保育園で働く保育士の皆様。これから、働く保育園を選ぶという方。
最近は、潰れてしまう保育園も出てきていますよね。できれば、将来性のある保育園で働きたいですよね。
また、保育園に子どもを預けている、これから預けるという保護者の方。昨今では、保育園が急に閉鎖・閉園してしまうというこも起きているので、園を選ぶ際に心配になりますしよね。保育園が閉園していると通っている園児や働いている保育士はどうなってしまうのでしょうか。
今回は、保育園が閉園するとどうなるということと、私の保育士としての経験から、潰れにくい、閉園しにくい保育園の特徴について紹介します。
保護者の評判が悪い園、良い園の両方の勤務経験があります
その経験が参考になればと思います
閉園してしまう、潰れてしまう保育園も
昨今は閉園、潰れてしまう保育園というのも出てきています。待機児童の増加によって、新規の保育園がたくさんできた一方で、新型のコロナウイルスなどの影響もあり保育需要が少し落ち着いて来たということも影響しています。
保育園が閉園、潰れてしまう一番の理由は、収入が減ってしまって維持できないというも場合が多いです。逆に言うと収入がきちんと維持できる保育園は将来に渡っても存続する保育園ということになります。
保育園が閉園するとどうなる?
まずは、保育園が閉園するとどうなってしまうのか、ということを働く保育士、利用している保護者(園児)それぞれについて紹介します。
保育士に起きること
複数の保育園を運営している大きな会社であれば、別の保育園で働ける可能性があります。ただし、自分自身が通勤できる範囲内に別の店舗があるとは限らず、引っ越しか退職を余儀なく慣れてしまうことが多いかもしれません。
また、複数の保育園を運営していない会社や法人であれば、多くの場合は、実質的な解雇状態に陥ってしまうでしょう。保育園を継続できない = 倒産状態になってしまうという可能性が高いです。その場合は、当然、新たな就職先を探す必要があります。また、園の状況によっては働いた分の給与を得られない可能性もあります。
保護者(園児)に起きること
次に、保育園が閉園してしまうと保護者(園児)に起きることを説明します。
転園を余儀なくされる
通っている保育園が閉園する場合は、別の保育園へ転園をしなければいけません。認可保育園であれば、同じ自治体内に定員が空いている保育園があるのであれば、優先的に転園できる可能性はあるでしょう。ただし、当然ですが、空きがあるとは限りません。また、登園できる範囲内に定員の空きがあるとも限りません。認可保育園でなければ、自治体の対応にもよりますが、基本的には、優先的な転園はできないでしょう。自分自身で別の認可外保育施設等を探す必要が出てくると思います。
子どもにとっても、せっかく慣れた環境が変わることによって、精神的な安定を得られなくなってしまうという大きなデメリットがあります。
次の日から園に通えない
保育園の閉園には、事前に告知されている閉園もあれば、予期できない閉園もあります。むしろ、閉園するとわかっていて子どもを預ける保護者の方は少ないので、閉園は決まっていてもぎりぎりまで公開しないこともあると思います。予期できない閉園の場合は、通いにくい遠方の保育園しか空きがなかったり、そもそも預けられるところがなく、次の日から園に子どもを預けることができないということがおきかねないです。
潰れにくい、閉園しにくい保育園の特徴
ここからは、本題である潰れにくい、閉園しにくい保育園の特徴を紹介していきます。
公立の認可保育園
まず一番潰れにくい、閉園しにくい保育園が公立の認可保育園です。公立なので、赤字黒字という考え方が無く、基本的に閉園する可能性は少ないです。よほどの過疎地を除けば、統合や移転されることはあっても来年から急に預け先がなくなってしまうということは無いでしょう。
ただし、最近では、公立保育園の運営が民営に委託されたり、民営化されるということが起きています。これについては相当な余裕を持って告知されているうえに、在園児についても場所が変わる可能性はあっても引き続きの在籍園は保証されます。
