これから保育士を目指す方。保育士は激務薄給でブラックというイメージをもっている方が多いと思います。
『保育士』という仕事は短大や大学、専門学校を卒業すると就くことのできる職業で、子どもの命を守る大切な仕事でもあり、資格は国家資格になります。保育士を目指す人の多くは、子どもが好きな人です。といっても子どもが好きというだけで長年続けられるものではありません。保育士の仕事内容はたくさんあり、保護者に代わっておむつ交換、排泄の介助や着替えなどで身体を清潔に保つこと、適切な水分補給を行うこと、食事やおやつを決まった時間に適切な量提供すること、昼寝や休息の時間を適切にとって生活リズムをつくること、体調の変化や精神的なケアをしてあげることも保育士の基本的な役割です。
現在の社会は共働きの家庭が多く、1日のほとんどを保育園で過ごす子も少なくありません。そうした中で働いていると、保育士になってよかった!と思う瞬間と対照的に辛かった瞬間もたくさんあります。
それに関して決して否定はできないですが、やりがいを感じられる面もあります。むしろそれがないと保育士を続けるのは難しいかもしれません。今回はそんな瞬間や今の保育現場について解説していきます。
今回は私自身の保育士という仕事のやりがいや大変に思う所を紹介します。あくまでも私個人の考えなので、これが全員に当てはまるとは限らないです。参考までにしていただけると幸いです。
その経験が参考になればと思います
保育士の仕事のやりがいについて
まずは保育士の「やりがい」について解説します。仕事のやりがいとは、物事に対する充足感や手応えのことです。
1番は子どもの成長を感じられた時
各年齢、子どもの成長や発達は違います。ハイハイができた時、はじめて歩いた時、しゃべった時、会話がつながるようになった時、トイレで排泄ができた時、できなかったことができるようになった時など。
子育ての経験がなくても、保育士は子どもたちと常に一緒にいる分、様々な場面での はじめて を見ることができます。 そしてできた喜びを保護者や職員間で共有することで、保育士をしていて良かったなと思う瞬間にたくさん出会えています。
保育園は0歳児から子どもを預かることができます。つまり、0歳から6歳になる6年間も保育園に通っています。途中で退園したり転園する子もいますが、、小学校と同じですね笑
中でも生まれたばかりの小さな0歳児は本当に可愛く、保育園内でもアイドルのような存在です。自分で座っていられない。歩くこともできない。ご飯も食べられない。そんな小さな時から見ている子が、6歳になる頃には立派な子に育つ。それを一番近くで見れるのは保育士の何よりのやりがいだと感じます。
子どもが好きな人は尚更「あんなに小さかった子がこんなに立派になるなんて。」と自分の子でなくても感動することでしょう。
もちろん0歳児から5歳児まで持ち上がりで担任をすることは認可保育園ではほとんどありません。しかし、1年でも担任をするとその学年に愛着がわき、我が子のようにかわいくみえ、温かな気持ちで見守ることができます。中でも最後に年長で見送ることが
できたらそれはそれは大きなやりがいと経験が身につきます。そういった楽しみと子どもの成長が保育士の何よりのやりがいであると私は思います。
名前を覚えて呼んでくれた時
クラスの子たちとのはじめての日。元々名前を覚えてくれている子もたまにいますが、まだまだみんなわからず、はじめての環境でドキドキ・モジモジしている子、警戒している子、たくさん泣いている子と色々な子がいます。
先生の名前は〇〇だよ!〇〇先生って呼んでね!
