保育士の皆様。
保育士の転職で一番悩むことの一つは、転職しても良くなるかどうかわからないという点だと思います。実際、保育業界はブラックな噂が多く、どこに転職してもブラックということも起きています。現状が多少ブラックでもほかよりマシかもと思ってしまうと、なかなか転職に踏み切れないという方も多いともいます。
今回は、様々な基準をもとに、何個当てはまったらおおよそ転職すべきかと言うのを解説します。
複数の保育士転職サイトを利用して転職活動をした経験があります
その経験が参考になればと思います
転職したほうが良い、しなくて良い保育士の基準を解説!
転職したほうが良い、しなくて良い保育士の基準を解説します。
- 1つでも当てはまったら転職を考えたほうが良い
- 3つ以上当てはまったら転職を考えたほうが良い
これらの条件をそれぞれ説明します。
1つでも当てはまったら即、転職をしたほうが良いかも
以下の項目は一つでも当てはまったら、即転職をしたほうがよいかもしれないという項目になります。
これらは、適切に転職すれば改善される可能性が高いです。
処遇改善費を適切に受け取ることができているかどうか
保育士の処遇改善費には大きく2種類が存在します。単純にすべての保育士の給与に上乗せされるものと、経験や技能によって上乗せされるものになります。
これらの違いについては以下の記事でも説明しています。
最近では、「保育士の賃金加算7億円使われず?会計検査院が指摘」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53652990R21C19A2CR0000/ というニュースがあり、保育士の処遇改善等加算が適切に支給されていないケースが報告されています。
施設側に理由を尋ねると、「失念していた」という回答が目立ったそうです。
失念されたで済まされるのもどうかと思いますが、事実として処遇改善費を正しく支給していない保育園が多数存在するということがわかっています。
勤務中の保育園で処遇改善費が適切に支給されているかどうか不明な場合は、まずは馬鹿なふりをして園長に聞いてみましょう。そこで濁すようなことがあれば怪しいです。
最終的には、保育園を認可している市区町村や都道府県などの自治体の保育課などに確認を取ると良いと思います。
年収が極端に低くないか
保育園から貰っている給与が極端に低すぎないかどうかという点です。保育士の平均給与などは地域によって差がありますが、その水準を大幅に下回っている場合は、転職を検討したほうが良いです。
保育士の平均給与は以下の記事で紹介しています。
例えば、前述の処遇改善費は適切に受け取ることができていたとしても、保育園から支払われる給与自体を低く設定しているという可能性もあります。
つまり、処遇改善費は払っているけど、給与が減らされているので、実質支払っていないことと同義になります。
保育園から貰っている金額、処遇改善や賞与など、すべてを含めた年収ベースで、他の保育園で働いている保育士と比較して大幅(50万〜100万円以上)に下回っていないか確認しましょう。
給与に未払い・遅延が起きている
保育園の給与に未払いや遅延が起きるというのは「倒産」「経営破綻」の兆候になります。保育園の収入というのは翌月にいきなり増える・減るというような性質ではないからです。
もし、少しでも給与に未払い・遅延が起きている場合は、すぐに転職を検討したほうが良いです。
最悪の場合、働いた分の給与を受けるとことができないか、「未払い賃金の立て替え払い制度」で保証されても7割程度の額になってしまうかもしれません。
人間関係に強い不満をいだいていないか
保育園の人間関係に「保育園に通勤したくなくなるくらい」の強い不満をいだいている場合は、転職を検討したほうが良いかもしれません。
例えば、園長や先輩の保育士からパワハラ・モラハラなどを受けている場合などです。
理由は様々だと思いますが、人間関係というのは、自分の力でどうにかコントロールできるようなものでもなく、今後改善するのがかなり難しいからです。
自分が頑張れば改善されるという性質のものでもなく、この状態で無理して続けてしまうと適応障害になったり、うつ病などの精神病に発展してしまう恐れもあります。
できるだけ早い段階で見切りをつけて転職するのが得策です。
長時間のサービス残業などを強いられていることがないかどうか
月換算でおおむね10時間以上のサービス残業をさせられているという場合は、転職を検討した方が良いです。
