保育士の方やこれから保育士を目指している方。保育士の仕事というと以下のようなイメージを抱く方も多いと思います。
最近は保育士の暗い話題も多いです。嫌な話題だけじゃなくて明るい話もしたいです。
結論から言うと、保育士は年収400万円は手堅く、年収500万円も目指すことができる時代になっています。今回は、保育士が年収500万円を越えられるかどうかについて考察してみました。
月の手取り15万円以下を経験したことがあります
保育士の年収については、国の厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査を参考にしています
その経験が参考になればと思います
保育士の平均年収は?
令和5年度の国の調査では保育士の平均年収は約396.9万円となっています。
職種 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 |
---|---|---|---|
保育士 | 271,400円 | 712,200円 | 3,969,000円 |
※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
この数字を見ると保育士において年収500万円というのはかなり高い水準であることがわかります。
保育士で年収500万円は本当に目指せるのでしょうか?
保育士の初任給の最高はポピンズの月収26万円
日本の保育園の待遇で初任給の最高額を提示しているのはおそらく、ポピンズナーサリースクールなどの保育園を運営している株式会社ポピンズホールディングスです。
ポピンズの東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県の認可保育園・認証保育園の保育士の初任給は月給26万円となっています。ポピンズは2019年度からこの給与引き上げを実施しています。
これは、保育士不足で保育士の獲得競争が激化しているためです。ポピンズなどの大手の保育園運営会社は新規の保育園を開きたくても、保育士が採用できずに諦めているという状態になっています。そのため、特に待機児童が多い首都圏エリアの保育士の給与は増加傾向にあります。新卒の保育士の給与もそれにあわせて増加傾向にあります。
ちなみに、ポピンズの月給の内訳は以下の様になっています。ちなみに私が調査した時点(2019/06)での内容になるので、実際の待遇とは異なる場合があるので注意してください。
- 月額給与 260,000円
- 基本給 184,000円
- 資格手当 13,000円
- 施設手当 28,000円
- 地域特別手当 35,000円
ちなみにポピンズは全国で200以上の保育施設を運営していて、その多くが一都3県に集中しています。また新設の保育園も毎年たくさんオープンしています。
ボーナスなどのその他の条件も大切ですが、月額給与26万円というのは、一般の大手企業と比べても高い水準ではないでしょうか?
この金額であれば、月の手取り額は22万円前後になると思います。保育士の手取り15万円が当たり前と思っていたら、こんなにも待遇がよい保育園もあるようです。
ポピンズの例で年収500万円が可能か計算してみる
月収は、
月給26万円 × 12ヶ月 = 312万円
この月収に残業代は含まないため、 月10時間 の残業とした場合、
基本給184,000円 ÷ 160時間 = 時給1,150円
時給1,150円 × 1.25(時間外割増) × 10時間 = 14,370円
14,370円 × 12時間 = 172,440円(残業代)
ポピンズの賞与(ボーナス)は年2回でに金額ついては評価連動となっていました。私が調べた限り3〜4ヶ月分が実績として支給されていることがいろいろな求人からわかりました。
月給26万円 × 3ヶ月 = 78万円(賞与)
全部足すと 4072,440円(年収) となります。再度グラフにまとめます。
月給合計 | 残業代合計 | 賞与(3ヶ月と仮定) | 年収 |
---|---|---|---|
312万円 | 17万円 | 78万円 | 407万円 |
※ 推測での年収になるので実際の待遇は必ず確認してください。
あくまでも推測値になりますが、新卒でも年収400万円を超えてくる可能性が出てきました。
保育士が年収400万円は割といけそう
残業代を含めて400万円をぎりぎり越えたという形でしたが、残業代がまったくなかったとしても年収390万円は貰えます。
ポピンズの例の場合は、日本の保育士の初任給の最高水準ではありますが、他の保育園でも経験がしっかりと給与に加算されれば月給で26万円と賞与3ヶ月、もしくは24万円と賞与4ヶ月というのは目指せない数字では無いと思います。
最近では保育士の処遇改善なども徐々に増えてきているので、年収400万円は普通に目指せそうな数字になってきていると思います。
