私立保育園への転職を考えている公立保育園の保育士の方。
公立保育園から私立保育園への転職は保育士にとっては、待遇面が悪化するのでなかなか難しい判断になると思います。
かといって現状の勤めている環境に不満がある場合は、我慢して話し続けなければいけないですよね。今回は、公立保育園から私立保育園への保育士の転職事情と就職方法を紹介します。
複数回の転職経験があります
その経験が参考になればと思います
公立保育園から私立保育園への保育士の転職事情
まずは、公立保育園から私立保育園への保育士の転職事情について紹介します。同じ保育士の仕事でも公立と私立では、給与・休暇・福利厚生などの事情も大きく異なります。
給与面の違い
公立保育園と私立保育園は給与も大きく異なります。
厚生労働省が発表している令和5年賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均年収は約396.9万円(平均年齢38.0歳)となっています。更に細かい数値を見ていくと以下のようなデータがあります。
年齢 | 保育士の平均年収 | 月給額 | 賞与額 |
---|---|---|---|
全体 | 396.9万円 | 27.14万円 | 71.22万円 |
20歳~24歳 | 320.88万円 | 23.09万円 | 43.80万円 |
25歳~29歳 | 382.53万円 | 26.08万円 | 69.57万円 |
30~34歳 | 385.63万円 | 26.43万円 | 68.47万円 |
35~39歳 | 409.42万円 | 27.78万円 | 76.06万円 |
40~44歳 | 425.03万円 | 28.62万円 | 81.59万円 |
45~49歳 | 426.22万円 | 28.47万円 | 84.58万円 |
50~54歳 | 422.28万円 | 28.70万円 | 77.88万円 |
55~59歳 | 462.93万円 | 31.10万円 | 89.73万円 |
60~64歳 | 448.32万円 | 30.59万円 | 81.24万円 |
65~69歳 | 482.88万円 | 33.46万円 | 81.36万円 |
70歳~ | 583.47万円 | 37.54万円 | 132.99万円 |
※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
こちらが私立保育園で働く保育士の全国平均の年収になります。年収の平均は地域によって差があるため注意しまししょう。
基本的には、公立保育園で働く公務員保育士と比較すると給与水準は低くなります。特に、年齢が上がっていった場合の伸びが私立保育士はほとんどない点に注意しましょう。
以前に保育士の生涯年収について調べましたが、おおよその 私立保育園の保育士の平均生涯年収は、
- 約1億7千万円
と推測したことがあります。
公立保育園の保育士の平均生涯年収は自治体によっても差がありますが、
- 約2億4千万円から2億5千万円
くらいと言われているのでずっと同じ職場に勤めたと仮定して、生涯年収についても大きな差があります。
また、退職金制度や厚生年金についても、公務員のほうが有利な場合が多いです。基本的には、公立保育園から私立保育園へ転職した場合は待遇は悪化することになります。
休暇面の違い
有給休暇については公務員の方であれば、年間20日間が初年度から付与されるケースも多く、それとは別に一週間程度の夏季休暇が付与されている場合も多いと思います。
私立保育園で働く正規職員の場合は、ほとんどが初年度は入職半年後に10日間が付与されます。その後、勤続年数が増えるごとに付与日数も増えていきます。基本的に法令における最低水準と同等になります。夏季休暇は、有給休暇と別に付与される保育園もありますが、ないところも多いです。付与される場合でも3日程度が平均となっています。夏季休暇として有給休暇を消化する保育園もあります。 公務員も同様ですが、有給休暇は正職員の場合は、年5日の消化が義務になっているので、その日数は確実に利用できます。
産休や育児休業については、法律で定められているので公立も私立もどちらも大きな違いはないです。
その他の休暇や休業などについては、保育園によって様々になります。公立保育園で働いていた時と同じものがあるだろうと当たり前に決めつけずに、求人を探す際にはしっかりと確認をしましょう。
福利厚生制度面の違い
福利厚生制度については、保育園を運営する事業所が独自に定めているものになるので、保育園によって様々です。 こちらも公立保育園で働いていた時と同じものがあるだろうと当たり前に決めつけずに、求人を探す際にはしっかりと確認をしましょう。
公立保育園の保育士が私立に転職するメリットはある?
