保育園で働いている保育士の皆さまや、転職を考えている皆様。保育園での保育士の配置基準というものはご存知ですか?
そのような方もいらっしゃると思います。
今回は、保育士の働きやすさに大きな影響がある保育士の配置基準に関して紹介します。また、独自の基準を設けていて保育士が働きやすい市区町村もあるので紹介します。
その経験が参考になればと思います
認可保育園の保育士の最低配置基準とは?
保育園における保育士が何人必要なのかという基準が厚生労働省によって定められています。その基準が以下になっています。
年齢 | 保育士1人あたりの保育人数 |
---|---|
0歳児 | 3人 |
1~2歳児 | 6人 |
3歳児 | 20人 |
4歳児以上 | 30人 |
わかりやすく説明するために簡単な例をあげると「1~2歳児のみ18人の保育園」と仮定すると保育士は3人以上の配置が必要ということになります。子供の年齢が低いほど保育士の配置人数が多く必要になります。
この人数は保育士の資格保持者が対象で、無資格者は含めることができません。この基準は、こどもの安全に配慮した基準になっています。そのためこの基準を下回る場合は認可保育園として運営することはできません。
そして、この基準はすべての時間帯でこの条件を満たしている必要があります。なので、園児の定員が何名だから、保育士を何名雇用すればよいという話ではありません。
必ず、実際の開園時間中に登園しているこどもの人数とその時に保育を行っている保育士の人数で基準を満たす必要があります。
そして、この保育士の配置基準ですが市区町村・都道府県などの自治体よってはさらに厳しい基準を設定している場合があります。
もちろん保育園が独自にこの人数よりも上回った人数の保育士を配置することは問題ないです。そのような保育園は保育士にとって働きやすい保育園と言えます。
保育士の間では、国が定めている基準では不十分だという意見も多く、実際により厳しい基準を独自に設定して運営している保育園もあります。そうすることで保育士の負担を軽減しています。
保育士は常に二人が必要
国の設けている基準では、例外を除いて基本的にはどの時間帯であっても保育士は常時2人以上が必要としている場合が多いです。
つまりたとえ登園している園児が1名のみだったとしても、保育士は2名が必要になります。これは子どもの安全面に配慮しているためです。多くの保育園で早番、遅番に2名の保育士が配置されているのはこのためです。
施設長(園長)は保育士の配置基準には含めない
園長などの施設長は管理者なので保育士の配置基準には含まれません。そのため、実は保育園の園長は保育士資格を持っていなくてもなることができます。
定員が90名以下の場合は保育士1名を追加
定員が90人以下の場合は基準に加えて保育士を1名追加する必要があります。
保育標準時間認定を受ける子供がいる場合は保育士1名を追加
保育標準時間認定とは、保育園においてフルタイム就労を想定した利用時間の認定になります。
この認定を受けたこどもが一人以上いる場合は、基準に加えて保育士1名を追加して配置する必要があります。
保育士の配置基準の緩和策も実施「保育所における保育士配置の特例(平成28年4月施行)」
保育所における保育士配置の特例は2016年に厚生い労働省が出した特例制度で内容は以下のようになっています。
- 朝夕の保育士配置基準の緩和
- 幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭などの保育士とし見なす
- 子育て支援員の活用
特例の内容
1 朝夕など児童が少数となる時間帯における保育士配置に係る特例
保育士最低2人配置要件について、朝夕など児童が少数となる時間帯においては、保育士2名のうち1名は子育て支援員研修を修了した者等に代替可能とする。
2 幼稚園教諭及び小学校教諭等の活用に係る特例
保育士と近接する職種である幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭を、保育士に代えて活用可能とする。
3 保育所等における保育の実施に当たり必要となる保育士配置に係る特例
保育所等を8時間を超えて開所していることなどにより、認可の際に最低基準上必要となる保育士数(例えば15名)を上回って必要となる保育士数(例えば15名に追加する3名)について、子育て支援員研修を修了した者等に代替可能とする。
あくまでも特例の実施有無は自治体と保育園を運営している事業者に任されています。
特例は待機児童を解消し、受け皿拡大が一段落するまでの緊急的・時限的な対応なので、最終的には保育士資格を取得することが必要になります。
あなたの保育園に保育士は足りている?保育士の配置基準の計算例
保育園が以下の定員とします。
- 0歳児:6人
- 1歳児:12人
- 2歳児:12人
- 3歳児:20人
- 4歳児:30人
- 5歳児:30人
0歳児 -> 6 ÷ 3 = 2
1歳児 -> 12 ÷ 6 = 2
2歳児 -> 12 ÷ 6 = 2
3歳児 -> 20 ÷ 20 = 1
4歳児 -> 30 ÷ 30 = 1
5歳児 -> 30 ÷ 30 = 1
必要な保育士の人数は最低9人となります。これはあくまで最低の人数なのでおそらくこの人数ぴったりの保育士しかいない場合は運営が回らないと思います。保育園は開園時間も長いので、雇用する保育士の人数は更に必要になります。
