東京都の保育士の給料はなぜ高い?東京都保育士等キャリアアップ補助金を解説!

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東京都の保育士の給料は他の都道府県の保育士と比較した場合に平均して高い傾向があります。

保育士として基本的に同じ仕事をしているのになぜこのような差が生まれるのでしょうか。

それは「東京都保育士等キャリアアップ補助金」という東京都が独自に行なっている保育士の処遇改善施策がポイントになっています。

今回は、東京都の保育士の給料はなぜ高いのか、東京都保育士等キャリアアップ補助金についてを解説していきます。

東京都の保育士の給料は高い?

まずはじめに、東京都の保育士の給料はどれくらい高いのでしょうか。国の統計のデータがあったのでそちらをもとに紹介します。

各都道府県別の保育士の平均給与

保育士(男女計) 平均月給 平均年間賞与等 平均年収
北海道 25.29 57.32万円 360.80万円
青森県 21.77万円 56.49万円 317.73万円
岩手県 25.13万円 60.36万円 361.92万円
宮城県 27.94万円 56.61万円 391.89万円
秋田県 21.89万円 71.31万円 333.99万円
山形県 23.49万円 28.44万円 310.32万円
福島県 25.59万円 59.42万円 366.50万円
茨城県 25.50万円 66.37万円 372.37万円
栃木県 24.51万円 73.45万円 367.57万円
群馬県 25.67万円 107.01万円 415.05万円
埼玉県 26.77万円 56.66万円 377.90万円
千葉県 28.19万円 49.95万円 388.23万円
東京都 31.58万円 74.51万円 453.47万円
神奈川県 29.12万円 67.27万円 416.71万円
新潟県 22.20万円 77.91万円 344.31万円
富山県 23.75万円 85.52万円 370.52万円
石川県 24.63万円 51.11万円 346.67万円
福井県 24.37万円 88.45万円 380.89万円
山梨県 24.74万円 42.63万円 339.51万円
長野県 26.87万円 67.62万円 390.06万円
岐阜県 22.82万円 50.77万円 324.61万円
静岡県 25.58万円 90.38万円 397.34万円
愛知県 26.98万円 71.36万円 395.12万円
三重県 22.98万円 64.06万円 339.82万円
滋賀県 25.23万円 66.31万円 369.07万円
京都府 30.27万円 89.60万円 452.84万円
大阪府 29.15万円 78.18万円 427.98万円
兵庫県 27.30万円 83.02万円 410.62万円
奈良県 26.33万円 67.63万円 383.59万円
和歌山県 29.83万円 91.93万円 449.89万円
鳥取県 24.60万円 62.94万円 358.14万円
島根県 22.87万円 78.28万円 352.72万円
岡山県 23.60万円 67.69万円 350.89万円
広島県 29.15万円 102.99万円 452.79万円
山口県 25.13万円 93.50万円 395.06万円
徳島県 23.50万円 75.37万円 357.37万円
香川県 24.42万円 65.85万円 358.89万円
愛媛県 24.33万円 81.94万円 373.9万円
高知県 25.06万円 69.91万円 370.63万円
福岡県 25.67万円 83.32万円 391.36万円
佐賀県 25.23万円 77.24万円 380.00万円
長崎県 24.76万円 73.65万円 370.77万円
熊本県 25.03万円 79.49万円 379.85万円
大分県 23.62万円 57.85万円 341.29万円
宮崎県 25.16万円 84.52万円 386.44万円
鹿児島県 22.37万円 58.37万円 326.81万円
沖縄県 24.48万円 46.56万円 340.32万円

※出典:「厚生労働省-令和5年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html

東京都の保育士の給与の平均は高い

保育士(男女計) 平均月給 平均年間賞与等 平均年収
東京都 31.58万円 74.51万円 453.47万円

このように東京都の保育士の平均の給料は都道府県別でみると全国トップクラスの水準になっています。例えば、もっとも保育士の平均給料が低い山形県と比較すると約140万円も差がある状態になっています。

もちろん、この数値はあくまでも統計上の保育士全体の平均値です。若い保育士が多い都道府県は平均年収が低くなっていてもおかしくはないので、本来はその点も踏まえて考慮すべきです。

ただ、すべての東京都に勤務する保育士の給料が他と比べて良いと言えるわけではないですが、平均としては高いというのは間違い無いです。

東京都の保育士の給与はなぜ高い?

