保育士の皆様。これから保育士を目指している方。
保育士の仕事をしている人には女性が多いですが、保育士に女性が多い理由というのはご存知でしょうか?それには様々な背景があります。そして、保育士の仕事は女性が多い職場ならではの特徴もあります。
今回は、保育士に女性が多い理由や、女性の職場ならではの特徴を紹介しています。
その経験が参考になればと思います
そもそも保育士の男女の割合とは?
本題に入る前に、まずは、そもそも保育士として働く人の男女の割合について紹介します。保育園で働く保育士の性別ごとの割合は、「平成30年度「保育人材」に関するアンケート調査の結果について」(2019年1月7日公表)独立行政法人福祉医療機構によると以下のようになっています。
- 女性保育士:95.8%
- 男性保育士:4.0%
※(出典)「平成30年度「保育人材」に関するアンケート調査の結果について」(2019年1月7日公表)独立行政法人福祉医療機構https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/190107_No007_detail.pdf
このように保育士はほとんどが女性という現状になっています。ちなみに、よく比較される女性が多いとされる看護師の場合は、男性看護師の割合は7.8%((出典)厚生労働省「平成 30 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」より)となっています。看護師の場合と比較しても、男性保育士の割合はとても少なくなっているということがわかります。
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保育士に女性が多い理由とは?
ここからは、本題である、保育士に女性が多い理由について説明します。
保育士に女性が多い理由には以下の背景や問題があります。
- 文化的な背景
- 歴史的な背景
- 給料の問題
- 仕事内容の問題
これらについて順番に紹介していきます。
文化的な背景
日本においては、昔から子育ては女性の仕事という風潮が根強くありました。現在でも、そのような考えを持っているという人は少なからずいらっしゃると思います。
保育士の仕事は、子育てと密接に関わる仕事になります。そのため、当然、女性がするべき仕事だ、女性が向いているという考え方をする人は多いと思います。このような文化的な背景から、男性が保育士を目指すという割合が少なくなっているということが考えられます。
歴史的な背景
保育士の資格は昔は、「保母資格」と言われていて、従事する女性は「保母さん」と呼ばれていました。「母」という字からもわかるように、女性が前提とした名称となっていました。今でも年配の方であれば、保育士のことを保母さんと呼ぶ方もいらっしゃいます。もちろん男性の方でも保母(保父)として働いている方は今よりも少数ですがいらっしゃいました。それが保育士という名称に改められたのは、平成11年(1999年)に行われた男女雇用均等法の改正されてからのことです。男女雇用均等法はいわば男女が平等に働こうという趣旨の法律です。
看護婦が看護師と呼ばれるようになったり、スチュワーデスがCA、客室乗務員、キャビンアテンダントと同様な現象とも言えると思います。
このような歴史的な背景からも、女性も男性も保育士は女性の仕事という印象が根強かったので、そもそも男性が仕事として目指しにくいという歴史的な背景もあったと思います。
給料の問題
保育士の仕事は今も昔も全産業の平均的な給料よりも安い水準の仕事となっています。それでいて、日本では男女間の収入格差は今も昔も続いていて、男性のほうが女性よりも平均的にみると良い給料をもらっているという背景があります。もちろん、これには文化的な背景や歴史的な背景も関係しています。
つまり、男性は保育士の仕事と比較してもっと給料の高い職業を目指すことができる可能性が女性よりも高かったため、あえて保育士の仕事を生業とするという選択を取る必要がない場合が多かったということになります。逆に女性の場合は、女性が就業しやすい職業のなかでは、そこまで給料が悪くないという背景もあったでしょう。
仕事内容の問題
保育士の仕事は0歳から5歳児までの子どもの保育を行う仕事ではあります。中には、どうしても女性が担当したほうが都合が良い仕事というものがあります。乳児の着替えの補助などがその例になります。現在でも、特に自分自身で着替えが出来ない乳児(0〜2歳)の担任は、あらぬ疑いや誤解を招くこと避けるという意味でも、なるべく男性には持たせないという考え方を持っている園もあります。
