保育士として保育園で働いている方。保育園以外の保育関連の施設で働きたいと考えている方。児童館で働くということを考えたことがある方もいらっしゃると思います。
このような疑問もあると思います。児童館自体は、保育園と比較すると数が少ないので、求人を探すのも大変ですよね。今回は、保育士が児童館で働くことはできるのか、仕事内容や必要な資格等を解説します。
その経験が参考になればと思います
保育士が就業できる自治体の公共施設
市区町村などの自治体が運営している公共施設には様々な施設があると思います。そのなかでも、保育士の方が働いている施設というのはたくさんあります。
保育園はもちろんですが、
- 子育て支援センター
- 児童館
- 乳児院
- 児童養護施設
などの児童福祉関連の施設がそれにあたります。
一般的に、これらの施設で働くのは地方自治体等に雇用されている公務員になります。公務員になるには、応募の基準を満たし、簡単ではない採用試験を受けて、自治体に採用されなければいけないので、ハードルはなかなか高いです。そのため、保育士の方のなかには、そもそも、このような自治体が運営している公共施設を就業の選択肢から除外している方も多いと思います。
児童館とは?
児童福祉法第40条に規定する児童厚生施設の1つで、地域において児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする児童福祉施設です。
対象は18歳未満のすべての児童です。都道府県、指定都市、市町村、社会福祉法人等がそれぞれ施設を設置しています。
設置としては全国に4、301か所(令和4年10月1日現在)となっています。
ちなみに、令和元年10月1日現在では、全国に4,453か所なので、減少傾向にあります。
※「こども家庭庁 児童館について」https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateshien/jidoukan/about
児童館の施設種類
児童館の施設種別は以下のような内訳となっています。(令和4年10月1日現在)
運営主体別数 | 施設数 |
---|---|
公営 | 2,323か所 |
民営 | 1,978か所 |
施設種別数 | 施設数 |
---|---|
小型児童館 | 2,468か所 |
児童センター | 1,707か所 |
大型児童館 | 18か所 |
その他の児童館 | 108か所 |
以下は、令和元年10月1日現在の情報になります。記録として残してあります。
施設種別 | 施設数 |
---|---|
小型児童館 | 2,593か所 |
児童センター | 1,726か所 |
大型児童館 | 19か所 |
その他の児童館 | 115か所 |
児童館の事業内容
児童館の事業内容は「児童の健全な遊び場の確保、健康増進、情操を高めることを目的とした事業」です。
例として以下のような内容です。
- 遊びを通じての集団的・個別的指導
- 母親クラブ等の地域組織活動の育成・助長
- 健康・体力の増進
- 放課後児童の育成・指導
- 年長児童(中・高校生世代)の育成・指導
- 子育て家庭への相談 等
幼稚園、小学校とは別に、児童が遊んだり学んだりできる施設ということになります。
公営の児童館と民営の児童館
保育園にも公立保育園と私立保育園がありますが、児童館にも公営のものと民営のものがあります。公営児童館は市区町村などの自治体が設置運営していいて、民営児童館は民間企業が自治体からの委託などを受けて運営している施設になります。
公営は全国に2,553か所、民営は全国に1,900か所となっています。公営の場合は、働く児童館の職員は市区町村に雇用されることになります。民営の場合は、民間企業の社員として働くということになります。
保育士が児童館で働くことはできる?必要な資格や経験は?