ここまで公立保育園と私立保育園の違いについて紹介しましたが、
結論としては、公立保育園から私立保育園へ保育士が転職するメリットはほとんどありません。比較した場合に基本的にほとんどの面で公務員である公立保育園の保育士のほうが上回ります。
ほとんど唯一の私立保育園で保育士が働くメリットは、「気軽に転職ができる」ということです。
人間関係でなにかトラブルになったとしても、別の私立保育園に転職することは比較的容易に可能です。どうしても公立保育園の場合は、説明したとおり待遇等が大幅に悪化するので転職を躊躇ってしまい、休職になってしまう人が多い傾向があります。その結果として、復帰して再度働くことがなかなか難しくなってしまう人も多いと思います。私立保育園から私立保育園へは待遇もほとんど変わらずに転職できるので、良い意味ですぐに逃げることができます。
また、現時点では私立保育園で働く保育士向けに「保育士宿舎借り上げ制度」を実施ている市区町村も多くあります。この制度
経験年数の少ない若手であれば、少なくとも転職した時点においてはそこまで給料が悪化してしまうということを防ぐことができます。
「保育士宿舎借り上げ制度」についての詳細は以下の記事を参考にしてみてください。
やむを得ない事情で転職を考える保育士がほとんど
公立保育園から私立保育園へ保育士が転職するメリットはあまりないので、結果的にやむを得ない事情で転職を考える保育士がほとんどになると思います。
やむを得ない事情とは、
- 人間関係の問題
- 引っ越しなどの居住エリアの問題
- 業務負担、雇用形態の問題
などが挙げられます。
「人間関係の問題」は、例えば、上司などからパワハラ等を受けていたり、職場の人間関係にトラブルを抱えている場合などです。
「引っ越しなどの居住エリアの問題」は、家庭の事情などで、遠方へ引っ越しをしなければいけなくなった場合などです。
「業務負担、雇用形態の問題」は、正職員ではなくパートとして働きたいというような場合などです。
これら以外には、保育士自体を辞めたいということもあると思いますが、その場合は私立保育園ではなく一般企業等に転職を考えることになると思います。逆に給与待遇を改善したいとか、将来性などを考えて転職を考える人は皆無といっても良いと思います。
異動や転換も視野に
もしかしたら、この記事にたどり着いた公立保育園の保育士のなかには、どうしても今が辛くて公立保育園から私立保育園へ転職をしようと考えている人もいるかも知れません。
特に「人間関係の問題」については私立保育園だからといって良くなる保証はありません。なので、公務員を辞めずに別の保育園への異動や保育士以外の職業への転換も視野に入れると良いかもしれません。
仕事内容や保育面での違い
保育士の仕事内容に保育園ごとに違いはあっても、公立と私立という違いで、これといった違いがあると言えることはありません。ただし、傾向として公立と私立の保育園には特徴があります。
まず、公立保育園は比較的に園児定員の人数が多い傾向があります。定員規模は100名を超える施設も多いです。一方で、私立保育園は最近は60名程度の施設が多く、19名以下の小規模な定員の施設も増えています。
また、異動・転勤という面でも、公立保育園は数年に一度、市区町村内の別の保育施設に移動することが多いです。もちろん、同じ市区町村内になるので、引っ越しは必要ないケースが多いです。一方、私立保育園は、大規模な会社で全国に保育施設を運営する施設であれば、市区町村を跨いだ異動もありえます。また、小さい法人で1園しか運営していないのであれば、異動はありません。
職員という面では、公立保育園に勤める保育士は勤続年数が長い人が多く、ベテランの保育士が多い傾向があります。私立保育園は、施設によってまちまちですが、比較的新しくできた保育園などは、若い保育士が多い傾向があります。
公立保育園から私立保育園への保育士の就職転職方法!