保育士が年収500万円を達成するにはどうしたら良いか
それでは「保育士が年収500万円を達成するにはどうしたら良いか」という点を具体的に考察します。
保育士の宿舎借り上げ制度で実質年収500万円が達成できる
保育士の宿舎借り上げ制度は、国と市区町村が実施している保育士向けの制度で、基本的に8万2千円の賃貸物件を最大で自己負担0円で借りることができる制度です。
首都圏であれば多くの市区町村が制度を実施しているため、その場合は最高 8万2千円 × 12ヶ月 = 984,000円 分の家賃の家に実質負担なしで住むことができます。
98万4千円 + 407万円 = 505万4千円
で実質ではありますが、年収500万円を達成することができます。月々の家賃負担がないので、先程の手取り22万円をほとんどフルに使うことができると思います。
ちなみに保育士の宿舎借り上げ制度については以下の記事で紹介しています。利用可能かどどうかは保育園のある市区町村と働いている保育園の法人次第なので注意が必要です。特に首都圏エリアや大阪近郊エリアでは利用ができる場合が多いです。
ただし、保育士の宿舎借り上げ制度は利用できる年数に10年(もしくは5年)等の制限があり、いつまで続くかわからない制度でもあるので、不確定な部分は多いです。
主任、園長などの管理職になれるように経験を積む
年収500万円は月収32万円で賞与4ヶ月で達成することができます。主任保育士、園長という役職者になれば目指すことができる数字であると思います。
これに宿舎借り上げ制度を合わせれば年収600万円までは夢ではないです。(ただし、施設長である園長は宿舎借り上げ制度は使えないです)
主任までいかないにしても保育士等キャリアアップ研修を受講し「副主任」「専門リーダー」などの役職に就任すれば最大4万円が月額給与に加算されます。研修を受けられるかどうか、支給の有無、支給内容は保育園員よって異なります。
保育士等キャリアアップ研修については以下の記事も参照してください。
公立保育園の保育士は?
公立保育園の保育士は、基本的には地方公務員としての給料が適用されると思います。
以下は東京都練馬区の公務員保育士の給与状況です。各市区町村によって差があるのであくまでも参考の1つとしてください。
職員数 | 平均年齢 | 平均給料月額 | 年間平均期末・勤勉手当支給額 | 年間平均給与支給額 |
---|---|---|---|---|
745人 | 49歳 | 31万9,963円 | 183万7,607円 | 680万6,950円 |
※出典「令和5年度 練馬区人事行政の運営等の状況の公表」https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/jinji/shokuin_jinji_kohyo.files/kouhyou05.pdf
年間平均期末・勤勉手当支給額は民間でいうと賞与(ボーナス)のことです。平均年齢がかなり高いですが、公務員はやはりかなり貰っているということがわかります。
保育士として高給与を貰いたいのであれば、公務員になり公立保育園で働くのが一番の近道かもしれません。もちろん、公務員試験などに合格する必要もあり、人気も高いので、狭き門であることは間違いないです。
注意点としては、公立の保育園は昨今では民営化が進んでいて数が少なくなっています。採用のハードルも上がっているのと、公立保育園が民営化された場合は、公立保育士は保育士を辞めて自治体で他の業務をすることになる場合が多いようです。
【まとめ】未経験保育士でも年収500万がギリギリ目指せる時代に!年収400万円は堅い。
ポピンズに関しても、待遇が良いからと行って採用が難関かと言うと、そういうわけでもなく、まだまだ保育士が確保されていない状況のようです。あたらあしい保育園をどんどん開園させている会社ですからね。
宿舎借り上げ制度まで考慮に入れると、未経験の新卒保育士でも年収500万円がぎりぎり達成できる時代になってきました。一昔前では考えられなかったと思います。
2019年の消費増税10%の財源は保育料の無償化と保育士の待遇改善(年収ベースで2%)に利用されることが決まっているので、さらなる改善が期待できます。
一方で現時点では、首都圏の認可保育園 であること保育士の高待遇の条件なので、地方との格差というのはまだまだあると思います。
給料が高待遇の保育園への転職は保育士の転職エージェントが便利
転職は、保育士の転職エージェントの利用がおすすめです。転職エージェントは保育園の内情にも詳しいので、あらかじめ人間関係なども知ることができます。
そして、一番のメリットはネット上やハローワークなどに載っていない非公開の求人を紹介してもらえるという点です。
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