保育園で働く保育士の皆様。これから出産を迎えるという方。
今回は、保育士の育児休業はいつまで取れるのか、そして、その他の育休に関するよくある疑問について紹介します。
育児休業を取得した経験があります
その経験が参考になればと思います
※参照・引用「厚生労働省・育児休業制度」https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355360.pdf
保育士の育休はいつまで取れる?
育児休業は、産後57日目から子どもが1歳になる誕生日の前日までが取得することができます。
さらに1歳以降も以下の事由に該当する場合は最大2歳まで育児休業の延長が可能です。
- 保育所に入所を希望し、申込みをしているが、子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合
- 子の養育を行っている子の親である配偶者で、子が1歳に達する日後の期間について常態として当該子の養育を行う予定であったものが次のいずれかに該当した場合
- 死亡したとき。
- 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により当該申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき。
- 婚姻の解消その他の事情により常態として当該申出に係る子の養育を行っている当該子の親である配偶者が子と同居しないこととなったとき。
- 6週間(多胎妊娠の場合にあっては14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過しないとき。
育児休業を取得する条件は?
育児休業は子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業のことです。そのため、勤めている会社によってできる出来ないということではありません。また、男女の性別は問いません。
条件は、
- 子が1歳6カ月に達する日までに、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと
となります。
また、以下に該当し労使協定がある場合は育児休業を取得することができません。
- 雇用された期間が1年未満
- 1年以内に雇用関係が終了する
- 週の所定労働日数が2日以下
つまり、期限の定めのない無期雇用の正社員や週3日以上働くパート保育士の方は、確実に育児休業を取得することができます。また、労使協定がなければ、週2日以下しか働かいないパートや契約期間が1年以内の保育士も対象となります。
雇われている会社・法人によっては1歳以降も育児休暇が取得できる場合も
勤務している保育園の会社や法人によっては、1歳以降も 育児休暇 を取得できる場合があります。これは、会社が独自に定めている休暇で、育児休業とは違うものです。そのため、会社独自の育児休暇を取得している間は、育児休業給付金を受け取ることはできません。
会社独自の育児休暇制度を利用して休暇を取得する場合の給料や手当などは、それぞれの会社によって規定されています。基本的には、手当てなどは支給されずに、無給での休暇になる会社が多いです。
保育士の自分の子の保活について
お子さんが早生まれ(1〜3月)の場合は、その年の4月に入所したい場合は、基本的に出産前に4月の入園申し込みをする必要があります。
出産後に申し込みをするという場合は、途中入園にするか、翌年の4月のタイミングで入所するということになります。この場合は、待機児童などが発生しているエリアにおいては、途中入園は枠がないことが多いです。また、1歳児クラスは前年度の0歳児クラスからの持ち上がりあるため、枠が少なくなってしまうことがあります。
お子さんが早生まれではない(4月〜12月)の場合は、翌年の4月のタイミングで保育園に入所することになります。ただし、お子さんが10月〜12月生まれという場合は、出産後だと、自治体の申し込み受付のタイミングによっては、4月の入園申し込みが終了している場合もあるので注意しましょう。
また、保育園で働く保育士の場合は、お子さん優先入所ができる自治体もあるので、高い優先順位で入所できる場合があります。
認可保育園の場合は、保育士が自分の子を自分が働く保育園に預けるという場合でも、他の保育園に申し込むのと同様に、自治体に入所申し込みをする必要があります。そして、入所についても、自治体が入所調整を行うので、必ず入所ができるとは限りません。
保育士の育児休業のその他のよくある疑問を紹介
ここからは、保育士の育児休業のその他のよくある疑問を紹介します。
育児休業期間中の給与はどうなる?
育児休業期間中は、育児休業給付金を受け取ることができます。育児休業期間中の賃金については、法令上は賃金の支払いを事業主に義務付けていません。その代わりに雇用保険が育児休業給付金を給付します。
支給される金額は支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%、育児休業の開始から180日経過後は50% 相当額になります。休業期間中はおおよそ6割から5割程度が給付金として支給されるということになります。
育休期間中の社会保険料や税金はどうなる?
