これから保育士として働く方や転職を考えている方。
保育士としての働き方で派遣保育士を検討している方もいらっしゃると思います。
個人的に保育士の働きやすさで雇用形態ごとに優劣をつけるなら以下のようになります。
ホワイト保育園の正社員 > 派遣保育士(ブラック保育園・ホワイト保育園) > ブラック保育園の正社員
私は、ブラック保育園で正社員として働くよりかは派遣保育士として働いたほうが給与面でも精神衛生上も良いと思っています。転職してもブラック保育園ばかりでなかなか抜け出せないという方には派遣保育士はおすすめできる雇用形態だと思います。
今回は、派遣保育士の長所・短所や派遣保育士として働く心得を解説します。
フリーランスでベビーシッター等の経験があります
その経験が参考になればと思います
派遣保育士とは
派遣保育士とは、保育園に直接雇用されるのではなく派遣元の企業から保育園に派遣されて働く就業形態になります。
給料は派遣元の企業、つまり派遣会社から働いているみなさんに支払われる形となります。それ以外の社会保険などの手続きも派遣元が行います。
基本的には、保育園を運営する事業所から派遣会社に支払われたお金のうち、派遣会社がマージン(手数料)を抜いた分が、保育士の給料となります。
派遣保育士はなぜ必要
先にも述べたとおり、保育園を運営する事業所から派遣会社に支払われたお金のうち、派遣会社がマージン(手数料)を抜いた分が、保育士の給料となります。
ではなぜ保育園は派遣保育士を利用するのか?という疑問が生じると思います。直接雇用すれば、派遣会社にマージンを支払わなくて良いので安くすむはずです。
にもかかわらず派遣保育士が必要とされるのには以下の理由があります。
- 有期雇用であること
- 採用コストがあまりかからない
保育園が正職員を雇う場合は、原則的に無期雇用で雇う必要があります。一度雇った場合はそれなりの理由がない限りは解雇することはできせん。
派遣社員であればそもそも働く期間が決まっていたり、正社員と比較すると期間を区切って契約を解消しやすいので気軽に雇用することが可能となっています。
例えば、産休や育休で一人の保育士が休職したとします。そうすると現場にもうひとり保育士が必要になりますが、正社員で雇ってしまうと、休職中の保育士が戻ってきたときに保育士あまりが発生します。
正社員として雇うと、休職から復帰したからと言って新しく雇った保育士をクビにすることはできません。もちろん、育休明けの正社員をクビにすることもできません。こういう場合に保育園は派遣保育士を利用します。
また、保育園が正職員を雇う場合は、転職サイトに求人を出したり採用面接を行ったりと様々なコストがかかりますが、派遣保育士の雇用ではそれを抑えることができます。
ひとり保育士を採用するだけでも、複数の人数の面接を行います。求人費用や面接に出る園長などの人件費も考えると数十万円から百万円規模の費用が発生します。
つまり「派遣保育士」は保育園にとって「都合の良い存在」なのです。
「都合の良い存在」と聞くと抵抗があるかも知れませんが、これは働く保育士にとっても同様で、うまくこの仕組みを利用すれば搾取されることなく派遣保育士として働くことができます。
正社員やアルバイト・パートとの違い
派遣保育士と正社員やアルバイト・パートとの違いは以下の図のようになっています。
正社員 | パート | 派遣保育士 | |
---|---|---|---|
雇用主 | 保育園などの事業所 | 保育園などの事業所 | 人材派遣会社 |
給与支払 | 保育園などの事業所 | 保育園などの事業所 | 人材派遣会社 |
雇用期間 | 無期雇用 | 有期雇用 | 有期雇用(原則3年) |
給与 | 月給 | 時給 | 時給 |
賞与 | 有り | 無い場合が多い | 無い場合が多い |
3年以上働く場合は正社員として採用する必要があるため、派遣保育士は3年間の雇用期間がある場合がほとんどです。
派遣保育士の待遇は?
