない」「放置されている」「やばい保育園に来てしまった」と感じるきっかけになります。
労働環境が悪い
続いての新人保育士が定着せずにすぐに辞めてしまう保育園の特徴の一つが、労働環境が悪いというものです。特に、
- サービス残業
- 持ち帰りの仕事
- 休憩が取れない
- 休みが取りにくい
というような労働環境に関する不満です。給料に関しては、事前にほとんど理解して入職していると思いますが、上に挙げた労働環境の実態というのは、働いてからわかることも多いです。
特に、サービス残業や持ち帰りの仕事というのは「違法残業」なのでなくて当然だと認識して入職する人が多いです。また、保育園側としても「うちは持ち帰りの仕事やサービス残業がある」なんて、面接時に伝えることも少ないです。結果的に、新人保育士が保育園で働きだしてから「こんなはずじゃなかった」と気づくことになります。
特に、新人保育士の方で、保育士養成学校を卒業して就職している方などは、友人に保育園で働いている人も多く、サービス残業や持ち帰りの仕事等の労働環境の不備というのは当たり前ではなく、おかしいことだということに気づく可能性は高いです。そうなると、違法残業がある保育園には早く見切りをつけて、別の保育園に転職しようとい考える人は多いです。
面接時に嘘をついたり、話を盛ってしまっている
新たに雇用する保育士に対して、面接時に嘘を就いてしまっていたり、話を盛ってしまっているという場合も1年目の新人保育士がすぐに退職してしまう理由になります。
保育士不足の時代なので、どうしても自園のことをよく言って、保育士を確保しようとしてしまう場合もあるかもしれません。また、ブラックな園であれば、そもそも、本当の現実を伝えたら採用なんてできないという場合もあるかもしれません。
また、安易に「うちの職員はみんな優しい」「人間関係が良い」なんて言ってしまっていると、実際に働き始めた際の失望なども大きくなります。当然ですが、このような嘘や盛られた話などの経験は、保育園に対する不満として蓄積されます。
冒頭でも書きましたが、保育園に対して不満を抱えたまま働くより、昨今は、通年で保育士を募集している保育園は多いので、すぐに見切りをつけて退職する決断をする一年目の保育士も少なくないです。
わかりにくい給与待遇の条件などをきちんと説明していない
わかりにくい給与待遇の条件などをきちんと説明していないと、1年目の新人保育士が働き始めてから、保育園に対して違和感を覚えるきっかけになってしまいます。
特に、新卒で初めて会社組織に所属して働くという人は、給与待遇について、右も左もわからないことも多いです。例えば、有給休暇は入職直後から使える、ボーナスは初年度から満額もらえる等のことが当たり前だと勘違いしている人もいます。
また、保育園の場合は、土日出勤等が絡んだ、シフト体制や代休、手当など、複雑な雇用条件であることも多いので、そのようなわかりにくい条件をきちんと説明していないと、入職後に「思っていたのと違う」ということになりかねないです。
職場に新人保育士クラッシャーがいる
職場に新人に対して、必要以上に厳しかったり、冷たい態度をとる「新人クラッシャー」がいるという場合も1年目の新人保育士がすぐに退職してしまうよくある原因になります。職場の新人保育士クラッシャーは、周囲も気づかないところで、必要以上の厳しい叱責などをしている場合もあるので、対処が難しいです。
新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまうことのデメリット
ここからは、新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまうことのデメリットについて紹介します。
コストがかかる
新たな保育士を採用するのにも事務手続きをする必要がありますし、面接や見学にも職員の稼働がさかれています。また、これまで新人の教育にも時間をかけていると思います。新人保育士が定着せずにすぐに辞めてしまうことで、また新たに採用するにも同じことをする必要があり、当然ですが、職員の稼働がかかるでしょう。つまり、保育園に無駄にコストがかかってしまっているということになります。
保育園に無駄にコストがかかってしまっているという状況は、働いている保育士のとっても、良いことではありません。あまりに無駄にお金が使われてしまうと、保育士のボーナスがカットになってしまったり、残業の禁止やサービス残業の増加などの労働環境の悪化を招いていしまう可能性もあります。ただでさえ、保育園の運営費の大半は人件費になるので、もし不足してしまった場合はまっ先に削られる対象になります。
仕事が大変になる
新人が定着をしないということは、新人が定着して一人前として仕事をしている場合と比べて、他の職員の仕事の負担が増え大変になります。
先程も書いたように、新たに保育士を採用するのにも事務手続きをする必要がありますし、面接や見学にも職員の稼働がさかれます。また、当然ですが、新人の教育にも少なからず時間をかけていると思います。時間をかけた新人が辞めてしまった場合は、また同じ作業をすることになります。すぐに新しい保育士を採用できない場合は、その間に人手不足にもなってしまいます。
新人のことは自分は関係ないと思うかもしれませんが、新人保育士がきちんと仕事を覚えて定着をしてくれるということは、他の保育士にとってもとても良いことになります。
新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまう場合の対処法
ここからは新人保育士が定着せずにすぐに辞めてしまう場合の対処法について紹介します。
新人保育士に教育担当をつける
新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまう原因や特徴で「教育ができていない」というものを挙げました。これに対する対応策として、専任の教育担当をつけるということが有効です。