ちなみに、育児休業期間中は社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の支払いは免除されます。
事業主の方が年金事務所又は健康保険組合に申出をすることによって、育児休業等(育児休業又は育児休業の制度に準ずる措置による休業)をしている間の社会保険料が、被保険者本人負担分及び事業主負担分ともに免除される制度です
※引用「厚生労働省 育児休業等期間中の社会保険料」https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/ryouritu/pamph/dl/06_0004.pdf
住民税に関しては、前年分を翌年度に支払う形なので、育休期間中も前年度分の住民税の支払いが必要になります。就業中とは異なり、自宅に直接請求書が届くので、それによって支払う形になります。
所得税に関しては、育児休業給付金は所得ではないので、育休期間中に請求されるということはありません。
育休期間中の保育士宿舎借り上げ制度はどうなる?
保育園で就業中に、保育士宿舎借り上げ制度を利用して賃貸に住んでいるという方もいらっしゃると思います。
市区町村や働いている保育園によって多少のルールの違いはありますが、保育士宿舎借り上げ制度をした保育士が出産や育休に入る場合は、基本的に継続してそのまま法人が借り上げている賃貸に住むことができます。
ただし、市区町村や保育園によってもルールが異なる場合があるので、詳細は確認が必要です。
勤めている保育園に早めに復帰してほしいと言われた
勤めている保育園から、早めに育児休業から復帰して働き始めてほしいと言われたという方もいらっしゃると思います。
結論としては、育児休業は、保育園側が期間を早める変更をすることはできません。そして、勤めている保育園の指示で取得するものではないので、従う義務はありません。
先程も書いた通り、少なくとも子どもが1歳になるまでは、育児休業を取得することが可能です。その後は、保育園が決まらず待機児童となった等の場合に、さらに延長することができるという形になります。そもそも、自分の子を保育園に入れることができなければ復帰はできないので、年度途中での復帰は現実的ではないです。
育児休業はあくまでも労働者の権利になるので、自分自身の希望や意志で復帰のタイミングを決めることができます。
途中で復帰を早める、遅らせることはできる?
育児休業の復帰を早めることを「繰上げ」、遅らせることを「繰下げ」と言います。
まず、復帰を早める(繰上げ)は、基本的にはできません。保育園は育休取得者が出るにあたって、代替の人員を雇用しています。そのため、早めに復帰してしまうと、余分な人員が出てしまい、その分の給与も支払う必要が出てしまいます。そのため、基本的にはできないようになっています。
ただし、勤務している保育園の法人や会社に、育児休業の繰上げの規定があったり、保育園の状況などによっては繰上げて復帰することができる場合もあります。いずれにしても、繰上げでの復帰を希望する場合は、勤務している保育園に相談が必要です。
一方、育児休業の復帰を遅らせる「繰下げ」は1ヶ月前に申し出ることで、1回まで遅らせることができます。それとは別に、先ほども書いた、保育園が決まらず待機児童となった等の場合に、さらに延長することが可能です。
まとめ;保育士の育休はいつまで取れる?その他のよくある疑問も紹介。
今回は、保育士の育児休業はいつまで取れるのか、そして、その他の育休に関するよくある疑問について紹介しました。
育児休業は、産後57日目から子どもが1歳になる誕生日の前日までが取得することができます。また、待機児童となった場合は、最大で2年まで延長することができます。
- 育児休業期間中の給与はどうなる?
- 育休期間中の社会保険料や税金はどうなる?
- 育休期間中の保育士宿舎借り上げ制度はどうなる?
- 勤めている保育園に早めに復帰してほしいと言われた
- 途中で復帰を早める、遅らせることはできる?
という、よくある保育士の育休期間中の疑問にも回答しました。これから産休・育休を迎えるという保育士の方に参考になれば幸いです。