基本的にはパートの求人よりも時給が少し高い場合が多いです。雇用期間が著しく短期間であったり緊急を要するような場合は高時給であることが多いです。
場所や保育園にもよりますが、1200円から1500円程度になるでしょう。
賞与は無いことがほとんどですが、その分多様な働き方を選べたり、働きやすさを出せるのがメリットとなっています。
派遣保育士のメリット
派遣保育士のメリットを紹介します。
多様な働き方を選べる
派遣保育士は週5日8時間のフルタイムでの雇用だけではなく週2−週3という働き方を選ぶことが可能です。家庭の事情などに合わせた働き方を選択することができます。
例えば、パートで入ったけど保育園側からもっとたくさんシフトに入ってくれないかと圧力をかけられた経験はないですか?
派遣保育士は基本的に、派遣会社を通して条件交渉が行われるので保育園から直接なにかを言われることはないです。
なので保育園との関係は結構ドライなものになりますが、それが派遣保育士のメリットになります。
即日仕事を開始できる
派遣保育士は正社員と違って煩わしい面接や選考はありません。派遣会社への登録が完了すれば最短で即日で仕事を開始することも可能です。
派遣会社の登録自体もとても簡単で、保育士資格があれば落とされるということもほとんどないでしょう。
多くの施設を気軽に経験できる
派遣保育士は期間が終われば次の保育施設で働くことになります。正社員では一つの保育園に身を委ねることになりますが、たくさんの保育施設を経験することで多様な知見の吸収が可能です。
保育士にとってひとつの保育園しか知らないというのは結構なリスクのあることだと思います。古い体質の保育園も多いので、新卒からずっと同じ保育園で働いていると感覚が麻痺してきてしまうのです。
例えば、サービス残業が当たり前になり、ひいては、保育業界全般がそういうものだと思いこんでしまいます。ですが、実際はサービス残業は明確に法律違反で、無い保育園も多いです。
残業が少ない
派遣保育士は基本的には残業は行いません。決まった時間で契約しているので残業を強いられることも少ないです。
もちろん契約上残業を可能にすることも可能です。もちろん、働いた分の時給は確実にもらうことができます。
サービス残業はない
万が一残業をした場合でも、派遣している保育士がタダ働きされているなんてことがあれば派遣会社も黙っていられません。そのため、しっかり残業代を貰うことができます。
派遣元の会社にとっても残業 = 収入なので、会社同士のやりとりになるので、サービス残業などの法律違反は発生しにくいです。
持ち帰り残業はない
当然、正職員ではないので持ち帰りの残業はありません。プライベートの時間を有意義に活かすことができます。
持ち帰りの仕事を強要されるようならば、派遣元の会社にクレームをいれれば良いです。明確に法律違反なので、確実に止めてもらうことができます。あくまでドライに進めていきましょう。
保育園とのトラブルに対して派遣会社が味方をしてくれる
保育園となにか雇用条件や人間関係でトラブルがあれば派遣会社が間に入って対応してくれます。あなたに非がなければ派遣会社にはきちんとした対応する義務があります。そのため安心して働くことができます。
パワハラ・モラハラリスクが少ない
派遣保育士は、仮にパワハラモラハラを受けた場合は、派遣会社経由でクレームを入れることができます。派遣会社にとって自社の従業員がパワハラモラハラを受けて辞められてしまったら、マージンがもらえなくなるので必死に動いてくれます。
契約期間が終われば、他の派遣先の保育園で就業することも可能なので、気分一新他の保育園で働くという選択肢も取りやすいです。派遣会社にとっては、パワハラで登録している保育士を失うということは収入源を失うことになります。パワハラがあるようであれば、派遣会社はその保育園と付き合いをやめる可能性もあるでしょう。
派遣保育士のデメリット
派遣保育士のデメリットを紹介します。
賞与が無い場合が多い
派遣保育士は、多くは賞与がない場合がほとんどです。正社員と比較しても劣る部分にはなるので、最終的な年収を計算してどちらが良いか計算してみてください。
ただし、賞与以外の面では社会保険や有給休暇、産休・育休などはほとんど正社員と同等です。なぜならこれらの制度は雇用形態にとらわれずに利用できる制度だからです。
期間が決まっているので良い職場だと思っても辞めなければいけない
派遣保育士として働いていて、良い保育園だなと思っても、期間が来たら辞めなければいけません。
そういう場合には紹介予定派遣という制度もあるので、気に入った保育園があれば最終的には正社員として働くことができる制度もあります。
また、契約が終了したその場では、正社員になることができなくても保育士に欠員が出た場合は優先的に採用してくれるかもしれません。
もし現場でしっかりとした保育士としての仕事を全うできていれば、まったく知らない人を雇うよりも保育園としても効率が良いです。
紹介予定派遣とは?
