保育園で働く皆様やこれから働きたいという方。
保育士の給料はどこも似たりよったりだと思っている方も多いと思いますが、実は結構な差があります。保育士として同じような仕事をしていても、働く地域、働く保育園によって大きな違いが出ます。
今回は保育士の平均賃金を紹介しつつ、保育士が保育士の給料相場を知っておくと良い理由やなぜこのような差が生まれるのか、という点について解説します。まずは、給料が相場通りか確認してみましょう!
複数回の転職経験があります
その経験が参考になればと思います
自分の給料が相場通りか確認してみよう!
まずは自分の給料が相場通りかを確認してみましょう!保育士として働く上で、給料の相場をきちんと知るということはとても大切です。
保育業界だけに限らないですが、基本的に会社という存在は、できるだけ人件費が安く、かつ、会社に貢献ができる人材を探しています。
保育士は相場より高すぎる給料を希望しても保育園に相手にされないですし、逆に、ブラック保育園は相場より安い給料で保育士を雇用したいと考えています。
今後、転職をする上でも自分の経験や就業地域を踏まえるといくらぐらいの給料が適切なのかということを知っておくと、とても有利に転職活動をすすめることができます。
保育士の給料の全国平均
まずは保育士の給料の全国平均を紹介します。
- 平均年収は約396.9万円
令和5年度の国の調査では保育士の平均年収は約396.9万円となっています。※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
職種 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 |
---|---|---|---|
保育士 | 271,400円 | 712,200円 | 3,969,000円 |
皆さんの給料は、全国平均より高かったでしょうか、低かったでしょうか?
都道府県別の保育士の賃金の平均
続いて、都道府県別の保育士の給料の平均を紹介します。
保育士(男女計) | 平均月給 | 平均年間賞与等 | 平均年収 |
---|---|---|---|
北海道 | 25.29万円 | 57.32万円 | 360.80万円 |
青森県 | 21.77万円 | 56.49万円 | 317.73万円 |
岩手県 | 25.13万円 | 60.36万円 | 361.92万円 |
宮城県 | 27.94万円 | 56.61万円 | 391.89万円 |
秋田県 | 21.89万円 | 71.31万円 | 333.99万円 |
山形県 | 23.49万円 | 28.44万円 | 310.32万円 |
福島県 | 25.59万円 | 59.42万円 | 366.50万円 |
茨城県 | 25.50万円 | 66.37万円 | 372.37万円 |
栃木県 | 24.51万円 | 73.45万円 | 367.57万円 |
群馬県 | 25.67万円 | 107.01万円 | 415.05万円 |
埼玉県 | 26.77万円 | 56.66万円 | 377.90万円 |
千葉県 | 28.19万円 | 49.95万円 | 388.23万円 |
東京都 | 31.58万円 | 74.51万円 | 453.47万円 |
神奈川県 | 29.12万円 | 67.27万円 | 416.71万円 |
新潟県 | 22.20万円 | 77.91万円 | 344.31万円 |
富山県 | 23.75万円 | 85.52万円 | 370.52万円 |
石川県 | 24.63万円 | 51.11万円 | 346.67万円 |
福井県 | 24.37万円 | 88.45万円 | 380.89万円 |
山梨県 | 24.74万円 | 42.63万円 | 339.51万円 |
長野県 | 26.87万円 | 67.62万円 | 390.06万円 |
岐阜県 | 22.82万円 | 50.77万円 | 324.61万円 |
静岡県 | 25.58万円 | 90.38万円 | 397.34万円 |
愛知県 | 26.98万円 | 71.36万円 | 395.12万円 |
三重県 | 22.98万円 | 64.06万円 | 339.82万円 |
滋賀県 | 25.23万円 | 66.31万円 | 369.07万円 |
京都府 | 30.27万円 | 89.60万円 | 452.84万円 |
大阪府 | 29.15万円 | 78.18万円 | 427.98万円 |
兵庫県 | 27.30万円 | 83.02万円 | 410.62万円 |
奈良県 | 26.33万円 | 67.63万円 | 383.59万円 |
和歌山県 | 29.83万円 | 91.93万円 | 449.89万円 |
鳥取県 | 24.60万円 | 62.94万円 | 358.14万円 |
島根県 | 22.87万円 | 78.28万円 | 352.72万円 |
岡山県 | 23.60万円 | 67.69万円 | 350.89万円 |
広島県 | 29.15万円 | 102.99万円 | 452.79万円 |
山口県 | 25.13万円 | 93.50万円 | 395.06万円 |
徳島県 | 23.50万円 | 75.37万円 | 357.37万円 |
香川県 | 24.42万円 | 65.85万円 | 358.89万円 |
愛媛県 | 24.33万円 | 81.94万円 | 373.9万円 |
高知県 | 25.06万円 | 69.91万円 | 370.63万円 |
福岡県 | 25.67万円 | 83.32万円 | 391.36万円 |
佐賀県 | 25.23万円 | 77.24万円 | 380.00万円 |
長崎県 | 24.76万円 | 73.65万円 | 370.77万円 |
熊本県 | 25.03万円 | 79.49万円 | 379.85万円 |
大分県 | 23.62万円 | 57.85万円 | 341.29万円 |
宮崎県 | 25.16万円 | 84.52万円 | 386.44万円 |
鹿児島県 | 22.37万円 | 58.37万円 | 326.81万円 |