と元気に自己紹介をしますが中々覚えられない子どもたち。また、恥ずかしくて全然呼んでくれない子もいます。すぐに覚えるだろうと思っていても中々呼んでくれないある日、保護者の方がお迎えに来た際に、名前を中々覚えてくれなくて。。という話をすると、そんなはずはないですよ!家では、〇〇先生がね〜と毎日たくさん話してくれています!という話を聞いてびっくり!園では自分から話もしてくれなかったような子がお家で名前を出して園での出来事を話してくれていると知っただけで嬉しく感じました。やっぱり名前を覚えて呼んでもらえるというのは保育士や先生という立場としてはとても嬉しいことですね。
子どもたちの笑顔に触れた時
もちろん保育士をしていると、楽しいことややりがいを感じることばかりではありません。日々の書類仕事や行事の準備などやらなければならないことはたくさんあり、ただ子どもたちと楽しく過ごしているだけではありません。辛いな、辞めたいなと思うことはたくさんあると思います。(私はたくさんありました)でもふと子どもたちを見ると何事もなく笑顔で迎え入れてくれます。
プライベートで辛いことがあっても、どんな時でも笑顔の子どもたちに会うだけで色々なことが吹っ飛んでしまうことが本当によくあるんです。 私は本当に何度も 子どもに救われたな と思う瞬間がありました。 子どもたちには底知れぬパワーとエネルギーがあります。
保護者から言葉をかけられた時
子どもの成長だけでなく、保護者からの感謝の言葉も、保育士のやりがいの一つです。
保育士は昨今 保護者支援 も職務の中で重要視されるようになっています。1人親、共働きで時間のない方など日常に余裕のない方が多く、毎日ヘトヘトでお迎えに来る方もいます。子どもがいる方がもう少し子どもとゆっくり関われるような社会になればいいのにと日々思いますが、長時間預ける保護者も少なくありません。
保護者との会話の中で嬉しかったことはたくさんありますが、それでも毎日、「今日も1日ありがとうございます」とお礼を言ってくれるだけで私たちは嬉しく思います。また、「〇〇先生でよかったです」と年度末などに言ってもらえると1年間頑張ってよかった〜と達成感でいっぱいになります。
何気ない日常の中で、ほら、〇〇先生が今日も元気にきてくれてるよ、〇〇先生がいてよかったね〜の一言があるだけでも、今日仕事に来てよかった、頑張ろうという気持ちになれます笑
わたしの経験では、1年の初めに担任発表があった時「先生がいいって子どもが言ってました!嬉しいです!」と保護者の方に言われたことがありました。この言葉は本当に嬉しいですよね!そして1年の最後には「先生が担任でよかったです。本当にありがとうございました。」と言っていただけると、1年間の頑張りが認められた気がしてまたやりがいを感じられます。こうした保護者とのやりとりも保育士のやりがいの一つです。
保育園でのささいな日常もやりがいの一つ
保育士として働いてると、日々の日常はほぼ一緒で、朝の会、活動、お昼、お昼寝、おやつ、帰りの会と同じ流れの繰り返しです。そのため、日々にやりがいを感じるのは難しいかもしれません。
しかし、何気ない日常の中で、
- 泣かずに登園できるようになった!
- 歩けるようになった!
- トイレトレーニングがうまくいった!
- 箸が上手にもてるようになった!
など、子どもは日々成長していきます。こういった、できないことができるようになるその瞬間を感じられた時は子どもや周りの先生と共に「やったぁ!!」と喜び、「よかった〜」とやりがいを感じられます。
保育士をしていると毎日繰り返しの日々に退屈になることもありますが、日常の中でも小さな成長がたくさんあり楽しい!よかった!と思えることも増えていきます。
他の先生や上司からの言葉
保育士をしていると悩みの中の多くに人間関係があります。価値観や考えの違う人たちとうまくやっていくのはとても大変なことですよね。理不尽な思いや辛い思いをたくさんすると思います。でも、何気ない時にかけられる言葉に嬉しく感じたり、見てくれているんだなと思えることもたくさんあります。
1つ1つの行事でよかったことを言ってくれる方がいたり、一緒に頑張ろうと声をかけてくれることでやる気にも繋がります。尊敬している先輩などから褒めてもらえた時は本当に嬉しく思いますね。
行事をうまく達成できた時
