こう感じる保育士の方は多いと思います。でも、果たして本当に国家資格だから給与は高いべきなのでしょうか。
私としては、保育士は国家資格だから給与給料が高くあるべきではなく、保育士には高いスキルが必要で、需要も高いため、給料は高くあるべきだ!と言えると良いなと思っています。そう言えるように、保育園で働く上で保育士個人としても責任を持って、子どもたちや保護者の方に価値を提供していくことが大切だと思います。
今回は、保育士は国家資格なのに給料が安い?国家資格だから給与は高いべき?なのかということを、そもそも保育士の給料は本当に安いのかという点も踏まえて説明しています。
保育士の資格を保持しています
その経験が参考になればと思います
そもそも国家資格ってなに?
本題に入る前にそもそも国家資格とはどういうものなのでしょうか。
国家資格と公的資格と民間資格
日本の資格を大まかに分けると、 国家資格と公的資格と民間資格の三種類になります。
国家資格には、
- 建築士
- 医師
- 保育士
- 公認会計士
- 弁護士
- 行政書士
などがあり、その名の通り国が付与する資格になります。
公的資格は、一見、国家資格と見分けるのが難しいものになりますが、地方自治体や公益法人、財団法人などによって管理・付与される資格になります。
- 日商簿記検定
- 販売士検定
- 日本語能力試験
- 実用英語技能検定
などがこの一例になります。
民間資格はそれ以外のもので、国や公的機関ではなく民間で管理・付与される資格になります。
例えば、
- TOEIC
- インテリアコーディネーター
- ソムリエ
などたくさんの種類の資格が該当します。
国家資格とは?
国家資格とは、国が法律によって認めた資格で、個人の能力や知識の判定をする資格制度になります。つまり、国が認めた専門家のことをさします。なので、国家資格を取得するには高いハードル(年齢、学歴、実務経験)がある場合が多いです。
国家資格を取得するには、国家試験を合格するか、国が認めた養成学校どで認定条件を満たす必要があります。
保育士の資格は国家資格
保育士の資格は数ある国家資格のなかの一つです。管轄は厚生労働省になります。保育士の管轄が厚生労働省なのは、保育園が厚生労働省の管轄であるためです。
保育園の管轄が厚生労働省なのは、保育園が就労中の保護者の子どもを預かるという性質があるためです。反対に、似ている機関である幼稚園は文部科学省の管轄です。
保育士の資格を取得するには、おおまかに二通りの方法があります。
国が認めた養成学校で単位を取得し認定されるか、保育士試験を受験する必要があります。保育士試験の受験には学歴などの条件も存在します。
保育士の資格の取得方法などについては、以下の記事を参照してください。
【ちなみに】保育士の資格は「名称独占資格」
保育士の資格は名称独占資格と言って、資格を持っていないと保育士と名乗って保育園で働くことが出来ません。
ちなみに、医師や一級建築士というような資格は、業務独占資格と言って、名乗ることをはもちろん、普通の人が禁止されていること、できないことを仕事として行うことができます。
保育園で保育士が就業する際は、保育士証という証明の提出を求められるので、それをもって保育士の資格があることを証明しています。
保育士の資格は国家資格の中でも給与は低い?
保育士という職業が国家資格の必要な仕事の中でも給与が低いということは間違いないと言えます。様々な、資格関連の情報をみていてても、保育士の平均年収は300万円程度と記載されていて、他の国家資格と比較しても低い水準になります。
気になる方は、「国家資格 平均年収」などのワードで検索をしてみてください。様々な資格の平均の年収を調べることができます。ただし、国家資格のなかには、必ずしも資格の種類が職種と結びついてないものもあるため、資格と給料が結びつかないものあります。
例えば、見落としがちなところだと、運転免許は国家資格ですが、仕事で運転をする人が全員ドライバーやタクシー運転手というわけではないですよね。なので、国家資格を持っていて、その資格が必要な仕事をしていたとしても、必ずしも資格の種類と職種が結びついているとは限らないということになります。
保育園では保育士の資格が無くても保育業務をすることはできる
付け加えると、保育園で保育業務をするためには必ず「保育士」の資格が必要というわけではありません。保育補助の業務や子育て支援員の研修などもあるため、保育園で働くのに、必ずしも保育士の資格が必要ということではありません。
ただし、もちろん、じゃあ誰でも働けるかというとそういうわけではなく、保育園その種類によって必要な保育士資格者の割合というのが決まっています。
例えば、認可保育園の場合は、基本的に配置基準の100%が保育士である必要があります。一方で、認可外保育施設の場合は、基本的には、配置基準の50%以上が保育士資格保持者であれば良いことになっています。
認可保育園では実質的に保育士の資格は必須
保育園では保育士の資格が無くても保育業務をするができると書きましたが、認可保育園で働くには、例外はありますが、実質的に保育士の資格があることは必須です。
保育士の配置基準が定められており、この基準における100%の人員が保育士資格を持っている必要があります。例外というのは、この保育士の配置基準を上回る場合の人員などをさします。わかりやすく簡単に言うと、保育士が5人が必要な状態で、保育士5人と無資格1人が保育業務に当たるという状態のことを指します。
逆に認可外保育施設や小規模保育事業B型の保育園などであれば、必ずしも100%の人員が保育士資格を持っている必要はなく、保育施設の種類によっても異なりますが、5割以上の保育士等の資格保有者がいれば良いということになっています。
じゃあ、認可保育園では、絶対に保育士の資格が無いと働けないのかというとそういうわけではありません。先ほどの保育士資格の保有者の割合は、あくまでも配置基準に対してです。つまり、配置基準を満たしたうえで、さらに手厚く保育者を配置いしたいというような場合は、無資格者の方が働いても良いということになります。