沖縄県 | 24.48万円 | 46.56万円 | 340.32万円 |
※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
他の仕事でもあるように、保育士の仕事にも地域ごとに給与格差というものは存在します。もちろん、物価などの他の指標もあるので、給料が高いから良い・給料が安いから良くないと一概に言えるわけではないので注意してください。
都道府県別の保育士の平均給料ベストランキング
都道府県別の保育士の平均給料ベストランキングになります。
- 1位:東京都 453.47万円
- 2位:京都府 452.84万円
- 3位:広島県 452.79万円
- 4位:和歌山県 449.89万円
- 5位:大阪府 427.98万円
※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
これらの地域は県や市区町村が独自に保育士の賃金改善の施策を行っていて給与も高い傾向があります。地域にこだわらないのであれば、これらの地域で保育士が就業をするというのはとてもおすすめです。
都道府県別の保育士の平均給料ワーストランキング
都道府県別の保育士の平均給料ワーストランキングになります。
- 1位:山形県 310.32万円
- 2位:青森県 317.73万円
- 3位:岐阜県 324.61万円
- 4位:鹿児島県 326.81万円
- 5位:秋田県 333.99万円
※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
実際に相場を見てやっぱり自分の給料は安いなと思った方は、その地域にこだわる必要がなければ他都道府県への就業を検討してみるのも良いかもしれません。
ただ、平均年齢など(若い保育士が多ければ平均給料も安くなる)の関係もあるので、一概にこれらの都道府県の待遇が悪いと決めつける必要はないでしょう。
過去6年の保育士平均年収・給料の実態
年度 | 年収 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 |
---|---|---|---|
2018年 | 359.23万円円 | 24.10万円 | 70.03万円 |
2019年 | 364.72万円 | 24.60万円 | 69.52万円 |
2020年 | 374.50万円 | 24.98万円 | 74.74万円 |
2021年 | 382.20万円 | 25.65万円 | 74.40万円 |
2022年 | 391.37万円 | 26.68万円 | 71.21万円 |
2023年 | 396.9万円 | 27.14万円 | 71.22万円 |
※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
昨今の待機児童問題、保育士不足や物価高騰などの背景もあり、保育士の平均年収はここ数年右肩あがりに上がっています。ただし、もともとが安かったという事情もあるので、手放しで喜べるというわけではないでしょう。
年齢別の保育士の年収・給料の実態
年齢 | 年収 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 |
---|---|---|---|
全体 | 396.9万円 | 27.14万円 | 71.22万円 |
20歳~24歳 | 320.88万円 | 23.09万円 | 43.80万円 |
25歳~29歳 | 382.53万円 | 26.08万円 | 69.57万円 |
30~34歳 | 385.63万円 | 26.43万円 | 68.47万円 |
35~39歳 | 409.42万円 | 27.78万円 | 76.06万円 |
40~44歳 | 425.03万円 | 28.62万円 | 81.59万円 |
45~49歳 | 426.22万円 | 28.47万円 | 84.58万円 |
50~54歳 | 422.28万円 | 28.70万円 | 77.88万円 |
55~59歳 | 462.93万円 | 31.10万円 | 89.73万円 |
60~64歳 | 448.32万円 | 30.59万円 | 81.24万円 |
65~69歳 | 482.88万円 | 33.46万円 | 81.36万円 |
70歳~ | 583.47万円 | 37.54万円 | 132.99万円 |
※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
保育士の給料は基本的には、年齢を重ねるごとに上昇していきます。65歳以上、70歳以上の年収が高くなっているのには別の要因があるかもしれません。
男女別の保育士の年収・給料の実態
職種 | 年収 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 |
---|---|---|---|
保育士(男女) | 396.9万円 | 27.14万円 | 71.22万円 |
保育士(男) | 448.52万円 | 30.66万円 | 80.60万円 |
保育士(女) | 393.23万円 | 26.89万円 | 70.55万円 |
※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
男性のほうが、平均的には高い給料を貰っているということになります。これには、例えば、男性に役職者が多い等の要因があるかもしれません。
保育士の初任給の実態
経験年数 | 年齢 | 年収 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 |
---|---|---|---|---|
0年 | 20~24歳 | 260 万円 | 21.48万円 | 2.24万円 |
※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
月給は21.48万円という数値になっています。経験年数0年の新卒は賞与をもらえないことが多いので、賞与の額は少なくなっています。
なぜ保育士の給料に差が出る?