10時間と言っても、残業代に換算したら、少なく見積もったとしてとも1万5千円程度は損していることになります。年間に換算すると18万円にものぼります。残業代は割増賃金で支払われるはずのものです。
本来はサービス残業がある時点で転職したほうが良いのですが、長時間と限定しているのは、残念ながら保育業界はサービス残業というものがまだまだ根強く存在しているからです。
そのため、短時間のサービス残業であれば、それだけの理由で転職しても次の職場でよくなるという保証が無いためです。
有給休暇が全く利用できない
有給休暇が全く利用できないという場合も転職を検討したほうが良いです。少なくとも2019年度以降に関しては、フルタイムの正職員であれば最低5日間の有給消化が企業に義務付けられています。
それが利用できていない時点で法律違反になります。有給消化が正しくできていない時点で、おそらく、その他の点にも多数の不備は出ていると思いますが、転職を検討した方が良いです。法律やコンプライアンスを遵守する意識が低いということです。
有給休暇が取れないということは、保育士の人数に余裕がないということも考えられます。後述の必要な保育士の人数が足りていないという可能性もあります。
必要な保育士の人数が足りていない
保育園には必要な保育士の人数の基準が存在します。詳しくは以下の記事で解説しています。
年齢 | 保育士1人あたりの保育人数 |
---|---|
0歳児 | 3人 |
1~2歳児 | 6人 |
3歳児 | 20人 |
4歳児以上 | 30人 |
必要な保育士の人数は、その人数を保育園が雇っていれば良いというわけではなく、すべての園児がいる時間帯において、この最低条件を満たしている必要があります。
例えば、6人の0歳児を一人の保育士で見ているという時間帯が少しでもあったら、この基準上はアウトになります。
基準をしっかり満たしている保育園と比べても危険度も高く、保育士の負担も多くなっているはずです。今後、なにか保育中の事故に巻き込まれる可能性もあるので、転職を検討したほうが良いです。
倫理的、法律的な問題が発生している、もしくはしそうな状態
倫理的、法律的な問題とは以下のようなものになります。
- パワハラ
- モラハラ
- セクハラ
- 園児への虐待
園児への虐待は論外ですが、自分がやっていなくても、今後容疑者の一人になる可能性もあります。ニュースとして大きく騒がれたら、保育園も閉園になるかもしれないので、早く転職したほうが良いです。
パワハラやモラハラに関しては、自分が直接ターゲットになっていないとしても、転職を検討すべきだと思います。
保育士の全体の士気も低下している可能性も高く、また、今後は自分がターゲットに変更される可能性があります。
3点以上当てはまったら転職したほうが良いかも
以下の項目はおおよそ3項目以上当てはまったら転職を検討したほうがよいかもしれないという項目になります。
研修などを適切に受けれているかどうか
日々の保育の業務が忙しく、研修を受ける時間がない、受けさせてもらえないという場合です。
特に「保育士等キャリアアップ研修」に関しては、研修の受講の有無が収入を左右します。保育士等キャリアアップ研修については以下の記事で解説しています。
保育士等キャリアアップ研修を受けると、全国どこの保育園でも通用する修了証が貰うことができます。
研修を受講し、保育園が「副主任・専門リーダー」などの役職を保育士に付与すると最大で月額4万円処遇改善加算が給与に上乗せされます。
つまり、この研修を受けさせてもらえないということは処遇改善費も貰えないということになります。
この研修の受講は他の保育園でも通用するので、例えば、研修を受けさせてもらえない保育園で10年勤務して、ほかの保育園に転職した場合は、同世代の「副主任・専門リーダー」と月額4万円も給与に差が出る可能性があるということです。
適切な評価がなされているかどうか
園長が保育士などを自分の基準で差別して、評価を行う園長がいる場合などです。
昇給や賞与の金額に差が出る保育園もあると思います。また、前述している「保育士等キャリアアップ研修」は一部の金額を園の基準で、若手の保育士などに分配することもできます。
つまり、適切に評価がされていないと、貰える給与も適切でなくなってしまうということです。長い目で見ると大きな金額を損していることになります。
キャリアを考慮した適切な配置・配属がなされているかどうか
保育士のキャリアを考えて適切な人員配置ができているかという点になります。例えば、保育園に入職してもずっと幼児の担当しかやらせてもらえないなどです。例えば、何年も保育士しているのに乳児の経験がないということになっていしまいます。
