これから就職や転職を考えている保育士の皆様。株式会社の保育園に関してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
私の周囲の話を聞くと利益追求型であまりいいイメージをもっていない保育士が多いです。ですが私は株式会社の保育園を転職の選択肢から外すのはもったいないと思っています。
株式会社が運営する保育施設で勤務した経験があります
社会福祉法人が運営する保育園で勤務経験があります
その経験が参考になればと思います
株式会社の保育園って?
そもそも日本では民間の保育園は社会福祉法人による運営がメインとなっていました。保育園は、保育の質の問題や倒産の可能性、そして、保育料が税金から賄われているという側面もあって株式会社の参入は認められていませんでした。
それが、2000年になって待機児童が増加していることを背景に株式会社が運営する保育園の参入が認められるようになりました。いまでは、新設される保育園の多くは株式会社が運営するものが多くなっています。
有名な株式会社の保育園の例
有名な株式会社保育園の例を上げています。皆さんも聞いたことがあるものが多いと思います。
- 日本保育サービス(JPホールディングス)
- アスク保育園
- こどもの森
- まなびの森保育園
- ライクアカデミー
- にじいろ保育園
- ポピンズ
- ポピンズナーサリースクール
- ココファンナーサリー
- ココファンナーサリー
- アートチャイルドケア
- アートチャイルドケア保育園
- テンダーラビングケアサービス
- テンダーラビング保育園
- 株式会社小学館集英社プロダクション
- 小学館アカデミー
- HITOWAキッズライフ株式会社
- 太陽の子保育園
- 株式会社ナーサリープラットフォーム
- きゃんばす保育園
- 株式会社グローバルキッズ
- グローバルキッズ
- 株式会社アソシエ・インターナショナル
- アソシエ保育園
これらの会社は、保育施設を日本全国でたくさん運営している保育園になります。
株式会社の保育園ってブラックなの?実態はどうなっている?
株式会社の保育園というとあまり良いイメージがない人も多いかもしれません。多くの保育園を運営している会社はどうしても保育士として働いていた人の人数が多く、口コミや評判も出回りやすいです。
その中でも、悪い評判というのは、目につきやすく広まりやすいです。実態はどうなのかというのを紹介します。
株式会社の保育園の基本的な給料待遇について
株式会社保育園の基本的な待遇例は以下のようになっています。もちろん、さまざまな保育園があるので一概には言えませんが以下が都心部の平均的な給料待遇になります。
逆に以下の条件を基準とすること良い待遇の保育園を見つけることができると思います。
- 月給23-25万円
- 処遇改善費や資格手当など含む
- 賞与2ヶ月
- 夏休み5日間(有給とは別に取得)
- 年末年始休暇
- 土日祝日休み
- 土曜日出勤の場合は代休
- 産休・育休は完備
- 有給休暇の取得率が高い
- 地域によっては保育士宿舎借り上げ制度8万2千円が利用可能
字面でみると割と待遇は良いということがわかります。
ポイントは、「基本給が高い」ということと「賞与が少ない」ということです。株式会社の保育園は、一般的な社会福祉法人の保育園と比べると基本給が高く・賞与が少ない傾向にあります。
ただし、基本給が高いため、その分賞与としてもらえる金額は多くなります。
- 基本給20万円+賞与4ヶ月 = 年収320万円
- 基本給25万円+賞与2ヶ月 = 年収350万円
上記のように比べたらわかるように、実は基本給が高いほうが年収ベースでは得する場合もあります。ここらへんは求人同士を比較して検討する必要があると思います。
私個人的な見解としては、「残業代は必ず支給する」「夏休みを有給休暇とは別に取得できる」「有給休暇もわりと取得しやすい」というこの3点を満たすために賞与の金額を下げている傾向があると思っています。
この業界は、当たり前の法令遵守意識とワークライフバランスを充実させるとどうしても保育士の給料の部分にしわ寄せが来てしまうのかもしれません。
残業時間は?サービス残業は?
こればっかりは、「株式会社」「社会福祉法人」という運営母体に関係なく、保育園によるとしか言えません。良い保育園では残業は少なくサービス残業はないです。
ただし、多くのメジャーな株式会社の保育園では残業代が支給されないということは少ないと思います。
いまどきサービス残業させている状況では、ただでさえ保育士不足のなか急展開する新設保育園の人材を確保しつづけることができるとは到底思えないからです。
しかしながら、完全な実情はわからないので、実際に株式会社が運営する保育園に転職を希望する場合は、しっかりと転職エージェントに保育園の内情を聞くことをおすすめします。
人間関係は?