それを踏まえると、例えば、認可外保育施設である〇〇保育園は保育士資格保有者の配置基準を満たしているから、無資格でも働ける!というように思うかもしれませんが、そうとは限りません。最終的には、無資格者を雇うか雇わないかは保育園次第なので、「うちは資格保有者のみ採用します」という保育園に採用してもらうということは難しいでしょう。
保育士は国家資格だから給料が高くあるべきは間違い
例えば「ITパスポート」という経済産業省が認定している国家資格がありますが、誰でも受験が可能で合格率60%程度の資格があります。この資格はパソコンの入門資格で、大手のIT会社に対して就職時などにアピールしたとしてもほとんど意味をなさないと揶揄されることもあるようです。このように、国家資格というものは、保有していれば職業が保証されるというものとは限らず、当然、給与水準が保証されるものでもないです。
逆に国家資格ではない民間資格においても、資格を持っていることで高い給与給料などを期待できるものもあります。資格をもっていることが能力の証明になり、需要が高い職や仕事につくことができるためです。例えば、民間資格の有名どころはTOIECや英語検定などは、英語のスキルを持っていることの客観的な証明に使われることがあり、会社によっては、採用可否や給与などにも影響を与える場合もあります。
とりわけ民間企業に雇用される場合の給与は、需要などに応じて企業が決めているものです。やはり「国家資格だから給与給料が高くあるべき」というのは間違いだと言えると思います。
ただし、保育士に関して言うと、保育士不足と言われる中で、国は保育士の給与水準を上げるということがなかなか進んでいないというのは事実です。仮に私立の民間の保育園であっても、保育士の給料は会社が完全に勝手に決められるというわけではありません。
そもそも、保育園の運営費は国が公定価格として決めていますし、そのなかで、保育園は基準を満たしつつ運営をするので、保育士の給料もある程度の相場内で決まります。つまり、国が間接的に保育士の給与を決めているといっても過言ではありません。
民間企業であっても保育園で働く保育士の給与はほとんど国が定めているので、需要に対して給与待遇が不足しているということは確実に言えるはずです。
むしろ、国はこの状態を乗り切るために、保育士の資格を保有していない無資格者でも保育園で働けるように規制緩和を行っているということもあります。
保育士資格を持っていても保育士として働いていない潜在保育士も多くいる、そして、保育士不足が続いていているので、需要に対して給与給料が追いついていないという点は間違いないです。
これから資格取得を目指す人には保育士の資格取得はおすすめできるか?
保育士という職業が国家資格の必要な仕事の中でも給与が低いということは間違い無いですが、これから資格取得を目指す人には保育士の資格取得はおすすめできるでしょうか。こればかりは、本人の適性や能力、考え方もあるので、一概にはなんとも言うことができません。
ただし、保育士の資格に他の資格取得に比べてメリットがないという無いわけではなりません。
保育園は日本全国どこにでもあり、資格があれば、どこでも働くことができる可能性があります。また、昨今は特に保育士不足なので、労働者である保育士が有利に職を探すことができると思います。
将来的にロボットやAIに完全に置き換わって職を失ってしまうということも考えにくいので、将来に渡って職に困るという確率を減らすことができます。ただ、一方で日本は少子高齢化であることは間違いなく、子どもがいなくなれば、保育士の必要も少なくなっていくという懸念点もあります。
資格取得においては、自分自身の仕事の適正や、今の状況、もちろん今後の時代の変化なども踏まて考慮すべきことだと思います。国家資格だからとりあえずとってみるとから、比較的簡単そうだからという考えでは、あまり人生において良い影響を与えるのは難しいかもしれません。
また、資格取得の難易度も様々なので、保育士の資格を取りたいからと言って必ず取得できる保証もなければ、保育士以外の資格取得を目指したからといってその資格が取得できるわけでもないので、進路を決めるというのは簡単なことではないでしょう。
保育士だから給料は高いべき!と言えるようにしたい
今回は、保育士は国家資格なのに給料が安い! という件に関しての個人的な見解をまとめました。保育士は国家資格なのに給料が安い?国家資格だから給与は高いべき?なのかということを、そもそも保育士の給料は本当に安いのかという点も踏まえて説明しました。もちろん、国家資格の職業は給料が高くあるべきだという主張もあっても良いと思っています。
保育士の給料が安いのは事実で、他の国家資格と比較しても安い水準であることは間違いないと思います。でもそれには様々な背景や理由があってそうなっていることだと思います。
保育士は国家資格だから給与給料が高くあるべきではなく、保育士には高いスキルが必要で、需要も高いため、給料は高くあるべきだと言えるようになると良いなと私は思っています。あくまでも個人的な考えです。なので、国家資格は給与が高くあるべきという意見もあってしかるべきだと思います。
逆にそういえるように、保育園で働く上で保育士個人としても責任を持って、子どもたちや保護者の方に価値を提供していくことが大切だと思います。
まとめ:保育士は国家資格なのに給料が安い?国家資格だから給与は高いべき?
今回は、保育士は国家資格なのに給料が安い?国家資格だから給与は高いべき?なのかということを、そもそも保育士の給料は本当に安いのかという点もふまえて考えてみました。
正直、保育士の国家資格なのに給料が安いかどうかは、誰も答えをしらないです。
ですが、昨今において、保育士として働く人が不足しているということはほぼ間違いない事実でもあります。そして、日本社会にとって必要であるとされる保育士として働く人が不足しているということのわかりやすい対応策の1つが給料を上げるということもほぼ間違いないと思います。それは国家資格かどうかということが基準ではないとも思います。