目次 | 内容 |
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「理念」って何? | ・組織の根本的な考え方 ・行動の統一、迷いの解消、組織の一体感をもたらす |
保育園の掲げる「保育理念」とは? | ・保育園運営の根本的な考え ・「保育方針」「保育目標」とも言う ・保護者へのアピール、保育士の意思統一のため提示 ・園の特色を表現するもの |
大手保育園の保育理念の例 | ・日本保育サービス: 自ら伸びる力、後伸びする力、五感で感じる保育 ・ライクキッズ: あたたかな環境で、生きる力を育てる ・グローバルキッズ: 豊かに生きる力を育てる、愛おしい存在として認め、命を守り、心地よく生きる |
働く保育園を選ぶ際は保育理念をよくチェックしよう | ・保育士の日々の仕事に大きな影響 ・「良い悪い」より自身の「保育観」と「合うか合わないか」が重要 ・理念を掲げていても、現場で実践されていない場合がある ・人間関係、給与、残業などの他要素も園選びの基準 ・見学時に現場の保育士へ理念の具体的な実践について質問 ・保護者の口コミや保育士転職サイトも参考に情報収集 |
まとめ:保育園の保育理念とは?働く保育士は園の保育方針をチェックしよう! | ・保育園運営の根本的な考え方 ・保育士にとって理念は、自身の「保育観」と「合うか合わないか」が大切 ・理念への共感が即ち良い園ではない ・園選びには、理念に加え多角的な情報収集が不可欠 ・自身の保育観を明確にし、慎重に園を探すこと |
よくある質問(FAQ) | ・理念と方針、目標の違い: 理念は園全体の根幹となる考え、方針は具体的な活動、目標は短期的な到達点 ・保育観の言語化: 経験を振り返り、感じたことや改善点を深掘り。尊敬する保育士や理論も参考 ・理念の実践度見極め: 掲示物、作品、活動の様子から理念反映度を確認。職員間のコミュニケーションや安全管理も重要 ・働きがい、専門性向上: 職員育成方針、研修制度の充実、労働時間の実態、チームワーク、人事評価制度も確認ポイント ・理念浸透確認の質問: 「日々の保育で意識すること」「子どもたちの成長への繋がり」「働く働きがい」などを具体的に質問 ・理念が合わない場合: 園内での相談、または理念を重視した転職活動も選択肢 |
- 保育理念って何?
- 保育方針って何?
- 保育目標って何?
保育士として働く上で、自分に合った保育園を見つけることは、働きがいを感じ、長く活躍するために非常に重要です。
園の運営における根本的な考え方である「保育理念」はとても大切ですが、理念が現場でどのように実践されているかを見極めることが何よりも大切になります。

今の園の理念と合わなくて働きにくさを感じています。自分に合った保育園はどのように見極めたら良いのでしょうか?

保育理念の理解と具体的なチェックポイント、そして自身の価値観に合った園を見つける方法を知ることが重要です。
- 自宅から近い
- 残業が少ない
- 休みが取りやすい
などの指標もとても大切ですが、働く保育園を選ぶ上では「保育理念」もとても大切な指標になると思います。
今回は、保育園が掲げる「保育理念」についてを解説します。保育理念をよく理解して、保育園に入職してからなんかこの保育園合わないなぁと思うことがないようにしたいですね。
その経験が参考になればと思います
「理念」って何?
経営理念や企業理念などのように、会社組織で使われることが多い言葉が「理念」です。
辞書的な意味としては「事業・計画などの根底にある根本的な考え方」となっています。もし、ある組織内で、統一された理念が浸透していれば、何か判断に迷った際は、この根本的な考え方に従って行動することで、同じ方向を目指して行動することができます。
これによって、個人の行動に迷いがなくなったり、組織として統一感を図ることができます。
保育園の掲げる「保育理念」とは?