株式会社保育園の人間関係の特徴としては、「入れ替わりが激しい」という点です。多数の保育園を運営しているため、保育園ごとの人員の入れ替わりも多いです。
年度末、年度途中に関係なく多くの人が入れ替わります。そのため、人間関係は少し希薄であることが多いようなイメージがあります。逆に言えば、いわゆる「お局さん」のような人がいることは少ないと思います。
しかしながら、人間関係においても完全な実情はわからないので、実際に株式会社が運営する保育園に転職を希望する場合は、しっかりと転職エージェントに保育園の内情を聞くことをおすすめします。
株式会社の保育園で働くメリット
昇給が明確
株式会社の保育園は、賃金テーブルがしっかり決まっており、何年の経験でいくら昇給するということが明確である場合が多いです。
良い求人では求人票の段階で経験何年で基本給がいくらということが明示されていることがあります。
逆に、家族経営の保育園の求人では昇給の基準や内容が不明確で実は入職したら全く昇給しないということもあります。
法令遵守意識が高い(有給が取りやすい・サービス残業がない等)
有給休暇は社会福祉法人と比べると、法令遵守意識が高い傾向があると思います。「法令違反 = 株主の損失」になってくるのでそこはシビアに守る意識が強いと思います。
そのため、有給休暇の取得率が高かったり、サービス残業がないことが多いです。
古くから経営している小さい社会福祉法人では、古くからのやり方を曲げずに、法律を軽視している保育園も少なくないです。保育士の持ち帰りの仕事やサービス残業が当たり前と考えている保育園の経営者もいるでしょう。
そういった点で、比較的、法令遵守意識が高いことが株式会社の保育園のメリットになります。
国や自治体の制度をほぼ確実に利用できる
株式会社の保育園は、良くも悪くも利益追求の意識が高いため、利用できる制度はほぼ利用しています。
例えば、国の処遇改善費や保育士の宿舎借り上げ制度がそれにあたります。小さな社会福祉法人だと、制度の利用や申請が追いついていない場合もあって、せっかくの国の改善策も享受できない場合があります。仕組み自体を把握していなかったり、申請が手間で利用できていなかったりなどです。
研修なども同様で、都道府県などが実施する保育士向けの研修もいち早く受講することが可能です。
特に保育士等キャリアアップ研修については、保育士の給与に直接関係してくるものになるので、受講できないと給与が上がっていきません。
人間関係におけるリスクを減らすことができる
株式会社が運営する保育園は人間関係におけるリスクも減らすことができます。例えば、主任や園長が苦手で憂鬱になってしまった場合でも、近隣の別の保育園に異動をすることができる可能性があるからです。
それは株式会社が多数の保育園を展開しているから可能なことです。小さな社会福祉法人では多くても2園くらいの経営になるので、異動の難易度は高いです。
しかも、株式会社の保育園は新設の保育園を開園する際に、既存園と同じ市区町村にオープンすることが多いです。例えば、横浜市に既存園があれば、横浜市にオープンするという形です。
保育園側としても、市区町村に認可されやすいという面と、保育士などの人員の融通が効きやすいということで戦略的にそのような展開にしています。
例えば、片方の園の保育士に経験豊富なベテランがいる場合は、もう片方の園と人員を入れ替えることも可能です。近隣であれば、保育士の引っ越しの負担などもありません。
株式会社の保育園には、退職せずに人間関係を新たに仕事を継続することができるメリットがあります。退職をしないということは、給料の昇給・賞与などの面でも有利です。
産休・育休も取りやすい
株式会社の保育園は産休や育休なども比較的に取りやすいです。これは、多数の保育園を運営しているため保育士の人員の融通が利きやすいためです。
産休・育休に入ってもかわりの保育士をすぐに用意できるので、ブラック保育園にありがちな「出産の順番待ち」という謎ルールが発生しにくいです。
これは「裏話」ですが、実際に私が某大規模株式会社保育園の面接の際に担当の人事の方に言われたことは「入社後すぐに産休とっても良いよ」でした。まあ、産休取得は企業の義務なので、取って良いのは当たり前なんですが、その当たり前が当たり前で無い保育園も世の中には多いと思います。
実際に入職してみたらどうなるかはわからないですが、産休育休がとりやすいのは間違いないと思います。
賞与より基本給が高いため辞めやすい
意外と転職活動の際に見落としがちですが、基本給より賞与の比重が多いと「賞与を貰うまでは続けなければ」という思考が働きます。
株式会社保育園は基本給が高く、賞与が低い傾向があるのでどうしても不満があって辞めたいというときも次のボーナスを待たなくてもいいかなという気持ちになれます。ブラック保育園が多くて転職の回数も増えてしまいがちま保育士にとっては結構見落としがちな点だと思います。
株式会社の保育園で働くデメリット
新設保育園が多いので人材が安易?
