転職を考えている保育士の皆様。転職時の経験加算という言葉を聞いたことはありますか?
保育士が転職する際の給与額は、新卒の方などと比較した場合は、加算された額になることが一般的です。それが給与の経験加算になります。転職時に保育士の給与額を決める一番の要素は、経験年数だと言っても過言ではありません。
経験を考慮・加味してくれるとい言っても実際にどのような経験であれば考慮されるのかということはよくわからないですよね。今回は、保育士転職時の経験加算とはいったいなんなのか、どのような経験が考慮されるのか、パートや派遣、幼稚園教諭の経験は年数にカウントされるのかということなどについて解説します。
複数回の転職経験があり、転職時の給与に関して経験を考慮してもらったことがあります
複数の保育士転職サイトを利用して転職活動をした経験があります
その経験が参考になればと思います
保育士が転職する際の基準は経験年数が重要
保育士が転職する際には、前の保育園での担任の経験や、主任や副主任などの役職の経験などが考慮されます。
その中でも特に重要なのが保育士としての経験年数になります。何年間保育士として保育園で勤務してきたのかという情報は、一番わかり易くその人の能力を判断できる要素になるためです。
保育士としてのスキルは、客観的に短い時間で計り知ることは難しいです。特に面接などの短い時間では、その人の保育士としてのスキルをすぐに判断するのはかなり難しいのが実情です。
結果的に、転職の際は経験年数を基準としてスタート時の給与額を算出することが多いです。なので、保育士が転職する際の基準は経験年数が非常に重要になっています。
経験を考慮・加味する保育士求人とは?
経験を考慮・加味する保育士求人とは、保育士としての経験内容や年数によってスタート時の月給を決めている保育園の保育士求人になります。
経験手当(過去ご勤務経験に応じて付与)
経験考慮
経験加算有り
経験を加味します
求人票でこのような表現が書かれている場合が多いです。また、求人には書かれておらず、面接の際に知らされることや、雇用の際に条件として提示されれることもあります。
保育園では金額の多い少ないは別として、経験を考慮して保育士個人の月給額を算定していることが多いです。各保育園には、保育士の給与テーブルなどが用意されていて、その規定通りの給与を設定します。
そうすることで、保育士が勤続をすることによるモチベーションなどにも繋がりますし、経験がある保育士を雇用しやすくなるというメリットもあります。また、そうすることで、経験年数が多いのに給与が少ないというような、不合理をなくすことができます。
経験を考慮・加味しない保育士求人とは?
保育園によっては、転職時に経験を考慮・加味しない求人も存在します。転職した際の給与額は一律〇〇円と決められてしまっている求人になります。
ある程度経験がある保育士の方の場合は、このような給与体系の保育園に転職するメリットはあまりないです。このような保育園に転職すると未経験や新卒の保育士と同じ給与額になってしまいます。
これでは、せっかく積んだ経験がもったいないですよね。他によほどのメリットが無い限りはこのような保育園に経験豊富な保育士が転職するのは得策とは言えないでしょう。
逆に、未経験や新卒の保育士にとっては、経験を考慮・加味してくれる保育園と同様にスタート額はその保育園の最低ラインとなるので、デメリットは特にないです。他の条件等を加味して選択肢のひとつに入れると良いと思います。
保育士としての経験年数というのはいったいどのように計算されるのか?