「理念」の言葉としての定義は説明しましたが「保育理念」は一体どのような意味なのでしょうか。
「保育理念」とは、日本中に存在する各保育園が保育園を運営するにあたっての、根本的な考え方になります。 「保育方針」「保育目標」などと言ったりもします。
保育園は「保育理念」を掲げることで、保護者へのアピールや保育士の意思統一を図っています。
ちなみに、子ども家庭庁の保育所保育指針解説によると、保育園の保育の目標は以下のように書かれています。
保育所は、それぞれに特色や保育方針があり、また、施設の規模や地域性などにより、その行う保育の在り様も様々に異なる。しかし、全ての保育所に共通する保育の目標は、保育所保育指針に示されているように、子どもの保育を通して、「子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培う」ことと、入所する子どもの保護者に対し、その援助に当たるということである。
※参照「子ども家庭庁 保育所保育指針解説」https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/eb316dce-fa78-48b4-90cc-da85228387c2/f4758db1/20231013-policies-hoiku-shishin-h30-bunkatsu-1_24.pdf
この保育の目標を達成するための、園の特色や保育方針を端的に表すのが、「保育理念」と言えます。
会社で言えば、社訓や経営理念などに該当するもので、その保育園の特色を表現しています。
多くの保育園では子どもたちの成長をどう実現するかということを保育理念として定義しています。保育理念は、園長や理事長(入れ替わっている場合は昔の園長)などの方々が定めていることが多いです。
その保育園を利用する保護者も、園を選ぶ際に保育理念を参考にすることがあります。働く保育士もその理念を参考にして働く園を選ぶ基準にすることがあります。
大手保育園の保育理念の例
ここでは、大手保育園の保育理念の例を紹介します。理念は調査日(2020/06/08)時点の物になります。
日本保育サービス
自ら伸びようとする力
こどもたちが自ら成長のきっかけをつかみ、ひとつひとつ「できる喜び」を実感することで、「生きる力」を獲得することを目指します。
後伸びする力
目先の結果や成長を期待したり、こどもたちに要求したりするのではなく、個々の特性を重んじ、長期的な視点から、保育を行います。
五感で感じる保育
四季や自然の力を体感させ、視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚の五感で感じる保育の充実を目指します。
※参照「日本保育サービス 保育理念」https://www.nihonhoiku.co.jp/facilities/nursery-philosophy.html
ライクキッズ
ライク子ども理念
のびやかに育て 大地の芽
あたたかな環境の中で、一人ひとりの心に寄りそい、人や物・自然との豊かな出会いや体験を通して生きていく力を育てます。

グローバルキッズ
「豊かに生きる力を育てる」
一人ひとりの子どもが、
かけがえのない人生を豊かに歩んでいくために、
その人生のスタートである乳幼児期を
『愛おしい存在』として認められ、その『命』を守られ、
『心地よくいきいきと生きる』こと。
グローバルキッズは、これが最も重要であると考えています。子どもの気持ちを尊重し、受け止め、認めることで、
子どもは『自己』を十分に発揮します。
そして周りの人への信頼感が育ち、
『自分は大切な存在』であることを感じ取っていきます。子ども達が日々の生活をとおして、
『自分を大切にし』『人を大切にする』という
人として大切な力が育っていくよう、
丁寧に、広い視野と客観性を持って保育を行います。
※参照https://www.gkids.co.jp/hoiku/
例として挙げましたが、三者三様でそれぞれの保育園の考え方が出ていると思います。
このように各保育園では、理念として共通のものを掲げて運営しています。保育理念を見ることで、各保育園の考え方などが少し垣間見れると思います。
働く保育園を選ぶ際は保育理念をよくチェックしよう
- 保育理念は良い悪いではなく、合う合わないが大切
- 保育理念が自分にあっている = 自分にとって良い保育園 とも限らない
- 見学時に現場の保育士に聞いてみよう
- 保護者の口コミを参考にしよう
- 保育士転職サイトに聞こう
保育士が、働く保育園を選ぶ際は保育理念をよくチェックすることが大切です。保育理念は保育士の日々の仕事にも大きく影響を与えることになります。
保育理念は良い悪いではなく、合う合わないが大切
保育園の保育理念は、大抵の場合、保育園のホームページ等をチェックすれば出て来ると思います。先程の大手保育園の保育理念の例も調べたら出てきたものです。
