公立保育園の公務員保育士の仕事内容、待遇解説!私立との比較や年収など。

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  • 公立と私立との違いは?

今回は、公立保育園の公務員保育士になる方法などについて解説します。公立保育園の仕事内容や、私立保育園との違い、公立保育園の公務員保育士の注意点なども紹介します。

この記事の信頼性
私は保育園、幼稚園、認定こども園で勤務した経験があります
その経験が参考になればと思います

公務員保育士とは?

公務員保育士とは、その名の通り公立の保育園に勤める公務員の保育士になります。

日本の保育園は大きく、公立と私立に分かれており、公立保育園の多くは市区町村が運営しています。

日本の各市区町村の多くは、市内に公立保育園を運営していて、そこに勤務する保育士も公務員として市区町村に勤務しています。

公立保育園は、ほとんどの市区町村に存在していますが、その数は私立保育園と比べても多いというわけではありません。

特に、都心部などでは、公立よりも私立の保育園の数が圧倒的に多くなっています。逆に田舎の方になると、公立保育園が多い自治体もあります。

公立保育園はなぜ存在する?

前項にも書きましたが、保育園には市区町村が運営する公立保育園と民間の私立保育園が存在します。実際のところ、これについては明確な答えはありません。

事実として公立保育園が民営化されることも起きていて、これによって、市町村の剤線負担を改善できたり、公務員の数を抑制することができます。

であれば、すべての保育所を民営化したほうが良い気もしますが、そうはなっていません。これは、保護者側のニーズによって存続しているという側面が大きいと考えられます。

保護者側のニーズとは、例えば、「勤続年数が長いベテラン保育士が多く質が高い」などが挙げられます。公立の保育園で働く公務員で、待遇も民間の保育所よりは良いことが多く、入れ替わりが少なく安定してます。

公立保育園が民営化されると、すべての保育士などの職員は入れ替わることになります。

子どもにとってもいままでの環境がガラッと変わってしまうので、民営化を反対する保護者は多いです。こういった保護者などのニーズもあり公立保育園は存続しています。

公立保育園は子育て世代に人気?

公立保育園は子どもを預けようと思う保護者にも比較的人気の高い保育園になります。

前述したように、「勤続年数が長いベテラン保育士が多く質が高い」という印象があるため、これから子どもを預けようという保護者からも人気が高いです。

特に最近では、私立の保育所などで、保育士が待遇に不満を抱えて一斉退職するということが起きています。保護者からすると、ある日突然待機児童になってしまうというリスクもあります。

公立保育園はこのようなリスクが少ないというのも人気のポイントになっています。

公立保育園で働く保育士の仕事内容は?

公立保育園で働く保育士の仕事内容は、私立保育園で働く保育士の場合とほとんど変わりません。

保育園には厚労省が定めている保育所保育指針があるため基本的な保育所の方針は同等のものになります。

普通の保育園と同様に季節の行事や書類の仕事などもあります。

公立保育園で働く公務員保育士になるには?

公立保育園で働く公務員保育士になるには、各自治体の採用試験を受ける必要があります。

公務員試験は、一般の企業の就職採用とは違い、教養試験などを受けることになります。これは、世襲や縁故採用などを排除するためです。

自治体によって大学受験程度の各科目の知識が必要になります。筆記の教養試験を突破すると、面接に進むことができて、そこで採用の可否が決定します。

保育士の募集があるかどうかは、自治体や年度によってもことなるので、随時自治体の募集をチェックする必要があります。

日程さえかぶらなければ、複数の市区町村の採用試験を受けることが可能なので、近隣の市区町村を複数受験することも可能です。

私立保育園との違い

ここからは私立保育園との違いについて解説します。

初任給

公立保育園に勤める保育士は公務員になるので、初任給は公務員の給与体系に準ずるという形になります。全ての公務員の給料は、国や各自治体で定める「給料表(国は俸給表という)」というものに基づいて支給されています。

初任給の金額は各自治体によって異なりますが、おおよそ16万円〜18万円程度になります。実は初任給だけを比べると公立の保育園のほうが私立保育園に勤める保育士より低いということもあります。

ただし、後述する昇給の額を考えると公務員の保育士のほうが最終的には高収入になります。

昇給

公務員保育士の昇給に関しても、国や各自治体で定める「給料表(国は俸給表という)」というものに基づいて決定されます。

多くの場合は、年功序列で、毎年数千円程度(5千円〜7千円)昇給します。また、定期的に「級」と呼ばれる役職が上がると、昇給幅も上がります。

私立保育園の昇給は雀の涙ほどであるので、それと比べると昇給額は大きいです。

退職金

こちらも勤続年数や自治体によって異なりますが、新卒で公立保育園に勤めて定年を迎えると、平均では約2000万円程度の退職金が貰えるようです。

これも民間の私立保育園と比べるとかなり高額になっています。

IT化など

公立保育園は、保育園内の設備や連絡帳などのIT化に関しては民間よりも劣っていることが多いです。

特に民間の株式会社の保育園では最先端の技術を用いて、保育士の負担軽減に取り組んでいる場合が多いです。もちろん民間の保育園でも、古いやり方にとらわれてしまっている保育園は多数あります。