ちょっと例えが違うかもしれませんが、スーパー銭湯の仕事などでも、男湯には女性のスタッフが入ってくることは許されている風潮はありますが、女湯には絶対に男性スタッフは入らないですよね。このような仕事内容上の支障などを原因とする、保育業界全体が醸し出す雰囲気などによって保育士になることを目指すことを辞めてしまう男性もいらっしゃるでしょう。
保育士の仕事の女性が多い職場ならではの特徴<デメリット>
ここからは女性が多いの保育士の仕事の女性ならではの特徴について紹介します。原因が女性が多いからとは限りませんが、以下のようなデメリットはよく聞く話です。
派閥がある
保育園の職場では派閥が発生してしまうこともしばしばです。派閥は、〇〇さん派と△△さん派というように別れ、組織内での壁となってしまう減少です。派閥が組織の円滑な運営を妨げてしまっていることもあるでしょう。
お局がいる
お局とは、保育園を実質的に仕切っているような年長者のベテランの保育士のことです。場合によっては園長よりも園を取り仕切っている雰囲気を醸し出していることもあり、意地が悪く、従わないと園での居場所を失ってしまうこともあります。
いじめがおきやすい
なにか問題がある保育士がいると、組織全体で攻撃をするということが起きやすい傾向にあると思います。もちろん、男性の職場のパワハラなどもあると思いますが、それとはまた違った独特の人間関係があると思います。
陰口が多い
女性が多い職場だと陰口を聞いてしまう、言われてしまうこともあります。陰口が派閥やいじめの発端に繋がってしまうこともしばしばです。陰口はその名の通り、裏での悪口になるので、問題そのものの解決にも繋がりにくいので、非常に厄介です。
マウントの取り合いがおきる
保育園で働く保育士同士はマウントの取り合いが起きることも多いです。
- 保育がうまい
- ピアノがうまい
- 子どもに好かれている
- 経験が長い
- 製作が得意
などなど様々な事柄から、自分のほうが立場が上だとマウント合戦が起きてしまうこともあります。
保育士の仕事の女性が多い職場ならではの特徴<メリット>
逆に、保育士の仕事の女性が多い職場ならではの特徴としてメリットを紹介します。
多様な働き方ができる
保育士の仕事は、多様な働き方ができるというメリットがあります。ほとんど同じ仕事内容で、
- 正社員
- 派遣
- パート
と雇用形態を変えて働くことが出来ます。自分自身の体力や家庭環境などによって好きな雇用形態を選択することができます。
最近では、多様な働き方を推進するという観点から、週休3日正社員保育士の働き方ができる保育園というのも増えてきています。
就職、転職、復帰、産休育休の取得がしやすい
保育士の仕事は、就職、転職、復帰などが他の職種と比較してもしやすい傾向があります。これらは保育士不足という背景も一因としてあります。
また、男性が多い職場だと、産休育休はもちろん制度としてはあっても前例が少なかったりすると、悪気がなくてもどのような対応をすればよいかわからないという組織は少なくないと思います。結果的に、女性にとって産休育休が取りにくい職場になってしまっていたり、退職せざるをえなくなってしまうなどです。
保育園で働く保育士は女性が多いので、前例も豊富であることが多いです。保育士不足で出産などを機に辞められたら困るという保育園側の思いなどもあって、他の産業と比較すると産休育休がとりやすく、復帰もしやすい傾向があると思います。
また、同様に一度、保育士を辞めてしまった潜在保育士の方でも、比較的復帰がしやすい業界になっています。
まとめ:保育士に女性が多い理由とは?女性の職場ならではの特徴を紹介!
今回は、保育士に女性が多い理由などを考察してみました。やはり文化や歴史的な背景から、保育の仕事は女性の仕事というイメージが根強く残っていることが大きな要因として考えられます。
保育士の仕事は女性が多い職場ならではの特徴もあります。
- 派閥がある
- お局がいる
- いじめがおきやすい
- 陰口が多い
- マウントの取り合いがおきる
デメリットもありますが、メリットもあります。
- 多様な働き方ができる
- 就職、転職、復帰、産休育休の取得がしやすい
もちろん、最近では、男性の保育士の方も徐々に増えてきているという印象もあります。