児童館には児童の遊びや安全等を指導できる職員を配置する必要があります。それぞれの児童館の求人によって求められる資格や経験などは異なっていますが、保育士の資格を持っている方であれば、基本的には多くの児童館で職員として働く要件を満たすことができます。
その他の必要な資格要件としては、
- 都道府県知事の指定する養成学校を卒業
- 保育士資格
- 教員免許(小、中、高)
- 社会福祉士
- 放課後児童支援員
などの条件が挙げられます。これらの条件を満たしていなかったとしても、経験や雇用形態によっては無資格でも就業が可能な求人もあります。
指定管理者制度で民間企業が管理している公共施設も多い
市区町村などの自治体が運営している公共施設で働く方はすべて公務員だと思っている方も多いかもしれませんが、実はそうではありません。指定管理者制度という制度を利用し、民間企業が管理している公共施設も多いです。
指定管理者制度とは、「公の施設」の管理運営を行う民間事業者等を「指定管理者」として指定することにより、民間のノウハウを活用しつつ、サービスの向上と経費の節減等を図ることを目的とした制度です。県は、制度を運用するにあたっての具体的な基準と手続きを定めた「指定管理者制度の運用に関する指針」を策定しています。
※引用「神奈川県 指定管理者制度」http://www.pref.kanagawa.jp/docs/hy8/cnt/f5586/
指定管理者制度は、施設自体は、自治体の持ち物ですが、実際に運営や管理をしているのは民間の会社という形になります。
日本の様々な自治体の中には、この指定管理者制度を利用していることも多く、公共施設であっても民間企業が運営しているというケースは多いです。最近では、公設民営保育園と言われる保育園もこの指定管理者制度を利用していることが多いです。
なぜ自治体は指定管理者制度を利用する?
自治体が指定管理者制度を利用するのは、
- サービスの向上
- 経費の削減
が大きな目的になります。
※参考「神奈川県 指定管理者制度」http://www.pref.kanagawa.jp/docs/hy8/cnt/f5586/
例えば、一つの自治体に数個しかない施設を各自治体が運営すると、自治体やそこで働く職員にもノウハウはなかなか溜まっていきませんよね。そこで、指定管理者制度でノウハウのある専門の事業者を活用することで、質やサービスの向上につなげることができます。
また、指定管理者制度を利用しない場合は、その公共施設で働く職員は、基本的に公務員ということになります。民間企業と比べても公務員の給与は高いので、自治体の経費を圧迫することになります。自治体の経費削減という点でも、指定管理者制度はメリットのある仕組みになります。
民間企業が管理している公共施設で働くのは民間企業の職員
そして、この指定管理者制度によって民間企業が管理している公共施設で働いている職員は、基本的には、その民間企業の職員やそこから委託を受けた職員ということになります。
つまり、本題である、公務員にならなくても、指定管理者制度で管理運営されている公共施設(子育て支援センター、児童館等)で働くことはできるということになります。
そのためには、指定管理者制度で、その公共施設を管理運営している企業に雇用されたり、そこから委託されている企業に雇用される必要があります。
【番外編】派遣保育士という選択肢もある
一部の自治体では、指定管理者制度を利用していない自治体が直接管理運営している児童福祉関連の施設においても、派遣保育士を募集していることもあります。公立保育園の派遣保育士事情に関しては以下の記事でも紹介しているので参考にしてみてください。
【番外編】会計年度任用職員という選択肢もある
また、多くの自治体では、正規の公務員ではなく会計年度任用職員という形で、年度の区切って職員を雇用していることがあります。この場合は、民間企業の社員ではなく、自治体に雇用される職員という形にはなりますが、正規の公務員と比べると、採用のハードルも低いことが多いです。
もし、気になっている施設が指定管理者制度で民間企業が運営してい無いという場合は、会計年度任用職員としての就業も検討してみましょう。実際に会計年度任用職員の募集があるかどうかは、自治体次第で、時期や状況次第にもよるので、自治体からの情報を確認してみましょう。
児童館での仕事内容は?
