保育園で働く保育士のみなさま。これから転職を考えている方。
せっかく転職をするならなるべく給料は下げたくないですよね。でも、保育園で働く保育士の転職において、給料が下がってしまったという例も少なくないです。これは、手当や国や自治体の処遇改善費などがあり、保育士の給与体系が非常にわかりにくくなっているということにも原因があります。
今回は、保育士転職で給料が下がってしまう場合のよくある理由を紹介して、保育士が転職時に給与を下げないための対処法について解説します。
また、今働いている保育園にあまりにも不満が多いと、給料が下がっても良いからとにかく転職したいと思ってしまうこともあると思います。ですが、保育士が給料が下がっても良いから転職したいという考え方は少し危険な思考になります。
、保育士が給料が下がっても良いから転職したいという考えはどうして良くないのかという理由と、結局どうすればよいのかという点についても解説します。
複数回の転職経験があります
転職で給与アップした経験があります
給料が下がっても良いから転職したいと考えて転職活動を行った経験があります
その経験が参考になればと思います
保育士転職で給料が下がってしまう場合のよくある理由を紹介
保育士が転職を機に給料が下がってしまうということがあります。もちろん、単純に転職後の保育園の給与水準が今と比べて安かったという場合もあります。それをのぞいた場合に、保育士転職で給料が下がってしまう場合のよくある理由を紹介します。
保育施設の種類が異なるため
一般的に総合すると、認可保育園や認定こども園などと比べると、認可外保育施設で働くほうが保育士の給料は下がる傾向があります。認可保育施設と比較すると、補助金などが充実していないためです。
- 認可保育園
- 認定こども園
- 小規模事業者
- 企業主導型保育事情
- 認証保育園
- 認可外保育園
さまざまな保育施設があるので、それらの施設ごとの給与面の違いも把握しましょう。
地方などへの引っ越しを伴う
首都圏や都市部では、保育需要が高いわりに保育士が不足していることが多いため、保育士の獲得競争も激化していて給与水準も高い傾向があります。
それに加えて、都道府県や市区町村などの自治体が独自の処遇改善手当を保育園で勤務する保育士に対して実施していることがあります。例えば、東京では、「東京都保育士等キャリアアップ補助金」という独自の処遇改善施策を実施しています。
賃金改善月額の平均は、
- 常勤の職員一人あたり 35,763円
- 保育従事者(非常勤職員)の職員1人あたり 18,161円
となっています。(※平成29年度のデータ)
※参考:保育士実態調査結果の概要〈中間のまとめ〉及び保育士等キャリアアップ補助金の実績報告等に係る集計結果を取りまとめました
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/03/06/05.html
そのような処遇改善加算を受け取ることが出来ていた保育士が、地方などへ引っ越すと、単純に全く同じ条件で転職できたとしても支給される給与額は減ってしまうことになります。転職時に引っ越しを伴う場合は、自治体が独自に行っている保育士の処遇改善に関しても考慮しましょう。
経験が考慮されていない
例えば、幼稚園での勤務経験が考慮されていなかったり、パートとしての勤務期間、認可外保育施設での勤務期間が保育士としての経験として考慮されない場合などです。これらは、保育園によって考え方やルールが異なる部分でもあるので、転職先の保育園でも今までと同じような計算がされるとは限りません。経験年数が低く見積もられると、転職時のスタートの給与額も低くなってしまう場合があります。
処遇改善費の支給有無
先程、都道府県や自治体によって独自に保育士向けの処遇改善を行っていることがあるということを書きました。ですが、同じ自治体であっても、保育園によっては処遇改善を保育士に支給していない場合もあります。事情があって手続きが出来ていなかったり、あまり、保育士のことを考えていなかったり、支給の条件を満たせなかったりなどです。
