目次 | 内容 |
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保育士の定年は60歳が多い | ・多くの保育園で定年は60歳 ・法人や公務員(地方公務員)で定年年齢は異なる ・地方公務員には65歳までの再雇用制度あり |
65歳までは再雇用がある | ・高年齢者雇用安定法により65歳まで継続雇用 ・再雇用で給与や待遇が変わることも ・生活費確保のため継続勤務が可能 |
年金が受け取れるのは65歳から | ・基本的に年金受給開始は65歳 ・60歳定年だと年金までの空白期間が発生 ・繰り上げ(減額)や繰り下げ(増額)受給も選択肢 |
保育士の退職金はいくら? | ・退職金額は園や勤続年数で異なる ・勤続30年で約570万円の例あり ・老後必要資金としては不足の可能性 |
定年以降はパートや非正規として保育士を続ける人も多い | ・貯金や退職金を考慮し定年後も働く保育士が多い ・再雇用以外にパートなどで継続勤務 ・保育士不足で年齢不問の求人も増加傾向 |
定年後に未経験から保育士にチャレンジする人も増えている | ・異業種からの定年後保育士転身の実例 ・資格取得(試験)と登録が必要 ・年齢を重ねてからの挑戦も現実的 |
まとめ | ・定年後も保育士として働き続けられるか解説 ・法律に基づき65歳までの継続勤務制度あり ・多様な働き方やベテランの需要も高い状況 |
よくある質問(FAQ) | ・再雇用の給与・待遇変化や60代で働くメリットを説明 ・体力不安でも可能な働き方や他の選択肢を紹介 ・未経験からの挑戦の現実性や経験者の貢献を解説 |
- 定年退職後に保育士の仕事は続けられる?
- 再雇用等の制度内容はどうなっている?
定年退職が近づき、今後の働き方について不安を感じている保育士の方もいらっしゃるかもしれません。
特に、定年後も保育士として働き続けられるのかという点は、多くの方が気になることと思います。
日本には高年齢者雇用安定法があり、基本的に65歳まではなんらかの形で保育士として継続して勤務できるよう制度が整えられています。

定年後も保育士の仕事は続けられるのだろうか?

はい、可能です。
この記事でわかること
- 60代で定年退職後も保育士として働き続けられるのかどうか
- 定年後も保育士として働くための再雇用制度やパートなどの選択肢
- 60代から保育士資格を取得して未経験で働く道
- ベテラン保育士が現場で求められる理由
かつては60歳で定年を迎えて保育士を引退する人も多かったですが、今では年金受給年齢の引き上げとともに65歳まで保育士として働き続ける環境が整ってきています。
保育士不足による待機児童などの問題も重なり、60代の保育士であっても知識を活かしながら十分に保育士として働くことが可能です。
保育士の定年は60歳が多い
基本的に多くの保育園では保育士の定年は60歳と定められていることが多いです。厳密には定年の年齢は定められているわけではなく各法人ごとに60歳以上で設定することができるためです。
ちなみに公立の保育園で働く保育士は地方公務員ということになると思うので、こちらも定年は60歳となっています。
ただ、地方公務員には65歳までの再雇用制度があり、希望をすることで保育士として勤務を続けたり、地方自治体の別の業務につくことが可能となっています。
65歳までは再雇用がある
日本では2013年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」という法律ができ、65歳未満に定年を設定している場合は「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「定年制の廃止」のいずれかを実施することが義務付けられています。
つまり、 正職員として働いていれば65歳まではなんらかの形で保育士として継続して勤務できる ことになります。
園によっては、再雇用という形になれば待遇に変化がある場合もありますし、65歳まで同様の待遇で働ける場合もあります。少し給料が安くなる形で再雇用されることになる場合が多いと思います。
再雇用があれば少なくともその年齢までは、生活費を稼ぐことができると思います。今後は年金の受給年齢も70歳以上にさらに引き上げられる可能性もあるので、現役世代はその点も注意が必要です。
年金が受け取れるのは65歳から
過去の加入状況や年齢によって多少違いがあると思いますが、基本的に年金を受け取れる年齢は65歳からになります。
つまり60歳で定年してしまうと5年間は年金を受け取ることができないので貯金などで生活することになります。
そのためできれば再雇用で65歳までは働きたいという保育士は多いです。
ただし、条件を満たせば65歳よりも早い年齢で年金を受け取る「繰り上げ受給」をすることも可能です。
この場合は、毎月の支給額は決まった割合で 一生減額 されることになります。
逆に、65歳よりも遅い年齢で年金を受け取る「繰り下げ受給」をすることも可能です。
この場合は、毎月の支給額は決まった割合で 増額 されることになります。この金額は一生変わらないことになります。
もちろん今後の法律などに変化がありルールが変わる場合も十分に考えられるので注意が必要です。
年金の支給時期と貰える金額は?
