これから保育士になろうと考えている方やすでに保育士として働いている方。
今回は、世の中の保育士の最高年収について紹介します。また、あわせて保育士の収入アップの方法についても紹介します。
最高年収は、自治体の給料表、厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査、私自身が見てきた様々な保育士の求人情報を参考にしています
その経験が参考になればと思います
よく見かける保育士の高待遇の求人は本当?
保育園というものが国と自治体からの補助金による運営費でまかなわれている以上、保育士の待遇というのは認可保育園であれば、どこも大きな差はなく横並びになります。それもそのはず、保育園の園児定員や保育士の人数によって「公定価格」といって国などから付与される補助金が決まっているからです。園児の人数あたりに何人の保育士が必要で、どのような広さの施設、と設備内容が必要なのかということが細かく規定されています。
それなのに、突出して給料が高い求人があると、なにかあやしいのではないかと疑ってしまいますよね。結論としては、基本的には大手の保育士転職サイトや保育園がわざわざ嘘を書くということは無いと思うので、記載されている求人自体はあるはずです。
ただし、そのような高待遇に見える保育士の求人には注意点がいくつかあるので紹介します。
よく見かける保育士の高待遇の求人の注意点
よく見かける保育士の高待遇の求人の注意点を紹介します。
嘘ではないと思うが上限の求人の例
基本的には、大手の保育士転職サイトや保育園が嘘を書くということは無いと思うので、求人自体はあるはずです。ただし、載せている求人は、最近ある求人のなかで最も高待遇なものを例として載せているだけの可能性があります。もちろん実際にある求人なので、嘘を書いているわけではありません。
一つだけでも高待遇の保育士求人があれば、そのような記載ができるので、平均して高待遇の求人を取り扱っているということとは別の話になります。あくまでも一例に過ぎないということになります。
自分が応募できる条件を満たしているとは限らない
他と突出して高待遇である保育士の求人があるといっても、単に親切で待遇を良くしているわけではなく、保育士に対して保育園に必要な能力を求めて高待遇にしています。
例えば、
- 経験○年以上
- 主任の経験
などがそれにあたります。高待遇の求人は、保育園が経験豊富で役職を任せられる人を求めているケースも多いので、自分が応募できる条件を満たしているとは限りません。
また、そもそも保育園の場所的に通勤できない範囲である可能性もあります。高待遇の求人がある!といって飛びついてしまっても自分が応募できるかどうかは、これもまた別の話になります。
月給では年収はわからない
次の注意点として挙げられるのは、月給では年収はわからないということです。例えば「月給28万円」という記載の求人があるとします。それはあくまでも月給で年収がいくらになるかについてはわかりません。
この場合、ボーナスの支給がない保育園であれば、年収は336万円になります。これは、ボーナス4ヶ月分を支給する月給21万円の保育園とまったく同じ年収になります。
月給などの一部の情報だけを見ても、その保育園が本当に高待遇なのかというのは、わからないという点に注意が必要です。保育士の求人に限ったことではないですが、月給を高く見せるためにボーナスを支給せずに、月給制にするということはたまにあることです。
高待遇の求人は都心部に集中
そもそも保育士の高待遇の求人は基本的には都内などの都市部に集中しています。これは、東京都が独自に保育士に対して処遇改善の給与上乗せを行っているためです。東京都以外にも横浜市・川崎市などの周辺の自治体でも給与上乗せを行っています。
東京都などの自治体が独自に保育士に対して処遇改善の給与上乗せを行っているのは、需要に対して圧倒的に保育士が足りていないためです。よく見かける保育士の高待遇の求人というのは、ほとんどが東京都やその周辺の自治体にある保育園の求人ということが多いです。(一部では大阪・兵庫や名古屋、札幌なども高待遇の保育士求人があります。)
つまり、都心部に就職できる保育士の方以外は、そこまで高待遇の保育士の求人を望めない可能性があります。このような点にも注意が必要です。
保育士の最高年収はどれくらい?