また、支給額は園長の裁量によって職員間である程度分配ができるので、園全体として同じような処遇改善額が支給されていたとしても、自分が前の保育園と同じ金額を受け取れるとは限らないという点にも注意が必要です。
役職の有無によるもの
転職後の役職に関しても、保育士の給料を大きく左右する要素になります。例えば、現在の保育園で主任保育士として働いていて、転職後は主任保育士の役職ではない場合は、給料に関しても下がる傾向があります。
また、保育士の処遇改善手当に関係する以下の役職に関しても、転職後の給与に関係します。
- 副主任
- 専門リーダー
- 職務分野別リーダー
賞与の支給額が少なくなる
保育士の給与において保育園によって大きく差があるのが賞与に関してです。賞与の支給は義務ではなく、支給される金額も各保育園によってまちまちです。また、査定評価によっても支給額が増減する制度を採用している保育園もあるので、実際に働きだしてみると想定してたより賞与の支給額が上下するということもあります。実際に支給される金額は、その時の自分の働きや保育園の状況次第になるので、想定より低くなってしまうことも多いです。
もちろん、賞与の支給額は少ないけど、月の基本給が高い保育園、賞与の支給額は高いが、月の基本給が高い保育園など様々です。保育園の給与を比較する時はあくまでも想定される総支給額で比較しましょう。
残業時間が減った場合
転職を機に月々の残業時間が減る場合も、給与が下がってしまう要因の一つです。転職後も今まで同じような残業があるだろうと想定していて、実際に働きだしてから残業が少ないと残業手当の支給金額が想定より減ってしまうことになります。
サービス残業や持ち帰りの仕事がある
これに関しては、働き始めてからの話になりますが、サービス残業や持ち帰りの仕事があると、給与額も少なくなってしまう場合があります。これまでは、きちんと残業代が支給されて残業をしていたものが、残業代が支給されてないサービス残業となってしまうことで、支給される給与額が減ってしまうという場合です。
手当ての支給有無
次に、転職後に保育士の給料が下がってしまう可能性があるのが手当ての支給有無によるものです。以前の保育園でもらえていた特別な手当てがもらえなくなると給与ダウンする可能性があります。
- 住宅手当
- 交通費
- 扶養手当
などです。各保育園ごとに様々な手当が用意されているので、今貰えている手当が転職後にも貰えるわけではありません。基本給は高いけど、実は手当を含めたら逆転したということもあるので要注意です。
また、交通費に関しては勘違いしやすいですが、基本的には自分が実際に利用した分を貰っていると思います。転職を機に交通手段が変わることで、交通費の支給金額が増えた減ったということが起きる場合もありますが、それは実際に自分が貰える給料が下がったり上がったりしているわけではありません。
保育士が転職時に給与を下げないためには?
ここからは、保育士が転職時に給与を下げないためにできる対策について紹介します。
働きながら転職活動をする
保育士が転職時に給与を下げないための1つ目の方法は、今働いている保育園で就業を続けながら転職活動をするということです。
働いている保育園を退職してしまってからの転職活動になり、転職先の保育園が決まらなかったりすると、日々生活費などが消費されていくことになります。給与が支払われなくなるので、当然です。それによって、とりあえず働かなくてはというような焦りが生まれてしまうことになります。そうなると、仕方なしで、給与面で妥協をした保育園を選んでしまう場合もあります。
そうではなくて、今働いている保育園で働きながら転職活動をすれば、基本的には今の給与水準を下回らない保育園に絞って転職活動を進めることが出来ます。そもそも、給与が下がるであろう保育園は転職の選択肢に入れる必要がなく、仮に良い転職先が無かったとしても現在の保育園で働き続けることができ、生活費の消費の心配もありません。
賞与や手当込みの総年収で現在の保育園と給与を比較する
保育士が転職時に給与を下げないための2つ目の方法は、保育園の求人を選ぶ際に、想定される賞与や手当込みの総年収で比較検討するということです。なんとなく基本給が高いとかで給料が今よりも良いように見えてしまいがちですが、保育士の給料は手当ても多いので、厳密に総年収で比較しないと思わぬ給与ダウンが発生してしまうことがあります。