先に結論から書きますが「保育士としての経験年数」にどの内容を含めるかというのは、その保育施設次第になります。履歴書や面接の際の情報などをもとに、あなたの基本給の金額は〇〇万円という提示がなされることになります。
私立保育園に勤める保育士の給与は、雇用する保育園がある程度自由に定めることができますし、経験○年以上の保育士には月給○万円以上を出しなさいというルールがあるわけではありません。
「経験は○年あるけど乳児の経験が少ないから」「パートの期間が長いから」などで減額されることもありますし、逆に「主任保育士としての経験が良い」というように増額されることもあります。
【補足】保育士等キャリアアップ研修などの国や自治体における経験年数の基準について
都道府県などの自治体では、補助金等の支給条件において、保育士としての経験年数を条件として定めている場合があります。その場合の経験年数の条件は各自治体などが定めていることになります。そのため、自治体が定める保育士の経験年数というものと保育園が給与体系上で定めている保育士の経験年数というものには乖離がある場合もあります。
例として国が実施している保育士等キャリアアップ研修という制度が挙げられます。この制度についての詳細は以下の記事でも紹介してます。
この研修において、受講要件というのものが設けられています。
- 職務分野別リーダー ・・・
- 専門リーダー・副主任 ・・・
このような研修などにおける経験年数の要件は、
就業中の保育園で、「〇〇の経験は経験として認められない」と言われたとしても、自治体などが求める要件は満たしている可能性があるので注意が必要です。
どのような経験が経験年数として考慮・加味される?
どのような経験が経験年数として考慮・加味されるのかは、その保育施設次第ということを書きましたが、ある程度、どのような経験であれば経験年数として考慮・加味される傾向があるのかという点を解説します。
「認可保育園」「正職員」の経験年数は確実に加味される
「認可保育園」での「正職員」の保育士経験年数は確実に加味されるでしょう。
具体的には、
- 認可保育園
- 認定こども園
- 小規模保育事業
- 事業所内保育事業
などでの正職員の保育士としての経験年数は確実に考慮されると思います。
幼稚園や認定こども園での幼稚園教諭の経験年数は?
幼稚園での幼稚園教諭としての経験年数は、採用の可否に影響を与えることはあっても給与額に加味されない場合もあります。
ただし、認定こども園の場合は経験年数として考慮してくれる場合が多いです。なので、幼稚園教諭の経験も活かしたいという場合は、認定こども園への転職がおすすめです。
パート保育士としての勤務経験は考慮・加味される?
こちらもあくまでも、その保育施設次第にはなりますが、フルタイムのパート保育士としての勤務であれば、経験年数として加味してくれる場合も多いと思います。
保育補助としての勤務経験は考慮・加味される?
「保育補助」という仕事に明確な定義があるわけではないので、なにをもって「保育補助」の仕事なのかという事自体が意見がわかれるので難しいです。保育士資格を持たない保育補助としての勤務経験であれば、経験年数として加味されないことが多いでしょう。
逆に保育士資格を保有した状態での保育補助の勤務であれば、経験として加味してくれることもあると思います。むしろ、その場合は面接などで、保育補助として働いていましたとは言わずに、積極的に経験としてアピールしたほうが良いです。
派遣保育士として勤務経験は考慮・加味される?
派遣保育士として働いていた期間も、就業先は認可保育園であれば、経験として考慮される場合が多いと思います。雇用元が違うだけで、就業先が保育園であるためです。業務内容もほとんど同じであることが多いと思います。もちろん、これについても、あくまでもその保育施設次第になります。
認可外保育施設での勤務経験は考慮・加味される?
認可外保育施設での勤務経験は経験として考慮されないことが多いかもしれません。この部分は、保育園によっても判断がかなり分かれる部分になると思います。逆に言うと、アピール次第で転職時のスタート給料に大きく影響がある部分でもあるので、自信を持って積極的にアピールすることが大切です。
- 認証保育所
- 企業主導型保育事業
これらは、認可外保育施設に分類されます。
その他の保育関連施設での勤務経験は考慮・加味される?
前述したもの以外でも、就業に保育士資格が必要な施設というのは複数存在します。
- 児童発達支援事業
- 放課後等デイサービス
- 児童養護施設
例えば、上記のような施設が挙げられると思います。このような施設での経験についても、その保育施設次第で、経験として考慮・加味されるかが決定されます。
産休・育休の期間は経験年数として考慮・加味される?