行事の準備や進行は保育士の大変な仕事の一つですが、それをうまく終えられた時のやりがいは大きいです。行事が終わると、ひとつ肩の荷が降りるので開放感もあります。大変な分やりがいも大きいのが保育園の行事です。できれば行事自体を無くしたいとやる前はいつも思うのですが、いざやってみるとまた来年も成功できたら良いなと思えます。
保育園の行事は各園によりますがオリジナルなもので力を入れているところも多いです。各行事の係があり、何ヶ月も前から計画を立て、準備をし、他の先生たちへの指示もする。1つの行事なのにやることはとても多いです。でも、行事を楽しみにしている子どもたちや保護者のために手を抜くこともできません。プレッシャーと日々の疲労で体調を崩してしまうことも。ここまで大変な思いをした分、行事が無事に終わった時には疲れも吹っ飛び、達成感でいっぱいになります。何事も大変な思いをした分、終わった後はやりがいを感じられます。
でも来年になって準備が始まるとまた、「行事は辞めたい」と思うのが不思議です。
卒園後の園児たちとの再会
年長児を担任すると特に感じることができます。私は数年経っても手紙や年賀状のやりとりをしている子がいますが、卒園しても覚えてくれていること、会いたいと言ってくれることはとても嬉しいことです。子どもたちは卒園してもどんどん成長していきます。あの時大変だったなと思っても、そんな大きくなっていく子どもたちに会えるだけで保育士を続けていてよかったなと感じることができます。
給料をもらった時
保育士以外の職種でも同様だと思いますが、やっぱり給料が振り込まれた時は、うれしいです。この一ヶ月がんばって働いてよかったなと思える瞬間です。「何買おうかな」とか「何食べようかな」とちょっとした贅沢を想像するのも楽しいです。保育士は決して高い給料が振り込まれるわけではないですが、やはり給料がもらえた時は嬉しいことに変わり有りません。
休みを迎えられた時
私の場合は、休みに旅行などのスケジュールを入れて、それを目標に毎日の仕事を頑張っています。なので「次の休みまで頑張ろう」と思うことができます。そして、休みの前日の勤務が終わったときが一番開放感があります。また、その後はまたいつもどおりの仕事が始まると思うと、少し憂鬱にはなりますが、また次の旅行の予定などを立てます。旅行でなくても美味しいものを食べるとか友達と遊びとか些細なことでもなんでも良いです。それらを繰り返すことで、毎日の辛い勤務を乗り越えています。
保育士の仕事の大変なところについて
続いて保育士の仕事の大変なところを紹介します。
人間関係
やっぱりどの業種でもそうだと思いますが、特に保育士は女性が多数の職場で、人間関係にはつまずくことが多いと思います。
特に、保育園は複数担任がほとんどなので、1年間その先生とうまくやっていかなければと思うだけで若干のストレスはありますね。私は新卒で幼稚園教諭として働いて1人担任も経験していましたので、その反面、保育園での複数担任に初めは抵抗がありました。
特に中小規模の保育園だと保育室自体もクラス別で区切られていなく、異年齢保育であったり、他の学年と合同なんてところもあり、とにかく色々な先生とうまくやらなければならず、それが大変です。
また、先生たちも色々なところで経験があると、自分の経験と他の人の経験が違う場合は意見が合わず、なんてこともしばしば。
それを良い方向にぴしっとまとめてくれるリーダーシップをもった公平かつ正義感あふれる主任や園長がいてくれれば話は別ですが、そんな素晴らしい上司にはあまり出会っていなく、、、あの先生とは意見があわない、あの先生の考えはよくわからないと陰口も増えてしまいます。この問題はきっとどこの園でもあると思いますし、永遠の課題のような気もします。
1度だけ幼稚園の時に出会った主任の先生が本当に素晴らしい人で、上からも信頼され、後輩からも尊敬される先生がいました。サバサバしていて、でもいいものはいい、悪いものは悪いとしっかり判断してくれて、理不尽なことはなにも言わず、プライベートでは明るい。まさにリーダーに向いているなと思う先生でした。わたしは性格上びしっとしたことが言えないタイプなので、、
自分と合わない先生はもう仕方ないと割り切るようにして、理不尽なことは自分でも言わないように気をつけようと意識していますが、またそんな素敵な先生に出会いたいものです。
保育士に限らないかもしれませんが人間関係は本当に難しいです。
行事の準備、進行
