転職を考えている保育士の皆様。最近話題の企業内保育所って知っていますか?
- 企業内保育所って一体なに?
- 認可との違いは?
- 企業内保育所で保育士が働くメリット・デメリットを知りたい
企業内保育所には、事業所内保育事業と企業主導型保育事業の2種類があるのをご存知ですか?この記事では、それぞれの違いや、企業主導型保育事業で働くメリット・デメリットを詳しく解説します。
この記事を読むことで、企業内保育所の理解を深め、転職先の選択肢を広げることができます。

企業内保育所って、認可保育園と何が違うの?

事業所内保育事業は認可保育園、企業主導型保育事業は認可外保育施設ですが、それぞれに特徴があります
この記事でわかること
結論から言うと、事業所内保育事業はほとんど認可保育園で働きやすさとしては普通の認可保育園と同様です。企業主導型保育事業は、認可外保育施設ですが補助金を受けていて、保育サービスの自由度も高いです。 企業主導型保育園だからといって手放しで、「給料が良い」「待遇が良い」「働きやすい」というわけではないので、それぞれの特徴を踏まえて転職先の候補に入れてみると良いと思います。
目次 | 内容 |
---|---|
企業内保育所とは? | ・企業が従業員の子を対象に保育を提供する施設 ・認可保育園では難しい時間外や休日保育が可能 ・企業の福利厚生として、待機児童の解消も担う ・多様な人材確保や企業イメージ向上に貢献 |
事業所内保育事業と企業主導型保育事業の違いとは? | ・事業所内保育事業は市区町村認可の保育施設 ・企業主導型保育事業は内閣府管轄の認可外施設 ・保育士配置基準、対象年齢、保育料などに違い ・企業主導型は企業が設置しやすいよう国が主導 |
保育士が企業主導型保育事業で働くメリット・デメリットについて | ・保育士資格がなくても働ける可能性あり ・業務負担が少なく労働環境が良い場合がある ・給与や待遇が良い場合がある ・運営会社によっては待遇が低い場合もある ・人間関係が良好な可能性が高い ・認可外保育施設なので転職の際に不利になることも |
事業所内保育事業と企業主導型保育事業の見分け方 | ・事業所内保育事業は市区町村のHPに掲載 ・企業主導型保育事業は内閣府から助成される認可外施設 |
企業主導型保育事業だからといって働きやすい保育園とは限らない | ・働きやすさは保育園によるため見極めが重要 ・転職サイトで情報収集し、失敗を防ぐ必要あり |
まとめ | ・企業内保育所は多様な働き方を支援 ・事業所内と企業主導型で認可や運営基準が異なる ・企業主導型は自由度が高いが、待遇は施設次第 ・特徴を理解し、自身に合った職場を選ぶことが重要 |
よくある質問(FAQ) | ・企業内保育所は時間や働き方の融通が利く ・事業所内は認可保育園と同等、企業主導型は自由度高め ・企業主導型は資格がなくても働ける可能性あり ・待遇は企業次第で、悪い場合や閉鎖の可能性も ・企業主導型での経験が転職で不利になる場合がある ・求人は保育士専門の転職サイトで探すのがおすすめ |
企業内保育所とは?
企業内保育園は一般の企業が従業員のお子さんを対象とした保育を提供する保育園のことです。
企業には様々な働き方があるため、通常の認可保育園ではカバーできない部分があります。例えば、通常の認可保育園では対応できない遅い時間の延長保育や夜間保育、日曜祝日などの保育を実施が可能です。
従業員が仕事をしながら子どもを預けることできるという自社の社員の福利厚生の位置づけもありながら、待機児童の解消の一翼を担っているのが企業内保育所になります。
企業が保育所を設置する目的は、多様な人材を確保するという意図が大きいです。保育所を設置することで子どもがいても安心して働くことができるということアピールできるので、より優秀な人材を確保することができます。従業員も待機児童の心配がないため、会社へしっかり貢献しようという意識が高まります。子育てに優しいという企業イメージの向上を図ることもできます。
企業内保育所には大きく分けて「事業所内保育事業」と「企業主導型保育事業」の2種類があります。
事業所内保育事業と企業主導型保育事業の違いとは?
