保育士の団体交渉・ストライキについて効果や実績は?【介護・保育ユニオン】

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こんにちは。さえこ@ブラック脱出済み(プロフィール)です。ブラック幼稚園・保育園を脱出できました(^^)

私がブラック保育園を脱出するために培ったノウハウを完全無料で公開しています。


保育士の皆様。ブラック保育園に悩んでいませんか?

こんな疑問や悩み、不満はありませんか?
  • 働いている保育園がブラックなんだけどストライキってできないの?
  • 保育士の団体交渉・ストライキについて効果や実績はある?

実は保育園で働く保育士も労働組合を通して団体交渉・ストライキを行って労働環境を改善された例があります。今回は保育士のストライキの効果や実績について考察してみました。

この記事の信頼性
私は保育園、幼稚園、認定こども園で勤務した経験があります
複数回の転職経験があります
その経験が参考になればと思います

そもそもストライキとは?

ストライキとは、労働者が一斉に業務を休止して、企業側と労働条件の改善などの交渉を行うことです。

ストライキ権は団結権・団体交渉権と合わせて労働者に与えられた基本的な権利になります。そのため、正式な手続きによって行われたストライキによって企業側に不利益があったとしても、ストライキを行った従業員は刑事責任や民事責任は免責になります。つまり、損害賠償などの必要はありません。

ストライキと聞くとなんだか攻撃的で悪いことをしているようなイメージがある方もいると思いますが、労働者の基本的な権利になります。

日本では定期的にストライキを行って会社と交渉を行っている労働組合もたくさんあります。

ちなみに日本の公務員に関してはストライキが禁止されているので公立保育園に公務員として勤務している場合はストライキを行うことはできません。

保育士がストライキをするには?

ストライキは、単にみんなで会社をサボるという単純な話では有りません。正式な手続きを踏まずに「軽い気持ちでみんなで示し合わせて仕事を休む」というのは正式なストライキにはなりません。

正式な手順を踏まないストライキは不法なものとみなされ場合によっては、会社から損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。

ストライキをするには、まずは労働組合を通して団体交渉を行う必要があります。改善したい内容や要求などを労働組合を通して企業に交渉をします。

交渉をしても受け入れられなかった場合には、はじめてストライキを行うかどうかを組合で決めていくという流れになります。

労働組合に入っていないという保育士の方も交渉のために新たに労働組合に加入するということが可能です。

職場の職員の多数が会社に対して強い不満を持っているという状況であれば、まずは全員で相談するところから始まることになると思います。

保育士が頼れる労働組合

保育士が頼れる労働組合を調べたので紹介します。

介護・保育ユニオン

介護・保育ユニオンは介護施設や保育施設で働いている方向けの労働組合になります。

相談無料で当然、秘密厳守です。本部は東京に置かれています。

http://kaigohoiku-u.com/

全国福祉保育労働組合

民間の保育施設や介護施設などで働く方のための労働組合です。33年の歴史があり今まで多数の団体交渉を行っています。

相談は秘密厳守で無料で行ってくれます。本部は東京に置かれています。

http://www.fukuho.info/

ブラック企業ユニオン

保育業界に限らずブラック企業全般に対抗するための労働組合です。

企業名を含めて団体交渉を行っている企業リストを公開しています。本部は東京にあります。

http://bku.jp/

保育園への団体交渉の事例

保育園への団体交渉の事例について調べたので紹介します。

宮城県の認可保育園との団体交渉

介護・保育ユニオンが行った団体交渉です。

http://kaigohoiku-u.com/より

〇長時間労働と残業代未払い
 Aさんは、毎月多くの残業をしており、ひどい月には60~70時間も残業をすることもありました。会社は固定残業代の制度をとり、予め一定額は先に支払っていましたが、固定された時間以上の残業をしても支払われていませんでした。事務仕事だけでなく現場に入る仕事も多かったために休憩時間も十分に取れず、また週6日以上働く日も多かったため、心身ともに疲弊していました。

団体交渉云々というより完全に違法状態だと思いますが。

〇園長の給与基準より少ない額の月給しか支払われない
 Aさんは園長として働いていましたが、月給は22万円程度でした。しかも、この金額には「固定残業代」約3万8千円が含まれていましたので、基本給は処遇改善加算をいれても18万程度でした。保育園に支払われる公定価格上の基準額は、25万円以上のようです(「平成29年度における私立保育所の運営に要する費用について」)が、その金額に比べてはるかに少ない額しか支払われていませんでした。
 公定価格で示されている金額は「目安」であり、この金額以上にしなければいけないという制度になっているわけではないため、X社が行っている給与体系自体は「違法」ではありません。しかし、この金額が支払える程度のお金が行政から来ているのも事実です。園長という重責のある仕事に対して、基本給が18万程度という金額は少なすぎるとユニオンは考えています。

 Aさんは心身ともに疲れてしまい、この園を退職してしまいましたが、未払い賃金を支払ってもらい、また、残る保育士や子どものために園を改善してもらうため、ユニオンに加盟して改善を申しいれました。

