お子さんのいるほ保護者の方。
保護者の方であればそんな瞬間が必ずあると思います。そのようなニーズに対応しているのが「一時保育」「一時預かり」事業になります。
保育園で働く保育士の方でも一時保育についてよく知らないという方も多いと思います。保育士も知っておくべき保育園の基本である「一時保育」について解説します。
一時保育のある園で勤務した経験があります
その経験が参考になればと思います
一時保育とは?
「一時保育」は地域によっては「一時預かり事業」などとも言われ、保育園等の保育施設でお子さんを一時的に預かる事業になります。保育園を利用する(入園する)には、保護者の就労などの利用の条件がありますが、一時保育は、通常の保育園の利用の基準(保育の必要性の認定)を満たしていなくても利用することが出来ます。
一時保育は公立・私立の認可保育園で実施されている場合もあれば、地域の「子育てセンター」などの施設で実施されている場合もあります。その他にも、認可外保育施設でも独自に一時保育が実施されていることもあります。
一時保育とこども誰でも通園制度の違いや住み分けは?
2024年10時点では、今後、保育園において「こども誰でも通園制度」というものが始めるということが政府によって検討されています。
こども誰でも通園制度は、全ての子育て家庭を対象とした保育の拡充を行う新たな制度で、2023年6月1日に「こども誰でも通園制度」を創設することを政府が表明しました。
0~2歳児の約6割を占める未就園児を含め、子育て家庭の多くが「孤立した育児」の中で不安や悩みを抱えており、支援の強化を求める意見がある。全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付(「こども誰でも通園制度(仮称)」)を創設する。
※引用「こども未来戦略方針」案 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai5/siryou1.pdf
詳細は、まだ決まっていないですが、
現在の一時保育の制度が「こども誰でも通園制度」に置き換えられ、ルールなどにも変更が加わるという可能性もあります。また、現在の一時保育の制度とは別に、「こども誰でも通園制度」ができるという可能性もあります。
いずれにしても、一時保育等の利用を検討している方は、今後の政府の発表や各自治体の発表などを注視していくというのが良いでしょう。
一時保育の種類
一時保育には大きく分けて以下の3種類があります。
- 就労等の理由による一時保育
- 緊急時等の理由による一時保育
- リフレッシュ等の理由による一時保育
就労等は、一時的に保護者の方がパート等で就労をしたり、職業訓練等をする際に家庭での保育が困難となる場合です。
緊急時等は、保護者の病気や入院、冠婚葬祭などの止む終えない理由によって緊急で一時的に保育が必要となる場合です。
リフレッシュ等は、保護者のリフレッシュを目的とした一時的な保育となります。
自治体によってはそれぞれの状況により利用ができる条件が異なる場合もあれば、すべて同じ一時保育として同一の条件で利用ができる場合もあります。利用を希望する際は、各自治体・保育施設の利用条件をきちんと確認しましょう。また、認可外保育施設ではそれぞれの施設ごとに利用条件が異なります。
一時保育と通常の保育との違い
一時保育は通常の保育園への登園とは異なり、基本的には利用対象の施設に保護者の方が直接利用申込を行います。料金の支払いなども保育施設に直接行います。保育の内容としては、他の登園している園児達のクラスに混じる形で行われることが多いです。
通常の入園している保育園児とは異なり、長くても1ヶ月程度の期間になるので長期的な目線での保育を行うというよりは、あくまで短期的に児童を預かる保育というのが基本となります。また、先程も書いていますが、利用の条件に必ずしも就労等の理由が必要ないため、保護者の方のリフレッシュでも利用できるという大きいな違いもあります。
一時保育の利用条件とは?
一時保育は、各自治体・保育士施設によって利用条件が定められています。
利用可能な年齢は保育園と同様で、就学前児童が対象となります。料金は時間単位の料金と日額が設定されています。利用可能な保育時間についても各施設によって異なります。おやつ代が別途必要になります。その他、利用には自治体による減免制度があったり、事前に面接が必要な場合もあります。
以下は例として、横浜市での一時保育の利用条件の例となります。
- 非定型的保育/保護者等の就労、職業訓練や就学等により、家庭での保育が断続的に困難となる児童をお預かりします。・・・週3日又は月120時間以内
- 緊急保育/保護者等の疾病、入院、冠婚葬祭などやむを得ない理由により、緊急一時的に保育が必要となる児童をお預かりします。・・・1回に連続して14日以内
- リフレッシュ保育/育児に伴う保護者の身体的、心理的負担を解消するため、一時的に児童をお預かりします。・・・1回のお申し込みにつき1日以内
利用料は各保育施設によって異なりますが、上限が定められています。
- 日額
- 3歳未満児 2,400円( 1日 ・1人あたり)
- 3歳以上児 1,300円( 1日 ・1人あたり)
- 時間単位
- 3歳未満児 300円(1時間・1人あたり)
- 3歳以上児 160円(1時間・1人あたり)
- 給食・おやつ代 全児童 合計500円( 1日 ・1人あたり)
横浜市の例を参考にすると利用料は比較的リーズナブルだということがわかると思います。
一時保育が利用できる保育園
一時保育はすべての認可保育園で実施されているわけではありません。市区町村内の一部の保育園で一時保育が実施されています。一時保育が利用できる保育園は、自治体のホームページ等で公開されているのでそちらで確認することが出来ます。また、認可保育園以外の認可外保育施設でも一時保育が実施されている場合があります。
また、一時保育の対象施設であっても、既に定員などが満たされている場合は、利用が出来ない場合もあるので注意が必要です。
一時保育の利用方法
各自治体のホームページでは一時保育の利用の条件、申込みについての情報などがまとめられています。利用を希望する際は、まずはホームページの情報を参照してください。
利用可能年齢、利用方法、利用時間、利用料、申し込み方法等の条件は保育園ごとに異なることがあります。また、認可外保育施設の一時保育の場合は、利用の詳細について直接保育施設に確認が必要となります。
どのタイプの施設の一時保育を利用する場合においても事前に予約が必要で、大抵は1ヶ月前から予約受付が開始されます。各施設の利用定員が満たされると利用ができないため、早めの利用予約がおすすめです。
一時保育のよくある疑問等
一時保育とベビーシッターはどちらがお得?