事業所内保育事業 | 企業主導型保育事業 | |
---|---|---|
認可 | 市区町村が認可 | 認可外 |
保育士配置基準 | 定員20人以上は全員が保育士/定員19名以下は半数以上が保育士であること | 半数以上が保育士であること |
対象年齢 | 0-2歳児 | 自由に設定可能 |
地域の子どもの入所枠 | 定員の1/4以上が義務 | 最大で1/2 で自由に設定可能 |
保育料 | 市区町村が定める | 施設が定める |
契約 | 市区町村 | 施設と直接契約 |
保育士の配置基準に関しては以下の記事でも書いています。
事業所内保育事業は、2015年に子ども・子育て支援新制度の一つとして制度化されていて、市区町村に認可される保育施設になります。
企業主導型保育事業は2016年度に内閣府によって新設された認可外保育施設の一種で規定を満たすことによって認可保育園並の補助金を得ることができます。「単独設置型」は、企業が単独で施設を設置利用するものや「共同設置・共同利用型」という、複数の企業が共同で設置利用するものがあります。「保育事業者設置型」というのもあり、保育事業者が設置した施設を1つまたは複数の企業が共同で利用するものもあります。
2018年3月31日現在の企業主導型保育事業は2,597施設、定員59,703人分が存在すると発表されています。
事業所内保育事業は市区町村等の自治体が認可しますが、設置する能力や財力がある企業でも、なかなか自治体からの認可が進まず企業の保育所設置が進まないという現状がありました。
それを受けて国が主導で企業の保育所の設置を推進するために企業主導型保育事業という制度ができたという背景があります。
保育士が企業主導型保育事業で働くメリット・デメリットについて
- 保育士資格がなくても働ける可能性がある
- 業務負担が少なく労働環境が良い可能性が高い
- 給与や待遇が良い場合がある
- 【注意】運営は保育大手の株式会社が実施する保育園も多い
- 人間関係が良好である可能性も高い
- 【注意】認可外保育施設なので転職の際に不利になることも
先に述べた通り「事業所内保育事業」は自治体の認可が必要で、従業員のこどもを受け入れているという点以外ではほとんどが認可保育園と同等の特徴があります。そのため、ここではより保育内容に関して自由度が高い「企業主導型保育事業」で保育士が働くメリット・デメリットについて紹介します。
保育士資格がなくても働ける可能性がある
認可保育園では、配置基準において保育士資格が必須ですが、企業主導型保育事業では半数以上が保育士であれば良いとされています。
そのため、保育資格を保有していない方も自治体や児童育成協会が行う「子育て支援員研修」というのを研修を受けることで保育園で働くことが可能です。ただし、あくまで最低の基準が半数以上ということなので、保育士資格がなくても働けるかどうかは保育園によって異なるので注意が必要です。
逆に考えると保育士資格を保有している方からすると同僚に保育士資格を持っていない方がいる可能性があるので、業務負担が増えてしまう可能性も考えられます。保育士資格が無くても働けるということは一長一短なので注意して下さい。
業務負担が少なく労働環境が良い可能性が高い
企業主導型保育事業は少人数の園児定員で運営されている場合が多いので、行事やイベントが少ないことが多いです。残業や持ち帰りの仕事が発生する可能性も少ないことが多いです。
もちろんすべての施設がそうというわけではないので見極めは重要になってきます。
給与や待遇が良い場合がある
こちらについては施設によるので注意してください。すべての企業主導型保育事業の保育園の待遇が良いというわけでは無いです。むしろ待遇が悪い保育園もあります。
通常の認可保育園は保育料の設定や補助金の金額も決まっているため保育園間での保育士の待遇の差が出にくいです。
一方で、企業主導型保育園は保育料が自由に設定できる上に、企業自体の資金も入るため給与・待遇が良い場合があります。大手の会社であれば、福利厚生も同等のものが保育士にも提供されている場合が多いので人気の要因の一つになっています。
逆に、運営している企業の資金力などが乏しいと、本業の業績状況などによって保育所が閉鎖に追い込まれてしまう場合もあるので注意が必要です。
【注意】運営は保育大手の株式会社が実施する保育園も多い
企業主導型保育事業は、運営を外部の保育事業者に委託されている場合も多いです。その場合は大抵、保育士の皆さんなら聞いたことがある保育業界で大手の会社が運営をしているのがほとんどです。
企業主導型保育園だからといって、すべての施設が企業自体が運営しているわけではありません。
このような大手の保育園の運営会社が運営している場合は、同じ会社の認可保育園よりも待遇が低く設定されている場合も多いです。保育園の運営元をしっかり確認しましょう。
人間関係が良好である可能性も高い
