幼稚園教諭として働いていた、もしくは、働いていて保育士資格を持っていない方。
幼稚園教諭免許状保持者の保育士資格取得特例制度について知っていますか?厚生労働省が令和6年度末まで特例として行っている措置になります。
認定こども園などでは幼稚園教諭と保育士資格が求められるので、特例制度の期間中に保育士資格の取得がおすすめです。
※参考「厚生労働省 幼稚園教諭免許・保育士資格の
更なる併有促進について」https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000989489.pdf
保育士資格取得特例制度を利用して保育士資格を取得した経験があります
制度については、厚生労働省の幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例の情報を参考にしています
その経験が参考になればと思います
実体験有!幼稚園教諭免許状保持者の保育士資格取得特例制度の手順解説!
時間が無い方のために先に簡単に特例制度の概要を紹介します。
幼稚園での勤務経験が3年以上かつ4,320時間以上ある、もしくはこれからそれを満たす予定がある 方が、
保育士養成施設等で特例教科目(4科目)8単位を履修修了 することで、
手順を手順を略化して保育士資格を取得することができる制度です。厚生労働省が令和6年度末まで特例として行っている措置になります。
詳細は以下からの内容を参考にしてみてください。
幼稚園教諭免許状保持者の保育士資格取得特例制度の概要
幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例は厚生労働省が実施する保育士資格の取得に対する制度になります。
幼稚園教諭の免許状を持っていて幼稚園での実務経験がある方を対象に保育士試験の科目を免除にする制度になります。
特例制度は、平成27年度に始まり一旦は平成31年度末まで期間限定でしたが、さらに令和6年度末まで延長になっています。
制度の背景としては、幼稚園が学校教育と保育を一体的に提供する認定こども園に円滑に移行を進めるための制度になっています。幼稚園・保育所で働く幼稚園教諭・保育士のうち25%程度は、いずれかの免許・資格で勤務しているようです。
幼稚園での勤務は幼稚園教諭免許のみ必要でしたが、認定こども園の職員は「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」の両方の免許・資格を有する「保育教諭」である必要があるためです。
保育教諭とは?
保育教諭は、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持っていて、認定こども園で働く職員のことを指します。
認定こども園の中でも「幼保連携型認定こども園」で働く職員は、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を保持している必要があります。
ただし、幼保連携型認定こども園の保育教諭等の資格の特例というのが施行されており、子ども・子育て支援新制度の施行後5年に限り、いずれか一方の免許状・資格のみで保育教諭等となることができる特例を設けています。
つまり、現在は片方の資格・免許しか持っていない場合でも幼保連携型認定こども園で就業することが可能ですが、いずれは両方の資格の保有が求められるということになります。
ちなみに、認定こども園には以下のような種類があり、そのそれぞれで、施設の内容が異なっています。
- 幼保連携型認定こども園
- 幼稚園型認定こども園
- 保育所型認定こども園
- 地域裁量型認定こども園
詳細は以下の記事でも紹介しています。
ちなみに、認定こども園は幼保連携型認定こども園が最も多く全体の約7割程度を占めています。
幼稚園教諭免許状保持者の保育士資格取得特例制度の対象者
- 幼稚園免許状を持っている
- 幼稚園の関連施設において「3年以上かつ4,320時間以上」の実務経験を有する者
が対象になっています。3年以上かつ4,320時間以上というのはフルタイムで3年間働いていれば条件を満たしていることになると思います。
施設というのは以下のものが該当します。
(1)幼稚園(特別支援学校幼稚部含む)
(2)認定こども園
(3)保育所
(4)小規模保育事業(法第6条の3第10項に規定する小規模保育事業(家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第61号)第27条に規定する小規模保育事業A型及び小規模保育事業B型に限る。))を実施する施設
(5)事業所内保育事業(法第6条の3第12項に規定する事業所内保育事業(利用定員が6人以上の施設)を実施する施設
(6)公立の認可外保育施設
(7)へき地保育所
(8)幼稚園併設型認可外保育施設
(9)認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書が交付された認可外保育施設
過去に上記の施設での実務経験があればよいので、現時点で就業しているかどうかは関係がありません。また、異なる複数の施設で働いていた経験は合算することが可能です。
注意が必要な点としては、実務経験の証明は過去に働いていた施設の担当者にして貰う必要があります。
具体的には、就業していた証明書類を書いて貰う必要があります。園が廃園しているなどで証明が困難な場合は実務経験に含めることができません。
幼稚園などをあまり良い辞め方をしていない場合は、依頼するのが億劫になるかとも思いますが、ただ簡単な書類を書いてもらうだけなので遠慮は必要ないです。
私の場合は、書類を手紙で送付して記載を依頼しました。
保育士資格取得特例制度での資格取得方法
保育士資格取得特例制度での資格取得方法は大きく以下の流れになります。
- 養成施設で特例教科目(4科目)8単位を履修修了する
- (通常の)保育士試験への受験申請を行なう
- 合格証が届く
- 保育士登録を行なう
養成施設は大学や専門学校にあたり、それぞれ幼稚園教諭免許状保持者の保育士資格取得特例制度の授業を開講しています。
養成施設で特例教科目(4科目)8単位を履修すると証明書が貰えるため、それをもって通常の保育士試験に申し込みます。
通常の保育士試験の申込期間に申し込むことも可能ですが、幼稚園教諭免許状保持者の保育士資格取得特例制度を利用する方専用の申込み期間も用意されています。
提出した書類に不備がなければ全科目が免除されるので、試験を受けに行く必要はなく、自動的に合格となります。
最終的には合格証が自宅に届くので、それをもって保育士登録を行なうという流れになります。
資格取得にかかる期間は?
