保育園で働く保育士の方。
今回は、保育園で働く保育士が昇給なしって普通なのか、違法ではないのか、という点や昇給なしの保育園に対する対処法はあるのかということについて解説します。
複数回の退職、転職経験があります
その経験が参考になればと思います
保育士の昇給がなしという保育園は問題ない?
まず、保育士の昇給がなしという保育園は問題ないのでしょうか。なにか違法行為なのではないのかと思っている方もいらっしゃると思います。
結論から言うと、企業が従業員に対して昇給させなければいけないという義務はありません。
各保育園を運営する法人は、就業規則を定めていますが、必ずそのなかに昇給に関する事項が記載されています。そのなかに昇給に関する条件が記載されていると思いますが、その条件を満たしていなければ昇給をしなくても問題ありません。
よくあるのが、
昇給は毎年1回 ただし、会社の業績によっては昇給を行わない
というような記載です。この場合は、会社の業績によっては昇給を行わないとすることができるということになります。
(昇給)
第49条 昇給は、勤務成績その他が良好な労働者について、毎年 月 日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は、行わないことがある。
2 顕著な業績が認められた労働者については、前項の規定にかかわらず昇給を行うことがある。
3 昇給額は、労働者の勤務成績等を考慮して各人ごとに決定する
※引用「厚生労働省 モデル就業規則」https://www.mhlw.go.jp/content/001018385.pdf
昇給がないという保育士の方は、まずは、勤めている会社・法人の就業規則を確認してみましょう。
もちろん、就労規則にある昇給の条件を満たしているのにも関わらず、昇給なしということになっているであれば、それは不当な扱いである可能性があります。その場合は、労働基準監督署などに相談が必要になるでしょう。
保育園で働く保育士が昇給なしって普通?
保育園が、就業規則に従って昇給なしとすることは問題ないということを書きましたが、保育士の方はそれが保育業界では普通のことなのかということが気になると思います。
結論としては、保育園で働く保育士が定期的な昇給なしというのは普通ではありません。基本的に、保育園を運営する多くの法人では金額は少なかったとしても、定期的な昇給などが設定されていることが多いです。
そのため、保育士が昇給なしの保育園で働くということはデメリットも多いので、転職を視野に入れる必要があるかもしれません。
保育士が昇給なしの保育園で働くデメリット
ここからは、保育士が昇給なしの保育園で働くデメリットについて紹介します。自分は別に今の給料に満足しているから、昇給がなくても問題ないという方であっても、昇給なしの保育園で働くということには大きなデメリットがあります。
昇給は基本給だけではなく賞与にも影響がある
保育士が昇給なしの保育園で働くデメリットの1つ目は、当然ですが、お金の問題になります。
基本給が上がらないのはもちろん、賞与にも影響があるのが、昇給金額です。見落としがちな点は、昇給の金額は、基本給だけではなく賞与の支給金額にも影響があるということです。
また、微々たる額なら昇給してもしなくても変わらないと考える人もいると思いますが、毎年たった月額1000円の昇給でも、10年勤めれば月額1万円の差がでることになります。昇給というのは積み上がっていくものだからです。それまでの総支給金額にも大きな差が生まれることになります。
モチベーションが不足する(自分も回りも)
保育士が昇給なしの保育園で働くデメリットの2つ目は、モチベーションが不足するというものです。
重要なポイントは、保育士が昇給なしということが続くと、自分だけではなく他の同僚も仕事をする上でのモチベーションが不足するということです。
勤務している保育士の間で、
- 頑張っても頑張らなくても変わらない
- サボったもん勝ち
という感情が生まれることになります。
そうなると起こることは足の引っ張り合い、仕事の押し付け合いです。小さな金額であっても昇給がないと、職場の人間関係はどんどん悪い方向に言ってしまう危険性があります。
昇給なしは職場内に不公平感が生まれる
育士が昇給なしの保育園で働くデメリットの2つ目は、職場内に不公平感が生まれるというものです。
保育園で働く保育士に昇給がないということは、極端な場合、新卒で就職した人と、何十年も勤続している人の給料に差がないということなりかねないです。
当然長く働いている人からすると、不公平感を感じると思います。これに関しても、前項と同じように、頑張っても頑張らなくても変わらないから適当で良いかというような感情が生まれます。
この恨みや妬みは、保育園に対してだけではなく、同僚に対して向けられてしまうこともあります。「自分と同じ給料貰っているのに!」という感情になってしまうためです。こうなると、余計に人間関係悪くなっていきます。
昇給なしの保育園に勤めた場合に対処法はある?
