保育士の皆様。保育士同士で保育観があわないというのはあるあるですよね。
細かいことも含めれば、こんなことは日常茶飯事かもしれません。これらは保育観だけの問題でないことも多いです。保育観があうあわないと言われますが、そもそも「保育観」っていったいなんなのでしょうか。そういう観点も踏まえて、保育士同士で保育観が違う、あわないというような場合の対処法について解説します。
私自身もまだまだ未熟ではありますが、実際に保育士として働いているなかで、感じていることや実践していることを紹介します。
その経験が参考になればと思います
保育観とは?そもそも何なのか?
保育観とは、保育における価値観のことで、保育士として仕事をしていくなかで、子どもと接していく中での大切にしているポイントのことです。
例えば、ある場面で、園児に対して叱るべきなのか、叱らないべきなのか、叱るのであるならどう叱るのかなど、もちろん場面や状況によっても異なると思います。
厚生労働省が定めている保育所保育指針にも「保育観」という言葉は書かれています。指針では、全ての保育所に共通する保育の目標を定めています。
「保育の目標」を、
一人一人の保育士等が自分自身の保育観、子ども観と照らし合わせながら深く理解するとともに、保育所全体で共有しながら、保育に取り組んでいくことが求められています。
というように書かれています。ちなみに保育の目標に関しては以下のように書かれています。
ア 保育所は、子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごす場である。このため、保育所の保育は、子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うために、次の目標を目指して行わければならない。
(ア) 十分に養護の行き届いた環境の下に、くつろいだ雰囲気の中で子どもの様々な欲求を満たし、生命の保持及び情緒の安定を図ること。
(イ) 健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度を養い、心身の健康の基礎を培うこと。
(ウ) 人との関わりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとともに、自主、自立及び協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培うこと。
(エ) 生命、自然及び社会の事象についての興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の芽生えを培うこと。
(オ) 生活の中で、言葉への興味や関心を育て、話したり、聞いたり、相手の話を理解しようとするなど、言葉の豊かさを養うこと。
(カ) 様々な体験を通して、豊かな感性や表現力を育み、創造性の芽生えを培うこと。
保育士としてこういうような保育観を持つべきかというものが、決められていたり、定められているわけではもちろんありません。なので、保育観というのはものすごく曖昧なもので、保育士個人個人によって異なるものになります。
このように、保育士は自分自身の「保育観」と照らし合わせながら、保育の目標を理解し、保育に取り組んでいくことが求められています。
※参照「子ども家庭庁 保育所保育指針解説」https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/eb316dce-fa78-48b4-90cc-da85228387c2/f4758db1/20231013-policies-hoiku-shishin-h30-bunkatsu-1_24.pdf
保育観が違う、あわないは保育士あるある
保育観は正解というものが誰かによって定義されているものではないので、保育士ひとりひとりによって違いがあるものです。
保育士はそれぞれが人生で様々な経験をしてきていますし、保育においてもそれぞれ異なった経験をしてきているので、違うのは当たり前と言えるのかもしれません。
他の同僚の保育士の保育を見ていて、自分だったらこうするのに、なぜそうしたんだろうと思うことは保育士ならよくあると思います。
また、先輩の保育士などから「こんな時はこうすべきだ」と言われることもあると思います。それが個人の保育観の違いによるものであることも多いです。
特に保育園は同じクラスに複数の保育士が入って担任となることが多いので、ペア同士での保育観の違いなどがわかりやすく見えてしまいます。
保育観は周りの保育士と合わせるべきかどうか
保育観に違いがあることがわかった際に、周りの保育士と合わせるべきかどうかはということは保育士の悩みのタネでもあると思います。
一概に先輩の保育士や担任の保育士に合わせればそれで良いということではない場合もあります。保育士としての経験が長いからと言ってその保育士の保育観が優れているとは限らないためです。
ただ先輩や周囲に合わせるというだけだと間違った保育観、及び、保育スキルがみについてしまうかもしれません。