ひとくちに保育士といっても大きく2つの種類があります。
- 公務員保育士
- 民間保育士
当然、これらの違いによっても最高年収というのは変わってきます。
さらに、厳密には保育士と異なる場合もありますが、保育園の園長(施設長)という働き方もあります。
これらそれぞれの場合ごとの最高年収について以下から紹介していきます。最高年収は、自治体の給料表、厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査、私自身が見てきた様々な保育士の求人情報を参考に独自に計算しています。
公務員保育士の最高年収
公務員保育士は、公立保育園で働く保育士のことで、地方自治体の地方公務員になります。地方公務員の給料は、それぞれの自治体の給料表によって決定されます。また、賃金は勤務する自治体によって異なり、同じ地方公務員といっても差があるという特徴があります。
保育士の場合は、基本的には「資格免許職」という職種になり、それぞれの自治体ごとに決まった給料表があります。地方公務員は、年功序列で勤続年数が長くなれば長くなるほど、給料も上がります。また、それとは別に、役職がついた場合は給料が上がります。
そのため、公務員保育士は50代以降の園長が一番給料を貰えるということになるでしょう。先程も書いたように、地域によってばらつきはありますが、公務員保育士の最高年収は700万〜800万円ということになるでしょう。 園長の役職ではない公務員保育士の場合は、最高年収は700万円前後ということになるでしょう。
※参考「横浜市の給与・定員管理等について」https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/saiyo-jinji/romu/romu/kyuuyo.files/0045_20220610.pdf
民間保育士の最高年収
民間の私立保育園に勤務する保育士の給料は、基本的には同年代の公務員保育士と比べても見劣りする傾向があります。
民間の保育園で勤務する保育士が、たくさん稼ぐには、主任保育士等の役職に付く必要があり、それなりの経験年数もスキルも必要になります。また、私立保育園の場合は、地域によって給与の差があり、最高年収を目指す場合は、東京都内のそれなりに待遇の良い保育園で勤務する必要があります。
民間保育士の最高年収は、東京都内のかなり待遇の良い保育園で、勤続年数が長く主任の役職がついている方と想定して、 およそ600万円程度 ということになるでしょう。ただし、ほとんどの保育士は私立保育園でどんなに頑張ったとしても、そこまでの給料になるということはなく、良くて年収500万円くらいが上限になるでしょう。
令和5年度の国の調査では保育士の平均年収は約396.9万円となっています。※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
職種 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 |
---|---|---|---|
保育士 | 271,400円 | 712,200円 | 3,969,000円 |
保育園の園長職(施設長)の最高年収
保育園の施設長は、厳密には保育士職というわけではありませんが、保育士から保育園の園長にステップアップする人も多いので、保育園の園長職(施設長)の最高年収についても触れておきます。
民間の私立保育園に勤務する雇われの園長であれば、主任保育士と比べても高い給料が期待できます。
先程の主任保育士の例と同様で、保育園の園長職(施設長)の最高年収は、東京都内のかなり待遇の良い保育園で想定して、 およそ700万円程度 ということになるでしょう。ただし、こちらも一般的には、年収500万円前後という園長職(施設長)の方が多いです。
ただし、雇われの園長ではなくが経営者としての園長であるのであれば、さらに高い年収が期待できる場合もあります。
※参考「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
保育士が最高年収のような金額を稼ぐにはどうした良い?
ここまで挙げた中では、やはり、保育士が最高年収を稼ぐには、公務員保育士として同じ自治体に長く勤務し、園長職を目指すというのが再現性が高い方法になります。
それ以外の場合は、保育士として、というより経営者として保育園の経営側に回るというのが、最高年収のような金額を稼ぐためには必要になります。
現時点の情勢を踏まえた場合、 何も考えずに民間の保育園で保育士として働いた場合は、良くて年収500万円くらいが上限 の最高年収ということになるでしょう。
保育士の収入アップの方法まとめ
最後に、保育士が最高年収で紹介したような金額を稼ぐために収入アップをする方法について紹介します。
ここまでの話をまとめると、保育士が収入アップをするためには、以下の手段を検討すると良いでしょう。
- 公務員保育士になる
- 待遇の良い保育園に転職する
- 東京都等の需要が高い地域で働く
- 役職につく
- 園長を目指す
- 保育園の経営者を目指す
また、保育士としての給料をあげるということはもちろんですが、保育士以外の副収入を得ることでも、収入アップの実現は可能です。
- 副業する
現実的にどれくらいの高待遇の保育士求人がありうる?