特に保育理念については、保育士にとって自分の「保育観」と合うかどうかということも大切です。
「保育観」は、保育士が働く上で大切にしている考え方です。
保育理念は保育士が働く中で意識しなければいけないものです。保育観と保育理念が一致しないと、自分の考えに合わない保育をしなければいけなくなるかもしれません。
そうなってしまうと、日々の勤務が苦痛に感じてしまうこともあると思います。
保育理念が自分にあっている = 自分にとって良い保育園 とも限らない
前項で、保育理念については、保育士の「保育観」が合っていることが大切と書きましたが、
仮に保育士本人にとって保育理念が良いと感じたとしても、その保育園が良い保育園とは限りません。
保育理念を掲げている = それを実践できている とは限りません。
うまく保育の定員を満たすために保護者向けに立派な保育理念を掲げているだけで、現場では保育理念は軽視されている場合も多いです。
そのような保育理念を働く保育園を選ぶ際には参考にしたところで、全く意味がないものになってしまいます。
また、仮に保育理念を実践できていたとしても、その他の要素においても、合う保育園・合わない保育園というのがあります。
その他の要素というのは、例えば、人間関係(嫌な先輩や園長がいる)とか、勤務待遇面(給与が安い、サービス残業が多い)等の様々な要素のことです。
保育理念に共感できる、自分に合っているというだけで、働く保育園を選んでしまうと、別の要素が合わずにつまずいてしまうかもしれません。
見学時に現場の保育士に聞いてみよう
保育園を見学する際に、現場の保育士に保育理念について聞いてみることも有効な手段です。
現場の保育と話すチャンスがあれば、
- 保育理念の〇〇ってどういう意味ですか?
- 〇〇っていう理念があると思うんですけど、どういうことが保育中に行われていますか?
などのような形で、あくまでも興味があるということを伝えながら聞いてみると良いと思います。
保育理念が現場まで浸透していないただの看板であれば、まともな返答は帰ってこないかもしれません。
このような場合は、保育士と園長の意思疎通や、統制がうまく取れていない可能性があります。
もちろん、そうではなく、単純に個々がある程度自分の裁量で自由に保育を行っているということかもしれません。
いずれにしても、保育理念から様々な保育園の情報を得られると思います。
保護者の口コミを参考にしよう
見学や面接だけでなく、保育園の保護者の口コミを参考にするのも有効な手段の一つです。
良い口コミ、悪い口コミもあると思いますが、保育園の保育理念などと照らし合わせて、どのような保育を行っているのかということを利用者目線の情報を知ることができると思います。
それなりに大規模で歴史がある保育園でないと、口コミ数が多くないのがネックではありますが、とても参考になる情報だと思います。
保育士転職サイトに聞こう
最後に、自分自身に合った保育理念や働き方の保育園を探す有効な方法は、保育士転職サイトに相談することです。
転職サイトは様々な保育園の特色などを把握しています。実際に、担当者も園への面接に同行していることも多く、保育園の内部事情にも詳しいです。普通は働かないとわからないようなことも知っている場合があります。
転職サイトを利用して転職活動を行うことで、保育理念だけに関わらず、様々な要素で自分の希望にあった保育園を見つけやすくなります。
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まとめ:保育園の保育理念とは?働く保育士は園の保育方針をチェックしよう!
保育園の保育理念は、各園が運営する上での根本的な考え方であり、働く保育士が自分に合った職場を見つける上で非常に重要です。
保育士が働く保育園を選ぶ際、この「保育理念」は重要な参考情報となります。しかし、保育園の保育理念は抽象的なものも多く、自身の保育観を言語化することも容易ではない場合があります。
あなたにとっての理想の保育園を見つけるには、保育理念だけでなく、自分が働く上で大切にしたい条件を明確にし、本記事で紹介した見極め方を参考に、慎重に園探しを進めることが大切です。
よくある質問(FAQ)
- Q保育理念と保育方針、保育目標にはどのような違いがありますか?
- A
保育理念は園全体の根幹となる最も大きな考え方です。
園が目指す子どもの姿や保育のあり方を定める指針となります。
それに対し、保育方針は、その理念を具体的な日々の保育活動や保育士の行動に落とし込んだものです。
例えば、理念が「主体性を育む」であれば、方針として「自由遊びの時間を長く設ける」「子どもが自ら選べる環境を整える」といった内容が挙げられます。
保育目標は、より短期的な子どもの発達段階や季節に応じた到達点を示す場合が多いです。
これらは相互に関連し、園の保育理念を実現するために保育方針や保育目標が具体的に定められるという関係性があります。
- Q自身の保育観を言語化するために、具体的にどのようなステップを踏めば良いですか?