産休・育休の期間は経験年数として考慮・加味されるのかということについてもよくある疑問点になると思います。
これについても会社によって判断が分かれる場合が多いですが、一人の子に対して1年程度の公的な休業期間であれば、勤続年数として含める場合が多いです。これは、労働基準法によると、育休や介護休暇などで休職していた期間も勤続年数に含まれるとされているためです。
休職中の期間は経験年数として考慮・加味される?
こちらも会社によりますが、無給の休職中の期間は経験年数として考慮・加味されない場合が多いです。ただし、会社の制度等で病気休暇というような制度で有給で短期間の休暇を取っていたというような場合は、有給休暇と同じような扱いで、経験年数として考慮される場合もあります。
転職時の給料については交渉が可能
先程から書いていますが、結局は 経験加算の有無や内容はその保育園次第 ということになります。自分自身で経験年数を見積もったとしても、保育園がダメといえばダメですし、良いといえば良いということになります。
もちろん、その背景には保育園の給与規則や、自治体等が定める各処遇改善加算などのルールがあるということになります。
雇用する保育園も、特にお金に対してはシビアだと思うので、主張がなければ、できるだけ安い月給で保育士を雇いたいというのが本音だと思います。そのため、転職時においては、自分自身の経験を過小評価せずにアピールするということが大切です。
「他の保育園からこの様な条件が提示されている」「〇〇の経験を加味してスタート時の給与をあげてほしい」というような交渉はしっかりと行うべきです。
【注意】経験年数と採用されやすさは別問題
ここまで、保育士転職時の経験加算について紹介しましたが、注意が必要なのは、経験年数と採用されやすさは別問題ということです。
たしかに、保育士としての経験年数を多く見せることができれば、転職時の給与額もアップされます。ですが、それによって採用される可能性が必ずしも上がるということではありません。
先ほども書きましたが、例えば、幼稚園での勤務経験は経験年数として考慮されないことがあるということを書きましたが、当然ですが、今までずっと幼稚園で働いていた人が保育園で働くという形になった場合は、スキルとしては即戦力として認められる可能性が高いので、採用はかなりされやすいということになります。
逆に、経験年数の中で、非常勤の期間や休業中の期間が多いと、スキルや経験面を不安視されますし、給与も高くなるので、採用されにくくなってしまうということもあります。
保育士転職サイト・エージェントの活用がおすすめ
保育士が転職をする際には、保育士転職サイト・エージェントの活用がおすすめです。
一般的に公開されている保育園の保育士求人には、「経験などを加味していない最低の金額」が書かれていることが多いです。実際に自分自信の経験だとどれくらいの月給になるのかというのは、応募して面接に行ってみないとわからないことが多いです。
ただし、保育士転職サイト・エージェントであれば、事前に自分の経験だと、給与水準がどのくらいになるのかということを知ることができます。担当のアドバイザーが保育園に確認してくれるためです。
事前に給与水準が正確にわかることで、希望条件を満たすものだけに面接に行くことができるので、転職時の負担を減らすことができます。面接に行ってから条件が合わなかったというのでは、時間が無駄になってしまいますからね。給与以外の細かい質問に関しても、担当のアドバイザーが代わりに確認を行ってくれます。
また、転職時の給料についても交渉が可能ですが、なかなか自分一人で保育園と交渉を確実に行うというのは難しいです。個人の性格による向き不向きもあると思います。そのような際に、転職サイト・エージェントを通して転職活動をすることでスムーズに交渉を行ってくれるというメリットがあります。
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【まとめ】保育士転職時の経験加算とは?パートや派遣、幼稚園教諭の経験はカウントされる?
結論としては、 経験加算の有無や内容はその保育園次第 ということになります。保育園の裁量によって、個人個人の経験内容によっても判断されます。逆に言えば、アピールや交渉次第でも変更される場合もあるということです。
経験として明確な基準が存在するわけではないので、転職時にはしっかりとアピールすることが大切です。
特に自分に自信がないという方などは、自分の経験を過小評価しがちなので注意しましよう。交渉などが苦手な方は保育士転職サイト・エージェントを活用して、保育園との間に入ってしっかり交渉を行ってもらうのがおすすめです。