例えば、先輩が子どもに対して暴力を振るうというような指導をしていた場合はどうでしょうか。
もちろん暴力は犯罪なので、保育観云々の問題ではそもそもないです。これはかなり、極端な例ですが、ただ先輩や周囲の保育士に合わせるだけだと、間違ったことをしてしまうかもしれません。
このように、周りの保育士と行動を合わせるだけでは、真の意味での子どものための行動の理解につながらないこともあります。
なんの理由があってそのような行動をとったのかということを理解することが、保育士としての成長にも大切だと思います。
もし、一緒に組んでいるペアの保育士と保育観が合わないということがあれば、そのことを素直に本人に聞いてみると良いかもしれません。
「なぜそうしたのか」「自分だったらこうしてた」などを正直に話したり、聞いてみることで相手や自分の考え方も変わるかもしれません。
自分の根底にある信念のような保育観は変える必要はないかもしれませんが、保育士ひとりひとりの保育観は常に変化して行くものだと思うので、常に新たに学んでいく姿勢が大切だと思います。
保育所保育指針を読もう
保育観の違いから生まれる、それぞれの保育士の行動などに関して、それでも困ったり、納得がいかなかったら保育所保育指針などを改めて読んで見るのが良いと思います。
冒頭にも書いたように、保育所保育指針は全ての保育所に共通する保育の目標を定めています。保育観に正解不正解はないと説明しましたが、保育の目標は全ての保育所に共通しています。
その行動が「保育の目標」の達成に近づいているかどうかということ今一度、確認してみると良いかもしれません。自分の行動や他の保育士の行動が、子どものためになっているかどうかということを改めて理解し直してみると良いかもしれません。
保育観は保育園内で共有されるべき
先程も書きましたが、保育所保育指針には以下のように書かれています。
一人一人の保育士等が自分自身の保育観、子ども観と照らし合わせながら深く理解するとともに、保育所全体で共有しながら、保育に取り組んでいくことが求められています。
一人ひとりの保育観を保育所全体で共有しながら、保育に取り組むことが求められているという記載になります。保育観は個人個人で異なっていたとしても、それを保育園内で共有して保育に取り組んでいくことが保育園には求められています。
このことは、保育士には間違いなく求められていることなので、なにか保育士間で意見の相違や考え方の違いが出てきたときも、保育観が合わないということで片付けずに、保育園内でどうしていくべきなのかを共有して保育を行っていく必要があります。
働く上では保育園の理念との合致も重要
保育園で働く上では、自分の保育観が保育園の理念や方針と一致しているということも重要です。 保育園の保育理念や方針については以下の記事でも解説しています。
自分の保育観が保育園の理念や方針などとずれていると、場合によってはその保育園での仕事そのものが耐え難いものになってしまう可能性もあります。
ブラック保育園、ホワイト保育園云々の前に、そのことが苦痛になってしまうと、保育士として長く続かないということになってしまいます。
ただ、転職や就職をする上では、そこで働いているそれぞれの保育士の保育観などを事前に計り知ることは難しいです。このような細かい保育観については、保育園の見学などを通して、少しでも事前に理解できると良いと思います。
もちろん実際に働き始めないとわからない部分が大半をしめているため、まずは大枠である保育園の理念や方針と自分の考えが一致しているかどうかを知ることが大切です。
どうしても合わない場合は転職も視野に
どうしても、保育園の理念や方針、周囲の保育士の保育観が自分と違い「納得できない」「容認できない」「理解できない」という場合は、転職を検討するのも良いかもしれません。
ただ、転職したからと言って改善できるとは限らないため、前述したように、保育園の理念や方針と自分の考えが合致しているかどうかということもしっかり調査して転職をすべきです。
このような場合は、保育士向けの転職サイトを利用しての転職がおすすめです。
転職サイトを利用すれば、しっかりと事前に保育園内の見学を申し込むことができます。保育園の普段の様子や保育方針なども担当者から聞くことができるので、より理解が深まった状態で面接に望むことができます。
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まとめ:保育観とは?保育士同士で違う、あわない場合の対処法を解説!
保育士の保育観も違いについてや、周囲と合わせるべきかどうかについてまとめると以下のようになります。
- 保育観とは、保育士ひとりひとりによって違うもの
- 保育観に正解や不正解はない
- ただまわりに合わせるだけでは良くない
- 働く上では保育園の理念との合致も重要
- 保育観の不一致などでどうしても耐えられないのであれば転職も検討を
自分の根底にある信念のような保育観は変える必要はないかもしれませんが、保育士ひとりひとりの保育観は常に変化して行くものだと思うので、常に新たに学んでいく姿勢が大切だと思います。