保育園は時期ごとに様々な行事があります。園の伝統や場所、環境によって、オリジナルの行事があるところもありますが、大きな行事は夏の祭り系の行事、運動会、発表会などでしょうか。わたしの園は、夏に夏祭りがあり、保護者の方に飲食を販売してもらいます。それがまた大変です。お金の管理が絡んできて、保護者との連携が必要になる行事は特に大変なので要注意です。
行事は複数の担当の先生がいるので、その先生方と協力して前々から計画をし、動く必要があります。担任業務もありながら行事の準備、これがまた大変なんですよね。。
大きな行事は必ず1つは担当するみたいな感じの園もあるので、必ずやらなきゃだと思いますが、まあでも終わればやりがいにつながるので、頑張りどころです。
書類仕事
保育士の仕事の大変なこと代表と言えば書き物系ですね。わたしの経験から幼児はそこまで大変ではないです。
1人1人の記録は3ヶ月に1回などで毎月ではなくいまはiPad等も導入されているので、パソコンやiPadでの記入も可能(園によると思います)のため、手書きでの作業は日々の日誌や月案、年間カリキュラムなので、そこまでかな〜と思いますが、、でも、年間カリキュラムは狭い場所に小さな字で書かなくてはなのでとてーもめんどくさく大変です。一年の初めの大変な作業ですね。
それより大変なのは乳児、特に0歳児ですね。0歳児は日々の日誌も個人の欄があり1人1人の1日の様子、それに対する保育者の働きかけを毎日書かなくてはなりません。それだけでなく、保護者との毎日のやりとりの連絡帳、年間カリキュラム、毎月の月案は個人の月案も書き、個人の記録は手書きで毎月書く。園によってやり方は色々あると思いますが、、、やっぱり書き物は多いな〜という印象です。
お昼寝の時間に書き物をしますが、乳児は特にこまめに午睡チェックもしながらなので、まあなかなか進まないです。ちょうど昼食後の時間で睡魔はくるし、疲れはくるし、それで急に泣き出す子もいるし。とても大変です、まぁ小さな命を大切に預かっているのでしょうがないものなのでしょうが。
なので、園によってはしっかりと書類を書く時間を設けているところもありますよね。持ち帰りやサビ残は極力したくないので、必死になって書かなくてはなので、大変です。
土曜日保育
土曜日保育については、やってる園もあれば、時間が短かったり長かったりとバラバラなところが多いですよね。
わたしが経験した中では基本的には2〜3人体制で1日いる感じでした。しかし、利用予定の子が増え、しかもその子の年齢が低いと対人数が足りなくなりその分保育士も増やさなけいけませんでした。
土曜日に出勤する先生は平日どこかで代休をとれるシステムだったのですが、土曜日保育に保育士3人必要になると、そもそも中小規模の園で常勤保育士が少ないところは1ヶ月に2回も土曜日保育が回ってきてしまいます。
まあ希望はとれましたが。。。平日に休みがとれるとはいえ、1ヶ月に2回も土曜日に仕事に出ると土日休みという2日続けての休みが少なくなりきついな〜という印象がありました。
ていうか1週間5日間も勤務してるのにその疲れが2日でとれるわけないだろ!と誰かが言ってた気がしますが、まさにその通りです。週休3日制がいいなと思う日々です。
まとめ:保育士のやりがいや大変な所!現役保育士が紹介します!
保育士のやりがいや大変な所を紹介しました。
やりがいは、
- 1番は子どもの成長を感じられた時
- 名前を覚えて呼んでくれた時
- 子どもたちの笑顔に触れた時
- 保護者から言葉をかけられた時
- 保育園でのささいな日常もやりがいの一つ
- 他の先生や上司からの言葉
- 行事をうまく達成できた時
- 卒園後の園児たちとの再会
- 給料をもらった時
- 休みを迎えられた時
のようなことがあります。
大変なところは、
- 人間関係
- 行事の準備、進行
- 書類仕事
- 土曜日保育
です。
どの職業もそうですが、1番はやっていてよかった!と思える瞬間があることだと思います。保育士という仕事は大変なこと・辛いことも多いですが、それ以上に達成感ややりがいをたくさん感じられるとても魅力のある仕事です。もちろん、仕事面でも待遇面でも不満も多いですが、それ以上にやりがいや魅力があるので続けることができていると思います。
低賃金・人間関係の悪さ・仕事量の多さとまだまだ改善すべきところはたくさんありますが、保育士という仕事は自分の人生の中でとても貴重な体験ができる職業だと思います。
あくまでも私個人の考えなので、これが全員に当てはまるとは限らないです。参考までにしていただけると幸いです。