また、働く保育士についても、基本的には公務員になるので異動等のなんらかの形で雇用は保証されます。一方で、会計年度任用職員の場合は、次年度以降の雇用がなくなるということは想定できます。
駅前などの過疎地ではない場所にある認可保育園
駅前などの過疎地ではない場所にある認可保育園も閉園しにくい保育園の特徴の一つです。安定的に園児の定員を確保できる可能性が高いためです。逆に、少子化が進んでいる地域などにある保育園は今後、子どもの人数が減ってしまって縮小や閉園に追い込まれてしまう可能性があります。
大きな法人の運営する認可保育園
大きな法人が運営する認可保育園は資金力があるため多少の赤字などは他の部分でカバーすることができます。また、たくさんの保育園を運営しているノウハウがあるので、そもそも赤字に陥る可能性が比較的少ないです。
大きな法人では、仮に、保育士の一斉退職などの事案が起きたとしても、他の園などからの人員の融通なども効かせることができます。働く保育士にとっても、大きな法人で近隣にも系列園があれば仮に自分が働いている保育園が縮小、閉園されたとしても雇用が継続できる可能性が高いです。
閉園してしまう可能性のある保育園の特徴
ここからは、逆に閉園してしまう可能性のある保育園の特徴について紹介していきます。
園児の定員割れを起こしている保育園
認可保育園は園児の人数に応じて国や自治体から委託費として費用を得ています。園児の定員割れを起こしているということは、保育園の収入が減ってしまっているということになります。そのまま定員割れが進んでいくと最終的には、閉園という可能性もあります。働く保育士にとってもパートの場合は、シフトを減らされてしまったり、ボーナスなどが削られるということも想定できます。そのことが保育士の離職を招いたり、最終的には雇用を維持できなくなってしまう可能性もあります。
小さい法人、ワンマン園長がいる保育園
小さい法人が運営している保育園やワンマン園長の保育園は、組織内の不正などに対して自浄作用が少ないです。園長などのトップを注意・監視する人がいないためです。また、自浄作用が無いという構造的に不正や保育士へのパワハラ・モラハラというものが起きやすい構造になってしまいます。このような保育園では、保育士の一斉退職などの状況にも陥りやすいです。
保育士の待遇が悪すぎる保育園
保育士の待遇が悪すぎる保育園は閉園してしまう可能性が高いです。給与面はもちろんですが、園長のパワハラなどが発生している保育園は特に注意が必要です。昨今では、保育士が一斉に退職してしまい、実質的に運営を続けられないということが起きているためです。
このパターンは閉園の形としては一番最悪で、保護者は次の日からいきなり子どもを預けられないという状況に陥ってしまう可能性があります。働く保育士も雇用が継続できずに実質的な失業状態に陥るでしょう。
保育士の入れ替わりが激しい保育園
前項の保育士の待遇が悪すぎる保育園と共通する部分ではありますが、保育士の入れ替わりが激しい保育園についても閉園するリスクが高いです。不満を抱えている保育士が多いということなので、今後働く保育士が不足し実質的に運営を続けられないということが起きる可能性があります。
特徴の無い認可外保育園
認可外保育園は、その名の通り自治体から認可を受けていない独自の保育園です。間に市区町村を挟まないため、言ってしまえば、経営者の意思で勝手に閉園することができてしまいます。実際にそのようなことも起きています。
その中でもこれといった特徴が無い認可外保育園は注意が必要です。特徴というのは例えば、スポーツに力を入れている保育園や英語などに力を入れているインターナショナル保育園などです。
このような特徴が無い保育園は、なんらかの事情によって認可保育園に入れなかった人が利用する保育園になります。つまり、近隣に認可保育園が新しくできれば、そちらを利用する可能性が高いです。そうなると定員が維持できなくなってしまいます。
将来性のある保育園の特徴
ここからは、本題である閉園や潰れにくい、将来性のある保育園の特徴について紹介します。
保育需要が安定している
将来性のある保育園の特徴としてまず、一番重要なのは保育需要が安定しているということです。保育需要が高いということは、保育園に入園させたい保護者がたくさんいるということです。
