これから保育士を目指す方や、すでに保育士として働いている方。保育園で働く保育士の平均の残業時間ってどれくらいなのか気になりませんか?
自分が働いている保育園が適正な仕事量なのかという点もありますし、これから保育士になる人にとっては、どれくらいの残業があるのかも気になると思います。
今回は、保育園で働く保育士の平均の残業時間ってどれくらいなのかということと、ホワイト保育園の求人を探す際の残業に関する注意点などを紹介しています。
保育士の統計上の平均残業時間って?
厚生労働省が賃金構造基本統計調査というものを毎年出しています。
これによると2020年のデータでは、保育士の超過実労働時間数(残業時間数)は全国平均で毎月3時間ということになっています。一日あたりに換算すると約10分程度の残業ということになります。
全業種の平均残業時間は約15時間程度なので、保育士の残業時間は他の職種と比べて少ないということになります。
この数値が保育士の平均の残業時間ということになります。賃金構造基本統計調査は、国の「基幹統計」に指定されていいて、虚偽の報告には罰則もあるので、正しいデータと言えると思います。
しかし、この数値は流石に現実とかけ離れているように感じます。なぜこのような数値が出ているのかは後述します。
※参考「厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html
保育士には統計ではわからない隠れ残業が多い
保育士の平均残業時間を紹介しましたが「少なすぎる」と思った方が多いと思います。
あくまでも平均なので実際には、残業時間が0時間の人もいれば、数十時間の保育士もいるとは思います。
それにしても少なく感じるのは、保育士には統計ではわからない隠れ残業が多いためです。残業代が支払われないような隠れ残業の数値はこのような統計には現れていないことになります。
事実としてわかるのは、残業代が支払われているのは、平均すると先程の2020年のデータでは毎月3時間分のみということになります。
朝のシフト時間前の出勤
保育園によっては、シフト時間よりも前に出勤を求められている方も多いと思います。実質的に保育園からの指示になっていれば、これはれっきとしたサービス残業になると思います。
残業代が出ないサービス残業
実際には、残業を行っていていも、勤怠上は残業時間としてつけられずに残業代が出ていないのを「サービス残業」といいます。
このようなサービス残業は、前述した統計上の平均残業時間には含まれていません。
勤怠上の出退勤時間と実際の勤務時間が異なっているということになるので、完全に違法な状態になります。
不親切なブラック保育園は自主的な勉強のために保育士が勝手に残っていると主張している場合が多いです。
残業代が出ない持ち帰り残業
保育士によくある持ち帰りの仕事も「違法残業」に該当する可能性があります。
自主的に仕事を持ち帰っている場合は、労働時間にカウントされずに残業とみなされないですが、会社の業務命令や、業務上仕方なく行なっている場合は労働時間に含まれ、残業代を支払う必要が出てきます。
もしかしたらあるのかもしれませんが、持ち帰りの仕事に対して残業代を支払っているという保育園は聞いたことが有りません。
こちらも、不親切なブラック保育園は「自主的に持ち帰っている」という体(てい)を取ることで残業代を支払わずに、保育士に仕事を持ち帰らせていることが多いです。(いくらそのような体をとっても業務上仕方なく行なっている場合は労働時間に含まれるべきです。)
つまり、持ち帰りの仕事の多くが前述したサービス残業になってしまっている可能性が高いです。
よく「残業禁止」という保育園がありますが、残業が禁止されているがゆえに基本の労働時間内に仕事が終わらずに持ち帰らざるを得ないという状況も発生しています。
残業代を支払っていないということは前述した統計上の平均残業時間には含まれていません。
保育園によっては、シフトの勤務時間に終わらない文書などの仕事は家でやらせるというところもあるようです。
手当が出ない休日出勤
手当が出ない休日出勤なども前述した統計上の平均残業時間には含まれていません。
例えば週休二日制の保育園であれば、2日ある休みのうちの一日に行事や土曜保育などで出勤した場合で、代休や振替の休日がない場合は、1.25倍の割増賃金を支払う必要があります。(※条件は厳密には異なる場合があります。)
休日出勤したのに、残業代に相当する手当や振替の代休がない場合は、所謂サービス残業ということになります。
ブラック保育園によっては、行事で休日出勤した場合の手当がなかったり、雀の涙ほどしか貰えていない場合は、もしかしたら違法残業の状態になっている可能性もあります。
実態としては保育士の残業時間はどれくらいある?