園全体の効率も考えて、適切な人員配置ができているかどうかが重要です。
有給休暇があまり利用できない
前述しましたが、正職員であれば年5日間は有給の消化が義務付けられていると思います。
この5日間が利用できないのは論外ですが、利用できていても勝手に指定された日に休みにされていたり、それ以外の希望日に休みが取れないという場合です。
少なくとも有給付与分が利用できないということは、保育士の人数などの体制に問題があるということなので、他の部分にも問題点が出てくると思います。
持ち帰り残業がないかどうか
保育士の仕事につきものなのが持ち帰りの残業だと思います。あまりにも持ち帰りの残業が蔓延しているようだと要注意です。
持ち帰りの仕事があるというのは、結局は必要な保育士の人数が足りていないということにつながると思うので、同様に保育園全体に様々な問題が出てくるはずです。
適切な休憩が取れているかどうか
通常一日8時間勤務であれば45分以上の連続した休憩の取得が必要になります。適切な休憩は完全に業務から離れて状態を指しますが、そこまでいかないとしても休憩を取らせるという努力はあってしかるべきです。
同僚に質の低い保育士がにいるかどうか
質の低いというのは曖昧な表現ですが、例えば、福岡市の認可保育園で保育士が子どもに暴言や暴力を振るったという事件がありました。この事件では、保育士が複数名が関わっていたようです。
この例のように、保育のやり方などは同僚の保育士の影響というのも受けやすく、質の低いものが周囲に伝染する場合があります。
そのような保育園で長く勤めてしまうと、他の保育園ではありえない非常識な保育のやり方が身に付いてしまうかもしれません。
人間関係に不満がないかどうか、特に園長など
先程書いたとおり「保育園に出勤したくない」ほどの人間関係に強い不満は無くても、今後さらに悪化する可能性もあるので要注意です。
できれば、明るく前向きに仕事ができる保育園で保育士として働くほうが、スキルの面でも良いです。
その他、個人の事情での不満など
上記までは、どちらかというと保育園側に対する不満でしたが、個人の不満もあると思います。
- 自宅から遠い
などが一例です。
これらの不満もあわせて3つ以上が当てはまったら、転職を検討しても良いかもしれません。
次の転職先のの保育園がブラックだったら意味がない。
1つでも当てはまったら転職を考えたほうが良い
3つ以上当てはまったら転職を考えたほうが良い
をそれぞれ紹介しました。ただし忘れてはいけない重要なことは次の転職先のの保育園がブラックだったら意味がないということです。
ブラック保育園は事前に見極められる点も少なからずあります。
おすすめなのは、保育士の転職エージェントを活用することです。転職エージェントに事細かく、条件を指定して求人を探して貰うのがおすすめです。
特に、処遇改善費に関しては、どのようにどれくらいの金額が支給されるのかをエージェントを通してしっかり確認しましょう。自分では聞きにくいお金の話を気軽に聞けるのがありがたいです。
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まとめ:転職したほうが良い、しなくて良い保育士の基準を解説。当てはまったら即転職!
今回は、転職したほうが良い、しなくて良い保育士の基準を解説しました。
一つでも当てはまったら転職したほうが良い条件は以下になります。
- 処遇改善費を適切に受け取ることができているかどうか
- 年収が極端に低くないか
- 給与に未払い・遅延が起きている
- 人間関係に強い不満をいだいていないか
- 長時間のサービス残業などを強いられていることがないかどうか
- 有給休暇が全く利用できない
- 必要な保育士の人数が足りていない
- 倫理的、法律的な問題が発生している、もしくはしそうな状態
おおよそ3つ以上当てはまったら転職したほうが良い条件は以下になります。
- 研修などを適切に受けれているかどうか
- 適切な評価がなされているかどうか
- キャリアを考慮した適切な配置・配属がなされているかどうか
- 有給休暇があまり利用できない
- 持ち帰り残業がないかどうか
- 適切な休憩が取れているかどうか
- 同僚に質の低い保育士がにいるかどうか
- 人間関係に不満がないかどうか、特に園長など
- その他、個人の事情での不満など
ただし、転職をした先の保育園がブラックだったら意味がないので、転職先の保育園の見極めも重要です。