保育士の平均給料を示しましたが、なぜこのような差が生まれるのでしょうか。保育士の給料に差が出るのにはいくつかの理由があります。
- 年齢や経験の違い
- 自治体の処遇改善の補助金の有無と金額
- 保育園の人件費率の違い
これらについて解説します。
年齢や経験の違い
保育園で働く保育士に限らないですが、どこの会社でも昇給というものがありますよね。基本的には、新卒で就職した場合の賃金が最低で、そこから徐々に昇給していく仕組みになっている会社が多いと思います。
保育園でも同様で園によって昇給の条件や金額は様々ですが、基本的には経験を積んだり、主任などの役職がつくと手当てとして昇給していきます。
先程は、都道府県ごとの保育士の給料の相場を紹介しましたが、例えば、ベテラン保育士がたくさんいる都道府県は平均給与額も高くなる場合があるということです。
この部分が保育士の給料に大きく差が出る部分の一つになります。
自治体の処遇改善の補助金の有無と金額
自治体が独自で支給している処遇改善などの保育士向けの補助金も保育士の平均給料に差が出る一つの要因です。保育士の処遇改善は、国が全国の保育士に対して実施しているものもあれば、自治体が独自に実施しているものもあります。
例えば、東京都の保育士向けの処遇改善費の金額は大きく、現状一人あたり平均すると月額3、4万円が上乗せされています。
何もない自治体と比較すると、年収にして30〜50万円もの差が出ることになります。
特にある程度資金に余裕があって保育士が不足している自治体では、このような保育士向けの賃金上乗せによって保育士の平均給料を押し上げています。
特に都道府県ごとに差が出るのは「自治体の処遇改善の補助金の有無と金額」が理由になります。
保育園の人件費率の違い
保育園の人件費率とは、保育園が運営費全体に占める保育士の給料などの人件費の割合のことです。一般的に割合が高いと保育士の給料は高くなります。
保育園が保育士に支給する給料は、委託費としてその他に必要な運営費をすべて含めて国や自治体から受け取っています。
それをどのような配分で保育士の給料として支給するかはある程度保育園に委ねられています。
ある程度というのは、まずひとつは最低賃金を下回らないこと、これは当たり前ですね。そして、もう一つは前述した自治体などの処遇改善は保育士の賃金改善に当てなければいけないというような条件がついている場合があります。
このようなものを除いた場合は、保育園が勤務する保育士の給料をある程度自由に決めることができます。
例えば、園長だけがたくさん給料を貰っていて、末端の保育士の給料は安いという状況も発生します。園長やその親族の保育士だけ給料が高いなんてこともあります。家族経営の保育園などで起こりがちなことです。
保育士の給料相場を知るとわかること
昨今は、保育士として働く人向けに国はもちろん、自治体が独自に処遇改善として賃金を施設に上乗せして支給をしている場合があります。
でも、それは保育園が自治体の定める基準を満たした上で申請をし、保育士にきちんと支給してこそはじめて働く保育士が恩恵を受けることができるものです。
保育施設がなんらかの理由で、その作業を怠ったら保育士の給料は低いままです。そのため、あまりにも相場より安すぎる給料を支給している保育園は、もしかしたらブラック保育園かもしれません。
もちろん、給料が安いからと言ってブラックと決めつけられるわけではないです。残業時間がまったくない保育園は必然的に支給される金額は安くなりますよね。
保育士の仕事は給料が全てではないのも事実!
もちろん保育士の仕事は給料が全てではありません。給料はあくまでもたくさんある働く基準のなかの一つです。
給料はいまいちだけど、人間関係も良くスキルが身につき、楽しく働くことができているというのはとても良いことですよね。それ以外にも、家から近い・駅から近くて通勤しやすいっていうことも、大切な要素だったりします。
逆に給料が良くても、人間関係がギスギスしていて、毎日仕事に行くのが辛い!そんな職場は嫌ですよね。いまの職場の給料が相場より低かったとしてあまりがっかりしすぎないようにしましょう!
相場より給料が高い保育士の求人例
大切なポイントは、トータルの年収で考えるということです。月給が高いけどボーナスが安いというパターンもあるので、すべての手当や賞与も含めた金額で比較をするということです。
例えば、東京都で言うと、 月給29万円(賞与4ヶ月)が東京都の保育士の平均給料を超える一つの目安になります。
もちろん、これらの金額に自分の経験やスキルも加味して考えるということが重要です。
相場より給料が高い保育士の求人を探すより詳しい方法については以下の記事でも紹介しているので参考にしてみてください。
このような求人を探したい場合は、保育士の転職サイトの活用がおすすめです。求人探しはもちろん、保育園への質問・連絡も代行してくれる他、保育園の内情なども知っています。
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まとめ:保育士の平均賃金は?自分の給料が相場通りか確認してみよう!【全国・都道府県別】
保育士の平均給料を紹介し、保育士が保育士の給料相場を知っておくと良い理由や、なぜこのような差が生まれるのかという点を解説しました。
なぜ保育士の給料に差が生まれるのかは、「年齢や経験の違い」「自治体の処遇改善の補助金の有無と金額」「保育園の人件費率の違い」が大きな理由です。
特に都道府県ごとに差が出るのは「自治体の処遇改善の補助金の有無と金額」が理由になります。そのため保育士は、就業する地域にこだわらないのであれば、自治体の処遇改善の補助金が充実している地域での就業がおすすめです。
また、保育士が給料相場をしっておくと、転職の際などにブラック保育園から搾取されにくくなるというメリットもあります。