保育園は、設定されている園児定員を毎年受け入れることで、収入を維持することが出来ます。園に入園する人が減った場合は、当然、収入は減ってしまうことになります。
また、基本的には、保育園は正社員として雇用している保育士を急にクビにするということはできません。そのため、園児定員割れを起こしてしまうと、人件費が収入より多くなってしまって赤字になるということも想定できます。もちろん、園の建物や土地などの賃料も一定額がかかっています。
そうなってしまうと、保育園は運営を継続できずに、最終的に閉園になってしまうということもあるでしょう。
安定した保育需要には、以下のような保育園になります。
- 大都市圏の保育園
- 市区町村内に子育て世代の流入が増加している
- 駅近等の利便性が高いエリアにある
- 保育内容や行事に魅力がある
- 大きな法人が運営する認可保育園
これらについて以下から説明していきます。
大都市圏の保育園
日本は少子高齢化で、東京都以外はほとんどの自治体で人口減となっていて、子育て世代も少なく保育需要も減少傾向にあります。昨今、保育需要が増加しているのは共働き需要が増加していることが影響していて、過去と比較した場合に、保育園に預けたい保護者が増えているためです。大都市圏の場合は、他のエリアと比較した場合に、人口減のスピードは緩やかであることは間違いないでしょう。
市区町村内に子育て世代の流入が増加している
子育て世代の流入が増加しているのは、新規のマンションや住宅街が積極的に開発が行われている自治体になります。都心に近く、大型の商業施設や公園などが充実している人気の街になります。
最近で言うと以下のような市区町村などが挙げられます。
- 東京都町田市
- 千葉県流山市
- 千葉県美浜区
- 千葉県柏市
- 神奈川県藤沢市
- 千葉県印西市
- 神奈川県茅ヶ崎市
基本的には、認可保育園の利用の場合、利用者の方は市区町村内の保育園で利用可能なエリア内から子ども預ける保育園を選ぶことになります。よって市区町村内に子育て世代が増加していると、保育園の定員も安定しやすくなります。
駅近等の利便性が高いエリアにある
保育園を利用する保護者の方は、子どもを預けてから出勤して、退勤後に迎えに行くという流れになるので、交通の便の良いエリアにある保育園は人気が高くなる傾向があります。そのまま電車に乗って通勤ができるためです。また、様々な公共交通機関は駅を中心として発達しているので、利便性は高くなります。結果的に、駅から近い保育園は定員割れを起こしにくい環境になっています。逆にどんなに魅力的な保育園でも自分が利用できる距離にない場合は、利用するという選択肢には入らないことになってしまいます。
保育内容や行事に魅力がある
保育内容や行事等に魅力がある保育園も安定して定員を確保することが出来ます。利用者である保護者の方からすると「この保育園に自分の子どもを預けたい!」と考えるきっかけになるためです。近隣に複数の保育園の選択肢がある場合は、そのなかでも魅力的な保育園を選ぶということになるでしょう。もちろん、保育内容や行事に魅力があるというのは、積極的な情報発信なども大切です。情報発信をしていないと、外部からはどのような保育園がどうかはわからないためです。
保育内容や行事に魅力があって、積極的に情報発信している保育園というのが条件の一つになるでしょう。
認可保育園の保育施設
2つ目の将来性のある保育園の特徴は、認可保育園の保育施設であるということです。保育園には大きく、認可保育園と認可外保育園がありますが、認可保育園のほうが、閉園や潰れにくい将来性のある保育園になります。
一般的に認可保育園のほうが国や自治体からの補助金が充実している傾向があります。そのため、安定した運営資金を得ることが出来ます。また、利用者の保育料も認可外保育施設よりは低額であることが多いので、利用者もまずは認可保育園の利用を検討します。それでも入園できる施設がなければ、認可外保育施設を探すというのが一般的な流れになっています。もし、今後、保育需要が安定してきた場合は、特徴のない認可外保育施設をあえて利用する保護者の方は少なくなってしまうでしょう。