ここからはいよいよ公立保育園から私立保育園への保育士の就職転職方法について解説します。
公立保育園の保育士の転職活動の開始時期について
ご存知かもしれませんが、私立保育園の求人は4月入職の求人が圧倒的に多いです。なので、基本的には4月入職を目指して転職活動をするのが良いです。
ただし、昨今は保育士不足で通年で採用している保育園も多いので、すぐに転職をしたいのであれば年度途中でも求人は見つかります。資金面に余裕があれば、退職をしてから転職活動を初めても問題ありません。
4月入職を目指す場合の転職活動をのおすすめの開始時期は、9月以降〜になります。 次年度に向けた保育士の求人が出始める時期になります。
私立保育園の保育士求人は早いもの勝ちという側面も多少あるので、この早い時期から求人をチェックしておくと選択肢が増えておすすめです。
公立保育園から私立保育園への保育士の就職転職の具体的な方法
公立保育園から私立保育園への保育士の転職の際におすすめの方法は、保育士転職サイトを利用することです。
公立保育園で勤務している方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、民間の保育士がよく利用しているのが保育士転職サイトです。
保育士転職サイトに登録をすると、ネット上などでは公開されていない非公開の求人情報を得ることができます。私立保育園の求人は様々な事情(公開すると応募が殺到してしまう、保護者に知られたくない等)があって非公開とすることも多いので、より多くの求人情報を得ることができます。気になる保育園で求人がないかどうかも聞くことができるのでおすすめです。
- マイナビ保育士|全国の正社員・パート保育士の求人に対応しています。登録するとネット上での検索などでは見つからない非公開の人気のある高待遇の求人情報も得られます。 まずは求人情報を知りたいだけという方でもOKです!
- ジョブメドレー保育士
| 全国対応でネット上から求人応募が可能です。すぐに転職するつもりはなくても、とりあえず登録して求人を見ることができます。自分のペースで転職をしたい人におすすめです(^^)
- ヒトシア保育| ※全国の正社員・派遣・パート保育士の求人に対応しています。登録しないと得ることができない非公開の求人もたくさんあります。 求人数も多いのでとにかくたくさんの情報を得たいという人にもおすすめです。
※ 紹介できる求人などに差があるため転職サイトは複数社に同時登録して併用がおすすめです。就職転職活動が不安な方はまずは簡単な相談目的での登録でも大丈夫です。
※ 保育士の転職サイトは新卒の方や未経験の保育士の方、資格取得見込みの方でも利用可能です。
元公立保育園の保育士の私立保育園の面接事情は?
私立保育園の面接を経験したことが無い方が気になるのは、私立保育園の面接事情だと思います。
私立保育園の面接は、基本的に1、2回の面接で合否が決定します。別途の試験等があることは少ないです。面接に合格したからと言って必ず入職をしなければいけないわけではありません。合格後に、詳細の条件も踏まえて入職するかしないかを決めれば良いです。
むしろ公立保育園は私立保育園よりもしっかりとしているイメージが多いと思うので有利になるかもしれません。
園長などが特に気にするのは、なざわざわざ待遇がよい公立の保育園を辞めるのかという部分だと思います。答え方を誤ると「保育士向いてないのではないか」とも思われてしまうので注意が必要です。
また、面接と合わせて、必ず保育園の見学を行うことをおすすめしています。 私立保育園においては、保育園の見学が良し悪しを見極められる数少ない機会になります。
まとめ:公立保育園から私立保育園への保育士の転職事情と就職方法を紹介!
今回は、公立保育園から私立保育園への保育士の転職事情と就職方法を紹介しました。
公立保育園から私立保育園への保育士の転職というのはあまり多いケースではなく、待遇面が悪化するのでなかなか踏み切るのが難しいところかと思います。
もし、転職したい理由が人間関係などが原因だとしたら、まずは退職ということではなく異動や配置転換も視野に入れるとよいかもしれません。