年金の支給年齢は、その人の生まれた年によって異なります。
基本的には、65歳からの支給になりますが、昭和36年4月2日以前の生まれの男性、昭和41年4月2日以前生まれの女性はそれより前から受給することが可能です。
年金の支給金額は、その人の生まれた年、そして働いていた期間などによって異なります。
ここでは、仮に昭和60年生まれの大卒の23歳で保育士になって65歳まで働いた場合で計算します。この場合、65歳から、年額約176万円の年金を貰うことができます。
ご自身の年金の支給額は、日本年金機構などの機能で調べることが可能なので、調査してみると良いと思います。
また、年金の支給時期や計算方法などは今後も法律が変わり改正される可能性があるので注意が必要です。
保育士の退職金はいくら?
保育士が貰える退職金はもちろん法人や勤続年数などによって大きく異なります。
保育士の退職金に関しての詳細は以下の記事でも紹介しているので参考にしてみてください。以下の記事で調査した限りでは、私立保育園では 勤続30年で約570万円 という計算例を紹介しました。
もちろん、働いている保育園の法人や勤続年数によって全く異なるため、一概には言えません。
昨今では、老後は3000万円が必要という試算も出ています。先ほどの勤続30年で約570万円では、到底足りない金額です。
今までの貯金がうまくできている方や、夫婦であれば、パートナーの状況なども関係してくると思いますが、できれば働けるうちは働いて生活費を稼いでおきたいという方もいるかと思います。
定年以降はパートや非正規として保育士を続ける人も多い
保育士は決して給料が高いわけではないため、貯金や退職金を考慮すると定年後も保育士として働き続ける人が多いです。
再雇用でなくてもパートとして現場で働くことを希望する保育士は増えています。もちろん保育園側としても保育士不足であるため、長く働いてほしいと考えています。
待機児童の問題などもあるため、様々な形で保育士を確保したいという思いがあるので、保育士の求人も年齢を定めずに募集している保育園が多くあります。
60代でも改めてパートなどで保育士として働きたい場合は、保育士の転職サイトを活用するのもおすすめです。
転職サイトと聞くと仰々しく感じる方もいるかも知れませんが、パートの求人も多く扱っています。
ハローワークや地域の求人誌の求人を見て問い合わせても60代というだけで、微妙な反応をされてしまった経験がある方も多いと思います。
保育士の転職サイトであれば60代でもウェルカムな求人だけをダイレクトに紹介してくれるので効率も良いです。
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定年後に未経験から保育士にチャレンジする人も増えている
異業種で働いていて、定年退職の後に保育士の仕事を未経験から始める方も出てきています。
ニュースなどでは、髙田勇紀夫さんという方が世界的なIT企業であるIBMを定年退職後に保育士の仕事を始めたという話が紹介されています。
待機児童問題の深刻さを知り、定年退職後に保育士を目指すようになったということのようです。
保育の仕事とはまったく関係のない仕事をしていた方が、定年退職後にどのように保育士の資格を取り、認可保育園で働くようになったのかというのをまとめた本も出しています。
- 「じーじ、65歳で保育士になったよ―シニアたちよ、待機児童のために起ち上がれ」高田 勇紀夫【著】
このような例も出てきているの、今後、保育士不足の影響などでさらに同様の例が出てくるかもしれません。保育士資格を持っている方も持っていない方も定年後に就業するチャンスは増えてくるかもしれません。
定年後に未経験から保育士にチャレンジする方法
前述の通り、定年後に保育士という仕事にチャレンジする人の実例は出てきています。実際に保育士になるためには、なにをする必要があるのかを紹介します。
まずは、一番必要なことは保育資格を取得するということです。保育士資格は、保育士試験を受験して合格するか指定の保育士養成学校(専門学校、大学など)を卒業する必要があります。
後者の方法は最低でも2年以上かかるため、定年後の方は前者の保育士試験の受験がおすすめです。保育士試験は難易度は決して低いわけではないですが、対策をしっかりすれば短期間でも合格できる可能性があります。
ただし、保育士試験の受験には必要な要件があり、誰でも受験ができるわけではありません。大卒の方であれば問題ないですが、大卒未満の方は受験要件を満たしていない可能性もあるので、以下の記事を参考に判断してみてください。
保育士試験の試験内容、受験要件などの詳細は以下の記事で解説しています。
無事、保育士試験に合格することができたら保育士登録が必要です。保育士登録の方法は以下の記事で紹介しています。
資格を取ったらいよいよ就業になります。保育士の正社員でもよいですが、まずはパートからでも良いと思います。求人は保育士の転職サイトの利用がおすすめです。
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※ 保育士の転職サイトは新卒の方や未経験の保育士の方、資格取得見込みの方でも利用可能です。
なぜ保育士の転職サイトの利用がおすすめかというと、定年後を対象とした求人はネットやハローワーク、地域の求人誌等ではほとんど見つからないためです。
転職サイトは保育士の転職を支援していて、保育園とのコネクションも多くあるので、定年後の未経験の保育士での採用してくれる保育園を見つけてくれる可能性が高いです。
定年後からの未経験保育士に必要な心構えとは?