開園時間が長ければ、さらにたくさんの保育士の人数が必要になります。最低でもこの人数に加えて、園長、主任保育士に加えてさらに2、3名の保育士、それに加えて非常勤やパートの保育士が必要だと思います。
おそらくこのような園児定員が100名を超える保育園では、常勤・非常勤を含めて20名以上の保育士が在籍していることがほとんだだと思います。
保育士が足りていないと働く保育士にとってデメリット
当たり前のことですが、児童に対して保育士の配置人数が足りていないと、保育士一人当たりの負担は増加します。それどころが園児に対して危険が生じる可能性も高くなります。
書類の仕事や行事の準備をする時間が確保できずに、そのことが残業等の仕事量の増加に繋がります。残業代は保育園にとっては割高なので、サービス残業や持ち帰りの仕事に繋がっていきます。
また、足りない人数で仕事を割り振ろうとするとどうしても仕事の押し付け合いになってしまうこともあります。そうなると保育園内の人間関係も悪化することがあります。
保育士が足りていないことは、働く保育士にとって大きなデメリットになります。
保育士の配置が国の基準より厳しい市区町村
下記の市区町村以外にも保育園が独自でより安全で保育士が働きやすいように保育士の人数を増やしている場合もあります。
横浜市
横浜市では国の基準を上回る厳しい保育士の配置基準を定めています。
歳児 | 保育士1人あたりの保育人数(横浜市基準) | 保育士1人あたりの保育人数(国基準) |
---|---|---|
0歳児 | 3人 | 3人 |
1歳児 | 4人 | 6人 |
2歳児 | 5人 | 6人 |
3歳児 | 15人 | 20人 |
4歳児以上 | 24人 | 30人 |
京都市
京都市でも国の基準を上回る厳しい保育士の配置基準を定めています。
歳児 | 保育士1人あたりの保育人数(京都市基準) | 保育士1人あたりの保育人数(国基準) |
---|---|---|
0歳児 | 3人 | 3人 |
1歳児 | 5人 | 6人 |
2歳児 | 6人 | 6人 |
3歳児 | 15人 | 20人 |
4歳児 | 20人 | 30人 |
5歳児 | 25人 | 30人 |
※参考 https://www.city.kyoto.lg.jp/hagukumi/page/0000235643.html
【注意】認可保育園以外の保育園の保育士の配置基準はまったく異なる
以下のような通常の認可保育園以外の保育園では保育士の配置基準は先に紹介したものことなります。
横浜市と京都市の厳しい配置基準を紹介しましたが、同市内であっても以下に分類される保育所の基準は異なるので注意が必要です。
- 東京都認証保育所、川崎市認定保育園、横浜市保育室などの認可外保育施設のうち市区町村から独自の認証を受けるもの
- ベビーホテル・託児所などの認可外保育施設
- 企業主導型保育事業
- 小規模保育事業
例えば、東京都の認証保育所は、認可保育所と同様の配置基準で、保育士等の資格保有者の割合は6割以上が条件となっています。
ベビーホテル・託児所などの認可外保育施設は、認可保育所と同様の配置基準で、保育士等の資格保有者の割合は3分の1以上が条件になっています。
企業主導型保育事業は、認可保育園の配置基準+1名以上の配置基準で、保育士等の資格保有者の割合は5割以上が条件となっています。
小規模保育事業A型は、認可保育園の配置基準+1名以上の配置基準です。
小規模保育事業B型は、認可保育園の配置基準+1名以上の配置基準で、保育士等の資格保有者の割合は5割以上が条件となっています。
施設種別 | 必要な職員人数 | 保育士などの資格者の割合 |
---|---|---|
東京都認証保育所 | 国の認可保育園の基準と同様 | 60% |
川崎市認定保育園 | 国の認可保育園の基準と同様 | 50% または 66% |
横浜市保育室 | 国の認可保育園の基準と同様 | 66% |
認可外保育施設 | 国の認可保育園の基準と同様 | 33% |
企業主導型保育事業 | 国の認可保育園の基準と同様+1名 | 50% |
小規模保育事業A型 | 国の認可保育園の基準と同様+1名 | 50% |
小規模保育事業B型 | 国の認可保育園の基準と同様+1名 | 50% |
さらに、現在では保育士不足の影響もあって「地方裁量型認可化移行施設」という制度もできていて、保育士が不足している認可外保育園に対して認可並みの補助金を支給するという規制緩和も進んでいます。
【まとめ】京都市と横浜市は保育士の配置基準が厳しい
横浜市と京都市は保育士の配置基準が厳しくなっています。もちろん、だからといって市内のすべての保育所が働きやすいとは限りません。その他の市区町村の保育園でも、独自に基準を上回る保育士を配置している場合もあります。
保育士の人数は、保育士の負担に直結します。日々の残業時間などにも影響を与える部分になります。
大事なのは、基準に対してどれだか余裕をもって職員を配置しているかということです。横浜市、京都市であってもギリギリの基準で配置している場合は、保育士ひとりあたりの負担が多く安全で働きやすいとはいえないです。
働きやすい保育園を探すには保育士の転職エージェントがおすすめです。保育園の働きやすさは、保育士の人数だけではなく人間関係なども重要になってきます。事前に保育園の内情の教えてくれるので安心して入職をすることができます。
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