- A
ご自身の保育観を明確にするには、これまでの保育経験を振り返ることが大切です。
例えば、心に残っている子どもの成長エピソードや、嬉しかった瞬間、また悩んだり壁にぶつかったりした経験を具体的に書き出してみましょう。
その中で「なぜそう感じたのか」「どうすればもっと良い保育ができたのか」と問いを深掘りしてください。
そうすることで、「自分はどのような子どもを育てたいのか」「保育士として何を一番大切にしたいのか」といった核となる考え方が見えてきます。
さらに、尊敬する保育士の働き方や、共感する保育理論について調べてみるのも良い方法です。
- Q園の保育理念が現場で実践されているかを見極めるには、見学時に他にどのような点を確認すれば良いでしょうか?
- A
記事でご紹介した現職の保育士さんへの質問に加え、いくつかのチェック項目があります。
まず、園の掲示物や子どもたちの作品、活動の様子を観察してみてください。
そこに理念が反映されているか、例えば「創造性を育む」という理念なら、自由な発想を促す環境や工夫が見られるか確認します。
次に、職員間のコミュニケーションの様子です。
活発な意見交換や、子どもに対する共通のまなざしがあるか見ることで、理念がチーム全体に浸透しているかを感じ取ることができます。
さらに、安全管理や衛生管理の体制も重要ですし、子どもたちが安心して過ごせる環境が整っているかは、保育の質の根幹をなす要素なので必ず確認しましょう。
- Q働く保育士にとって、保育理念以外に「働きがい」や「専門性向上」に繋がる園選びのポイントはありますか?
- A
働く保育士にとって、保育理念への共感は大前提ですが、それ以外にも「働きがい」や「専門性向上」に直結する要素はたくさんあります。
具体的には、職員の育成方針や研修制度が充実しているかを確認することが重要です。
新しい知識やスキルを習得できる機会は、ご自身のキャリア形成に大きく影響します。
また、サービス残業の有無や有給休暇の取得しやすさといった労働時間に関する実態も、長く働く上で非常に大切な要素です。
職員が助け合えるチームワークがあるか、定期的な人事評価でご自身の成長を実感できる仕組みがあるかなど、より具体的な職場環境に目を向けることをおすすめします。
- Q園の保育理念が現場にどの程度「浸透」しているか確認するための具体的な質問例を教えてください。
- A
園の保育理念が単なるお題目ではなく、現場に活きているかを知るための質問は重要です。
「〇〇という保育理念を掲げていらっしゃいますが、先生方が日々の保育で特に意識されていることは何ですか?」と具体例を尋ねてみるのが良いでしょう。
また、「この理念は、子どもたちのどのような成長に繋がっていると感じますか?」といった、結果に焦点を当てる質問も有効です。
さらに、「先生方にとって、この園で働く働きがいは何ですか?」と聞くことで、理念と個人的なモチベーションがどう結びついているかを測ることが可能です。
もし、具体的なエピソードや熱意ある回答が得られれば、理念が深く浸透している証拠であると言えます。
- Q保育理念が合わないと感じた際に、働き続ける以外の対応策はありますか?
- A
保育理念がご自身の保育観と合わないと感じることは、保育士として成長していく上で直面する課題の一つです。
働き続ける以外の選択肢としては、まず園内で信頼できる先輩や園長先生に相談し、ご自身の保育観と園の理念との間に感じているギャップを話し合う機会を持つことです。
新たな視点や解決策が見つかる場合もあります。
もし改善が難しいと感じるのであれば、「保育士 転職 理念」を重視した園探しを検討することも一つの道です。
転職サイトの活用はもちろんのこと、ご自身の経験やスキルを活かし、より理念が合致する環境でキャリア形成を目指すことも大切な選択です。
ミスマッチの解消は、ご自身の働きがいにも繋がる重要なステップです。