児童館の利用者は18歳以下の子どもたちと乳幼児を連れた保護者の方などが対象です。児童館での仕事内容は主に以下のようなものが挙げられます。
- 読み聞かせ
- 体操
- スポーツ
- 子どもたちの遊びのサポート
児童館は子どもを預かる施設というわけではありません。子どもが来たい時に来て帰りたい時に帰るという施設なので、子どもたちがまた来たいと思わせるような仕事をする必要があります。子どもたちと一緒になって運動をしたりスポーツをして遊ぶことも多いので、体力はそれなりに必要となる仕事になります。施設に訪れる児童も年齢も18歳以下なので、保育園児と比べても、本格的なスポーツなどをする場合もあります。
また、施設によっては、
- 乳幼児の保護者向けのサポート
も行うこともあります。乳幼児の保護者の質問に答えたり、保護者同士がコミュニケーションを取れるような場を作ることです。
児童館の開館時間
児童館の開館時間は施設によって異なりますが、おおむね朝9時から夕方6時ころまで開いていることが多いです。午前中は乳幼児を伴う保護者が来館し、放課後等には小学生などが訪れることが多いです。施設によって特定の曜日は閉館していることが多いです。
児童館職員の給与
民間の児童館職員の給与は、保育士と比較した場合にほぼ同等かそれをやや下回ることが多いです。金額でいうと正職員であれば月給20万円前後、パート時給は1000~1100円程度であることが多いです。施設によって違いはかなりあるので、求人を見る際はよく見比べてみましょう。
公営の児童館職員で働く場合は公務員ということになるので、給与体系は自治体の公務員に準ずるものとなります。また、公営の児童館の職員でも嘱託職員という形で期間を限定した契約社員のような形の求人があることもあります。公立の児童館の場合は、保育士として働くつもりで市区町村に採用された後に、児童館へ配属が決まるという場合もあります。公務員の場合は、配属先が児童館に限定して採用してくれるケースは少なく、採用後に就業先が決まったり、異動によって児童館に配属されるケースが多いです。
児童館職員の仕事の特徴、保育士との比較
児童館職員の仕事の特徴、保育士との比較などを紹介します。
幅広い世代と関わることができる
児童館は0歳から18歳までの児童が利用します。また、乳幼児の保護者の方も乳幼児とともに児童館に訪れます。保育園は乳幼児の保育が仕事になるので、幅広い世代の児童と関わることができるというのが魅力の一つです。
日本では、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校とそれぞれの世代ごとに区切られている施設が多いですが、児童館はそれらの制限がない魅力があります。
残業や持ち帰りの仕事はあまりない
児童館職員は保育園で働く保育士と比較した場合に残業や持ち帰りの仕事は少ない傾向があります。そもそもの開館時間が保育園と比較して児童館は短くなっています。保育園は11時間前後と夜中まで開園していますが、児童館はおおむね朝9時から夕方6時ころまで開いています。また、保育園のようにクラスや個別の園児に対する指導案や書類などの仕事が少ないということも影響しています。
児童館の求人の探し方は?
保育園と比較すると求人の数は少ないですが、全国に4,453か所も施設があるので、近所の児童館でも募集がある可能性は十分あります。保育士資格を持っていて保育園での勤務経験があれば、基本的には応募が可能である場合が多いです。
児童館はひとつの施設にそこまで多くの職員を雇用するわけではないので、求人が夜のなかに出回る可能性はあまり高くないです。そのため、求人サイトなどで粘り強く求人を探す必要があります。
どうしても児童館の求人が見つからないという場合は、保育士転職サイトに登録してみるというのも一つの手段になります。児童館は保育園も運営している社会福祉法人が運営していることもあり、保育園の求人と同時に保育士転職サイトで募集をしていることもあります。すぐには児童館の求人が無くても、求人が見つかり次第紹介してもらうこともできるので、別の保育園へのという選択肢も見据えて登録するのがおすすめです。
- マイナビ保育士|全国の正社員・パート保育士の求人に対応しています。登録するとネット上での検索などでは見つからない非公開の人気のある高待遇の求人情報も得られます。 まずは求人情報を知りたいだけという方でもOKです!