ここまで保育園で働く保育士の昇給なしということについて解説しましたが、昇給なしの保育園に勤めた場合に対処法はあるのでしょうか。
昇給なし理由を確認しよう
まず、保育士の方が昇給なしということになった場合は、昇給なしの理由について保育園の園長や人事の担当者の人物に確認してみましょう。
先程も記載しましたが、昇給の条件は必ず就業規則に記載されているので、昇給なしの場合にも明確な理由があるはずです。そして、その理由と自分自身でも就業規則を読んで、規定と合致しているかを確認しましょう。
この段階で就業規則の規定に反するような理由であった場合は、不当な扱いを受けている可能性があるので、労働基準監督署などに相談が必要になります。
昇給なしの理由によっては転職も検討を
例えば、昇給なしの理由が「会社の業績が悪い」ということが理由だとします。
保育園の場合は、業績が悪い状況が続いているということはかなり致命的な状況になります。少子化で子どもの人数は日本全体として減っているので、現状で会社の業績が悪いということは、ここから特に対処せずに挽回をするというのはかなり難しいです。よって今後も、その会社の状況はますます悪くなる場合があります。賞与もカット、給与の支払いも遅延するということが怒るかもしれません。そうなったらもう取り返しがつかない場合もあります。
また、まれに保育園自体の運営は好調でも、会社の別の事業の業績が悪いという場合もあります。この場合でも同じで、ただでさえ高待遇とは言えない保育園で働く保育士の給料が会社の別の事業のせいで悪くなっているを、我慢して働く必要はないでしょう。
また、先程も書いたように、昇給がなしという状況は自分も同僚もモチベーションが不足したり、不公平感が生まれたりして、人間関係が悪くなっていくひとつの理由にもなるので、早いうちに転職を検討したほうが良いと言えるかもしれません。
就職前は昇給の条件に関しても確認を!
最後にこれから就職や転職を考えている保育士の方は、入職時の給料だけではなく、昇給の条件などもきちんと確認するということが大切です。
先程も書きましたが、昇給額とその条件によっては、例えば、毎年たった月額1000円の昇給でも、10年勤めれば月額1万円の差がでることになります。
働き始めは周辺の保育園と比べても良い給料だったとしても、数年すると追い抜かれてしまう可能性もあります。その時に転職するということももちろん可能ですが、保育士に限らずですが、同じ会社に長く勤めたほうがメリットは大きいです。長く働くと、積み上がるのは基本給だけではなく、有給休暇の日数や退職金なども同様です。
もちろん、昇給条件に関して事前に聞いたとしても、会社の業績によっては昇給を行わないとすることができるので、前年度や前前年度等の昇給額の実績値なども確認するとより安全です。
まとめ:保育園で働く保育士が昇給なしって普通?違法?対処法はある?
今回は、保育園で働く保育士が昇給なしって普通なのか、違法ではないのか、という点や昇給なしの保育園に対する対処法はあるのかということについて解説しました。
就業規則の記載冴えれている条件を満たしていれば、昇給なしということは全く問題があることではありません。ただし、保育園で働く保育士が定期的な昇給なしというのは普通ではありません。金額は少なくても定期的な昇給がある保育園が多いです。
昇給がない保育園で働くことには、
- 昇給は基本給だけではなく賞与にも影響がある
- モチベーションが不足する(自分も回りも)
- 昇給なしは職場内に不公平感が生まれる
のデメリットがあり、最終的に人間関係の悪化を招いていしまうこともあります。
もし、保育士の方で昇給がないという方は、就業規則を確認し、園長に昇給なし理由を確認してみましょう。理由によっては、転職を検討したほうがよい可能性もあります。