- 基本給
- 手当
- 処遇改善
- 賞与
- 残業手当
など、あらゆる金銭的な要素を加味した上で、現在の職場の総年収と比較すると、働き出してから思ったよりも給料が少なかったということを防ぐことが出来ます。
サービス残業や持ち帰りの仕事の有無に注意する
保育士が転職時に給与を下げないための2つ目は、サービス残業や持ち帰りの仕事の有無に注意するということです。サービス残業や持ち帰りの仕事がある保育園は、精神的にも肉体的にもおすすめできないので、例えば、給与が上がると想定できても避けるべきではあります。このような入職する前には、なかなかわかりにくいような情報は、保育士転職サイトを利用して、保育園の内情などをしっかりと担当者に聞くのがおすすめです。
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※ 保育士の転職サイトは新卒の方や未経験の保育士の方、資格取得見込みの方でも利用可能です。
給料が下がっても良いから転職したいという保育士の思考
今勤務している保育園に多数の不満があると、とにかく転職をしたいと思うと思います。ですが、適当に転職をすれば、今の不満はすべて解決するとは限りません。
現状も不満が増えると、転職時の保育園の求人に対するハードルも下がっていき、給料は安くても良いから、とにかく楽そうで人間関係が良い保育園で働きたいと思うようになることもあると思います。
そうなると「残業なし!」「人間関係良好!」というようなブラック保育園の甘い謳い文句に騙されてしまうことも起きてしまいます。
保育士が給料下がっても良いから転職したいは危険かも?理由を解説!
保育士が給料下がっても良いから転職したいと思ってしまうのは少し危険かもしれません。現状より給料が下がることで、より悪い環境の保育園に転職してしまうリスクが上がるためです。
理由は、
保育園において給料が安いことで解決される不満は少ない
からです。
転職を考えるということは現状に何かしらの不満があるためだと思います。ただ、保育園で働く保育士にとっては、より給料が安い保育園で働くことで解決される不満は少ないと言えます。なぜなら、保育園での仕事というのは、給料が安ければ楽というわけではないためです。多くの保育園が同じような条件で運営をしているので、むしろ、給料が安いほうが仕事の負担が多いこともあります。
現状に不満があるとどうしてもとにかく早く抜け出したいとおもって焦ってしまって、給料待遇を下げてでも転職しようとしてしまいがちですが、他に選択肢があるのにあえてそうする必要はありません。
仕事内容の不満
保育士の仕事の内容の不満というと、担任制度に対する不満や教育・保育手法が自分にあっていないというような不満が挙げられると思います。そのため、給料が安い保育園に転職したからといって、仕事内容の不満が解消されるということはありません。給料の高い低いに関係なく、仕事内容の不満を解消することができるであろう保育園の求人を探す必要があります。
仕事の負担、休暇の取りやすさ
認可保育園であれば、日本全体で同じような制度、同じような仕組みで成り立っています。園児の人数に対する保育士の配置の基準も決まっているので、給料が安い分、保育士がたくさん雇われていて、一人あたりの負担が少ないということはあまりないでしょう。
そのため、給料が安ければ、仕事の負担も少なく楽な保育園であるというわけではありません。ブラック保育園ほど仕事の負担が多く、サービス残業・持ち帰りの仕事が多い、給料も高くないということを考えると、むしろ、給料が安いことによって職員の士気も全体的に低く、仕事の負担が多いとも言えるかもしれません。
人間関係の不満
保育士が転職を考える理由でも多い人間関係の不満ですが、人間関係の良し悪しは給料では測ることができません。
給料が安いと皆穏やかで人間関係が良くなるなんていうようなことはありません。高い給料の保育園ほど、志や意識が高く、高い給料を欲しがる保育士が職員として集まりやすいので、むしろ給料が高いほうが人間関係が良く、低い方が人間関係が悪いという傾向すらあるといえます。そういった意味でも、給料が安い保育園にいけば人間関係の不満が少なくなるということはありません。