個人的に思う、定年後から未経験で保育士をはじめる場合に必要な心構えは、
- 子どもを愛する
- 偉そうにしない
- 非効率を受け入れる
ということです。
定年まで様々なキャリアを歩んできた方もいるかもしれませんが、保育の現場ではあくまでも新人です。保育士の世界は、残念ながら良い人だらけとは限らないので、
それを忘れずに、今までのキャリアで培ってきたノウハウなどを保育の現場に共有していただければ、ありがたいと思います。
また、保育園には、今までの会社の世界では考えられない非効率なやり方などが残っている可能性もあります。その点をまずは受け入れてから、保育の仕事をしていかないと、それがストレスになってしまうかもしれません。
ベテラン保育士はとても貴重
昨今でこそ保育士の待遇は徐々に改善されてきてはいるので若手の保育士は増えているかもしれませんが、ベテランの保育士はすでに保育士を辞めてしまっている人も多いと思います。
体力面ではもしかしたら若手の保育士に劣る場合もあるかもしれませんが、長年保育士を続けてきたスキルなど若手にはない強みがあります。
少なくとも65歳までは保育士を続けることが可能だと思います。是非今までの経験を活かして保育士を続けて貰えたらなと思っています。
まとめ
この記事では、定年後も保育士として働き続けられるのか、再雇用制度などを中心に解説しました。
中でも、60代でも高年齢者雇用安定法により少なくとも65歳までは保育士として働き続けられることが、この記事で最も重要な点です。
- 多くの保育園の定年は60歳に設定されていること
- 法律に基づき、65歳までの継続勤務制度が整えられていること
- 再雇用以外にも、パートや非常勤といった多様な働き方があること
- 経験豊かなベテラン保育士は保育現場で求められていること
長年培ってきた保育士としての経験や知識は、保育の現場でとても大切にされています。
体力面など気になる部分もあるかもしれませんが、定年後も保育士として働く選択肢はたくさんあります。
ぜひ、これまでのご経験を活かして、これからも保育士として活躍される道を検討してみてください。
よくある質問(FAQ)
- Q定年後、再雇用で働く場合の給与や待遇はどのように変わりますか?
- A
再雇用制度で働く場合、給与は正社員として働いていた頃よりも安くなるケースが多いです。
また、手当や昇給など、待遇の面で変化がある場合もあります。
雇用条件は園によって異なりますので、個別に確認することが大切です。
- Q60代で保育士を続けることには、どのようなメリットがありますか?
- A
長年培ってきた保育スキルや豊富な人生経験を活かせること、経済的な安定を得られること、子どもたちの成長に関わるやりがいがあることなどがメリットです。
地域や社会に貢献でき、セカンドライフを充実させる働き方と言えます。
- Q体力的な不安がある場合でも、保育士として働くことは可能ですか?
- A
体力に不安がある場合でも、保育士として働くことは可能です。
フルタイムではなく、短時間勤務やパート・非常勤など、ご自身の体力やペースに合わせた働き方を選ぶことができます。
必ずしも全ての業務を一人で担う必要はありません。
- Q再雇用やパート以外に、60代が保育士として働く選択肢はありますか?
- A
はい、再雇用やパート・非常勤以外にも様々な働き方があります。
NPO法人で活動したり、自治体の臨時職員として働いたり、多様な形態で保育に関わる仕事を見つけることができます。
ご自身の希望や状況に合わせて働き方を選択できます。
- Q60代で未経験から保育士を目指すことは現実的ですか?
- A
はい、現実的です。
定年後に異業種から保育士資格を取得し、保育の仕事にチャレンジする方も実際に増えています。
年齢を重ねてからのスタートであっても、これまでの様々な経験が保育の現場で強みになります。
- Q60代の経験豊富な保育士は、保育現場でどのように貢献できますか?
- A
長年の経験や培ってきた保育の知識、人生経験を活かして、若手保育士の育成や保護者への具体的な支援など、多方面で貢献できます。
子どもたちの成長をサポートする上で、豊富な経験を持つシニア世代の保育士は、現場で非常に求められています。