異動・転勤について

公立保育園には、異動や転勤というのもあります。私立の保育園では異動や転勤というのはあまりないです。これは私立保育園は小さい法人が多く、多くても同じ法人で数園を運営する程度だからです。公立の場合は、数年おきに異動というのがあります。

場合によっては、保育園以外の福祉施設(児童館等)などへの異動もあり得るので、生涯保育士をしていたいと思う場合は実現できないこともあるかもしれません。

私立保育園の異動の例外は、多数の保育園を運営する株式会社に就職した場合です。この場合は、近隣の保育園への異動などは十分考えられます。

年金など

年金に関しては、以前までは地方公務員の共済年金というのがあり、制度としては優遇されている状態でしたが、2015年に官民の格差の批判を受けて厚生年金に一本化されました。

なので、今後、公務員になる場合は、加入年数が同じであれば、民間との格差はほとんどない状態となっています。

今後も変更の可能性はあるので、詳細は、各機関の情報を参照してください。

各種保育士の処遇改善制度について

最近話題の保育士向けの処遇改善などですが、多くの場合は、公務員保育士は対象外である場合が多いです。例えば、保育士宿舎借り上げ制度などは、公立保育園に勤務する保育士は利用対象外になります。

これは、すでに公立の保育士は比較的待遇が良いので、私立保育士の待遇改善を優先しているという状況のようです。

人間関係

人間関係に関しては、公立・私立どちらが良いということはありませんが、強いていうのであれば、公立保育園にはベテランの保育士が多いということです。

民間の保育園は、場所によっては、新設したばかりで若手ばかりというところもありますが、公立保育園は最近はほとんど新設されるものもないので、ベテランの保育士が多くなっています。

勤続年数が長い保育士が多いのが公立保育園の特徴になります。

休暇など

公立の保育園で働く保育士は基本的に初年度から有給休暇が20日間付与されます。(4月入職の場合は、15日間の有給休暇が与えられます。)実際、何日間休むことができるかはわかりませんが、余った有給休暇は最大20日間分が次年度に繰り越されます。

また、夏季休暇に関しては自治体によっても異なりますが、7〜9月に5日間程度が取得できるようです。

これは、民間の保育園と比べてもかなり良い水準だと思います。私立は、初年度は10月までは有給が使えないことが多く、10月に付与されるのも10日間です。

また、夏季休暇も無いことあったり、あっても3日間程度になっています。

残業・持ち帰り残業・サービス残業など

公立の保育園で働く保育士にも残業というのは当然発生し得るものです。公立保育園でも場所によっては、残業は発生することになると思います。

むしろ民間の保育園よりIT化が進んでいない書類仕事などが多く、残業が発生している側面もあると思います。

公立だから定時上がり・持ち帰りもなしとは限らないので注意が必要です。ただ、民間とは違い、持ち帰り残業・サービス残業などの所謂「違法残業」が発生するということは基本的にはないと言っていいと思います。

安定性

安定性に関しては公立保育園は公務員なので言うまでも無く、非常に安定していると言えます。

万が一、公務員を退職せざるを得なくなったとしても、保育士としての経験があれば民間の保育園で働くことも可能です。給与は下がると思いますが。

公務員保育士の注意点

公務員保育士を目指す際の注意点をいくつか紹介します。

保育士の募集がない場合も多い

最近では、住んでいる自治体や近隣の自治体に保育士の募集がないということも多くなっています。

公立保育園自体が民営化の流れで減っているということに加えて、現在働いている公務員の保育士も離職することはすくないので、必然的に募集も少ないです。

それでも、保育士を目指す人は一定数が毎年いるので、狭き門かもしれません。

応募には年齢制限があることが多い

地方公務員の規定などで新規採用に関して年齢制限を設けていることも多いです。年齢制限はどうやっても突破することができないので、これらか公立保育士を目指す方は注意したほうが良い点です。

保育園以外への配属も有り得る

自治体によっては保育園での保育士という枠での採用であっても、保育園以外の福祉施設などへの配属となる可能性もあります。場合によっては希望しない他の児童福祉施設に勤務するということこあり得ることになります。

そうなると、入職するまでどこに配属されるかわからないということもあります。また、先程も書きましたが、入職後も一定の期間で異動等もあり、違う保育園や保育園以外の業務に従事する可能性もあります。

保育園の民営化について

前項と似ていますが。保育園が民営化されると保育士もその保育園から去ることになります。クビになるわけではないですが、今は大丈夫でも将来的には保育とは関係のない業務に従事するということも起きる可能性があります。

副業ができない

公務員は副業が法律で禁止されています。例えば公務員保育士をしながらキッズラインでベビーシッターをして稼ぐということはできません。

まとめ:公立保育園の公務員保育士になる方法。私立との比較や年収など。

公立保育園の保育士は、地方公務員で、給与待遇面でも私立の保育園を上回ることがほとんどです。

異動や保育以外の業務に就く可能性があるということを除けば、私立保育園と比べてほとんどデメリットは無いです。

ただ、就職するには自治体の公務員試験を突破する必要があり、最近では保育士の採用自体が縮小傾向にあるので、狭き門になっています。

教養試験などもあるため、すぐには合格できなくても、民間の保育園で保育士として働きながら公務員保育士を目指すということも可能です。