皆さんが気になるのは、現実的にどれくらいの高待遇の保育士求人があるのかということですよね。私自身が調べた限りの高待遇の保育士求人の上限値について紹介します。
正職員保育士の場合
- 新卒・未経験:月給約23万円、年収換算約368万円
- 経験者:経験1年につき新卒・未経験の金額に加えて月給+3000円程度
- 主任保育士:月給約30万円、年収換算約450万円
これ以外では、保育士等キャリアアップ研修を受講して「副主任」「専門リーダー」等の役職につくことができる条件を満たしている場合は、保育園によってはより高い月給を提示してくれる場合があります。
パート保育士の場合
- 時給約1800円
パートの場合は、あまりに時給が高い場合は、契約期間が決まっていたり、勤務時間帯が早朝や夕方等に固定されていることがあります。
これぐらいが私自身が色々な保育士の求人をみた結果の上限の値になります。あくまでも個人の調査の範囲内になります。また、知りうる限りの上限の値なので、これより待遇が低い求人がほとんどです。
東京などの都心部以外では、これに対して約2〜4万円程度を引いた数字が実質的な上限値に近い数値になると思います。これは東京都保育士等キャリアアップ補助金による月額の賃金改善額はそれくらい数値になっているためです。詳細は以下の記事を参考にしてみてください。
高待遇の保育士求人の条件と高待遇の求人を探すには?
高待遇の保育士求人の条件と求人を探すためには以下のことが必要になります。
- 東京都などの都心部の求人を探す
- たくさんの保育士転職サイトに登録し、たくさんの求人の紹介を受ける
やはり、先程も書いたとおり保育士の待遇は東京都などの都心部で充実しているので、高待遇の保育士求人を探すには、都心部での就職をおすすめしています。
保育士転職サイトには「非公開求人」といってネット上などには出てこない求人もあります。このような非公開求人には高待遇の保育士求人も多いです。転職サイトごとに非公開の求人があるので複数サイトに登録がおすすめです。世の中に高待遇の求人があったとしても、その求人と出会えなければないのと一緒なので、たくさんの求人と出会うことが必要です。
保育士の最高年収はどれくらい?最大いくら稼げる?
地方公務員の保育士であれば、うまくいけば年収800万円を目指せる可能性があるというのが、保育士の最高年収ということになります。
民間であれば、主任保育士で600万円程度、園長で700万円程度というのが、最高年収になります。ですが、いずれも、よほど待遇がよい保育園で勤続年数を積んだ場合の話で、何も考えずに民間の保育園で保育士として働いた場合は、良くて年収500万円くらいが上限の最高年収ということになるでしょう。
これから転職等を考えているという方は、たくさんの求人を紹介してもらうことで、自分の経験や実力だとどれくらいの待遇の保育士求人に応募できるのかというのがわかってきます。そうすると待遇が良すぎる求人は、なにか条件があったり裏があるのではないかという疑いを持つ目も養うことができます。
そもそも保育士転職サイトの登録や利用には料金はかからないので、とことん利用しようというくらいの気持ちが大切です。
- マイナビ保育士|全国の正社員・パート保育士の求人に対応しています。登録するとネット上での検索などでは見つからない非公開の人気のある高待遇の求人情報も得られます。 まずは求人情報を知りたいだけという方でもOKです!
- ジョブメドレー保育士
| 全国対応でネット上から求人応募が可能です。すぐに転職するつもりはなくても、とりあえず登録して求人を見ることができます。自分のペースで転職をしたい人におすすめです(^^)
- ヒトシア保育| ※全国の正社員・派遣・パート保育士の求人に対応しています。登録しないと得ることができない非公開の求人もたくさんあります。 求人数も多いのでとにかくたくさんの情報を得たいという人にもおすすめです。
※ 紹介できる求人などに差があるため転職サイトは複数社に同時登録して併用がおすすめです。就職転職活動が不安な方はまずは簡単な相談目的での登録でも大丈夫です。
※ 保育士の転職サイトは新卒の方や未経験の保育士の方、資格取得見込みの方でも利用可能です。
広告等で表示されるような高待遇の保育士の求人はあるはずだけれど、実際に自分が応募対象かどうかは登録してみないとわからないということです。
私の結論としては、転職する意思が少しでもあるのであれば、とりあえず登録をしてみて求人の紹介をしてもらうのが良いです。もちろん転職するかどうかはその時点で決める必要はありません。採用の内定をもらった後に悩む時間はじっくりあります。もちろん、内定を貰ったあとに自分の都合で断ることも全く問題ないです。
保育士としての給料をあげるということはもちろんですが、保育士以外の副収入を得ることでも、収入アップの実現は可能です。保育士として働いていて、もっとたくさん稼ぎたいという場合は、副業などによって、本業とは別の収入源を作るのが良いかも知れません。