前述のように統計は余り参考になりません。実態としては保育士の残業時間はどれくらいあるのでしょうか。
あくまでも、私の今までの経験や周囲の話を参考にすると、平均すると一日30分から1時間程度のサービス残業や持ち帰り残業が発生するというような保育士が多いと思います。
私が聞いた中で一番多い例だと、毎日一時間の残業に加えて家でも一時間の持ち帰りの仕事があるという状況です。
私自身は現在は、残業時間は月に5時間程度、持ち帰りはほぼ無し(行事前などは発生する)という状況になっています。
残業時間が少ない、残業代が支払われる保育園の求人の探し方
ここからは残業時間が少ない、残業代が支払われる保育園の求人の探し方について紹介します。
求人の「残業なし」 = 残業がないとは限らない
保育士は転職する際によりホワイトな保育園を探そうとすると「残業がない」保育園の求人を探してしまいがちですが、これは少し危険な行為かもしれません。
求人の「残業がない」という表記が本当に残業がないこととは限らないためです。
- 本当に残業がない
- 残業がないと嘘をついている
- サービス残業がある = 「残業代が出る残業はない」
残業がないという記載にはおおまかに上記の3パターンが存在します。
本当に残業がない
本当に残業がなくて残業がないと求人に表記している場合です。
でも本当に残業がないなんてことある?と私は思ってしまいます。例えば、最後の保護者のお迎えが遅れたらどうなるのでしょうか、先に帰ってしまうわけないですよね。
もちろん、これくらいの残業はあるけど実質ないという意味で「残業なし」と表記している可能性もありますが、それも嘘をついているということ間違いないです。
残業がないと嘘をついている
保育園の求人においては、残業がないほうが良いイメージもあるし、残業なしと嘘の表記をしている場合です。
そもそも法律を守っていないブラック保育園であれば、求人でこれくらいのウソを付くということは十分想定できます。
サービス残業がある = 「残業代が出る残業はない」
一番悪質なパターンですが、保育士に対してサービス残業や持ち帰り残業を強いているので「勤怠上は残業なしの扱いになっている」という状態です。
求人の「残業なし」 = 残業がないとは限らないので、「残業なし」や「残業ゼロ」という求人は少し疑ってかかってみるべきです。
「残業なし」や「残業ゼロ」を謳っている保育園があれば、面接の際などに「残業ゼロと行っていますが、最後の保護者のお迎えが遅れたらどうなるのでしょうか」などと聞いてみるのも良いです。
残業禁止の保育園は要注意
同様の理由で残業禁止という保育園も要注意です。
残業禁止ということは一見聞こえは良さそうですが、残業に対するハードルが上がっていて(事前に申請しないと残業できないなど)、実際は残業していてもしていない扱いになっていたり、持ち帰りの仕事を助長している場合があるからです。
先程も書いた通り、実際の保育園の業務の中で残業ゼロというのは簡単なことではないと思います。
もちろん、うまく運営ができている保育園であれば、残業禁止で業務時間内ですべての仕事を終らせることが出来ている保育園もあるかもしれません。
しかし、安易に「残業禁止」になっている保育園は、「残業禁止」という言葉が先行してしまい、実質的に持ち帰っての残業の発生に原因になってしまっている場合もあります。
事前に残業の実態を知るのには保育士の口コミが一番
保育園の残業の実態はその保育園で働いている保育士一人に聞けば一発でわかります。
- 「残業代は少し出るけど、多くは持ち帰っている」
- 「残業が禁止されていて、持ち帰っている」
- 「すべて残業代が出る」
などは、現場の保育士に聞けば簡単にわかります。なので一番良い方法は知り合いの保育士がいれば実態を聞いてみるということです。
でも、実際問題、これから面接を受けるすべての保育園に知り合いの保育士がいるわけでは無いと思います。
保育園の見学中に現場の保育士に聞けたとしても本当のことを言わない可能性もあります。現場の保育士はこれから採用面接を受ける保育士への発言に対して、あとで園長から「なんでそんなことを言った」と避難されるリスクも背負っています。
なので、現場の保育士に聞いたことを鵜呑みにするというのもリスクがあります。
そういう場合は、保育士の転職サイトの利用がおすすめです。転職サイトは、保育園との繋がりが強く、過去にも保育士を紹介していたりします。そのような場合は保育士からフィードバックを貰っている可能性が高いので、保育園の残業事情に詳しいです。
- マイナビ保育士
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保育士の残業周りの問題が少ないということは他の問題においてもうまく対処している保育園である可能性も高いです。
保育士の人数が多く充足しているので、ひとりひとりの負担が少なく、結果的に残業の問題も発生しにくい、などのような形です。
まとめ:保育園の保育士の平均の残業時間は?ホワイト求人を探す際のコツも紹介!
今回は、保育園の保育士の平均の残業時間について紹介しました。残業やサービス残業、持ち帰りの仕事が少ないホワイトな求人を探すコツも合わせて紹介しました。
統計上2020年のデータでは、保育士の超過実労働時間数(残業時間数)は全国平均で毎月3時間となっています。ですが、保育士の残業にはサービス残業、持ち帰りの仕事などの統計には表れることのない隠れ残業もあるはずです。