もう既に退職済みなんですね。園長でも18万円って低すぎますね。辞めて正解だと思います。

〇会社と円滑に協議が進み、円満解決
 団体交渉を重ねる中で、会社は誠実に対応し、結果としてはAさんが請求した金額に近い解決金を支払ってもらうことができました。その後も、園の運営の在り方などは改善を図っていくことも約束してくれました。
 団体交渉自体も始まって2か月ほどしかたっておらず、スムーズに解決することができました。
 ユニオンとしては、今回の件を経て、園がより良い運営を行ってくれることを望んでいます。

未払い賃金を支払ってもらうにはこういう方法もあるんですね。

宮城県の未払い賃金などの問題

こちらも同じく宮城県の保育施設への団体交渉です。

http://kaigohoiku-u.com/より

〇問題解決をしようとしない園長に、ストライキを構えて迫りました
 交渉を始めて1カ月ほどで、園長のパワハラなどは改善させることができました。ところが、未払賃金や保育の質(子どもの安全)については、園は不誠実な対応を続けました。
そこで私たちは、問題解決のため、ブログ等で社会的に発信したり、保護者への協力依頼や市役所への申し入れなど、関係者への協力要請を行いました。また、保護者のみなさんにも、改善を求める保護者の署名にご協力いただき、園に改善を迫りました。
 それでも園は問題を改善しようとはしませんでした。
 やむに已まれぬ思いで、2018年3月、私たちは、ストライキの実施を決意しました。保育士が職場を放棄すれば、多くの利用者に迷惑がかかってしまうことはわかっていましたので、ストライキは並々ならぬ決断でした。それでもこのままで改善をあきらめては、子どもの安全は守れませんし、私たちもとても続けていくことができなかったので、最後の手段に出たのです。

 ストライキと言っても、私たち保育士が本当に職場から離れてしまっては、問題が起きかねません。そこで、保護者のご協力をお願いして、ストライキが実施された場合には、できるだけお子さんを保育園に連れてこないようにお願いしたり、ストライキ中に保育園で子ども見守る、組合員を配置したりなどして、子どもの安全を守る体制も整えることにしました。

〇ストライキ予告から解決へ
 今年3月、私たちは、ストライキを実施することを園に予告し、名取市役所にも窮迫した事態があることを報告しました。すると、園には問題があると感じたのか、市役所は園に対して強い指導を行うと約束してくれました。
 その結果、ストライキの実施の前に、園から以前と比べて大きく前進した改善案が出だされました。
 その後、交渉を重ねた結果、3月末には問題解決のための大枠の合意ができ、4月末をもって、2017年8月に申し入れをした内容については一定の解決となり、ストライキは回避されました。

〇交渉の結果、労働条件が大きく改善
 今回の一連の成果としては、主に以下のようなことがあります。
 ・残業代未払いをタイムカード通り支払う
 ・今後、賃金は1分単位で支払う
 ・休憩時間がとれるようになった
 ・過去に休憩時間が取れなかった分は、半分の時間を未払賃金として払う
 ・求人詐欺問題の解決のため、当該保育士に賃上げを行い、過去の賃金との差額を一定額支払う
 ・園長はパワハラをしなくなった
 ・保育の質に問題がある保育士に会社として指導していく
  ・etc

団体交渉の結果改善された例が示されています。かなり良い方法に進んだ例だと思います。

保育士の団体交渉、ストライキに効果はあるが。。。

保育士の団体交渉は確かに効果がある場合があるようです。しかしながら、まったく交渉に応じない場合もあるようです。団体交渉をする保育士も相当な覚悟と体力、時間が奪われると思います。そういった意味ではいち早くブラック保育園には見切りをつけて転職するというのはが自分自身を守る最善の手段になると思います。

一斉退職は団体交渉?

最近でも話題になりましたが、保育士が一斉に同時期に退職するという事例が増えてきています。一斉退職は、保育士間で退職をする時期を揃えているというだけなので、団体交渉にはあたりません。つまり、一斉に辞めるから改善してくださいという交渉を保育園にはしてはいけないということになります。交渉をする場合は、労働組合を通して団体交渉を行う必要があります。

本当に退職するということであれば、退職をすることは問題ないですが、退職は正職員の場合は退職日の2週間以上前までに意思を示す必要があります。

そのため、もし明日から急に一斉に来なくなるということをすると、もしかしたらな保育園側から損害賠償を請求されてしまうかもしれません。必ず2週間以上前に退職日を伝えて、退職を行う必要があります。詳細は必ず労働関係に詳しい法律の専門家などに確認してください。

一斉退職に関しては賛否が分かれるところではあると思いますが、一斉退職によって経営者が入れ替わるということも起きています。

退職して転職するのが一番楽な方法

ストライキ・団体交渉によって一定の成果が出る場合もありますが、実際に当事者である保育士も相当な覚悟と体力、時間が奪われると思います。

実際問題、団体交渉をして保育園の改善をするというのは現実的ではない部分が多いかもしれません。

保育士が働く保育園はたくさんあるので、個人的には現状を自分たちで改善するというよりかは、ブラック保育園にはさっさと見切りをつけて他の職場に転職するのが最善だと思います。