例えば、もっとも保育士の平均給料が低い山形県と比較すると約140万円も開きがある状態になっています。なぜ同じ保育士という職業なのにこのような差が生まれるのでしょうか?

東京都独自の保育士処遇改善制度がある

東京都の保育士の給与が高いのは、東京都が独自に保育士の給料を上乗せして支給する処遇改善を行っているためです。

この施策は国が行っている保育士の処遇改善とは別に行われています。つまり、東京都の保育士は国の処遇改善+東京都の処遇改善が給料に上乗せされて支給されるということになります。

当然ですが、その分が東京都の保育士の平均給与をアップさせる要因になっています。この東京都の独自の処遇改善は「東京都保育士等キャリアアップ補助金」というものになります。

他の都道府県でも差があるのは、その他の都道府県や市区町村においても独自に処遇改善を行っていることがあるためです。例えば、横浜市や川崎市なども独自の保育士処遇改善を行っており、神奈川県の保育士の平均給与もやや高いです。

自治体で財政的に余裕があることに加えて、待機児童が多く発生している地域では、このような独自の処遇改善が行われている場合があります。

保育士不足で保育士確保の競争も激化

東京都の保育士の給与が高いのは、東京都の独自の処遇改善制度に加えて、保育士不足がより深刻になっているという状態が挙げられれます。

保育士不足で保育士を採用しようとしても採用ができないと、保育園は子どもを預かることができなくなってしまいます。最近では、保育士不足で園児受け入れ定員を削減している保育園もあります。子どもを預かることができないと保育園は運営費をもらうことができません。

そうならないために、保育園も保育士の給料などを改善して募集をかけるという動きが増えてきています。そのことも東京都の保育士の給料を引き上げているひとつの要因になっています。

もちろん、保育園が保育士に支払うことができる金額というのは限られているので、保育士が足りないからといって青天井で給料を釣り上げるということはできません。そんなことをしてしまうと保育園が赤字になってしまいます。赤字になってしまうと、運営が続けれられなくなってしまいます。

しかし、その限らてた中でも保育士を確保しようと、給料などもより良い条件を設定している保育園が増えてきています。例えば、とある保育園会社では、新卒保育士の初任給を23万円に設定していたりします。

東京都保育士等キャリアアップ補助金とは?

東京都保育士等キャリアアップ補助金とは一体どのようなものなのでしょうか。

※出典:「東京都保育士等キャリアアップ補助金」https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/jigyo/kyaria-hoiku.html

東京都保育士等キャリアアップ補助金の概要

東京都保育士等キャリアアップ補助金の概要は以下です。

目的:保育士等が保育の専門性を高めながら、やりがいを持って働くことができるよう、保育士等のキャリアアップへ向けた取組に要する費用の一部を補助することにより、保育サービスの質の向上を図る。

対象経費:交付対象施設に勤務する職員(非常勤職員及び法人の役員等を兼務している職員を含む。)の人件費(ただし2分の1以上を賃金改善に充てる)

交付条件:(1) キャリアパス要件
(2) 福祉サービス第三者評価の受審・結果の公表
(3) 情報公開等の取組
①財務情報の公表、②モデル賃金等の公表、③非常勤職員の賃金改善

基本的には、保育士の待遇改善とキャリアアップが目的の制度になります。それに伴ってしっかりと保育士として働く人の確保しようということが狙いの制度になります。

結局、保育士の一人あたり給料にどんな影響がある?