正社員の登用を前提として派遣社員として入職する仕組みです。数ヶ月の派遣社員の期間を経て双方が合意すれば、正社員としてその保育園に直接雇用してもらうことができます。
あらかじめ保育園の内情を知った状態で入職することができるので、ブラックの多い保育園の保育士という職業において、とてもメリットの大きい制度になります。
派遣保育士として働く心得
派遣保育士として働く心得を紹介します。
派遣保育士は働いてあげているという意識を持つ
派遣保育士を雇用するというのは、明らかに保育士不足で保育士が足りていない場合がほとんどです。なぜなら通常、正社員やパートを雇うよりもマージンがかかる分、費用がかかるからです。
派遣保育士として派遣先にお仕事を頂いているという感情を持つ必要はありません。派遣先の言いなりで残業・持ち帰りをやらされてしまうかも知れません。その場合派遣保育士として働くメリットが一切なくなってしまいます。あくまでもドライな関係を構築していきましょう。
派遣保育士が安く使えるものと勘違いしている保育園に注意
派遣保育士は本来、人件費を節約できる雇用形態ではありません。通常、正社員やパートを雇うよりもマージンがかかる分、費用がかかるからです。
ですが、一定数派遣は安く使えるものと勘違いしている保育園があるのは事実です。そのような保育園が派遣先になってしまったらトラブルにもなりかねないので注意してください。
おすすめの保育士の人材派遣会社
派遣保育士のメリットを享受できるのは良い派遣会社に登録してこそです。良くない派遣会社に登録してしまった場合は、メリットを享受することもできず、デメリットだけの雇用形態になってしまいます。
ここでは、信頼のできる保育士の人材派遣会社を紹介します。以下に紹介している派遣会社は正社員やパートの求人なども紹介しているため、どの雇用形態で働くか迷っているという方にもおすすめできます。
登録すると電話でのヒアリングがあると思うので、心構えておくと良いです。
- ヒトシア保育| ※全国の正社員・派遣・パート保育士の求人に対応しています。派遣会社でもあるので、派遣保育士として勤務を検討している方にもおすすめです。登録しないと得ることができない非公開の求人もたくさんあります。
- ほいく畑 | ※全国の正社員・派遣・パート保育士の求人に対応しています。派遣会社でもあるので、派遣保育士として勤務を検討している方にもおすすめです。未経験・ブランク有りの方の支援が充実しています。
【まとめ】ブラック保育園で正社員をするくらいなら派遣保育士がおすすめ
- 残業が少ない
- サービス残業はない
- 持ち帰り残業はない
- 保育園とのトラブルに対して派遣会社が見方をしてくれる
これらが派遣保育士の大きなメリットになります。サービス残業・持ち帰り残業・休憩無しというブラックな保育園での勤務を時給換算したら派遣保育のほうが待遇が良いなんてことも有り得ます。
まずは派遣保育士として働いてみて、正職員の待遇や人間関係が良さそうだなと思ったら、正職員として雇用してもらうというのも賢い方法だと思います。