多くの企業主導型保育事業が最近新設された保育園です。
企業主導型保育事業は2016年度に内閣府によって新設された制度になります。必然的に2016年度以降に新たに開設されている場合が多いです。もちろん、一部は昔から認可外保育施設として運営してる場合もあります。
最近新設された保育園ということで、人間関係なども比較的ゆるやかである傾向が強いと言えます。
若い人も多く、いわゆるお局保育士のような昔から園を裏で支配して人間関係を悪化させるような存在は少ないかもしれません。
それに加えて、社会福祉法人の認可保育園のように昔から家族経営で経営されてきているわけではなく、企業が作る保育所になります。
家族経営の保育園のように園長家族に気を使う毎日で疲弊してしまうということは少ないと言えます。
【注意】認可外保育施設なので転職の際に不利になることも
企業主導型保育事業はあくまでも認可外保育施設という位置づけです。保育士が転職する際に、認可保育園での経験を経験年数として考える保育園も存在します。
そのような保育園の場合、企業主導型保育事業での経験が経験年数として加味されず、転職の際に給与待遇が悪くなってしまう場合があるので注意してください。
もちろんそうでない保育園も多いので、あくまでも一つの注意点として把握しておいてほしいです。
事業所内保育事業と企業主導型保育事業の見分け方
事業所内保育事業は各市区町村のホームページで認可保育園の事業所内保育事業として紹介されています。

このように事業所内保育事業は市区町村のホームページに記載されています。それ以外の認可外保育施設で内閣府から助成されているのが企業主導型保育事業になります。
企業主導型保育事業だからといって働きやすい保育園とは限らない
結局のところは、保育士が働きやすいかどうかはその保育園によって異なります。単に企業主導型保育事業であれば良いという訳ではないので見極めが重要です。
あくまでも転職先の保育園の選択肢のひとつとして、企業主導型保育事業を考慮してみることはとても良いと思います。転職の際は保育士の転職サイトを活用して失敗しないように情報収集をすることが大切です。
保育士の転職サイトには、ネット上やハローワークに載っていない非公開の求人も紹介をしてもらえます。よく求人を検索しても全然出てこない保育園があると思います。そのような保育園は保育士の転職エージェントに非公開で求人を出している可能性が高いです。
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まとめ
企業内保育所は、従業員の子育てを支援するために企業が設置する保育施設で、多様な働き方をサポートする役割を担っています。
事業所内保育事業と企業主導型保育事業の2種類があり、それぞれ認可や運営基準、保育内容に違いがあります。

企業内保育所への転職を検討する際は、各事業の特徴や保育園の情報を比較検討し、最適な選択をしましょう
よくある質問(FAQ)
- Q企業内保育所は、普通の保育園と何が違うのですか?
- A
企業内保育所は、企業が従業員のお子さんのために設置する保育施設です。通常の認可保育園では対応できない時間帯の保育や、多様な働き方を支援できる点が特徴です。
- Q事業所内保育事業と企業主導型保育事業では、保育士の働き方にどのような違いがありますか?
- A
事業所内保育事業は認可保育園と同等の基準で運営されるため、働き方は一般的な保育園と大きく変わりません。一方、企業主導型保育事業は比較的自由度が高く、保育内容や行事の少なさなどが特徴です。
- Q企業主導型保育事業で働く場合、保育士資格がなくても働けるのでしょうか?
- A
企業主導型保育事業では、保育士の配置基準が認可保育園と異なり、半数以上が保育士資格を持っていれば良いとされています。そのため、保育士資格がなくても「子育て支援員研修」などを修了することで働ける可能性があります。
- Q企業主導型保育事業の保育園は、給与や待遇が良いのでしょうか?
- A
企業主導型保育事業の保育園は、運営する企業によって給与や待遇が異なります。企業によっては福利厚生が充実している場合もありますが、運営企業の資金力によっては待遇が悪い場合や、保育所が閉鎖される可能性もあるため、注意が必要です。
- Q企業主導型保育事業での勤務経験は、転職の際に不利になることはありますか?
- A
企業主導型保育事業は認可外保育施設という扱いのため、保育園によっては経験年数として考慮されない場合があります。転職を検討する際は、事前に確認しておくことが大切です。
- Q企業内保育所の求人を探すには、どうすれば良いですか?
- A
企業内保育所の求人は、保育士専門の転職サイトで探すのがおすすめです。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえることもあります。