保育園で正職員でフルタイムで働くのはちょっと難しいという保育士の方々。まず思いつくのは、パートか派遣保育士の仕事だと思います。
これまで正職員として働いていた方からすると、この2つは何がどうちがうのかわからないという方も多いと思います。今回は、保育士はパートと派遣どちらで働くのが良いのか、メリット・デメリットを整理して紹介します。
正規・非正規での就業経験があります
その経験が参考になればと思います
非常勤の保育士の雇用形態は大きく2つ
常勤でない保育士の雇用形態には大きく2つのものがあります。
それが、
パート保育士
と
派遣保育士
です。
それぞれの、雇用形態は、実は全く異なるものです。そのため、保育士として働き始めるという際に、この2つの選択が違うと、全く異なる働き方になります。
パート保育士と派遣保育士の違いとは?
パート保育士と派遣保育士の違いを簡単に表にまとめると以下のようになります。
内容 | パート | 派遣 |
---|---|---|
雇用元 | 保育園 | 派遣会社 |
契約期間 | 無期限、または、有期限 | 有期限 |
時給 | 低め | 高め |
福利厚生 | 保育園に準ずる | 派遣会社に準ずる |
仕事内容 | 保育園次第 | 契約次第 |
それでは、ひとつひとつの違いを細かく見てみましょう。
雇用元について
雇用元というのは雇われる会社ということですが、パート保育士は働く保育園に、派遣保育士は派遣会社に雇用されます。派遣保育士は、派遣会社から働く保育園に派遣されることになります。仮に最終的な就業先が同じだったとしてもこのような形態になります。
このような雇用形態になるので、支払われる給料の流れとしては、
- 保育園 → パート保育士
- 保育園 → 派遣会社 → 派遣保育士
という流れになります。派遣会社は保育園からもらう金額から手数料を抜いて派遣保育士に給料を支払うことになります。
雇用元に関してはこのような違いがあります。
契約期間について
契約期間は、パートの場合は「無期限」ということが多いです。”多い”と表現したのは、パート保育士でも有期での雇用という可能性もあり得るためです。
派遣社員の場合は、基本的に「有期限」での雇用になります。
有期限の雇用の場合は、パート保育士・派遣保育士のそれぞれどちらについても、事前に正確な期間を決めた上での契約になります。
なので、どちらの場合でも有期限だからと言って「明日から来なくて良いよ」というようなことは、明確な理由(就業規則を破るなどの理由)が無い限り、そして、保育園が法律を遵守する限り起こり得ないことです。
半年なら半年、1年なら1年と期間を決めるので、その期間の間の雇用は正職員と同様に保証され、簡単にクビにするということはできません。
また、雇用期間が終了したら必ず雇用が終了するのかというとそういうわけではありません、雇用主と従業員である保育士の双方が同意すれば、契約期間を延長して働くことができる場合もあります。パートの場合は、保育士と保育園、派遣の場合は、保育士と派遣元の会社との契約が更新されるということになります。
時給(給料)について
時給(給料)については、個々の求人や派遣の案件次第なので、確実にどちらが良いといえるようなことはありません。ただし、全体の平均を見ると派遣保育士のほうがパート保育士より良いという傾向があります。
先程も紹介した給料の流れでは、派遣保育士の場合、派遣会社が手数料を抜いて保育士に給料を支払うので、派遣保育士のほうが給料が良いというのはおかしいじゃないかと思うかもしれません。
派遣保育士のほうが時給が高い傾向にあるのは、雇用期間が限定されていて雇用における「緊急度」が高いためです。
よく勘違いが起きるのですが、 保育園が派遣保育士を雇用するのは、人件費を安くするためではなく、足りない保育士を素早く補充するためという場合がほとんど です。急に保育士が辞めてしまった、求人を出しても保育士が全然応募に来ないなどの場合です。
昨今は保育士不足なので、保育士を募集しても簡単には応募が来ません。そうなると保育園は基本的に3つの選択を迫られることになります。
ひとつは、新たな保育士を雇わず、預かる子ども定員を減らす、もしくは、現状の人員でなんとかやりくりを続けるということ。もう一つは、派遣会社などから次の保育士の雇用が決まるまで一時的に派遣保育士を雇用するということです。
前者を選んだ場合、預かる定員が減ると保育園の収益が悪化します。もしくは、現状の人員でやりくりすると、保育士の一人あたりの負担が増え、さらなる保育士の離職を招くことになります。
それであれば、一時的に保育園は少し高い金額であっても派遣保育士を雇用して、必要な保育士人員を補充するということになります。なので、派遣会社が手数料を取ったとしても、やや時給は派遣保育士のほうが高いということになります。
福利厚生について
ここからはパート保育士と派遣保育士の福利厚生の違いについてです。
産休・育休制度
産休・育休制度については、パートや派遣などの雇用形態に関わらず条件は同一です。詳細は以下の記事を参照して下さい。基本的には、派遣であってもパートであっても条件を満たせば、正社員とどうように産休・育休を取得することができます。
有給休暇
パートと派遣で気になるのは、休暇についてだと思います。
まず有給休暇の付与についてですが、正職員やパート、派遣保育士といった雇用形態に関わらず、労働時間などの条件によって付与されるものになります。
そのため、付与される条件を満たせば、どの雇用形態によっても有給休暇が付与されます。
派遣保育士は保育園と派遣会社に有給休暇の利用を申請することになります。
実態として利用ができるかという点に関しては、勤務している保育園と派遣会社次第になります。なので、どちらの雇用形態のほうが良い、取得がしやすいということは言い切るのは難しいです。
仕事内容について
派遣保育士とパート保育士の仕事内容は、保育園次第・契約次第になるので、一概にパートだからどう、派遣だからどうということはありません。
もちろん、どちらも担任を任される可能性があります。一般的には、雇用期間が定められての雇用の場合は、あまり、重要な仕事は任されない場合が多いです。
パートでも派遣でも、事前に仕事の範囲や責任の範囲を確認してからの就業が大切です。
保育士はパートと派遣どちらで働くのが良い?メリット・デメリットを整理。
ここからは、保育士はパートと派遣どちらで働くのが良いのか、メリット・デメリットを整理して解説します。
パート保育士で働くメリット
パート保育士で働くメリットを紹介します。
雇用が安定している
パート保育士のメリットは雇用が安定しているということでしょう。無期限の雇用であれば、基本的に保育園が閉園したり、潰れない限りは雇用は維持されます。同じ職場で腰を据えて働きたいという方にとっては、とても都合が良いと思います。
派遣保育士で契約終了した場合は、新たな就業先を探す必要があります。覚えた保育園内のルールなども新たに覚え直さなければいけませんし、人間関係もゼロからのスタートになります。せっかく慣れてきたところで、契約終了ということもあります。
また、転職活動についても体力がいる作業で、できれば何度もやりたくないという人も多いと思います。派遣であれば、次の契約や雇用が決まるまでは、もしかしたら無給になってしまうこともあるでしょう。そんな心配が少ないのが、パート保育士のメリットになると思います。
パート保育士で働くデメリット
パート保育士で働くデメリットを紹介します。
人間関係が難しい
これから長く働こうと思っているのであれば、やはり、正職員同様に人間関係にも気を使わなくてはいけない場面が増えると思います。多少の嫌なことは目をつむって仕事をしなければいないこともあるでしょう。期限が決められている派遣の場合は、その期間まで我慢すれば良いので、気持ち的には楽です。
時給が低い
先に話したとおり、パート保育士は派遣保育士と比較しても時給が安いことが多いです。もちろん、案件次第、会社次第なので、探すときには他のパート保育士の求人としっかり比較してみましょう。
派遣保育士で働くメリット
派遣保育士で働くメリットを紹介します。
時給が良い
先に話したとおり、派遣保育士は期間が決められている分、時給が高いことが多いです。もちろん、案件次第なので、探すときには他のパート保育士の求人としっかり比較してみましょう。
人間関係が楽
人間関係を気楽に考えられるというの期間が決められた派遣保育士のメリットです。これは考え方の問題ですが、半年や1年で自分はいなくなるという契約の職場であれば、人間関係で変に気を使うという必要も減りますよね。多少、嫌なことがあっても、決まった期間だけ我慢すれば、辞められるということには精神的な余裕が生まれます。
すぐ辞められる
派遣保育士で働くメリットはすぐ辞められるということです。
保育士の方で、辞め方について悩んだことがある人は多いともいます。辞めたい辞めたいと思ってもなかなかタイミングがつかめず、ずるずると続けてしまう場合もあると思います。
もちろん定められた契約期間は働く必要がありますが、 派遣保育士は契約期間が終われば、なんの後腐れもなく辞めることができます。
- 良い保育園だったら辞めたくない!
もし、派遣保育士として働いた保育園が非常に働きやすく人間関係が良い保育園であれば、辞めたくないと思うことにもなると思います。でも派遣保育士であれば、契約が終了したら辞めなくてはいけなくなってしまいますよね。
そうなった場合は、派遣期間の終了後にパート保育士としての勤務を保育園に申し出てみましょう。
昨今は保育士が不足しているの、派遣保育士としてきちんとした仕事ぶりをしていたのであれば、あらためてパート保育士として雇用してくれる可能性も十分にあります。
ブラック保育園への対抗がしやすい
派遣保育士は、持ち帰りの残業やサービス残業を強いられるということは無いです。仮にそうなった場合は、派遣会社にクレームをつければ、派遣会社が対応してくれます。
そもそもが持ち帰りの残業やサービス残業は「違法」なので、派遣やパート、正社員でもダメなことですが、一個人では力関係性上、指摘がしにくいという感覚があると思います。パートではなにかブラックなことがあったら個人対保育園で戦わなければいけませんし、労働基準監督署など、外部の期間に簡単ではない手続きを経ながら是正を求め等無ければ行けなくなることも少ないくないです。
一方、派遣会社対保育園であれば、保育園も対応せざるを得ないという場合が多く、是正して貰える可能性がかなり高くなります。
派遣保育士で働くデメリット
派遣保育士で働くデメリットを紹介します。
雇用が不安定
先程も書きましたが、保育園が派遣保育士を雇用するのは、足りない人員の緊急な穴埋めというケースがほとんどです。なので、新たな保育士の雇用が決まれば、契約期間が終了するとともに、派遣の契約も終了します。
保育園としても、派遣保育士は金額が高くついてしまうので、長く契約を続けたくないという思いがあります。契約が終了したら、またあらたな職場を探す必要が出てきます。もちろん、契約期間は事前にわかるので、その期間の雇用は保証されます。
ですが、職場を転々とすることになるので、同じ職場で腰を据えて働きたいという人にとっては、大きなデメリットになると思います。逆に、職場を転々として色々な経験をしたいという人にとっては、自動的に契約が終わればやめることができるので、デメリットばかりではないかもしれません。
良い派遣会社、良い保育園を選ぶということも重要
ここまで、派遣保育士、パート保育士のメリット・デメリットを紹介しました。ここまでの内容で、自分は「派遣が向いている」「パートが向いている」という結論になった方がいるかもしれませんが、良い派遣会社、良い保育園を選ぶということもとても重要な要素になります。
自分にあった雇用形態で働いたとしても、
派遣の場合は、登録した派遣会社が、金儲けしか考えていない会社だったら
パートの場合は、ブラックな保育園に就職してしまったら
もともこうもありません。
そのため、派遣を考えている保育士の方は、良い派遣会社を、
パートを検討している保育士の方は良い保育園を最終的に選ぶということがとても大切です。
[heken_list]
【まとめ】結局パート保育士と派遣保育士のどちらがおすすめ?
今回は、パートと派遣どちらで働くのが良いのかということを考えている保育士の方向けに、メリット・デメリットを整理しました。
- 同じ職場で腰を据えて働きたい
- 周りに就業可能な保育園の数が少ない
- 多少の理不尽は我慢できる
このような条件を希望する方は、パート保育士での就業がおすすめです。
- いろいろな職場を経験したい
- 都会で保育園の数が多い
- どうしてもブラックな保育園が嫌だ
上記のような方は、派遣保育士での就業がおすすめです。
派遣保育士として勤務を考えている方は、周りにある就業可能な保育園の数も大切です。まわりに保育園が少ないと、一度、派遣保育士として働いて契約終了になると次の派遣の求人を探すのに時間がかかってしまいます。当然、その間は給料がもらえなくなってしまいます。また、そもそもの派遣の案件の選択肢が少ない場合もあります。
そして、 結局は、パートか派遣保育士で働くべきかというのは、求人や案件次第という部分が大きいです。
以下に紹介する保育士の転職サイトは、派遣会社の機能もあるので、パートの求人と派遣の求人のどちらも紹介してもらうことができるので、おすすめです。
- ヒトシア保育| ※全国の正社員・派遣・パート保育士の求人に対応しています。派遣会社でもあるので、派遣保育士として勤務を検討している方にもおすすめです。登録しないと得ることができない非公開の求人もたくさんあります。
- ほいく畑 | ※全国の正社員・派遣・パート保育士の求人に対応しています。派遣会社でもあるので、派遣保育士として勤務を検討している方にもおすすめです。未経験・ブランク有りの方の支援が充実しています。
パートか派遣で迷っている場合は、このような両方を紹介できる転職サイトに登録して、それぞれの求人を比較・検討してみるのが良いと思います。