これから就職や転職を考える保育士の皆様。
保育園の保育士の求人を見ていて、賞与(ボーナス)が業績連動、評価変動と書かれているのをみて気になったことはありませんか。
一体どのような仕組みで賞与(ボーナス)の金額に変動があるのでしょうか。
このような疑問もあると思います。今回は、保育士求人の賞与(ボーナス)の業績や評価による変動・連動について解説しています。
賞与を受け取った経験があります
その経験が参考になればと思います
賞与(ボーナス)とは?
賞与は、会社などで給料とは別に支給される金銭になります。保育園でも従業員である保育士に支給していることが多いです。ボーナスの支給有無や金額は保育園を運営している事業者が自由に設定することができます。つまり支給しなくても良いですし、支給する金額も勤務する保育園によって、さらには、各職員ごとによって様々です。
保育園で働く保育士の賞与については以下にあげる記事も書いているので参考にしてみてください。
保育士の賞与(ボーナス)の業績による変動とは?
保育士の賞与の業績による変動とは、
保育園の業績、つまり、保育園が黒字なのか赤字なのかというような数値等に連動して、保育士に支給する賞与の金額が変動するという仕組み なります。
例えば、保育園の本来の定員数に対して、入園する園児が少なくなってしまったとします。この場合は、保育園が得られる補助金の額が少なくなります。結果として最終的に保育園の経営が赤字などになると、保育園で働く保育士の賞与が削られる。これが、業績連動型の賞与の変動という形の一例になります。
保育士の賞与(ボーナス)の業績連動制のメリット
保育園(会社)としては、賞与の支給額を業績に連動させて変化させることは、経営の安定につながるためメリットがあります。保育園で働く保育士にはメリットがあるかと言われると、個人的にはあまりメリットがあるとは考えにくいです。
保育園の経営はそもそもが比較的不況などにも左右されずに安定していますし、減額はあっても増額されることはあまりないため です。業績による賞与の増額がないのは、認可保育園が人気があるからと言って利用料金を上げたり、急に受入人数を増やすということは出来ないためです。結果的に、保育園の業績が想定より上振れするということはほとんどありません。
最近では、待機児童の増加の観点から、保育園の人気の増加が必ずしも保育園が提供する保育の質が高いためとは限らないという背景もあります。エリアなどの要因がメインで定員が埋まることもしばしばだと思います。
長期的なスパンで考えると、保育士として保護者や子どもに良い価値を提供する仕事をすることで保育園の人気が高まり、安定的に定員が埋まることはありますが、それによって保育園の収入が倍増することはありません。
賞与の減額という点では、先に挙げた入園する園児が予定より少なくなってしまった場合で、保育園の収入が傾いた場合などがあります。また、会社がやっている他の事業(例えば介護施設)などで損失があった場合や別の保育園を開園するために費用がかかったという場合などでも賞与の支給額に減額が発生する可能性もあります。
そういった点でも、保育園で働く保育士にとっては業績における変動というのはあまりメリットがないと言えます。
保育士の賞与(ボーナス)の評価による変動とは?
各保育園の賞与の制度によくある仕組みのもう一つが賞与(ボーナス)の評価による変動です。
保育士の賞与(ボーナス)の評価による変動とは、
従業員である保育士のその期間の仕事ぶりの評価によって賞与の支給額が変動するという仕組み です。年間の昇給額などについても評価で定めている会社もありますね。
保育士の賞与(ボーナス)の評価連動制のメリット
保育園(会社)としては、従業員である保育士の就業意欲、モチベーションの向上を促すという点でもメリットがあります。働く保育士にとっても頑張って評価されれば、金銭的な見返りがあるという点が良い点です。
基本的には、賞与支給前に行動目標に対して、達成ができたかどうか、そして、保育園に貢献できたかどうか という点で、評価されることが多いです。ですが、基準については各保育園によって異なるところとなります。
評価を行うのは、 保育園では園長であることが一般的には多い です。主任保育士なども交えて多角的に評価する場合もあります。
どんな仕事内容でも、昇給額が横一列、賞与額も同じ、ということになれば、頑張って仕事をしようという意識が薄れると思います。適当に働いていても同じ評価になれば、できるだけ楽しようというのが普通の考えだと思います。
賞与や昇給が評価連動ではない場合、良くないケースだと、同僚の保育士も皆このような考え方になるので、仕事の押し付け合いなどに繋がります。頑張っても賞与も昇給も他の人と一緒なら頑張りたくなくなってしまいますよね。
逆に賞与(ボーナス)が評価によって変動する場合は、各保育士にきちんと保育園に貢献しようという意識が生まれやすいです。そうすることによって賞与で見返りがあるためです。
保育士の賞与(ボーナス)の評価による変動のデメリット
保育士の賞与(ボーナス)が評価によって変動することはメリットばかりではありません。
こちらの仕組みの良くないパターンでは、評価を行う園長(施設長)のお気に入り人の賞与ばかりが高くなってしまうというリスクもあります。こちらも結局がんばっても賞与も上がらない、昇給も少ないということになってしまいます。
それどころか、園長のお気に入りばかりが評価されてしまって、不公平感を感じることになってしまいます。
賞与が評価連動になっているなら、きちんとした評価制度が存在することが必須の条件 になります。
変動の幅はどれくらい?賞与(ボーナス)0円もあり得る?