保育士等キャリアアップ補助金による全施設・事業における保育従事者(常勤職員)の職員1人当りの賃金改善月額の平均額は35,763円(平成27年度23,299円)、職員1人当りの賃金月額の平均額は318,520円(平成27年度287,321円)となっている。
また、保育従事者(非常勤職員)の職員1人当りの賃金改善月額の平均額は18,161円(平成27年度11,588円)、職員1人当りの賃金月額の平均額は211,161円(平成27年度176,509円)となっている。
平成29年度から補助金交付の要件とした保育従事者(非常勤職員)の賃金改善を行った施設・事業は2,063か所(平成27年度1,063か所)であり、集計対象施設に対する割合は95.7%(平成27年度63.2%)となっている。

※出典:保育士実態調査結果の概要〈中間のまとめ〉及び保育士等キャリアアップ補助金の実績報告等に係る集計結果を取りまとめました
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/03/06/05.html

賃金改善月額の平均は、

  • 常勤の職員一人あたり 35,763円
  • 保育従事者(非常勤職員)の職員1人あたり 18,161円

となっています。

保育士が常勤として東京都で働く場合、年収に換算すると約42万円が上乗せされているということになります。また、非常勤職員では、約21万円が改善されているという結果です。

ちなみに、これは平成29年度のデータをまとめたものなので、最近ではもう少し改善されている可能性があります。

東京都の保育士の給料が全体に比べて高いのも納得ですね。

東京都の保育園で働く場合の注意点

東京都保育士等キャリアアップ補助金の交付状況や、支給実態については入職する前にしっかりと保育園に確認することが大切です。

東京都保育士等キャリアアップ補助金はすべての保育園が対象になるわけではありません。前述したように、東京都保育士等キャリアアップ補助金の交付には条件があります。

つまり、保育園が条件を満たしていない・満たそうとしない場合は、交付の対象になりません。

例えば、なにか保育園に後ろめたいことがあって、財務情報やモデル賃金を公表できない場合は、その施設は東京都保育士等キャリアアップ補助金の交付対象ではなくなります。その保育園に勤務する保育士の給料は改善されません。それ以外にも、保育園が単に面倒臭がって、東京都保育士等キャリアアップ補助金の受け取りの申請をしないということも考えられます。

また、対象の経費については、2分の1以上を賃金改善に充てるとされていますが、残りの部分については、人件費充当分として使える費用になっています。

人件費充当分として使える費用:職員給与(各種手当など含む)、職員賞与、非常勤職員給与、派遣職員費、退職給付費用、法定福利費

つまり、仮に同じように補助金の交付対象であったとしても、保育園によって賃金上乗せに使われる費用に差があるということです。簡単に言うと、全額を保育士の賃金改善にあててくれる保育園もあれば、全体の1/2だけという保育園もあるということです。

同じように東京都保育士等キャリアアップ補助金の交付を受けている保育園においても差が出てしまうという状況になっています。

【まとめ】保育士として働くなら東京都はおすすめ

今回の記事のまとめとして、保育士として就業する場所にこだわらないのであれば、東京都での就業はとてもおすすめです。

それはここまで説明してきた東京都独自の保育士処遇改善制度「東京都保育士等キャリアアップ補助金」があるためです。他の自治体にも同様の制度がある場合もありますが、東京都のものがダントツで条件が良いです。その結果として、東京都の保育士の平均年収は他府県と比べても高い傾向があります。また、就業中の賃貸に関しても東京都はほとんどの市区で「保育士宿舎借り上げ制度」を実施しています。この制度を活用すれば、月額約8万円程度の賃貸にほとんど自己負担なく住むことが可能になります。東京都内のほとんどの市区ではこの「保育士宿舎借り上げ制度」が利用できる現状になっています。

保育士宿舎借り上げ制度については以下の記事を参照してみてください。

認可保育園は厚生労働省の定める保育所保育指針に従って運営しているので、どの地域で就業したとしても、基本的には保育士の仕事内容に大きな違いはありません。もちろん、人間関係や細かい保育指針は全く異なりますが、それは数ある保育園のなかから自分にあうものを選ぶ必要があります。

できるだけ待遇の良い保育園で働きたいですよね。ぜひ可能な場合は、東京都での就業を検討してみてください。