先程も書きましたが、新人保育士のよくある悩みが先輩に質問をしにくいというものや、放置されてしまうというものです。その対策として、専任の教育担当をつけて、なんでも気軽に聞いたり確認できるようにするということです。教育担当とは、担任・副担任のペアにしたり、年が近いという人がおすすめです。
新人保育士のメンタル面のケアをする
新人保育士は、仕事ができない・わからないというような保育面での悩みはもちろん、人間関係などの精神面での悩みを抱えていることも少なくないです。そのため、仕事ができるようにサポートをするというだけではなく、精神面でのケアも有効です。
おすすめの方法は教育担当とは別に、メンタル面のサポートをする専任のメンターを配置するということです。教育係一人しかサポートしてくれるひとがいないと、その人との相性などによっては、頼れる人がいなくなってしまう場合があるためです。園内に相談できる人が二人以上いるというのは新人保育士にとっては、非常に安心感があるでしょう。
労働環境を改善する
先程も書きましたが、給料に関しては、事前に理解して入職していますが、労働環境に関しては働き出してみないととわからないことも多いです。そのため劣悪な労働環境は、働いてから新人保育士の不満の原因になります。
- サービス残業
- 持ち帰りの仕事
- 休憩が取れない
- 休みが取りにくい
というような労働環境に関しては、最低限、法律は守るレベルにする必要はあります。これらは、他の法律を遵守する保育園に転職すれば自動的に改善される内容なので、辞めるきっかけになります。
その他の新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまう場合の対処法
- 面接時に嘘をついたり、話を盛らない
- 給与待遇の条件についてきちんと事前に説明する
- 職場の人間関係を見直す
新人の保育士に対して無意識であっても高圧的な態度を取ってしまっている職員がいる場合もあるので、そのような態度の改善を求めていく必要があります。
退職する人が正直な退職理由を伝えるとは限らないということに注意する
1年目の新人保育士がすぐに退職してしまうという保育園のなかには、毎回退職理由を聞いて、「それなら保育園は悪くない」「運が悪かった」と考える場合もあると思います。
例えば、退職理由が急な引っ越しであったり、家庭の事情などであった場合です。また、理由を告げずに急に来なくなってしまったということもあると思います。そういう退職の仕方になると「最悪な人を雇ってしまった」と思うかもしれませんが、そうとは限らない点に注意が必要です。
それは、退職する人が正直な退職理由を伝えるとは限らないということ です。
本当は、面接時につかれた嘘がきっかけであったり、新人クラッシャーにいびられていることがきっかけであったりしても、辞めるという決断をした人は、とにかく逃げるようにやめたいのが普通です。わざわざ角が立つ可能性が本当の退職理由を言うということは少ないです。
それなのに、表面上の理由だけを聞いて、「それなら保育園は悪くない」「運が悪かった」と考えてしまうと、一向に保育園の悪い部分が改善されずに、負の連鎖に陥ってしまう場合があります。
園長に改善する気がない場合はどうしたよい?
ここまで、1年目の新人保育士がすぐに退職してしまう場合の対処法などを紹介しましたが、この記事を読んでいる人のなかには、保育園の園長等のある程度権限がある人ではなく、職場のいち保育士であると言う場合も多いと思います。
そういった方が困っているのは、1年目の新人保育士がすぐに退職してしまう理由や原因は現場レベルでは、なんとなくわかっているけど、園長に改善する気がないということだと思います。
辞めたら新しい人を雇えば良いと考えていたり、園長自身が原因の一端を担ってしまっていたりなどです。そうなると、困るのは、新人保育士の指導やサポートに当たっている現場の保育士ですよね。一生懸命、保育園のことを教えても辞められてしまったら、自分たちの負担は増える一方ですよね。
園長が1年目の新人保育士がすぐに退職してしまうことを改善する気がない場合は、まずは、保育の現場レベルでできることをしていくということが大切です。例えば、先程挙げた、職場の人間関係を見直すということは、現場の保育士の間だけでも進めていくことが可能です。そのような自分たちでできることをやっていくということです。
ただし、現場レベルで対策してもどうしようもない、自分たちの負担は増える一方で、別の不満なども出てきてしまっているという場合は、自分自身も転職を考えたほうが良いかもしれません。
まとめ:保育園の新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまう原因と対処法
今回は、保育園の新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまう原因と対処法について紹介しました。
保育園の新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまう原因や特徴として以下の内容を紹介しました。
- 人間関係が悪い
- 教育ができていない
- 労働環境が悪い
- 面接時に嘘をついたり、話を盛ってしまっている
- わかりにくい給与待遇の条件などをきちんと説明していない
- 職場に新人保育士クラッシャーがいる
保育園の新人保育士が定着せずすぐに辞めてしまう場の対処法として以下の内容を紹介しました。
- 新人保育士に教育担当をつける
- 新人保育士のメンタル面のケアをする
- 労働環境を改善する
- 面接時に嘘をついたり、話を盛らない
- 給与待遇の条件についてきちんと事前に説明する
- 職場の人間関係を見直す
保育園に新人が定着しないということは、保育園にとっても働く保育士にとってもデメリットは多いです。
新人のことは自分は関係ないと思うかもしれませんが、新人保育士がきちんと仕事を覚えて定着をしてくれるということは、他の保育士にとってもとても良いことなので、勤務する保育士としてできる対処をしてみましょう。