業績連動においても、評価連動においても、賞与(ボーナス)が0円になるということもありえます。
賞与の支給条件は会社の給与規則で定められているので、その基準通りでありれば、0円ということも十分ありえます。あくまでも、むやみに支給なしと勝手に決められるというわけではなく、規則にしたがって支給なしとするという必要があります。
業績連動で言えば、最近の例では、新型コロナウィルスの影響で需要が減ったANA(日本航空)が冬のボーナスをゼロにしています。大企業でもこのようなことがあります。
ただし、先程も言ったように、認可保育園の経営は不況などにも左右されにくく安定しているはずなので、業績連動で保育園の賞与がゼロになるということはよっぽどのことだと思います。例えば、保育士が一斉に退職してほとんど運営ができなくなった、保育園以外の別の事業で大赤字を出してしまったなどです。理由によっては、賞与以外にも良くないことが発生してくる可能性もあるので、すぐに転職などを検討したほうが良いかもしれません。
評価連動に関しても、適切な評価内容と基準設定をしていれば、賞与(ボーナス)をゼロにすることも可能です。こちらについても、きちんとした基準がなく、客観的に正しい評価がされていない状態で、大幅な減額をされてしまっているような場合は、転職などを検討したほうが良いかもしれません。
賞与無しの保育園は退職した方が良い?
すでに保育園で働いていて、賞与無しや大きな賞与の減額をされてしまったという方が悩むのが転職するべきかどうかだと思います。年2回程度の賞与といっても、ばかにできるものではなく、保育士の年収の2〜3割を占めることも多いと思います。
このような方は、まず、賞与無しとなっている理由を知るということが大切です。
理由もわからずに賞与無しとなっているのであれば、その時点で、これから長く働き続けるということに関しては、おすすめできない可能性が高いです。保育士が働く場所は他にもたくさんあるので、そのような姿勢の保育園で長く働くことにメリットはあまり無いでしょう。
もし、賞与無しの理由が会社の業績の悪化である場合も、早めに転職を検討したほうが良いです。先ほどから書いている通り、保育園の運営において、業績が悪化しているというのは、よほどのことで、ここからの改善はなかなか難しいです。
会社の業績が悪化している理由にもよりますが、例えば、園が定員割れを起こしてしまっているというような場合は要注意です。保育園の運営は園のある立地による影響をかなり受けやすく、例えば、保育園の周辺に子育て世代が少ないとなると、来年度からいきなり業績を改善できるという見込みは少ないです。
一方で、自分自身の評価が原因で賞与無しとなっている場合はどう考えるべきでしょうか。
客観的に見ても、正当な評価を受けているということであれば、それは致し方ないことで、自分の勤務態度などを見直す必要があるでしょう。そうでないと、転職をしたところで、また、同じことが起きてしまいますし、仮に、評価制度のようなものがない保育園に転職したら、今後は他の職員からも白い目で見られてしまう場合もあります。
逆に、正当な評価がなされていないという場合は、その理由にもよりますが、例えば園長から嫌われている、お気に入りばかりが評価されているというような、自分自身の行動だけではどうにもできないような理由であれば、転職を検討した方が良いと言えるかもしれません。
賞与は変動と固定額のどちらがおすすめ?
先にも書いているように、個人的には 保育園で働く保育士の賞与の業績連動についてはあまりおすすめできない です。保育園の経営はそもそもが比較的不況などにも左右されずに安定していますし、減額はあっても増額されることはあまりないためです。
評価連動については個人の仕事への取り組み方によって変わるので判断が難しいですが、きちんとした評価がされているという前提であれば、評価連動型の賞与の支給の仕組みはとても良い仕組み だと思います。
こちらも先に書いているように、就業意欲の向上に繋がり、働くモチベーションが上がるためです。ですが、先程も書いたようにきちんとした評価制度が存在することが必須です。
変動か固定額かということよりも、きちんとした評価制度や基準が設けられて、保育園として運営がうまくいっているということがより大切です。
より良いのは賞与が少なくて基本給が高い保育園
保育園(会社)は従業員である保育の基本給を簡単には下げることが出来ないですが、賞与については業績に連動させて減額することが可能です。
働く保育士にとってはこれはリスクになります。先ほどから書いているように、保育園の業績が良くて賞与が上がるということはあまりないケースのはずです。つまり、基本的には、業績連動の場合は賞与は減額されることしか無いです。
このリスクを減らすという観点では、賞与が少なくて基本給が高い保育園の求人 というのが実はおすすめです。実質の年収が同じであれば、賞与が少ない方がこのリスクが少なくなります。
また、基本給が高いと、その基本給に掛かる賞与の金額も高くなります。同じ賞与○ヶ月分でも、基本給の金額で支給額は大きく異なります。
これから就職や転職をする際は、賞与の支給実績の数値だけに左右されずに、賞与の支給基準、それに伴う実質の年収できちんと求人を比較検討するのがおすすめです。
まとめ:保育士求人の賞与(ボーナス)の業績や評価による変動・連動とは?ボーナス0円もあり得る?
業績連動型の賞与の仕組みは、 保育園の業績、つまり、保育園が黒字なのか赤字なのかという値に連動して、保育士に支給する賞与の金額が変動するという仕組み です。
評価連動型の賞与の仕組みは、従業員である保育士のその期間の仕事ぶりの評価によって賞与の支給額が変動するという仕組み です。
これらの賞与の支給の仕組みでは、場合によっては従業員である保育士のボーナス0円もあり得るケースになります。
賞与については、保育士の年収に占める割合いも少なくはなく、求人の基本給だけに囚われてしまうと、入職後に後悔してしまうケースもあります。
賞与の支給実績の数値だけに左右されずに、賞与の支給基準、それに伴う実質の年収できちんと求人を比較検討するのがおすすめです。