先程の横浜市の例だと一時保育とキッズラインなどのベビーシッターを比較すると、料金的には明らかに一時保育のほうがお得だということがわかると思います。
ただし、一時保育はかなり前から利用予約が必要であったり、利用定員にも上限があるので、緊急時の利用にはあまり向いていないです。利用を希望される保護者の方は、シーンにあわせてそれぞれ使い分けると良いかも知れません。
一時保育にも行事がある?運動会等
保育園によって様々ですが、一時保育の利用者向けにも行事などを行う場合もあります。例えば、運動会などの行事に関して、一時保育の子も参加できるような、種目などが用意される保育園もあります。もちろん、それらの行事に参加するしないなどは、各家庭の状況などによって判断されるということになります。基本的には、一時保育の子は、行事は任意参加で、参加する場合はそれに向けて日々の保育時間などに準備を進めていくという形になるでしょう。
保育園は一時保育だけで十分?
これから保育園の利用を検討しているご家庭の方のなかには、保育園に通常のクラスに入園するか、一時保育のみを利用するか迷っているという方もいらっしゃると思います。
このような方は、保育園は一時保育だけで十分なのかということをきちんと検討する必要があります。
市区町村にもよりますが、一時保育の場合、決まった曜日や時間帯に必ず利用ができる保証がない場合もあります。この場合、仕事などのある決まった曜日や時間帯に、保育園に子を預けることができない可能性があるということになります。そうなると、親族、ベビーシッターや認可外保育施設など、都度、別の手段によってお子さんを預ける方法を見つけなくてはいけなくなってしまいます。これができないと結果的に、仕事を辞めなくてはいけないということも起きてしまいます。
一方で、保育園に通常のクラスに入園するという場合は、自治体によって利用調整が行われるため、両親の両方やどちらか一方がフルタイムの勤務ではないという場合に、入所の優先度が下がってしまうという問題もあります。
保育園は一時保育だけで十分かどうかということを判断するためには、まずは、ご家庭の仕事の状況と、各市区町村における一時保育の利用条件などをきちんと把握してから判断する必要があるということになります。
一時保育と通常の保育はどちらがお得?
なかには、一時保育と通常の保育は金銭的にどちらのほうがお得なのか知りたいという方もいらっしゃると思います。
利用時間などが異なるので、単純な比較は難しいですが、先程の横浜市の例だと
週3日の一時保育の登園とした場合、
- 3歳未満児 34,800円( 月12日 + 給食・おやつ代12日)
- 3歳以上児 21,600円( 月12日 + 給食・おやつ代12日)
という金額になります。これは、保護者の方の年収にかかわらず一定ということになります。
一方で、一時保育ではなく、通常の保育利用(2号認定/3号認定)として保育園に入園した場合、
- 3歳未満児 0円〜77,500円(保護者の方の収入により決定)
- 3歳以上児 無料 (給食・おやつ代別途)
という金額になります。
3歳以上児の場合は、無償化されているので、金銭的負担は一時保育のほうが多くなってしまいます。また、3歳未満児の場合は、保護者の方の年収によって変わってくるということになります。
また、この保育料以外にも、一時保育と通常の保育利用(2号認定/3号認定)では、その他の費用(園服、布団等の貸出やクリーニング、保護者会費等)で違いがある場合もあります。
一時保育のある保育園での保育士の仕事について
ここからは一時保育のある保育園で保育士が働くという場合の仕事内容の違いや特徴について紹介します。
一時保育のある保育園での保育士の仕事の特徴
一時保育のある保育園での保育士の仕事の大きな違いは、通常の担任クラスとは別に、一時保育のクラスがある場合が多いということです。実際の運営方法は保育園によって様々ですが、一時保育専用のクラスが設けられていることが多いです。
この場合は、一時保育のクラスは異年齢児混合での保育になることになります。さらに、日々、保育園に来る園児の顔ぶれに変化があるという特徴もあります。また、それぞれの園児と保護者の方によって、その保育園に慣れている度合いなども異なるため、通常の通年のクラスの保育に慣れている保育士は、自身もこの環境に慣れるのに苦労するということもあると思います。
一時保育の場合は、日々利用者の人数が異なるため、保育士としては臨機応変な動きが求められるということになります。
一時保育の担任はどうなる?
一時保育の専用のクラスが、設けられている保育園の場合は、専任の担任保育士が設けれれることが多いです。その日その日の利用状況などによって、また、パートやフリー保育士の方などが、持ち回りで一時保育のクラスを担当するということもあるでしょう。
まとめ:一時保育とは?利用条件・方法は?保育士も知っておくべき保育園の基本!
今回は、保育園等で実施されている一時保育について解説しました。一時保育については各自治体や保育施設によっても利用条件が異なるので少しややこしいですね。
ただ、料金がとてもリーズナブルに利用できるというメリットがあります。通常の保育園の利用とは違い、保護者のリフレッシュ目的でも利用ができるので、月1回買い物や美容院に行くなんていう場合の利用も出来ます。
子育ては大変な面が多いと思いますが、適宜リフレッシュできると良いですね!
また、保育士の方にとっては、一時保育がある保育園で働くということは、通常の在園児とは異なる子どもと接する機会があるということになります。