保育士養成施設に通う保育学生の皆様。
保育士として働くべきか、それ以外の一般職で働くべきかを迷っている方もいらっしゃると思います。
そんな方のために、過去の保育学生が保育関連施設に就職する割合と保育士として就業するのを辞める理由をまとめたデータがありましたので紹介します。
また、保育士として就業するのを辞める理由について個人の感想も書いています。保育士として働くべきか、それ以外の一般職で働くべきかを迷っている方は参考にしていただけると幸いです。
過去の保育学生が保育関連施設に就職する割合と保育士として就業するのを辞める理由をまとめたデータに関しては、厚生労働省の「保育士の現状と主な取組」を参考にしています
その経験が参考になればと思います
保育学生が保育関連施設に就職する割合
保育学生(指定保育士養成施設に通う学生)の即業者の就職先の近年の予定の状況は以下のようになっています。
平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | |
---|---|---|---|
保育所等 | 62.8% | 65% | 66.2% |
それ以外の社会福祉施設 | 3% | 2.8% | 2.9% |
幼稚園 | 17.5% | 16.6% | 15.4% |
その他 | 16.5% | 15.5% | 15.4% |
※保育所等とは、保育所、幼保連携型認定こども園、地域型保育事業、児童福施設、児童福祉事業などの保育士資格を有する必要がある施設になります。地域型保育事業とは、平成27年度に子ども・子育て新制度により創設された小規模保育事業等の施設になります。
※それ以外の社会福祉施設とは、保育士資格を有する必要のない知的障害者援護施設、身体障害者援護施設、老人福祉施設を指します。
※その他とは、異業種など保育所等、それ以外の社会福祉施設、幼稚園以外の施設になります。
※出典「保育士の現状と主な取組」https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000661531.pdf
保育士として就業するのを辞める保育学生の割合は?
保育士(もしくは幼稚園教諭)として就業するのを辞める(幼稚園を含む保育関連以外の異業種に就職する)保育学生の割合は、 おおよそ18%〜19% となります。
実に約2割程度の学生が、指定保育士養成施設を卒業しても保育士(もしくは幼稚園教諭)として働いていないということになります。
保育士として就業するのを辞める理由(一般職に就くことを決めた理由)
保育士として就業するのを辞める理由(一般職に就くことを決めた理由)のアンケート調査の結果を紹介します。
- 実習で保育をすることに自信をもつことができなかったから 40.4%
- 給与・福利厚生が充実しているから 31.1%
- 休暇の保障や労働時間が適切であるから 24.7%
- 実習日誌を書くことが負担だったから 22.8%
- 授業を通して保育は想像していた仕事とは違ったから 22.4%
- 実習が辛かったから 22.1%
- 実習で保育者同士の人間関係や園の雰囲気が良くなかった 16.7%
- キャリアアップができるから 14.7%
- 実習で保育者の指導や対応が良くなかったから 10.6%
- 元々保育者になるつもりはなかったから 10.3%
- 実習で保育者の子どもへの関わりに不信感を覚えたから 9.3 %
- 一般職から内定をもらえたから 8.7%
- 家族や知人に一般職を勧められたから 5.4%
- 学校の教員や職員に一般職を勧められたから 0.3%
※出典「保育士の現状と主な取組」https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000661531.pdf
給与や待遇面、労働環境に関してはよりよい場所で働くというのは当然なことですよね。実習した先の保育園の保育者の問題等で保育士になるのを辞めているという人が多いというのが、個人的には悲しい点です。
保育士として就業するのを辞める理由の保育士の感想
保育士として就業するのを辞める理由(一般職に就くことを決めた理由)のなかから一部を抜粋して個人的な感想を述べたいと思います。
- 実習で保育をすることに自信をもつことができなかったから 40.4%
- 実習が辛かったから 22.1%
- 実習で保育者同士の人間関係や園の雰囲気が良くなかった 16.7%
- 実習で保育者の指導や対応が良くなかったから 10.6%
- 実習で保育者の子どもへの関わりに不信感を覚えたから 9.3 %
実習先となった保育園やそこにいた人が悪かったり、もう少し長い期間があり慣れていたら違った考えが生まれていたかも知れませんが、時間は限られているので難しい部分ですね。
逆に実習の時は、保育園の評判に関わるので、学生へ必要以上に丁寧に優しくするという保育園もあります。そのことのほうがむしろ注意が必要です。実習して良い保育園だと思って就職したら、実習の時と全然違ったというのはよく聞く話です。
- 給与・福利厚生が充実しているから 31.1%
たしかにまだまだ保育園の給与待遇は、全産業の平均と比較しても低い傾向があるので、より良い待遇の会社から内定をもらうことが出来たら気持ちはゆらぎますよね。
- 休暇の保障や労働時間が適切であるから 24.7%
休憩をとることが出来なかったり、サービス残業や持ち帰りの残業を強制される保育園は未だに少なくないと思います。もちろん、一般企業でもそのようなブラック企業はあると思うので、きちんとした見極めが大切です。
- 実習日誌を書くことが負担だったから 22.8%
保育士の仕事は、書類の仕事も多いので自分の考えをまとめたり、書き出すのが苦手な人は苦労するかもしれません。ただ、ほとんどは慣れの問題で解決できます。あとは保育園がきちんと書類の仕事をする時間を確保してくれるかということが重要ですね。その時間がないと、結局、サービス残業になったり持ち帰っての仕事になってしまって、負担が増加してしまいます。実質的な給料も下がることになります。もちろん、保育士以外の会社でも書類仕事が多いという仕事もたくさんあるでしょう。
- キャリアアップができるから 14.7%
保育士でも最近はキャリアアップの制度が出来ていますが、結局、将来的な給料という点での伸びは少ないですし、たしかに一般企業に劣ってしまう場合が多いと思います。
まとめ:保育学生が保育関連施設に就職する割合と保育士として就業するのを辞める理由とは?
個人的には、保育士養成施設に通って保育士資格を取るからと言って必ずしも保育施設で働くべきとは思っていません。本人にとって一番人生が良くなるだろうという選択肢を取るべきだと思っています。そのためには、保育関連施設以外の職業にも就職を考えるということはとても良いことだと思っています。
また、一度保育関連施設以外の一般職に就職してしまうと、もう二度と保育士として働けないというわけではありません。少なくとも昨今においては保育士不足なので、一度一般職を経験してから未経験で改めて保育園に就職するということも不可能ではありません。
ただし、逆はなかなか難しいです。一度保育園に就職してから、やっぱり一般職になろうと考えると、貴重な新卒のカードが使えなくなってしまいます。新卒は企業の採用においてとても有利です。また、保育園での勤務経験やスキルを一般企業で活かすことができるものあまりなく、ほとんどノースキルの第二新卒という扱いになってしまいます。その点はしっかりと踏まえて、就職先を選ぶべきだと思います。
人生をよりよくするために取ることができる選択肢は多いほうが良いと思っています。様々な情報を取り入れて、保育士として働くべきか、それ以外の一般職で働くべきかの参考にして見てください。