保育園で働く保育士の方にとっても年に数回のボーナスの支給はテンションがあがるイベントの一つだと思います。そんなボーナスですが、きちんと支給されていないと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
勤めている保育園からボーナスの支給なしやカットを告げれれてがっかりしてしまった方、そんな時にふと思うのはボーナスって勝手にカットしてよいの?ということだと思います。
今回は、保育園が従業員である保育士のボーナスのカットなどをしても問題ないのか、という点を保育士の方向けに解説します。
その経験が参考になればと思います
そもそも保育園(会社)に賞与の支給義務はない
まずは「ボーナス支給なしの保育園は問題ない?」の答えになりますが、そもそも保育園(会社)に賞与の支給義務はありません。
そのため、正社員である保育士に対して賞与を支給しないという保育園は特に問題があるわけではないということになります。
1 賞与は、労基法その他の法律によって設けることが義務付けられているものではありません。しかし、賞与を支給する場合、就業規則に支給対象時期、賞与の算定基準、査定期間、支払方法等を明確にしておくことが必要です。
※参考「厚生労働省 モデル就業規則」https://www.mhlw.go.jp/content/001018385.pdf
保育園の保育士求人を探す際は、この点にも注意して、あくまでもボーナスや月給を考慮して想定される総年収で比較するようにすると間違いや計算違いが起きにくいです。
ボーナスの支給義務がないということはカットや不支給もありうる
保育園(会社)にボーナスの支給義務がないということは、ボーナスがカットされたり、不支給になるということは十分考えられることになります。
- ボーナスの支給が無い保育園
- 勝手にボーナスを一部カットされた
- 前回までは支給されていたのに今回はボーナスの支給が無かった
各個人の評価や査定内容によってボーナスを減額したり、増額する場合もありますし、保育園の業績によって減額や増額、不支給になるということも想定できます。
詳細は就業規則等にボーナス支給条件が明記されているはず
ボーナスをカットする場合は、就業規則にその条件(業績悪化等)なども書かれているはずなので、就業規則についても確認しましょう。裏を返すと、就業規則に書かれていないのにも関わらず、無闇矢鱈にボーナスがカットされているという場合は、問題がある可能性があります。
以下は厚生労働省が出している就業規則のモデルになります。
第48条 賞与は、原則として、下記の算定対象期間に在籍した労働者に対し、会社の業績等を勘案して下記の支給日に支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。
2 前項の賞与の額は、会社の業績及び労働者の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。
※参考「厚生労働省 モデル就業規則」https://www.mhlw.go.jp/content/001018385.pdf
こちらの例だと、「会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により」と書かれているので、こちらに該当する状況の場合は、従業員である保育士のボーナスをカットすることは問題ないということになります。
逆に言うと、この条件を満たしていない場合は、賞与を勝手にカットしてはいけないという可能性も出てくる場合があります。
賞与に関しては保育園の就業規則を確認しよう!
もし、勤務している保育園においてボーナスがカットされたという場合で疑念を抱いた場合は、勤めている保育園の就業規則をまず確認しましょう。
以下は厚生労働省が出している就業規則のモデルになります。
第48条 賞与は、原則として、下記の算定対象期間に在籍した労働者に対し、会社の業績等を勘案して下記の支給日に支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。
2 前項の賞与の額は、会社の業績及び労働者の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。
※参考「厚生労働省 モデル就業規則」https://www.mhlw.go.jp/content/001018385.pdf
ボーナスをカットする金額や基準なども定められているはずなので、その内容を満たしているかを確認してみましょう。その上で、もし不当にボーナスをカットされていると感じた場合は、外部の専門家(労働関係)に相談をしてみるのが良いと思います。例えば、上の例だと「会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により」というのは、自分だけでは簡単に判断することはできないと思います。保育園に一体どのようなやむを得ない事情があり、それが過去の事例などから適切なのかどうなのかというのを専門家に判断して貰う必要があります。
保育士がボーナスをカットされたら転職を検討しよう
自分の評価や査定が理由ではなくボーナスをカットされてしまったという保育士の方もいらっしゃると思います。その場合は、基本的には会社の業績が悪化しているという状態になると思います。
保育園という性質上、ボーナスをカットしなければいけない状況、つまり会社の業績が悪化している状況というのは改善していくのがかなり難しいです。
保育園、特に認可保育園の場合は、運営資金は在籍する園児の人数などをもとに公定価格として支給される金額が決定します。そして、園児の人数に対して必要な保育士の人数も定められています。つまり、それに従っていれば、少なくとも他の保育園と同水準くらいの給与は支払えるはずです。
しかしながら、それが出来ていないということは、基本的には 園児の人数が定員割れを起こしている という状態になると思います。その結果として保育園の収入が悪化しているというような状況です。もしくは、その会社の別の事業で赤字を出してしまっているということも考えられます。
前者の場合は、来年から急に定員を満たすことができるようになるということはなかなか考えにくいです。園の立地条件は簡単には変えられませんし、子どもの出生状況などをコントロールすることは出来ないためです。つまり、なにか園児の定員を満たすことができる別の対策を打てないと、そのまま定員割れが継続してしまう可能性が高いです。そうなると最終的には閉園や賞与以外の給与の不支給などにもつながるリスクがあります。
後者の場合は、赤字を出している別の事業の状態次第にはなりますが、会社の別の事業の調子が良ければ保育士の賞与が増えるというわけではないと思うので、その会社で働く保育士にとっては別の事業に手を出しているという事自体、ほとんどメリットがないことになってしまいます。
保育園のボーナスがカットされているというのは、そのような状況なので、できるだけ早く転職をするというのが得策になると思います。
まとめ:ボーナス支給なしやカットする保育園は問題ないの?
今回は、保育園が従業員である保育士のボーナスのカットなどをしても問題ないのか、という点を保育士の方向けに解説しました。そもそも保育園(会社)に賞与の支給義務はないですが、就業規則等に書かれているボーナス支給条件は守る必要があります。そのため、状況次第では保育士のボーナスカットができますが、支給条件に従う必要はあります。
もし、勤務している保育園においてボーナスがカットされたという場合で疑念を抱いた場合は、勤めている保育園の就業規則をまず確認しましょう。その上で、もし不当にボーナスをカットされていると感じた場合は、外部の専門家(労働関係)に相談をしてみるのが良いと思います。