最終的に保育士登録を終え保育士証を得るのに 最短でも1年程度の時間がかかる ことになると思います。
私が利用した「資格の大原」の場合は、養成施設の期間は約4ヶ月間程度でした。そのうち実際に養成施設に通って授業をうけるスクーリングは二日間のみになります。それ以外は、自宅に送られてきたテキストを利用し課題(問題)を自分で解いて提出する形になります。ただ、科目履修の証明は受講期間後に発行されるので、申し込んでから4ヶ月間はかかることになります。
幼稚園教諭免許状所有者の保育士試験の受験申請は4月と10月になるので、その時点までに養成施設での科目履修の証明を得ておく必要があります。保育士試験は年に2回のみなので、少しずれてしまうと次の試験を受けるのが半年後になってしまいます。
そして、幼稚園教諭免許状所有者で科目が免除される場合の合格通知書は約2ヶ月後くらいになるので、6月か12月に合格通知書が届くことになります。
さらに、保育士登録は申請から保育士証が届く届くまで約1~2ヶ月程度かかります。
わかりづらいので、まとめると以下のようになります。
- 養成施設の受講開始後の約4ヶ月後に科目専修証明書が届く (資格の大原の場合)
- 次の保育士試験(4月か10月)に申し込む
- 約二ヶ月後に(6月か12月)に合格通知書が届く
- 合格通知書を持って保育士登録を行なうと約1〜2ヶ月後に保育士証が届く
保育士登録の方法については以下の記事も参考にして下さい。
資格取得にかかる費用は?
私も利用させてもらった「資格の大原」での取得の例だと、養成講座の価格は税込みで6万円になっています。
この費用は特定一般教育訓練給付制度が適用できるので、条件を満たせばハローワークより40%に相当する額が支給されるそうです。特定一般教育訓練給付金については別途ハローワークに確認してください。
これに加えて、二日間のスクーリングの交通費と保育士試験の受験料(2,650円)、保育士登録の手数料(4,200円)がかかります。
全部で約7万円程度がかかることになりますが、特例を利用せずに資格を取得することを考えるとかなり安い金額にはなると思います。
費用はかかりますが、勤務している認定こども園などから資格手当などが追加で支給されることもあるので、取得がおすすめです。
おすすめの養成施設は?
おすすめの養成施設は私が利用した「資格の大原」になります。
価格も安いことに加えて、実際に養成施設に通って授業をうけるスクーリングは二日間のみになるので働きながらの取得も可能でした。
もちろんスクーリングは土日の授業の選択も可能でした。スクーリングの会場も大原では以下にあるように多くの施設があるので近隣から選ぶことが可能です。
- 北海道 札幌会場
- 関東・甲信越 水道橋会場・池袋会場・新宿会場・町田会場・立川会場・横浜会場・千葉会場・津田沼会場・水戸会場・大宮会場・宇都宮会場・高崎会場・甲府会場
- 北陸 金沢会場・福井会場
- 関西 大阪会場(新大阪)・難波会場・神戸会場・京都会場・和歌山会場・姫路会場
- 九州 福岡会場・小倉会場・熊本会場
【参考】保育士資格保有者の特例もある
保育士としての実務経験がある場合(3年、かつ、勤務時間の合計が4,320時間以上の場合)に大学などで8単位を取得することで、幼稚園教諭の免許の取得が可能です。
こちらは文部科学省の管轄で、幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例として制度が実施されています。
保育士資格しか持っていない方でも、幼稚園教諭免許の資格が可能になっています。
詳細はhttps://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/1339596.htmを参照してください。
【まとめ】働きながら取得可能なのが保育士資格取得特例制度
保育園や認定こども園で働くつもりがなくても、働いている幼稚園が認定こども園に移行するかもしれません。
令和6年度末以降に認定こども園で働く場合は、保育士資格と幼稚園教諭の免許の両方を保有している必要があります。認定こども園は続々とふえていて、今後は両方の資格を持っていることがより求められます。
実務経験を積むことが求められるので、現時点で幼稚園に就業している経験がない場合は、認定こども園で働くということでも可能です。
保育士資格取得特例制度自体は令和6年度末までの期間限定の制度になるので、7万円は少々高いと思うかもしれませんが今後のことを考えると取得がおすすめです。