あくまでも、周囲の保育士などから聞いた感覚では、急激に運営する保育園を増やしているので簡単に入職できることが多いようです。具体的な選考や面接というのもほぼ無く、見学という形のまま採用が決まるケースもあるようです。
そこまでしっかりとした選考を受けなくても入れるので、こういう言う方が正しいかわからないですが「安易な人材」が多いと思われます。とにかく人数を揃えてあとは現場でなんとかしてもらおうという考えもあると思います。そうなると、現場の保育士の負担は、大きいものとなってしまいます。
色々なタイプの保育士が同僚となるので、人間関係で苦しむとすればこういう点が多いかもしれません。
転勤(保育園の異動)がある
運営している保育園が多いので、転勤という可能性も高いです。せっかく一年働いてなれてきたと思ったら、新しくできた保育園に異動ということも少なくないようです。
先程、言ったように株式会社の保育園はたくさんの保育園を近隣に開園する傾向があるので、経験豊富な保育士ほど新規園に異動させられやすいかもしれません。
ただし、辞められてしまったら元も子もないので、極端に無理な異動はさせないと思います。この点はしっかりと拒否をする姿勢を示すというのも大事です。
求人を探す上での良い株式会社の保育園の見極めのポイントは?
- 近隣の保育園の数は多いか?
- 借り上げ社宅は利用できるか?
- 単身なのか、同居もできるか
- 現在住んでいる住居のままで借り上げ社宅を利用することができるか
- 平均的な株式会社保育園と比べて待遇は良いか?
- 月給23-25万円
- 処遇改善費や資格手当など含む
- 賞与2ヶ月
- 夏休み5日間(有給とは別に取得)
- 年末年始休暇
- 土日祝日休み
- 土曜日出勤の場合は代休
- 産休・育休は完備
- 有給休暇の取得率が高い
- 地域によっては保育士宿舎借り上げ制度8万2千円が利用可能
- 賞与はどの金額の何ヶ月分なのか?
- 処遇改善費を除いた基本給で計算するのか
近隣の保育園の数は多いか?
近隣に系列の保育園が多くある場合は将来的に異動の可能性があります。人間関係に行き詰まった時は、異動の希望を出すことも可能です。
逆に、近隣に系列の保育園がない場合は、異動の可能性が低いですが、人間関係に行き詰まったら退職せざるをえないことになるかもしれません。
借り上げ社宅は利用できるか?
保育園の存在する自治体によっては、借り上げ社宅制度が利用できます。単身のみの場合と、同居でも可能な場合があり自治体や法人によって異なります。
現在住んでいる住居のままで借り上げ社宅を利用することができる場合もあるので、しっかりと転職エージェントを通して確認すると良いです。
賞与はどの金額の何ヶ月分なのか?
意外と見落としてしまうのが、賞与がどの金額を基準に計算されるかという点です。「資格手当」「処遇改善」「担任手当」など、さまざまな手当が加算され月給は上乗せされているけど、賞与は基本給ベースで計算されるってこともあったりします。
賞与○ヶ月分と言っても、どの金額の○ヶ月分なのかによって賞与の金額は大きく変わってきます。その場合、賞与の金額がかなり少なくなってしまうので注意しましよう。
【まとめ】株式会社の保育園を転職の選択肢から外すのはもったいない!
なぜ株式会社の保育園はブラックというイメージがあるのか?
個人的な見解になりますが、小さな社会福祉法人と比べて、株式会社の保育園は通算で採用した人数も多いと思います。実際にいままで働いてきた保育士から良い噂も悪い噂もあると思います。
これに対して、「小さな保育園はそもそも良い評判も悪い評判もない」というのが真実だと思います。それに対して多数の保育園を運営している株式会社の保育園はたくさんの評判があるので、どうしてもネガティブな評判というのは退職していった保育士から伝搬しやすいので、そういうイメージがついてしまうことが多いのかもしれません。
株式会社の保育園には良い保育園がたくさんあると思うので、悪い評判だけを真に受けて転職の選択肢から外してしまうのはもったいないことだと思います。
結局は園長次第の場合も多い
株式会社保育園のメリット・デメリットを紹介しましたが、
- 人間関係
- 残業
- サービス残業
に関しては 法人 ではなく その保育園の園長 次第で大きく変わる部分だと思っています。
同じ法人であってもここは園長の裁量によって決まって来る部分も多いです。そして、この部分が保育士の就業の満足度を大きく左右する部分でもあります。
なので「良い法人だから」この保育園も良いだろうとは思わずに、しっかりと保育園ごとの良し悪しを見極める必要があります。
株式会社が運営する保育園への転職は転職サイトがおすすめ!
株式会社が運営する保育園への転職は転職エージェントの利用がおすすめです。
株式会社は複数の保育園を運営していることも多く、しっかりと交渉をしないとどのエリアの保育園に配属されるのかわからないということもあります。そこは転職エージェントを通してしっかりと交渉して貰う必要があります。
また、保育園の内情に関しても転職エージェントは詳しいので同じ法人であっても「どこが良い」「どこの園長が良い人」などを知っています。
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