大きな法人が運営している保育園
2つ目の将来性のある保育園の特徴は、大きな法人が運営している保育園ということです。
大きな法人でたくさんの保育園を運営しているということは、その分ノウハウもたくさんあるということです。定員割れが起きにくいような対策なども取りやすいでしょう。
また、大きな法人であれば、一時的に定員割れが起きてしまっても、組織力や資金力を活かして対処がしやすいという側面があります。余ってしまった保育士を他の系列園に異動させるということも出来ますし、もっと状況が悪い場合でも移転や統合などの選択肢もあるでしょう。
保育士の待遇が良い保育園
保育士の待遇が悪い保育園は、離職する保育士も多くなります。あらたな保育士を雇用するにも、お金が必要になります。求人広告の費用や、園長の面接の時間、事務の方の手続きのための稼働もかかることになります。
保育士が離職するということは、スキルが定着せずに、保育園が効率化されていかないということになります。その結果として保育士の負担が減らずに、待遇も悪いので、また退職してしまう保育士が出てくるという負のスパイラルに陥ってしまいます。
安全面や保育の質の面でも、入れ替わりが激しいということはデメリットが多く、そのことが保護者にとってのデメリットに繋がる場合もあります。
行政制度に敏感な保育園
認可保育園は国や自治体が基準やルールなどを決めて運営されているため、将来に渡って安定して運営を続けるには、行政制度に敏感である必要があります。
例えば、保育士の処遇改善なども新しいものが出来た場合は、その基準を満たして申請する必要があります。黙って運営していれば良いわけではありません。そのため、ころころと変わる新しい行政制度などを随時キャッチアップして適応していく必要があります。それを怠ると補助金がもらえなかったり、保育士の給料が他の保育園より低くなってしまうというようなことが起きます。
最新技術に敏感な保育園
5つ目のの将来性のある保育園の特徴は、最新技術に敏感な保育園ということです。最新のITサービスなどを利活用できている保育園は、業務効率を挙げることが出来ます。
例えば、保育士の残業代を減らすことができれば、それは保育園の利益アップに繋がります。保育士の負担も減らすことが出来ますし、そのことによって残業時間も減らすことが出来ます。保育士の定着にも繋がりますし、
保育園以外のビジネスにも注意
最後に、注意が必要な点は、保育園以外のビジネスになります。大きな会社になってくると、保育園以外のビジネスも行っている場合があります。例えば、保育園以外のビジネスが傾いてしまうと、保育園のほうにも影響が出てくる場合があります。保育園以外のビジネスの損失の補填を保育園の収入から補うために、保育士のボーナスなどがカットされる等もあるかもしれません。
【保育士向け】こんな保育園はもう危ないかも!
最後に保育士向けに、こんな保育園はもう危ないかもという内容を記載しておきます。自分が働いている保育園が該当したら要注意です。
- 給与・賞与のダウン
- 給与支払いの遅延
- シフトが削減
- 相当の定員割れを起こしている
こんな保育園に働いている場合は、閉園・閉鎖一歩手前なので、給料がもらえなくなる前に早めに転職を検討したほうが良いかもしれません。
まとめ:100%潰れない、閉園しない保育園と言えるものない
今回は、潰れにくい、閉園しにくい保育園の特徴について紹介しました。
潰れにくい、閉園しにくい保育園の特徴をまとめると以下になります。
- 公立の認可保育園
- 駅前などの過疎地ではない場所にある認可保育園
- 大きな法人の運営する認可保育園
- 園児の定員割れを起こしていない
- 小さい法人、ワンマン園長でない
- 保育士の待遇が悪すぎない
- 保育士の入れ替わりが激しくない
- 特徴の無い認可外保育園ではない
100%潰れない、閉園しない保育園と言えるものはありません。昨今の様々な情勢から、広い意味での閉園(移転、民営化、統合などを含む)はどんな保育園でも起こりうると言えると思います。
それでも、働く保育士や利用する保護者の皆様も気をつけて保育園を選べば、自分の保育園が閉園してしまうリスクをかなり少なくすることができると思います。