むしろより給料が高くなる条件で求人を探してみよう
保育士が給料下がっても良いから転職したいは危険かもということの理由は、給料が安いことで解決される不満は少ないためということを説明しました。
逆に言うと、
給料が高いことで解決される不満は多い
といえます。
先ほども書きましたが、認可保育園であれば、日本全体で同じような制度、同じような仕組みで成り立っています。
そういう状況で近隣の他の保育園よりも高い保育士の給料で運営できているということは、 うまく無駄を省くことができ効率化できている ということになります。園児の人数に対する保育士の配置の基準は決まっているので、全体の保育士の人数を極端に減らすということはできません。ですが、うまいシフトの組み方ができていたり、書類や行事の準備などの効率化、最新のIT技術の導入などができていると、そうでない保育園と比較しても一人ひとりの保育士の負担は少なくなるでしょう。
そのような保育園は、人手に余裕があるので、保育士に残業はもちろん、サービス残業や持ち帰りの仕事をさせる必要がなくなります。当然、休暇に関しても取りやすくなる傾向があるでしょう。
他より給料が良いということは退職する人も少なくなるので、職員もその保育園のことを理解したベテランが多い可能性が高いです。そういった意味でも、保育士ひとりひとりのパフォーマンスは上がっていきます。職員の入れ替わりも少ないので、人間関係も安定する傾向にあると思います。
このように、相場と比べて給料が高い保育園、給料を高くできている保育園というのは、保育士が働きやすい可能性も高いということが言えると思います。
そのため、保育士は「給料下がっても良いから転職したい」ではなく、むしろ「より給料が高くなる条件で求人を探す」ほうが、現状の不満を解決できる可能性が高くなるということです。
まとめ:保育士転職で給料が下がってしまうよくある理由と下げないための対処法を紹介!
今回は、保育士転職で給料が下がってしまう場合のよくある理由を紹介して、保育士が転職時に給与を下げないための対処法について解説しました。
保育士転職で給料が下がってしまう場合のよくある理由は以下になります。
- 保育施設の種類が異なるため
- 地方などへの引っ越しを伴う
- 経験が考慮されていない
- 処遇改善費の支給有無
- 役職の有無によるもの
- 賞与の支給額が少なくなる
- 残業時間が減った場合
- サービス残業や持ち帰りの仕事がある
保育士が転職時に給与を下げないための対処法としては、以下のものを紹介しました。
- 働きながら転職活動をする
- 賞与や手当込みの総年収で現在の保育園と給与を比較する
- サービス残業や持ち帰りの仕事の有無に注意する
せっかく転職をするならなるべく給料は下げたくないですよね。きちんと求人を比較検討して給与アップを目指してみましょう。
現状に不満があるとどうしてもとにかく早く抜け出したいとおもって焦ってしまって、給料待遇を下げてでも転職しようとしてしまいがちですが、他に選択肢があるのにあえてそうする必要はありません。
保育士が給料下がっても良いから転職したいという考えは、現状より悪い環境の保育園に転職してしまうリスクが上がってしまいます。それは、例えば、正社員からパートになるというような雇用形態を変えたことによって給料が下がるということを除けば、保育園において給料が安いということで解決される不満は少ないためです。
認可保育園であれば、日本全体で同じような制度、同じような仕組みで成り立っています。そのため、基本的に同じような地域で同じように運営をしていれば、保育士の給料も同じようになるはずです。でも実際には差があるのは、うまく無駄を省くことができ効率化できているということになります。
逆に言うと、給料が高いことで解決される不満は多いとも言えます。そのため、保育士は「給料下がっても良いから転職したい」ではなく、むしろ「より給料が高くなる条件で求人を探す」ほうが、現状の不満を解決できる可能性が高くなるということです。
保育士は給与待遇も上げて他の不満も解決して転職したほうが良いということになります。