- ジョブメドレー保育士
| 全国対応でネット上から求人応募が可能です。すぐに転職するつもりはなくても、とりあえず登録して求人を見ることができます。自分のペースで転職をしたい人におすすめです(^^)
- ヒトシア保育| ※全国の正社員・派遣・パート保育士の求人に対応しています。登録しないと得ることができない非公開の求人もたくさんあります。 求人数も多いのでとにかくたくさんの情報を得たいという人にもおすすめです。
※ 紹介できる求人などに差があるため転職サイトは複数社に同時登録して併用がおすすめです。就職転職活動が不安な方はまずは簡単な相談目的での登録でも大丈夫です。
※ 保育士の転職サイトは新卒の方や未経験の保育士の方、資格取得見込みの方でも利用可能です。
公共施設(子育て支援センター、児童館等)を運営する民間企業の保育士求人の探し方
最後に、公共施設(子育て支援センター、児童館等)を運営する民間企業の保育士求人の探し方について紹介します。
まずは希望の施設を誰が管理運営しているかを調べる
先程紹介したように、自治体の公共施設の中には、保育士が就業可能な施設がたくさんあります。その中から自分の興味のある施設について誰が管理運営を行っているのかということを調べる必要があります。
まずは、その公共施設のホームページなどで、誰が管理運営をしているのかを調べて見ましょう。指定管理者制度によって運営されている場合は、その旨と、どの会社が運営しているのかということが書かれていると思います。
指定管理者である企業の求人がないかを調べる
希望の施設を運営している指定管理者の企業がわかったら、その企業の求人がないかを調べてみましょう。施設名と合わせて検索すれば求人が見つかる場合もあります。そこから先は、求人情報に従って、応募をしてみましょう。
民間企業になるので、採用選考のステップ等は、私立保育園の採用選考と似たような形で、見学や面接を行うということになります。
保育士転職サイト・エージェントを活用する
調べるのも大変だし、よくわからないという方やとにかくたくさんの選択肢が知りたいという方は、保育士転職サイトを活用するのもおすすめです。
保育士転職サイトにそのような公共施設(子育て支援センター、児童館等)で保育士を雇用している会社の求人を紹介してもらうことができる場合もあります。
保育士転職エージェントであれば、事前に企業や求人の詳しい情報を教えてもらうこともできますし、企業側に問い合わせなどをしてくれる場合もあります。
- マイナビ保育士|全国の正社員・パート保育士の求人に対応しています。登録するとネット上での検索などでは見つからない非公開の人気のある高待遇の求人情報も得られます。 まずは求人情報を知りたいだけという方でもOKです!
- ジョブメドレー保育士
| 全国対応でネット上から求人応募が可能です。すぐに転職するつもりはなくても、とりあえず登録して求人を見ることができます。自分のペースで転職をしたい人におすすめです(^^)
- ヒトシア保育| ※全国の正社員・派遣・パート保育士の求人に対応しています。登録しないと得ることができない非公開の求人もたくさんあります。 求人数も多いのでとにかくたくさんの情報を得たいという人にもおすすめです。
※ 紹介できる求人などに差があるため転職サイトは複数社に同時登録して併用がおすすめです。就職転職活動が不安な方はまずは簡単な相談目的での登録でも大丈夫です。
※ 保育士の転職サイトは新卒の方や未経験の保育士の方、資格取得見込みの方でも利用可能です。
まとめ:保育士が児童館で働くことはできる?仕事内容や必要な資格等を解説!
保育士の資格がある方は児童館の職員として働くための要件を満たすことができる可能性は高いです。
児童館の事業内容としては、
- 遊びを通じての集団的・個別的指導
- 母親クラブ等の地域組織活動の育成・助長
- 健康・体力の増進
- 放課後児童の育成・指導
- 年長児童(中・高校生世代)の育成・指導
- 子育て家庭への相談 等
と定められていますが、
具体的な仕事内容は、
- 読み聞かせ
- 体操
- スポーツ
- 子どもたちの遊びのサポート
- 乳幼児の保護者向けのサポート
となります。子どもたちと一緒になって運動をしたりスポーツをして遊ぶことも多いので、体力はそれなりに必要となる仕事になります。
また、公務員にならなくても、公共施設(子育て支援センター、児童館等)で働くことはできるのかという点について紹介しました。結論としては、指定管理者制度によって民間企業が管理している公共施設であれば、公務員にならなくても保育士が就業できる可能性はあるということになります。
そのためには、指定管理者制度で、その公共施設を管理運営している企業に雇用されたり、そこから委託されている企業に雇用される必要があるということになります。求人数としては、保育園と比べると数は少ないですが、タイミング次第では募集がある可能性もあります。気になる公共施設が近くにあるという方は、根気強く募集がないか調べてみましょう。
児童館はひとつの施設にそこまで多くの職員を雇用するわけではないので、求人が夜のなかに出回る可能性はあまり高くないです。そのため、求人サイトなどで粘り強く求人を探す必要があります。